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剣の丘に花は咲く 

作者:5朗
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第十六章 ド・オルニエールの安穏
  第一話 パーティーにて

 
前書き
 話が進まない……。 

 

「え~、此度の戦はまさに歴史に刻まれる程の大きな、そして悲惨な戦じゃった。前ガリア王であるジョゼフ―――()の王が企てた陰謀はロマリアのみならずこのハルケギニア全土を焼き尽くすまさに狂ったものじゃった」

 魔法学院―――その本塔二階にある舞踏会ホールに響くのは学院長オスマンの声。
 普段行われる学院長のお話とは違い、ホールに集まった学院生徒たちは真面目な顔で学院長の話に聞き入っていた。何時もならばそこかしこにいた居眠りをする者やお喋りをする者たちが一切見られない。
 それもそうだろう、ロマリアとガリアが戦端を開いた時、彼らは恐怖した。アルビオンとの戦争が終わった直後でもある。祖国の国力は未だ回復していない。もし、ガリアの矛先が向けられたならば、ひとたまりもなかった筈だ。
 しかし、そうはならなかった。
 ガリアの狂った牙が突き立つ前に、カルカソンヌにてガリアはその狂った意志を打ち砕かれた。
 ジョゼフ王は捕らえられ、ガリアには新たな女王が即位し、戦は短期間の内に終幕となった。

「戦は嫌じゃ。何せ戦となれば何時死んでもおかしくはない。死ねば最早女人の臀部を見ることも触ることも、ましては他の色々な事を出来なくなってしまうからのう。そんな事諸君らも嫌じゃろう。何せ諸兄らの多くは未だ女人の神秘を確かめた者は少なかろうに、そのような状態で死ねば死ぬにも死にきれんじゃ―――」
「「「「「…………死ねよクソじじぃ」」」」」

 ホールにいる女子生徒だけでなく女教師たちが顔を俯かせながらボソリと呟いた。

「―――……ごほん。うん、話を続けようかのう」 

 顔を強ばらせたまま青ざめた顔を微かに上下に揺らしたオスマンは、何かを誤魔化すようにゴホンとわざとらしく咳を一つ鳴らすと、何事もなかったような顔で話を続けた。

「しかしっ! そうはならなかった……何故ならばっ! このトリステインには英雄がいたっ! トリステイン―――いやっ! ハルケギニア(世界)一と言ってもいい英雄がッ!!」

 腕を振り上げ老体を震わせながら叫ぶオスマンの姿に、先程までの冷たい目をしていた生徒たちの目に熱がこもり始める。両手をギュッと握り締め、何かを期待するように身体を震わせながら、自身を落ち着かせるようにゴクリと唾を飲み込んだ。
 
「その英雄たちのことを、君たちは誰よりも良く知っていることじゃろうっ! 何故ならば、彼らは遠い世界の、国にいるような噂話でしか聞けない者たちではないっ! 君たちと同じ学び舎で共に学び、鍛え上げた者たちっ! そう―――君たちも良く知るあの英雄たちがまたもややってくれたのじゃッ! さあっ! それでは改めて英雄たちを紹介しようッ!!」

 大きな身振りで後ろを振り返ったオスマンは、その枯れ枝のような指で壁のように垂れ下げられた緞子を指差した。
 一瞬の後、緞子が下ろされ、その背後に隠されていた者達の姿があらわとなり、生徒や教師たちから歓声が湧き上がった。

「そうっ、彼らこそトリステインが、いやッハルケギニア(世界)が誇る英雄たちっ! “水精霊騎士隊(オンディーヌ)”と始祖の巫女たちじゃっ!!」

 オスマンの宣言と共にこれ以上ないと言えた歓声が更に盛り上がる。
 熱狂する生徒達の前には、正装した水精霊騎士隊とルイズやティファニアの姿があった。鼓膜が割れんばかりの歓声に迎えられたルイズ達は、カチコチに固まり鯱張った身体を更に固くしながらも、照れと興奮により頬を真っ赤にしていた。
 自分たちと同じ学び舎で学ぶ学生たちが多くを占める騎士隊が、多大な功績を先のガリア王継戦役で上げたことを、魔法学院の生徒達は良く聞かされていた。その話はまるで大昔の英雄譚に匹敵―――いや、それ以上のものだった。その新たなる英雄譚の登場人物たちは、遠い異国の者や雲の上の階級の方等ではなく、普段自分たちと肩を並べていた同級生たちであった。いやがおうにも興奮は高まった。

「諸君も知っての通り、彼らは初陣にも関わらず、その功績は長いトリステインの歴史の中でも際立ったものじゃった。ロマリアの聖堂騎士たちすら蹴散らした虎街道での強力なゴーレムの一部隊を粉砕した一件だけでも、英雄譚に語られるには十分じゃ」

 ゴーレムを倒したギーシュたちがリンゴのように頬を真っ赤に染めながらも、胸を張って湧き上がる歓声に応えてみせていた。オスマンはそんなギーシュたちの姿を嬉しそうに見つめた後、二人の騎士へと視線を向けた。

「しかし、彼ら水精霊騎士隊はそんじょそこらの英雄たちとは違ったっ!」

 オスマンの視線に導かれるように、集まった生徒や教師たちの視線が一組の男女へと向けられた。

「そう、彼ら二人ッ!! 水精霊騎士隊の隊長エミヤッ! そして副隊長アルトリア嬢ッ! この稀代の英雄たちがいるからじゃッ!!」

 オスマンは興奮が最高潮に達したのか、そのシワだらけの顔を火を噴くかのように真っ赤に染め上げながら、杖をまるでマイクのように両手で掴み今にもちぎれそうなぶっとい血管を額に浮かべ叫ぶ。

「副隊長であるアルトリア嬢は、何と単騎をもってかの最強を謳われたガリアの両用艦隊の二割を撃沈させっ! その余りの強さと美しさから味方だけでなく敵すらも“聖竜騎士”ッ! “竜騎士王”ッ! そう称えられる程じゃッ!! そして水精霊騎士隊隊長たるエミヤシロウのリネン川の中州での華やかでありながら圧倒的な一騎打ちの数々っ! そしてそれすらも霞む程の功績ッ! そうッ! 諸君らも耳にした者も多いじゃろうっ! ジョゼフがエルフの先住魔法を利用して生み出した巨大な炎の玉ッ! 都市を丸ごと燃やし尽くすことも可能な巨大な炎を、このエミヤシロウは何と剣の一振りをもって打ち消したのじゃッ!!」

 息を飲み真剣な表情で士郎を見つめる生徒たちの前で、オスマンは一拍の間を持ち口を開いた。

「その話を聞いた時、皆は話が大きくなっただけだと、それどころかただの作り話だと思ったことじゃろう。確かに信じがたい話じゃ。しかしっ! それは違うっ! それは本当にあったことじゃったっ!! 証人はその光景を見ていたのは数万もの兵士たちだけでなく、何とあのロマリアの教皇猊下さえ認めているのじゃっ! これ以上ない証拠じゃろう。彼の働きは、まさに過去―――どのような勇者、英雄さえ成し遂げれない偉業じゃっ! それをこのエミヤシロウは成し遂げたッ!! 邪悪なるジョゼフが生み出しし炎の玉を、その正義の剣をもって散らしたその姿は、まさに英雄譚―――否ッ!! 神話に語られる英雄の如き姿じゃッ!」

 既に生徒たちの水精霊騎士隊―――いや、衛宮士郎とアルトリアを見つめる目は、憧憬を超え信仰の域にまで達しそうな程であった。
 何せ冗談ではなく、本当に今後語られるであろう英雄譚である。
 ここまでの活躍は、どこの国、どの時代でも成し遂げられないものであった。
 それがたった一個騎士隊、たった一人の騎士の手によって成し遂げられた。そしてその登場人物たちは自分たちとそんなに変らない歳のものばかりであり、普段良く目にしていた者たちである。騎士隊の活躍だけでなく、その中で語られる物語もまた、彼らの興味を駆り立てていた。
 ガリアの新女王となったのは、何と先日まで共に机を並べ学んでいた同級生であった。
 その彼女と水精霊騎士隊が行動を共にしていたのは誰の目にも明らかであり、その即位にこの騎士隊が関わっていると考えない者は学院内には誰もいなかった。
 これから長きに渡って語られるだろう英雄譚に登場する主人公たちと同じ時代に生きただけじゃない、同じ学び舎で学んでいるということに、生徒たちは誰しも感動に打ち震え涙を流す者すらいた程だ。
 興奮の余り、倒れる者が生徒の中にチラホラと見える中、口々に生徒たちは「水精霊騎士隊(オンディーヌ)万歳ッ!」と叫び続ける。それを煽るようにブッ倒れそうな勢いで叫んでいたオスマンだったが、不意に振り返ると水精霊騎士隊の面々の前に歩いていくと、一番端に立っていたギーシュの肩をぽんぽんと叩いた。

「うんうん。流石はわしが育てた者たちじゃ」

 オスマンの一言に、笑みを浮かべていたギーシュたちの頭部に『は?』といった疑問符が浮かんだ。
 確かにオスマンはこの魔法学院の最高責任者であるが、自分が育てたと言われる程の教えは受けていない。ギーシュたちとオスマンとの間に奇妙な沈黙が落ちる。それは次第に周囲に伝播し、歓声を上げていた生徒たちにも戸惑った雰囲気が広がり始めた。
 このままでは折角の祝賀会が残念な事になってしまうと気付いたギーシュは、慌てた様子でオスマンのフォローを入れた。

「っ、は、はいっ! そ、その通りっ! これも全てオスマン氏の教育のおかげでありますですっ!」

 何故かビシッと敬礼するギーシュの姿に、うんうんと頷いたオスマンは、ゆっくりとギーシュへと近づいていった。

「ふむ、ふむ……で、ギーシュくん」
「はっ! なんでありましょうかオールドオスマンっ!」

 オスマンの真剣な眼差しに、ギーシュはもしや個人的に何かしらの褒美か何かが貰えるのかと期待が込み上がった。

「やはり君は実に素晴らしい人材じゃ。よし、よし、そんな君たちにはご褒美をあげよう」

 期待通りの言葉に、ギーシュたちの口から「おおぅ」と喜びに満ちた声が漏れる。
 もしや学院卒業時、トップの成績の生徒にしか与えられないダイヤ付きの黄金宝杖でも授けられるのでは? と期待に満ちた視線をオスマンに向けるギーシュたち面々だったが、それに対する返答は―――。

「―――抱いていいよ」
 
 ―――全くの予想外。
 斜め上過ぎる返答であった。
  
「「「……は?」」」

 聞き間違いではと耳をほじほじとほじくったギーシュたちは、再度耳を澄ませオスマンへと耳を傾けた。

「抱いていいよ」
「「「―――はい?」」」

 聞き間違いではなかった。
 オスマンは何やら自信に満ちた顔つきで自分自身を親指でトントンと胸を叩いてみせている。じっと何かを期待するかのような眼差しを向けてくる。
 ぱくぱくと何か言おうと口を動かしたギーシュであったが、直ぐに泣きそうな顔にぐしゃりと顰めたみせた直後、ふっと何か全てを諦めたように全ての感情を表情から排除すると、小さく、しかしハッキリと首を横に振った。
 ギーシュの拒否の意志を受けたオスマンは、何の反応も示す事なく顔をずらし、その隣に立つギムリへと向ける。
 ギムリは小さな笑みを口元に浮かべると大きく首を横に振った。
 お次はとギムリの隣へと顔を向けたオスマンを、凍えた絶対零度の冷笑を浮かべたレイナールが迎えた。

「はっ」

 肩を竦めながら鼻で笑ってみせるレイナール。
 しかしオスマンは全くへこたれない様子でその隣りのマリコルヌへと向けられる。
 ゴクリと誰かが唾を呑む音が異様に大きくホールに響いた。何時の間にか歓声は収まり、広いホールは異様な緊張感に包まれていた。

「抱いていいよ」

 オスマンの都合四回目の誘いの言葉。誰しも断るのだろうと思っていた。
 しかし、何故か周囲に広がる緊張感がそれを否定する。
 “まさか”といった戦慄と、“こいつなら”といった意味の分からない期待が高まり、それが最高潮に達した瞬間マリコルヌはどこぞの舞台に立つ主人公のように堂々とした仕草で自身の身体に親指を突き立てた。

「喜んでッ!!」
 
 静まり返ったホールにマリコルヌの堂々とした声が響き渡った。
 ゴクリと誰かが息を飲む。
 異様な空気がホールを包む。
 一体これからどうなるのかと期待と不安が際限なく高まる中、オスマンはジロジロとマリコルヌの全身を眺めると、うんと一つ頷きゴホンと咳払いをした。

「さて冗談はここまでにして」
「「「「「―――ッッ!!!」」」」」

 この場にいた全員が顔を俯かせこぶしを握り締めた。
 その瞬間、ホールにいた者たちの心は一致していた。
 『こいつ殺してぇッ!!!』と。

「まあ、君たちにはちゃんと王政府からその活躍に見合う名誉が用意されておる」

 ぶるぶると怒りに身体を震わせるギーシュたちを前に、何でもないことのように振舞いながらオスマンは正装した教師のシュヴルーズを迎え入れた。シュヴルーズの手に持っているものにいち早く気付いたギーシュが声を上げた。

「そっ、それはシュヴァリエのマントじゃありませんかっ!!?」

 ギーシュの言葉に、生徒たちの視線が一斉にシュヴルーズの手に持つマントへと向けられた。確かにギーシュの言葉の通り、それはシュヴァリエの証たる黒字に銀色の五芒星が縫われたマントであった。
 それが一枚だけでなく、五枚あることに気付いた生徒たちからどよめきが広がる。

「そうじゃ。何しろ君たちの上げた功績は著しいものじゃった。ロマリアでさえお手上げだったゴーレムを打倒した君たちには、それに相応しい名誉が必要じゃろう。アルトリア嬢は言わずもがなじゃな」

 オスマンの言葉は大げさなものではない。
 士郎とアルトリアが上げた功績はまさに比類なきものであったが、ギーシュたちの戦果もまた、“シュヴァリエ”に叙されるに十分なものであった。確かに今回の戦争―――ガリア王継戦役にトリステインとして参加した軍は水精霊騎士隊(オンディーヌ)一隊のみであった事も、今回の異例の五名全員に対し“シュヴァリエ”の位が叙されるという結果となったことは否定できない。何せこれで恩賞が何もなかったり、適当な勲章を送るだけであったら結局トリステインは何をしたのか? と諸外国から色々と政治的に責められる可能性があり。だからこそ、騎士隊全員(士郎を除く)に“シュヴァリエ”を叙すというインパクトが必要であったのだ。

 ギーシュたちは、渡されたマントを震える手で受け取ると、ギュッと胸元に抱きしめた。
 感動に打ち震えるギーシュたちを微笑ましげな目で見つめたオスマンは、今度は二人の女子の前へと向き直った。

「え~、君たちは巫女として今回の戦役に従軍したことから、勲章やシュヴァリエの位を与える事はできんのじゃが、代わりと言ってはなんじゃがの、君たち二人にはトリステイン宗教庁から、司教の任命状が授けられることとなった。丁度ジュノー管区に二席ばかり席が空いたからの」

 ルイズとティファニアにそう告げると、オスマンは生徒たちへと振り返った。
 破格といってもいい恩賞に、生徒や教師たちから割れんばかりの歓声や拍手が鳴り響く。
 しかし、その中に僅かに戸惑った雰囲気が混じっていた。
 その理由は唯一つ。
 今回の功績の中、最大級の勲を示した士郎には何も与えられていない。
 生徒たちの視線がさり気なくオスマンに向けられるが、これで終了とばかりに何やら話している。
 功績が功績だけに、もっと大きな場所での授与となるのではないかと、どことなく納得のいかない様子を見せながらも、生徒達は一応の納得をしてみせた……。



 





 授与式が終了した後は、華やかな宴が行われた。
 今回の主役たる水精霊騎士隊(オンディーヌ)の周囲には、開始直後から既に人垣が出来ていた。今回は、平の隊員であるギーシュ達にも多くの人が群がっていた。女子風呂覗き事件により、地の落ちるどころかめり込む程の評価だったギーシュたちの評判は、今回の活躍により何とか盛り返したようであった。ギムリやレイナールは、群がる女子生徒たち相手に今回の活躍を大げさな身振りで語って何やら黄色い声を上げさせている。ギーシュとマリコルヌは、女子風呂の一件以来こじらせていた女の子との関係も何とか修復の目処がたったようであった。まあ、ギーシュもマリコルヌもそれぞれ一抹の不安を抱くような雰囲気ではあったが……。
 とは言え、確かにギーシュたちは多くの女子生徒たちに囲まれてはいる。
 しかし、やはりといっていいのか、元からの評判が高く、今回の戦役では文字通り英雄譚並の活躍をした二人は桁が違った。
 そう、文字通り。
 ホールに生まれた一つの巨大な円。
 数十人を超えるだろう生徒や教師に囲まれた中心にいたのは、士郎とセイバーの二人の姿であった。
 
「え、エミヤさまっ! ぜ、是非とも戦場での活躍のお話を―――」
「あ、あの、わ、わたくしずっとエミヤさんの事が―――」
「アルトリアお姉さまっ! そ、その、ど、どうかこれ受け取ってください」
「そ、その、お、お姉さま―――」

 一言でも話そうとばかりに人が迫ってくる姿に、士郎もセイバーもただただ引きつった笑みを浮かべるしか出来なかった。
 生徒たちに取り囲まれ、四苦八苦している士郎たちの姿を、人垣の隙間から覗いていたルイズは、手にしていたワインを傾け、喉を軽く潤すと小さく溜め息を吐いた。バレッタで髪をまとめ、白いドレスを身につけた貴族の女性らしい姿をしたルイズは、着飾った自身の姿を見下ろしもう一度溜め息を吐いた。

「はぁ……全く、主人をほったらかして何をやっているのよ……」
「結構なことじゃない。それだけの事をしたんだし、人気があるのはそう悪いことじゃないでしょ」
「―――っ!?」

 誰に言うでもない独り言に対し、応えが返ってきた事に驚いて声が聞こえてきた方向へ慌てて顔を向けたルイズの前には、何やら料理が盛られた皿を片手に立つ一人の女の姿があった。

「トオサカ―――リン」
「あら? 驚かせちゃったかしら?」

 小首を傾げながら微笑する凛を前に、ルイズは警戒するように小さく後ずさった。
 凛は何処から用意したのか、真っ赤なワインレッドのドレスを身につけていた。

「―――あなた、どうしてここに居るのよ。ここにいていいのは学院の関係者だけよ。大人しくシロウの部屋で待っている筈じゃなかったの?」

 そう、あの戦いの後、遠坂凛は士郎たちと共にここ―――魔法学院について来たのであった。
 とは言え、士郎の知り合いだとしても、氏素性が知れないものを、そう簡単に貴族が在学する魔法学院に置いておくわけにはいかない。魔法学院に連れてくる前は、単純に学院長に話せば何とかなるだろうと楽天的に考えていたが、なんやかんやで未だ学院長に話を通す事が出来ずにいた。そのため凛についての説明するための目処が立つまでは、士郎の部屋に隠れていてもらうという話になっていたのだが……。

「あなたの事がバレたら、どうなるか想像ぐらい出来るでしょ―――っ」
「そこは心配しなくても大丈夫よ」

 大声で怒鳴りたいのをぐっとこらえ、押し殺した声で文句を言うルイズを見下ろしていた凛は、近くに立っていたメイドが持つ盆の上に置かれていたいくつものワインの内から一つをひょいっと持ち上げると、くいっと飲み干し盆の上に戻した。すると、テーブルに盆に置いていたワインを並べていたそのメイドが、一つだけ飲み干されていたワインに気付き、首を傾げ始めた。

「っ……何をしたの?」
「軽い暗示のようなものよ。まったく、そこまで心配しなくてもいいでしょ。ほら、見てごらんなさい。みんな士郎たちに夢中じゃない。一人ぐらい知らない女がいると気付かれたとしても、誰も気にしないでしょ」
「だからって」

 皿に盛った料理をパクつきながら肩を竦める凛に、ぷるぷると震えながらルイズは空になったワイングラスをつぶさんばかりに握り締めた。

「―――それで、まさかただパーティーの料理を食べに来ただけって理由(わけ)じゃないでしょ」
「まあ、正直な所それもあるわね」
「あなたねぇ……」
 
 頬をヒクつかせるルイズの様子を楽しそうに眺めていた凛は、空になった皿を近くのテーブルの上に置くと、並べられていたワイングラスを二つ取り上げた。

「ま、冗談はさておいて、ただちょっとあなたと話をしたかっただけよ」
「そんなの今じゃなくても―――」

 苛立ったように声を僅かに荒げるルイズを制するように、凛は手に持ったワインを掲げた。

「あなたと二人で話がしたくてね」
「……何よ」

 ふくれっ面をしながらジロリと睨みつけてくるルイズに、凛はワイングラスをテラスに向けてみせた。
 ルイズは女子生徒たちに取り囲まれている士郎を一度ジロリと睨みつけた後、テラスへと向かって歩き出した。





「―――で? 話ってなに?」
「そう慌てなくてもいいじゃない」

 テラスに出た凛は、ルイズの責めるようか声に肩を竦ませると、欄干に腰掛けるように寄りかかった。
 背中を逸らすように空を見上げた凛は、夜空に浮かぶ大きな二つの月に目を細めると、顔を下ろしルイズに用意していたワインを一つ差し出した。

「ほら、あなたも飲んだら?」
「……ふん」

 小さく鼻を鳴らしながら凛の手からワイングラスを奪うように掴み取った。 
 奪ったワインを一気に飲み干すルイズの姿を見つめていた凛は、微笑ましげに笑みを浮かべると、手に持ったグラスを傾けた。

「わたしと話がしたいっていうけど、それって必要あるのかしら? わたしは特にあなたと話がしたいとは思わないし、正直迷惑なんだけど」
「へぇ~……本当にそうのかしら?」

 ふんっ、と鼻息荒く胸を張るルイズを、凛は下から覗き込むように見上げた。何処までも見通すかのような凛の瞳から逃げるように、ルイズは顔を背ける。

「どう言う意味よ……」
「そのままの意味よ。本当は私よりも、あなたの方が私と話をしたいんじゃないの?」

 顔を背けながらも横目でチラチラと見てくるルイズに目を細めながら挑発するように言葉を向ける凛。
 凛の言葉に思わず激昂し、詰め寄り掛けたルイズだったが、直ぐにぐっと唇を噛み締め顔を俯かせると、絞り出すように声を漏らした。

「っ―――そんな事ないわよ」
「本当に? ま、確かにそれも本当でしょうね」

 決して良い意味ではない笑いを含んだ凛の声に、下を向きながら震える程の力で拳を握り締めていたルイズは、垂れた髪の隙間から見下ろしてくる凛を睨みつけた。

「……随分と含んだ言い方ね」
「本当は士郎の過去について、色々と話を聞きたいんでしょ。でも、それと同じくらい。いいえ、それ以上に聞きたくはない」

 突き刺すようなルイズの視線を感じていないかのように飄々とした態度で、探偵よろしく凛は指を教鞭に見立てるかのようにピンと突きたて語っている。

「………………」
「ま、その理由は簡単に想像できるわね―――怖いんでしょ」
「っ」

 ビシリと凛の指先がルイズに向けられる。
 息を飲むルイズ。

「……確かに怖いわよね。何せ士郎はこことは違う世界の人間。話を聞いて士郎の過去を知れば、あなたが今抱いている恐れがますます現実味を帯びてしまうから」
「あなたは―――何を……」

 息苦しそうにルイズは胸元を握り締めた。
 綺麗に着飾ったドレスに皺が寄る。

「そう、士郎が自分の下から去ってしまう―――元の世界に帰るかもしれない……そんな不安が……」
「……悪魔のような女ね、あなた」

 凛の話を遮るように、呟きに似たルイズの小さな声が上がった。
 声量は小さくとも、その中に含まれた感情の強さは、凛の話を止めるには十分な域であった。
 凛は苦笑を浮かべながら困ったように額に手を当てた。

「悪魔―――か……何故か良く言われるのよね」
「そこまで分かっているなら、もういいでしょ。やっぱりあなたと話すような事は何もないわね。ホールに戻らしてもらうわ」
「待ちなさい」
「―――何よ」

 凛に背中を向けて戻ろうと足を動かそうとするルイズの背中に、真剣な凛の声が届いた。
 思わず足を止めたルイズは、しかし振り向きもせず立ち止まった姿のまま凛に問いかける。 

「別にあなたばかりに話をさせようとは思ってはいないわ。こちらも色々と教えてあげるわよ」
「結構よ」

 間髪入れず断りの言葉を向けたルイズ。
 しかし、笑みを含んだ次の凛の言葉には、即断することは出来なかったようだ。

「そう? 聞きたくない? 例えば―――私がここにきた理由、とか」
「―――ッ!!」

 一瞬ルイズの身体が微かに浮いたかのようだった。
 背中を向けときながらも、チラチラと凛の様子を伺うルイズ。 

「聞きたいでしょ?」
「そんなの―――……」

 葛藤はあったが、このまま手の平で転がされ続ける事はできないと、否定しようとするルイズだったが、その言葉が完成する前に(悪魔)の誘いが耳に届く。

「教えてあげてもいいわよ。でも、その前にこちらの要求にも応えて欲しいんだけど」
「……取引き、というわけ?」

 小さく、弱々しく、しかしハッキリとした声でルイズは凛に確かめる。

「好きに捉えてもらって構わないわ」

 凛は明るい調子でルイズに話を促す。
 凛とパーティー会場の間を逡巡するように行ったり来たりするルイズの視線が、ようやく心が決まったのか身体を凛に向き合わせた。

「…………わかったわよ」
「それじゃ、まずはあなたと士郎との出会いから聞かせて貰うおうかしら―――」




 ――――――どれくらいの間話していたのだろうか、ルイズは揺れ動く視界と濁った思考の中、目の前で自分に笑みを向けてくる女をぼんやりと見つめていた。ルイズは女―――凛に士郎との出会いからこれまでの事について掻い摘んだ話をした。ルイズが士郎と出会ってから、まだ一年程しか経っていないが、語るものはそれこそ山程ある。全てを詳細に話そうとすれば、丸一日掛けても終わらないだろう。だから、ルイズはこれまでの大まかな流れについて凛に語った。

「……ふ~ん、随分な大冒険だったようね」

 空になったワイングラスを片手で揺らしながら、凛はつまらなさそうな声で呟いた。その声には、不機嫌な様子がありありと宿っており、勿論その事についてルイズは気付いていたがその理由が思い浮かばず同じように不機嫌な声を上げた。

「なによ……何か言いたいことがあるのなら言いなさいよ」
「ん? 言ってもいいの?」

 向けられた声に、凛は挑発的にニヤリと笑った。
 すると―――。

「ええ、聞かせてもらいたいわね」

 ―――予想外の方向から声が掛けられた。

「キュルケ?」
「あれ?」

 新たにバルコニーに現れた影―――胸元を大きく開けた夜会服で着飾ったキュルケがルイズたちの下へと近づいてきた。
 唐突に現れたキュルケの姿に、戸惑ったようにルイズが小首を傾げる。
 近づいてくるキュルケを挟むように歩いてくる二人の人物。
 学院生たちが着る目立つ夜会服とは違い、どことなく大人しい印象の夜会服を着た二人。その姿のうち一人、淡いピンクの可愛らしい夜会服を着た女性を見たルイズが、驚いた声を上げた。

「ルイズ、わたしもいるわよ」
「ちい姉さまっ!?」
「……ちい、姉さま? って誰?」

 ルイズとちい姉さま―――カトレアをチラチラと見比べていた凛に、その答えを伝えたのは残り最後の人物だった。

「ルイズの姉で、学院の教師よ」
「……そういうあなたは誰よ?」

 顔を向けてきた凛に、黒い派手ではないが、身体のラインを強調する夜会服を着た眼鏡を掛けた女性が、眼鏡の縁を上げながら口元に笑みを浮かべた。

「ここの学院長の秘書をしているロングビルよ。ミス・トオサカ」
「へぇ……で、私に何か用かしら?」
「ま、ね。あなたとは前から色々と話がしたいと思っていたから……丁度良いかと思って」
「そう……でも、よく私たちがここにいることが分かったわね」

 一歩前へ出たキュルケが、声を向けてきた。
 さり気なくキュルケたち三人を見回した凛が、改めて探るようにキュルケを見つめた。
 凛の推し量るような視線に、キュルケは笑みを持って応えた。

「勘が良い人がいるので」
「うふふ、誰にでも取り柄の一つはあるものよ」
「あなたは一つどころじゃないと思うけど」
「あら? そうかしら?」

 ロングビルの肢体を舐めるように向けられる視線に、カトレアは何時ものようにぽわぽわとした笑みを浮かべながらお礼を言う。何処かズレたやり取りをするカトレアとロングビルの姿に、凛は警戒を強めた視線を向けた。
 簡易とはいえ認識阻害の魔術を見破られた。何か探りを入れられれば気付いた筈。しかし、何の予兆もなかった。警戒し、より深くカトレアを見つめる凛であったが……。

「……ん?」
「何ですか?」
「……何でもないわ。気にしないで、こちらの話よ」
 
 戸惑った声が上がったことに、カトレアが視線を向けると、凛は隠すように片手で顔を覆ったまま小さく横に振った。

「?」

 顎に指を当て小首を傾げるカトレアに背を向けた凛は、じっと自分を見つめていたロングビルとキュルケに向き直った。

「で、私と話がしたかったって何かしら?」
「それはあなたも良く分かっているんじゃない?」

 キュルケは強調するように胸の下に腕を組み挑発的に話しかけてくる。
 凛は目の前で持ち上げられるキュルケの胸にこめかみをヒクつかせながらも、余裕を見せつけるようにバルコニーの柵に背中を預けた。

「……確かに、なら丁度良かったわね。今話そうとしたところよ」
「それは良かった。勿論あたし達にも話を聞かせてもらえるのよね。ああ、あなたの事については、そこのキュルケから大体の話を聞いているから」
「それは重畳。一々一人ずつ説明するのも面倒だし、ね」

 ロングビルの言葉にルイズの隣に立つカトレアに顔を向ける。凛の視線に察したカトレアは、笑顔を浮かべ頷いて見せる。

「じゃあ、教えてくれますか? ミス・トオサカ。あなたがここに来た理由について」

 代表するようにキュルケが一歩前へ出る。
 一歩近付いて来たキュルケの前に、凛は手を出し人差し指と中指の二本の指を立てた。 

「理由は二つ」
「二つ?」

 思ったよりも少ないのか多いのか、判断つかない顔でロングビルたちが顔を傾げる。

「一つはあなた達の考えている通り、士郎についてよ」
「……どうするつもりなのかしら?」

 自然と声が低くなりながら、ロングビルが問いかける。
 凛は小さく肩を竦めるとバツが悪そうに笑ってみせた。

「正直に言えば、まだ決まっていないわ」
「どういう事?」
「あいつは元の世界で色々とやらかしていて、下手に戻れば危険なのよ。だから現状無理に連れ帰ろうとは思っていないわ」
「そう、なの?」
「まだどうするか決まっていないというだけでしょ」

 何処か呆然としたような気の抜けた声を上げたキュルケが、胸を持ち上げていた腕を崩した。安堵するように息をつくキュルケに、しかしロングビルは視線を鋭いままであった。
 
「そうとも言うわね」

 凛の答えに緊張を取り戻しながら、キュルケは残り一つの理由について聞いた。

「じゃあ、残りの一つは?」

 キュルケの問いに、凛は柵に背を当てたまま逸らすように空を見上げた。
 何か考え込むように数瞬の間が空いた後、ポツリと呟くように凛が口を開いた。

「―――世界を救う……ってところかしら」
「はあ?」
「ちょっと、あなた何を言って」

 キュルケとロングビルが慌てたように詰め寄るが、凛はそれを片手を上げて制した。

「残念ながらこちらはまだまだ調査中なんで詳しい話はできないけど、事の次第は私たちの世界だけじゃなく、この世界にも関係することよ」
「それはどういう……」

 口元に笑みを浮かべたまま、しかし何処か硬い表情のカトレアを制するように、凛は顔を横に振った。

「だからまだ話すほどの情報がないの。今はあなたたちが一番気にしていたことの情報だけで満足しなさい」
「そうはいうけど、あなたの言ったことってつまり、まだどうするか決めていないってだけじゃない」
「あら? バレた?」

 カトレアの袖を握り締めたまま睨めつけてくるルイズを、凛は軽い調子で肩を竦めた。

「バレバレよ」
「そうね。でもまあ、そこまで心配しなくていいわよ。今のところあいつを無理矢理連れ帰るなんてことは思ってないから」

 責めるように凛を見る目をルイズはますます険しくする。
 今にも唸り声を上げそうなルイズの様子に、凛は手の平を顔の前でひらひらと振った。

「大丈夫よルイズ。この方は嘘は言っていないわ」
「でも、ちい姉さま……」

 落ち着かせるようにカトレアはルイズの肩にそっと手を置く。肩に置かれた手に自身の手を置きながら顔を上げるルイズに、カトレアは宥めるように笑顔を向けた。ルイズはそんな姉の笑顔と凛を何度も見比べた後、肩を落としながら溜め息を吐いた。

「ま、今話せる事はこれで全部って事で納得してもらえた所で、私はパーティーに戻らせてもらうから」
「なっ、ちょっと待ちなさいよ。そんなこれだけじゃ―――」

 ルイズが折れる姿を見た凛は、バルコニーの柵から背中を離しホールへと足を向けた。目の前を通り過ぎていく凛の姿に、慌てた調子で声を掛けるルイズ。

「あなたから聞いた話だけど、随分と端折っていたでしょ。なら、こちらも提供する情報は制限させてもらうわよ」
「ぐ―――それは、全部言えば時間が」
「それはこちらも同じこと。ま、暇な時にでも士郎の過去について教えてあげるから、そんなに拗ねないでよ」
「拗ねてなんかいないわよっ!!」

 パチリとウインクしてくる凛に、「うが~!!」と両手を突き立てて声を荒げるルイズ。
 そんなルイズにくるりと背中を向けた凛が、片手を上げホールへと歩いていく。

「はいはい。それじゃ、私は中に戻るわ。小腹も空いてきたところだし。じゃっ」
「あ―――待っ……」

 咄嗟に伸ばされる手は何も掴む事はなく、凛の姿は未だ喧騒が広がるホールへと消えていった。










「……結局なにもわからないまま、か」
「あ~……それは多分あたし達のせいかもしれないわね」
「どういう事?」

 肩を落としていたルイズが、聞こえてきた声に眉根を寄せながら顔を向ける。

「多分だけど、あの人(遠坂凛)はあなたとだけに話したい事があったのかもしれないわね」
「そうね。どうも話を逸らされた気がするし……それに……」
「あの方、何か隠しています」
「それって、どう―――」

 キュルケやロングビルだけでなく、カトレアも何らかの確信を持った顔をしているのを、ルイズは何処か釈然としない様子で見ていた。
 凛が消えた先のパーティー会場へとキュルケたちが顔を向けながら何やら話し合っており、ルイズがその中に加わろうと口を開こうとした時、

「あっ―――みなさん」

 ティファニアがバルコニーに現れた。
 パーティーのためドレスで身を飾ったティファニアは、女のルイズから見ても気圧される程の美しさだった。思わず溜め息をついていたルイズは、ふと、ティファニアが何やら挙動不信であることに気が付いた。
 何故かバルコニーから出たばかりというのに、ティファニアはパーティー会場に戻ろうとするかのような動きを見せている。

「テファじゃない。どうしたの?」
「あ、その……ちょっと人がいないところへ行こうとしていたら、リンさんがここなら人が来ないからって教えてくれて、それと―――」
「それと?」

 ティファニアが何やら躊躇うように口ごもるのを見て、ロングビルが先を促す。
 すると、ティファニアはちらちらとルイズを伺うように見た後、何やら決心したように一つ頷いた。

「リンさんにここを教えてもらった時なんですが、皆さんに―――と言うよりも、ルイズに伝えてくれと言われた事が……」

 決心したはいいが、やはり踏ん切りがつかないのか、ティファニアは頼るような視線をルイズの隣りに立つカトレアに向けた。

「大丈夫よテファちゃん」

 にっこりと微笑むカトレアに促され、ティファニアは改めてルイズに向き直る。

「……その、リンさんからルイズに伝言です」
「な、何よ」

 何やら不穏な空気を感じたルイズが、たじろぎながらもティファニアに対峙した。
 凛と相対するかのような様子で睨みつけてくるルイズの視線に怯えながら、ティファニアは勇気を振り絞り凛から伝えられた言葉をそのまま口にした。

「えっと―――『今度、拠点用の家を買うから、士郎を借りていくわよ』……だ、そうです」
「―――なっ! なによそれぇ~~~~ッ!!??」




 
 

 
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