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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN30





「………」

 俺は今、防護服を着ながらではあるがワシントン星域の主星ワシントンに降りたっている。偵察の結果、COREがいない事が分かってもし生存者がいるなら救出しようという事になった。

 周りの地面には人間だった肉の塊や骨があちこちに散乱していて、蝿や虻が一面に飛び交っている。

 それを同じく防護服を着た陸戦隊の隊員が火炎放射器で蝿や虻を攻撃して遺体を収容していく。

「……これは少なくとも十年は掛かりそうな予感やな……」

「長官、このままブライトハウスに向かおうと思うんですが……」

「分かった。俺も行こう」

 そう言って装甲車に乗ると隣に山下長官がいた。

「……酷い有り様だな」

「……そうですね」

 装甲車に揺れながら俺と山下長官は話し合う。




――ブライトハウス――

「此処も酷いな……」

 俺はレーザー小銃を持ちながら隊員と共にブライトハウスへ突入する。

「こいつは……」

 ブライトハウスのホールへ入ると大量の遺体があり、十字架に張り付けにさせられた遺体――クー・ロスチャの遺体が残酷やった。

 クーの遺体は四肢は全て切断されて、身体も上半身と下半身は分けられていた。多分あの映像の続きはこうなっていたんやろな……。

 ……ん?

「あれは……」

 その張り付けにされたクーの近くに女性が倒れていたが……あれはハンナ・ロック?

「おい……」

「……ぅ……」

 微かに動いた、生きているな。

「衛生兵を呼んでこいッ!! 生存者やッ!!」

 俺の叫びに隊員達はにわかにざわめきだして、衛生兵が駆け込んでくる。

「しっかりしろッ!!」

「……いやァァァァァァーーーッ!!」

 意識が覚醒したハンナ・ロックが叫び出してクーの方向へ向かおうとするのを止める。

「落ち着けッ!!」

「クーッ!! クーッ!! クゥゥゥーーーッ!!」

「ちぃ、済まんッ!!」

「ガハッ!?」

 俺はハンナ・ロックの腹を殴ってロックを気絶させる。

「急いで搬送やッ!!」

 気絶したロックを衛生兵が担架に乗せて搬送していく。

「狹霧、ブライトハウス内をくまなく捜索したが、生存者は発見出来なかった」

「……そうですか」

 山下長官からの報告に俺はそう頷いた。

「……行きましょう。ワシントン星域は遺体収容後は燃やさなければなりませんね」

「………」

 俺の言葉に山下長官は無言だった。そして俺は摩耶に帰還した。

「あ、狹霧長官。丁度いい時に……東郷長官から通信が来ています」

「通信パネルに繋げろ」

『やぁ狹霧』

「どうも長官。ワシントン星域ですが、生存者は今のところ若草会のハンナ・ロックのみです」

『……そうか。至急で悪いが南遣方面艦隊はハワイ星域に帰還をしてくれ』

「何かあったのですか?」

『USJ星域に偵察へ向かった無人偵察機がCOREの大艦隊らしき物体を捉えた。ドロシーの話では残存するCOREの全艦艇だ』

 ……来たか。

「しかし、帰還するにしてもアフリカから帰るんですか? USJ星域を通るにしてもCORE艦隊がいます」

『大丈夫だ。もうすぐセーラ女王率いるエイリス艦隊がワシントン星域に到着する。到着後は一旦セーラ女王に従ってくれ』

 ……エイリスのみが知るワープゲートを使うんやな。

「了解しました」

 その後、ロンメル元帥の艦隊の他にもマンシュタイン元帥の艦隊、イタリン艦隊、そしてセーラ女王率いるエイリス艦隊がワシントン星域に集結して秘密のワープゲートを使いハワイ星域に向かった。

 その頃、ハワイ星域には日本艦隊、亡命ガメリカ艦隊がCORE艦隊と戦闘していた。

「予想より早い戦闘だな」

 長門の艦橋で東郷長官はそう呟いた。

「駆逐艦梨撃沈ッ!! 巡洋艦千曲大破ッ!! 航行不能ッ!!」

 オペレーターが逐一、戦況を報告する。

「………」

 東郷長官は報告を聞きながら待った。何かを待っていた。

「第一艦隊の損耗率が五割になりましたッ!!」

「……間に合うか」

「ッ!? 後方から艦隊接近ッ!!」

 その時、CORE艦隊の一翼が妬き尽くされた。

「CORE艦隊の三十%余りを撃破ッ!! これは……ドクツ艦隊ですッ!! 更にエイリス、イタリン……南遣方面艦隊もいますッ!!」

「……来たか」

 報告を聞いた東郷長官はニヤリと笑った。されはまるで勝利を確信したかのようだった。



「全艦撃ちぃ方始めェッ!!」

 俺が叫ぶと南遣方面艦隊は一斉に砲撃を開始した。あっという間にCORE艦隊は被弾していく。

「キャシーッ!! 突撃準備やッ!!」

『よしッ!! 待ってたぜッ!!』

 通信相手のキャシーはニヤリと笑う。何せ、久しぶりの突撃やからな。

「CORE艦隊の駆逐艦隊の隊列が乱れましたッ!!」

 今がチャンスやッ!!

「キャシーッ!! 第四戦隊の後方に付けろッ!! 第四戦隊が護衛してやるッ!!」

『OKッ!! 死ぬなよユキカゼッ!!』

「当たり前やッ!! 第四戦隊突撃ィィィーーーッ!!」

 そして第四戦隊は単縦陣で隊列が乱れたCORE艦隊へ突撃を開始した。






 
 

 
後書き
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