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Society Unusual talent

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code3 殲滅

「どうも特殊武装異能警察官異能事件科専門、速水(はやみ)風真(ふうま)です」
特殊な青い帽子、特殊な青い服、見るからに警察官と言う格好をした青年は雄大をみるや、敬礼して自己紹介する。

「福祉会社『Unusual talent』の異能事件処理部長の霊遥葵雄大だ、よろしく」
雄大も敬礼を返す

速水は先に用意されていた車の運転席に乗りこみ、雄大に助手席に乗るように催促する。

「今回、行く場所は決まっているのか?」
シートベルトを閉め、雄大は速水に問いかける

「はい、もう割れていますよ。…しかしそちら方は優秀ですね、よくもまぁこんな超常現象にも近いものを予測できますね…」
速水は関心半分、呆れ半分と言ったように肩をすくませて車にエンジンを入れ、すぐにアクセルを踏み込んだ。

「ポイントは?」

「厄介な事に中央地区です。」

「中央地区か…中央地区…中央地区?…ここか…」

「そうですね、中央広場でも行ってみますか」

「そうしてくれ…にしても…飛ばしすぎじゃないか…?」
車の速度計はもう150km/hを切っていた。

「すみませんね、私これでも遅く感じるんですよ」

「…なるほど、君は『そう』なのかな」

「必要とあれば説明しますが…ん…?おっと」
速水は突然鳴った携帯電話を一瞬横目で見て言った。

「どうやらポイントを発見したようです。直ちに送ります」

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中央街、中央広場。
周りに様々な店が並んでいる。

中央広場の目印は巨大な時計塔。
事件が起きたというのに街は何も変わった様子はなかった
何時もの普通と変わらない町並み

時計塔が指している時刻はそろそろ16:00を指す頃だ
雄大が時計塔を見ていると後ろに速水がスマートフォンを片手に立っていた。

「先程伝達が入りました。先程、ここで突然空間が裂け、そこから四人の男女が現れたとの伝達です」

「『狂った』異能者なのか?」

「いえ、伝達には突然狂い、異能を振るったなどの報告はありません」

「狂っていないだと?どういうことだ、まさか『ゼロの世界』を意のままに…
途端、雄大の台詞は街に響いた大きな音にかき消された
突然の爆発音、速水のスマートフォンからコール音が鳴り響く。

速水はすぐさま通話のボタンを押して声を荒らげた
「何事だ!?」

『こちら調査隊!『ゼロの世界』から出現した男女は分散!4人の内の2人が強行に入った!すぐさま応援を頼む!繰り返す!現場近くにいる異能警察官は援護を…』

再び爆撃音
途中で通信は途絶え、速水は爆発音がした方向へと走る。

「…雨?」
ぽつぽつと雨が降っている中、傘もささず、雨宿りをする訳でもなく雄大に近づいてくる葵い髪の男がいた。

雨の中2人は互いに対峙する。
先に沈黙を破ったのは葵い髪の男だった。

「貴様、なんだ」
男が言った台詞に雄大は眉を潜めた。

「今の音で怯えるどころか身震い一つ起こさなかった、周りの者も全員顔を青ざめさせて逃げたというのに」
男は改めて質問のように雄大に問う

「貴様、何者だ?」
「言ってる意味が…わかんねぇな」
葵い髪の男は雄大が発言をすると同時に何処から出したのか大太刀を抜き、雄大に向かって振り斬った

雄大は身体を反らして避け、
「…お前『ゼロの世界』から来たな?悪ぃが話を聞かせてもらうぜ」

雄大は獰猛な獣のような眼光を向けて男を睨んだ。
男はその眼光を見て、尚、怯まなかった。

それどころか男は同じく獰猛に、笑みを浮かべて笑っていた。

男は先制と言わんばかりに雄大に向け、大きく拳を振るった。
雄大は拳を手で弾き軌道を逸らし、一瞬の間で男の懐に入る。

雄大は腹部を狙って腕を振るうが、男はパンチをものともせず雄大の顔面に拳を一発ぶち込む

同時に腹に、顔に、パンチが入る。
二人は互いの力量を見極め、後ろに下がる。

男は先ほどの大太刀を構えて体制をとる。
一呼吸、男は地面を蹴って太刀を振るう。
雄大の拳は太刀の側面を殴り、キィンと小気味の良い音が鳴る。
そのまま片手で太刀を抑え、もう片方の拳を振るう。

男は太刀を持つ手を離して肉体を横に翻す。
蹴りで雄大を怯ませ太刀を奪い返した。

雄大は体操選手のような身のこなしで直ぐに後ろにさがる

「なるほど一筋縄では行かんな」
男は太刀を腰の鞘にしまい、太刀に手を添える。

「…居合ってヤツかい」
雄大はあえて挑発にのるようにし、そのまま一直線に走る。
間合いに入ると同時に男は太刀を横に振り切る。
雄大は空中で身を翻し前転。
足を伸ばして踵を頭に落とす。

咄嗟に男は後ろに下がった。
すると雄大は無理やり体制を変えて空中で足を横にあげて男の身体を蹴りあげた。
男の身体が後方に吹き飛ぶ。

雄大は地面に手をついて受身と共に前進。
手で地面を押し返し、再び勢いをつけて蹴りを繰り出した。

男はなす術もなく、空中に投げ出されたまま防御姿勢を取った。
雄大の蹴りが腕を押す。

再び後方に吹き飛ぶが男は地形の『壁』を利用して蹴りあげ、前方に自分の肉体を飛ばし、太刀をまっすぐ構えた。
雄大は未だに空中、
肉体は前方に進み、さらに前方からはこちらを迎撃するかの如く向く太刀。

雄大は決死の覚悟で太刀を掴んだ。
もちろん「痛い」なんて優しいものではない。
しかし、太刀を掴んだまま地面に足を下ろして急ブレーキをかけ、そのまま力押しで上空に放り出した。

『異能の行使、筋力二倍』

男はこれを予想できるはずもなく掴んだまま高く、上空まで放り出される。

「マズイ」そうは思ったがどうにも抵抗出来ない。
見えるのは地面を跳躍して飛ぶ雄大

三メートル、二メートル…一メートル…回避できないと完全に判断したのは数十センチ地点まで来た時だった。

男は大きくため息をついてから叫んだ
須佐之男(スサノオ)!!』

突如として水の蔦のようなものが物凄い速さで男の腕を掴んで引っ張っていく。

「何ッ!?」
雄大の拳は行き場を無くし、男の後ろに在った時計塔に当たった。
時計塔がへし折れ、瓦礫が落ちてくる。

先ほどよりも凄い音をあげて降っていた雨風と共に風景の一部が消し飛んだ。

雄大が地面に着地する。
男も警戒して雄大を睨む。
一触即発の空気だった。
男が息を飲んで能力を行使する。
雄大もまた腕に力を溜めた。

「双方そこまで」
雄大の首筋に何かが巻きついた。
気味の悪い色をした蛇だ
二人を挟んで一人の女が立っていた

「須佐之男様。これ以上は困ります。我々『ナンバーズ』はまだこなさねばならない仕事があります」
『須佐之男』と呼ばれた葵い髪の男は「そうであったな」と鞘に太刀を収めた。

「ナンバーズ…?」

「ええ、それでは、また」
女が手を当てたところに亜空間が現れる。

「まて!まだ話が…」

「それではまた会おう。次は全開からだな」
二人は亜空間の中に消える。

残された雄大はもうそこにない亜空間、『ゼロの世界』を見ていた。 
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