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転生とらぶる

作者:青竹
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Fate/stay night
  1147話

 現在俺の目の前では、色々と信じられない光景が広がっていた。
 イリヤと、その側に控えるバーサーカー。こちらはバーサーカーが唸り声を上げながら俺の方を睨んでいるが、それはまぁ、いい。
 だが……もう片方、と。
 今の状況で最大の疑問を抱かざるを得ない光景へと視線を向ける。
 そこにいるのは、左脇腹の鎧を破壊され、その内部の肉すらも俺の手で抉られて大量の血を流しているセイバーの姿。 
 そんなセイバーを庇うように立っている衛宮。
 ……ここまではいい。
 ろくに戦う力もないのに、何でお前が戦う気になっているんだとか、何だかんだ言いつつ、あのワカメの行動の責任は全く取ってないじゃないかとか、色々と思うところはあれども、衛宮もマスターなんだからと思えば理解出来ない事はない。
 だが……その衛宮を守るかのように隣に立つ、露出の激しい格好をして眼帯を付けている人物。……いや、人じゃなくてサーヴァントか。
 そのサーヴァントが、何故ここにいるのか。そして、何故衛宮やセイバーを守るようにして俺の前に立ち塞がるのか。
 それは疑問に思わざるを得ない。

「ライダー、生きていたんだな。まぁ、サーヴァントなんだから、脇腹を抉られたくらいで死ぬ筈はないと思ってたが。……そう言えば、セイバーと同じような怪我をしたんだな。もう怪我はいいのか?」
「ええ、ご心配をお掛けしました」
「怪我をさせた張本人に言う台詞じゃないと思うがな。それで、何故ここにいるのか聞いてもいいか? 俺の勘違いかもしれないが、さっきセイバーに対する俺の攻撃を邪魔したように見えたし、更にはセイバーを庇っていたようにも見えた。今現在進行形で俺からセイバーや衛宮を守っているように見えるんだが」
「そうですね、勘違いではありませんよ」

 ……だよな。まさか偶然あんな風になるとは思ってなかったけど。
 だが、それなら……

「お前のマスターは死んだ。正確には俺が殺した。それはあのワカメのサーヴァントだったお前が一番良く知っているだろう? そのお前が、何だってまだこんな場所にいる? てっきり消えたと思っていたんだがな。それとも、新たなマスターでも見つけたのか?」

 そうなると、この位置関係から考えて衛宮が新しいマスターになるんだろうが。
 キャスターの件があったから、一瞬セイバーがマスターか? とも思ったけど、そもそもあれは魔術師であるキャスターというクラスだからこそ、出来た裏技だった筈。
 だとすれば、セイバーがマスターって事はまず有り得ない。
 けど、だからといって衛宮がライダーのマスターになれるのかと言われれば、否だろう。
 聖杯戦争のシステム的にどうのという話じゃなく、衛宮の能力的に不可能だと思う。
 元々中途半端な魔術師である衛宮の能力は決して高くはない。
 それは、衛宮自身から感じられる魔力が低いというのを考えれば分かりやすい。
 だとすれば、考えられる可能性はそう多くない。
 その中で一番可能性があるのは……

「ここにいない第3者、それも衛宮の知り合いをマスターにしたのか?」
「……さて、どうでしょうね。ですが、こうして私がアークエネミーの前に立ち塞がっているのは事実です。それ以上は何も語る必要はないのでは?」

 言いたくない、か。それとも言えないか。

『さて、どうする凛?』
『……』

 うん? 念話で凛に話し掛けても、何故か反応がない。

『凛? どうした? 凛!?』
『っ!? ……いえ、何でもないわ。多分私の考えすぎよね』

 自らを落ち着かせるように呟く凛の様子に、思わず首を傾げる。
 もしかして、ライダーのマスターに思い当たる人物でもいるのか?
 確かにそれを知っているのなら、是非聞かせて欲しいところではある。
 だが、それよりも今は目の前の状況をどうにかしなければならない。
 戦力的にはともかく、戦闘可能な人数的になら3組とも殆ど拮抗してるんだよな。
 俺と凛、バーサーカーとイリヤ、セイバーとライダーと衛宮。
 人数としては衛宮達が最も多いが、衛宮自身が魔術師としては二流、三流もいいところだし、セイバーは左脇腹を怪我しているし、唯一ライダーが無傷なだけ。

『で、どうするんだ、凛? ライダーが追加されてサーヴァントが3人になってしまったが。怪我をしているセイバーはどうとでもなるだろうが、それでも3人を相手にするってのは厳しいぞ? その中の1人はバーサーカーだし』

 幾ら俺が複数のサーヴァントを相手にして戦えるとしても、純粋な手数の問題もある。
 スライムの力を考えても、さすがにサーヴァント2人を相手に出来るかどうかと言われれば、答えは否だろう。

『……アークエネミー、悪いけど……本当に悪いけど、ここは頑張って頂戴。衛宮君達に聞きたい事があるの。それを考えると、決してここで退く訳にはいかないわ』
『衛宮達に? ただ聞きたいってだけなら、ここで戦わなくてもいいんじゃないか?』
『駄目よ。多分ここで退いたら、もう私の手が届かなくなる。それを考えれば……』

 何があるのかはまだ分からない。だが、凛の言ってる事を考えると、本気でここで退く訳にはいかないと考えているんだろう。
 となると、俺としてもやるしかないか。
 ジリっと、ゆっくりと1歩を踏み出す。
 その瞬間、バーサーカーが唸り声を上げ、こちらに立ち向かうかのように1歩を進める。
 逆に、ライダーはセイバーと衛宮を庇うようにして1歩下がる。
 こうして見ると、ライダーはそんなに戦意旺盛って訳じゃないんだな。
 まぁ、それも当然か。そもそも戦意旺盛だったら、最初から戦いに参加していただろうし。 
 だが、ライダーが姿を現したのはセイバーの命が危機に陥った時だったのだから。
 その辺を考えると、やはり向こうにも色々と事情があるんだろう。
 ともあれ、ライダー……というか、衛宮達は純粋に戦う事を望んではいない。
 だとすれば、そこが切り崩しのチャンスになるか?
 再び1歩を踏み出した瞬間、バーサーカーが吠える。

「■■■■■■■■■■■ーー!」

 だが、それだけだ。
 恐らく今吠えたのは牽制、あるいはそれ以上進むなというところか。
 バーサーカーとしては、確かに俺を倒したいんだろう。だが、そうすればイリヤが無防備になる。
 そして、セイバーとライダーが自由に動ける――セイバーは怪我をしているが――訳で、そうなればイリヤを守りながら全部で3人のサーヴァントを相手にしなければならない、か。
 ……バーサーカーの癖に、随分と理性的な判断を残しているな。
 けど、それは寧ろ俺にとって好都合!

『凛、バーサーカーが動き出しそうになったらイリヤの方に牽制の攻撃を入れてくれ。その間に、俺はライダーとセイバーを倒す』
『ええ、分かったわ。気をつけて……とは言わないわよ。アークエネミーならどうとでもなると思っているから』
『分かってるよ。ただ、このキツイ状況だ。今夜のお礼はこれまで以上に大胆で激しい行為を期待させて貰うからな』
『ちょっ!』

 俺の言葉に凛が何かを言おうとしたが、それを無視して一気に前へと踏み出す。
 手には当然何らかの武器の類は持っておらず、俺の戦闘スタイルでもある拳が握り締められているままだ。
 急速に近づいてくるライダーの姿だったが、ライダーは手に持つ巨大釘を手に、俺を待ち受ける。
 へぇ。俺と正面からやり合う気か?
 セイバーは何とか武器を構えようとしているが、左脇腹を抉られた傷はそう容易く治る訳がない。

「ひゅっ!」

 鋭い吐息と共に、ライダーへと向かって貫手を放つ。
 先程のセイバー同様、一番回避しにくい腹を狙った一撃。
 だが、その攻撃を見ていたからだろう。俺の放った攻撃を、ライダーはその半身を引いたことによりこちらの攻撃を回避する。
 そのまま伸ばされた俺の手首を、ほっそりとした指で掴み……瞬間、軽い痛みが手首に走る。
 このままでは不味いと判断し、手を引っ込める。
 ライダーの方も、それ以上深追いするような真似はせず、大人しく手を離す。
 俺の腕に痛みを感じさせる程の力か。ライダーの筋力はCで、確かに普通の人間とは比べものにならないが、それでも耐久A+の俺をどうにか出来るだけの強さはない筈なんだけどな。
 ……となると、何かの宝具か? あるいはスキルの類か。

「……なるほど。どうやら以前とは違うようだな」

 ライダーと距離を取りながらそう呟いた時、凛からの念話が届く。

『そうね。ライダーのステータスを確認したけど、軒並み上がっているわ。筋力B、耐久D、敏捷A、魔力B、幸運E、宝具A+。……慎二がマスターの時と比べると、一回り上の存在よ』
『誰と契約したのかは分からないが、それでもあのワカメよりも有能なマスターを得たって事か。……何か思い当たるような事があるみたいだったが?』

 そう訪ねると、数秒の沈黙の後で再び念話が帰ってくる。

『悪いけど、その件についてはこの戦いが終わってからにして頂戴。ただ、出来れば……本当に出来ればでいいけど、ライダーは殺さないでくれれば助かるわ』

 無茶を言う。……けど、そうだな。マスターからの要望だし、何度も肌を重ねた女の言う事だ。多少のお願いは聞くのがサーヴァントってもんだろう。

『そうだな、分かった。……ただ、さっきも言ったけど今日の夜はたっぷりサービスしてもらうから、そのつもりでな』

 意図的に軽く告げたその言葉に、念話を通しても分かる程に動揺した様子で凛からの返事が戻ってくる。

『っ!? わ、分かったわよ! だから、私のお願いもきちんと聞いてよね!』

 どうやら納得したらしい。
 うん、俺としても全く問題はない取り引きだったな。
 ただ、厄介なのは殺さないようにして無効化し、その後は逃がすって事なんだが……さて、どうしたものか。
 ライダーとセイバー、衛宮の3人を見ながらそんな風に考えていると、不意に横から怒りの声が聞こえてくる。

「何よ何よ、何で私を無視してそんな風にやってるのよ。許せない、やっちゃえバーサーカーッ!」

 苛立ちに満ちたイリヤの言葉に、バーサーカーは若干躊躇っている様子だったが、それでもイリヤの指示に従って前へと進み出る。

「■■■■■■■■■■■ーー!」

 その進む先は、当然俺。
 当然だろう。イリヤが苛立ったのは、俺が衛宮達へと攻撃して自分の存在を無視されたからなのだから。
 そうなる原因を作った俺に苛立ちを覚えるのは、不思議でもなんでもない。

「■■■■■■■■■■■ーー!」

 雄叫びを発しながら、俺に向けて岩の斧剣を振り下ろすバーサーカー。
 もしも俺が普通の人間であれば、確実に反応も出来ないまま地面とあの岩の斧剣に血の染みと肉片をこびりつけていただろう。
 だがバーサーカーのステータスは高いものの、それでもスタータス的には俺よりも下であり、同時に対英雄の効果が発揮している。
 そんな状況で振り下ろされる攻撃が怖い筈もなく、自分に当たる直前の攻撃を見切って回避する。
 ……それでも、物凄い轟音を立てながら俺のすぐ側を通り過ぎていったのが、バーサーカーの力がどれの程ものなのかを如実に現している。
 向こうも空振りをしたのは手応えがなかった事ですぐに理解したのだろう。
 振り下ろした動きのまま、切り返すようにして再びこちらへと向かって岩の斧剣が襲い掛かってくる。

「っと!」

 小さく声を上げたのは、俺に迫ってくる岩の斧剣の速度が予想していたよりも大分遅かった為。
 この辺の技量は、相変わらずステータスに影響されない能力の為に対英雄の効果を受けてはいない。
 こちらに迫ってくる岩の斧剣へと目を止め……身体を軽く反らして回避し、岩の斧剣の真横から拳を叩きつける。
 ガギャッという、とても肉体と岩がぶつかって出るような音ではない音が周囲に響く。
 そうして岩の斧剣が俺とは全く無関係の方へと吹き飛……ばない。
 己の武器を握り締めたまま離さなかったのは、さすがにバーサーカー……いや、ヘラクレスといったところか。
 だが、その判断は間違いだっ!
 岩の斧剣の動きに合わせたように、バーサーカーの身体が大きく開く。……そう、こちらに左胸が見えるようにして。

「はぁっ!」

 気合いの声と共に、右手を貫手にして筋力の高さを最大限に発揮し、勇猛の力すらも加えてバーサーカーの左胸へと向かって貫手を突き刺す。
 皮を破り、肉を裂き、骨を砕き……心臓へと手が届き、以前のように握りつぶしたところで、ふと疑問を抱く。
 ……何だ? 何か、妙に抵抗が強い。
 以前と同じ攻撃を、同じだけの威力を持って放ったのを思えば、間違いなく同じダメージを与えてもいい筈だ。
 だが、今俺の手に感じているこの……そう、抵抗力とでも呼ぶべきものは、間違いなくバーサーカーが受けているダメージが、前回よりも減っているのは明らかだ。
 何か危険だ。
 そう判断し、前回のようにバーサーカーの心臓を抜き出そうとして……何故か心臓を抉りとれないことに気が付く。

「っ!?」

 その事に疑問を抱きつつも、後方へと大きく跳躍。手にバーサーカーの血を付けたまま凛の隣へと着地する。

「どうしたの? 顔が険しいけど」
「……あのバーサーカー、以前戦った時よりも強くなっている」
「え?」

 凛は、俺の言葉に信じられないとばかりに、呟きを返すのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:380
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1185 
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