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異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。

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どうにか合格

 叩きつけられたその怪物は大きな呻き声を上げた。
 包み込むようにして叩きつけた僕の風の魔法の効果は絶大であったらしい。
 初めての戦闘で焦っていたとはいえ、全力を出してしまった。

 おかげで先ほどからあの化け物は、うー、うーと唸り声を上げているが動こうとしない。
 しかも周囲にある石板の幾つかが打ち砕かれており、草は吹き飛ばされ、本体が落ちたのも含めて窪地が所々に出来ていおり、その風の衝撃がどれほどの物だったのかを如実に物語っている。
 そこでその怪物の体が白く点滅する。

 もしやこのまま消えてくれるんだろうかと僕が期待していると、その点滅する感覚が徐々に短くなって、化け物の体が白い光に包まれる。
 と、その光が急激に強くなり目を開けていられないほどに強まる。
 思わず瞳を閉じ、それでもその光の強さに不安を感じて瞳を腕で庇う。
 
 まぶたの裏から更に光が強くなるのを感じる。
 そこで唐突に光が消えるのを感じて、僕はゆっくりと目を開き……そこに先ほど叩き落した怪物がいなくなっているのを確認する。
 どうやら倒せたという事なのだろう。と、

「倒せたようですね」

 レイアの言葉に僕は振り返り彼女を見ると彼女はほんの少しだけ微笑み、

「どうですか? 初めての戦闘は」
「経験がないから焦ってしまったかも。次は上手く出来そうな気がする。今回は力技で押してしまった気がするし……もう少しうまく魔法を調整して使えたらいいなって思う」
「ですがいざという時は、ああやって魔力で押し切ってしまえば何とかなると思えば気が楽になりませんか?」
「それもそうだね。でも、これは魔力の量が僕の場合けた違いに大きいから出来る事なのかな」

 自分よりも大きな怪物を倒してしまったけれど、僕の力で倒したという実感がまだわかない。
 ゲームではいくらでも英雄になれたし、物語の英雄は昔から知っている。
 なのに今自分がこれを引き起こした自覚が僕にはまるでない。

 無我夢中で引き起こした結果であって、今でもまだ夢心地の様なふわふわとした感覚だ。
 興奮はしている。
 でも現実味のない感覚が僕にまとわりつく。

――実感がわかないから勝利の感覚も薄いし、これからも戦闘をしていけるのだろうか?

 自問してみて、ちょっとずつ慣れていくしかなさそうだという結論に達する。
 そこでふわふわと空を飛んでいた魔道書が僕の頭にめがけて飛んできたので、すかさずしゃがみこみかわした……と思ったら上から降ってくる。
 ごんっ

 その痛みに僕が呻いているとそこでその魔道書に近づいたレイアが、

「合格、と書かれていますね」
「本当!」

 僕は慌ててその魔道書の問題ページを見ると、確かに合格と書かれている。
 但しその下には、60点という文字と共に及第点と書かれている。
 どうやらぎりぎりで合格したらしい。

 ただこの魔道書のその祭典の便利な点が一つあって、

「魔法技巧、0点て……やっぱり一番初めの問題だから優しめに採点してくれたのかな?」
「そうかも知れません。しかもここに小さく問題に挑戦できるのは三回までと書いてありますね」
「三回まで……という事h僕に勝ち目がないとなるとあの化け物は消えたりするのかな?」
「……試験なので才能のある持ち手をそう簡単には潰さないという事なのでしょう。ここで新しい可能性が分かりましたね」
「そうだね。でも魔法技巧か……頑張って、色々練習してみよう」
「はい。では戻りましょうか。走り回っている内は暑かったのですが、立ち止まると寒いです」
「うん、風邪をひかない内に帰ろうか」

 そう僕はレイアに答え、その場を後にしたのだった。 
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