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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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1.焼きノリ・味ノリ・その場のノリ

 
前書き
pixivで連載してましたが、使いづらくて移転してきました。
ご存じの方のは説明不要ですが、もしかしたら「私、初めてなの…優しくして♡」ってお人も居るかもしれないので、簡単に説明します。
トラブルメーカーリュカさんの冒険はここから始まります。 

 
磯の香りが漂う中目を覚ますと、そこには一人の男がいる。
「ん!おお、起きたか!よく眠れたかリュカ?昼前にはビスタ港に着くはずだ。順調にいけば夕方にはサンタローズに着く。2年ぶりの我が家だぞ!」
この男の名はパパス。この世界での俺の父親だ。
「うん!おはよう、お父さん!船って凄いよね!僕が眠っている間も、進んでるんだもんね!」
「そうだな。だが、船員の人達が頑張ってくれたからなんだぞ!後で皆さんにお礼を言って来なさい」
「うん!」
そう元気に答えると俺は船室に備え付いてある洗面台で顔を洗い、小走りで船室を出て行く。

俺の名前はリュカ。
前世でしがないサラリーマンだったが、何故かドラクエ5の世界に転生してきた。
正直ドラクエ5の事はあまり詳しくはない!
俺自身はプレイしてないのだ!
兄貴や友人のプレイを横で見ていたので多少の名称は覚えていただけで、ストーリーについては殆ど知らない!所々うろ覚えだ。
ま、何とかなんだろ!人生ノリが大事だよね!

まぁ、そんな訳でリュカとして生まれた時からの記憶が俺にはある!
普通あり得ないよね!
父さんが俺に『トンヌラ』という名前を付けようとした事もバッチリ覚えている!
あり得無くね!?『トンヌラ』って!
もう一つあり得ないのは、母マーサが攫われた瞬間だ!
母が俺に授乳をしようとオッパイをペロっと出した瞬間、紫のフリーザ様みたいな喋り方したのが出てきて攫ってった!
最悪ッスよ!
もう俺の中の千人の俺が「「授乳・授乳」」と、授乳コールの中俺のオッパイが連れ攫われました…
そりゃないだろ!
終わるまで待ってくれてもよくね?

そりゃ前にも2ヶ月付き合った彼女と、やっとヤれるであろう時に元彼が現れて「やっぱり俺、お前の事が忘れられない!」とか言ってホテル街へ攫われた事があるけど…
もうちょっと待てよ!どっちもさぁ!1回ぐらいいいじゃん!
まぁ、過去を嘆いても仕方がない!未来への希望を胸にノリで邁進しましょ!
それに、俺にはもの凄い武器があるのだ!
それを今からお見せしよう。

俺は小走りで食堂へ行き奥の厨房に入り料理人達に元気よく挨拶をする。
「皆さん、毎日美味しいご飯をありがとうございました。僕、皆さんの事と皆さんが作ってくれたご飯の事は忘れません!」
俺は満面の笑みで、一人一人の目をしっかりと見ながら挨拶をする。
すると…
「へへっ、俺もリュー坊の事、忘れねぇよ!ほら、これ持ってけ!」
と、リンゴを貰う。
「リュー坊は何でも旨い旨いって言てくれたからなぁ…作りがいがあったよ」
と、スイートパイを貰う。
「俺たちの料理が食えなくなっても、何でも残さず食うんだぞ!」
と、チョコを貰う。
等、色々な物を貰い厨房がら退出し甲板へ上がる俺。

そう、俺の武器とは天使の様に愛らしい顔である!
自分で言っちゃぁなんだが今の俺はかなりのイケメンだ!
今はまだ(可愛い) (愛らしい)で済むが、あと10年ほどすればジャニーズ事務所からお声がかかる位…いやハリウッドからお呼びが来るレベルのイケメンになるだろう。
これはもう、色々食い放題だね!
「初めては、一桁の時です」なんつったりして!

お馬鹿な妄想をフルスロットルでかましつつ、朝食代わりに貰った食べ物をたいらげると水平線の先に陸地が見えてきた。
それと同時に甲板の上が慌ただしくなる。
どうやらもうすぐ目的地に着く様だ。
そんな事を考えていると船長が声をかけてきた。
「坊や。もうすぐビスタ港に着くから、お父さんを呼んできなさい」
「はい!船長さん色々ありがとうございました。おかげでお家に帰る事ができます」
「私も坊やと一緒に旅が出来て楽しかったよ。こちらこそありがとう。さぁ、お父さんを呼んできなさい」
俺は、笑顔で頭を下げると踵を返し父の元へ向かった。

バンッと勢い良く戸を開けると
「お父さん!もう港へ付くって船長さんが呼んでるよ!」
「ほぉ、もう付くか…リュカ忘れ物は無いか?」
「うん!」
と元気よく答えた俺は、ひのきの棒と着替え等が入った小さなバッグを持ち父の後を追い甲板へ上がった。

もう既に水夫達が接舷の準備をしている最中だった。
準備が整うとこれから乗船する人が渡し板の上を通り乗り込んで来た。
恰幅のいい身形のきちんとした、いかにも「お金持ち」なおっさんが乗り込み、それに続いて黒髪のド派手な服着た女の子が「邪魔よ!退きなさいよ!」と、威嚇しつつ乗り込む。
続いて青い髪のお淑やかそうな女の子が乗り込………めないでいる。
どうやら渡し板と船との段差が大きすぎて超えられない様だ。
「おや、フローラにはこの段差は大きすぎるかな?」
等とほざいているおっさんを横目に俺は女の子に手を差し伸べる。
フローラと呼ばれた女の子は躊躇いがちに手を握ると、なんとか乗船してきた。
「坊や、どうもありがとう。ついでに、フローラを船室まで連れて行ってくれないかね?おじさんはまだ船長と話があるんでね」

俺はフローラの手を取りそのまま船室の方へと歩き出す。
「僕、リュカ。よろしくね」
フローラの瞳を見ながら、エンジェルスマイルで自己紹介をする。
「私はフローラ。さっきは、どうもありがとうリュカ」
頬を赤くしながら、か細い声でフローラが囁く。
「フローラはお父さんと一緒に旅をしているの?僕もお父さんと二人で旅をしていたんだ!」
「まぁ!そうなの?二人っきりなんて大変でしょう?次は何処へ向かうの?」
「全然大変じゃないよ!それに僕の家、サンタローズにあるんだ。2年ぶりに帰ってきたんだよ!」
「すごい!2年間も旅をしてきたの!?」
「うん!フローラは何処へ行ってきたの?」
急にフローラの顔から笑みが消え沈黙が訪れた。
俺はそのままフローラの手を引き船室へ入る。

俺と父が使用していた船室とは違い『豪華絢爛』の一言だ!
別に俺自身はあの船室でも不満はないが、さすが金持ち令嬢となるとランクが大幅に上がるらしい。
まぁ、もう降りる船の事はどうでもいい。
フローラを椅子に誘い正面で少し屈み顔を覗き込む。
別に俺はロリコンじゃぁない!
それでもフローラはかなりの美少女だと思うし、美少女は笑顔の方が断然いい!
それにフローラは将来絶対に美人になるだろう!
今のうちに媚びを売って俺のバラ色人生計画の為にフラグを立てる行動をした方がいいだろう。
だから俺はフローラの笑顔を少しでも取り戻す為に、お悩み相談員になろうと思う。
「どうしたの?何かイヤな事でもあったの?」



…まぁ簡単に言うとフローラは修道院に入るらしく、その下見の為にお父さんと一緒に旅行をしたらしい。親元を離れ、慣れ親しんだ家・街・友人と別れ、見知らぬ土地、見知らぬ人々と生活をしなければいけない事に不安を感じ、ひどく落ち込んでいたというのが今回のご相談者のお悩みです。
「うーん…そうだよねぇ…お父さん、お母さんと離れるのは寂しいよね」
「うん。リュカもお父さんとお母さんと離れ離れになるのはイヤでしょ?」
「僕、お母さんいないんだ!ずっと小さい時から」
「あ!ごめんなさい…」
フローラが泣きそうな顔をしたので、俺は殊更明るい笑顔で続けた。
「でもお父さんがいつも一緒だったから寂しくなかったよ!それに、旅先で色んな人達に出会う事が出来たから、すごく楽しかったんだ!」
「リュカは強いのね」
「そんな事無いよぉ。色んな人達に出会って色々なお話を聞けば、フローラも寂しくなくなるし楽しくなるよ!」
色々な人達から話を聞く事に興味があるらしくフローラの顔から少し陰りが消えていった。
「それに僕、フローラのお父さんに感謝してるんだ!」
「あら?何故?」
フローラは驚き訪ねてきた。
「だって、修道院の事を考えてくれなければ、僕フローラに会う事無かったもん!」
「え!」
フローラはかなり驚き俺を見詰めている。
「フローラは凄く可愛いから、出会えて本当に良かった!お父さんに感謝だよ!」
フローラは顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに俯いてしまった。
よっしゃ!これでフラグ立ったよね!
これで将来、劇的な再会を果たせば『キャッキャ!ウフフ!』は確実だよね!
等と脳内で千人の俺が、一大パレードを開催していると甲板の方から父さんが呼びかけてきた。
「おーい!リュカ!そろそろ行くぞー!」

「あ!じゃぁ僕、もう行くね!」
「うん!今日はありがとう!」
やっぱ美少女は笑顔に限るね。
俺は踵を返し出て行こうとしたが、立ち止まりバックの中から綺麗な鳥が描かれているワッペンを取り出しフローラにプレセントした。
「これ前に人からに貰った物だけど、僕と出会った事を忘れないで欲しいから、フローラにあげるね!」
「え!こんな綺麗な物貰っていいの?」
「うん!フローラは笑顔の方が可愛いから!もし悲しい事があったらそれを見て僕の事思い出してね」
「うん!ありがとう!私も何か記念にあげたいけど…何を渡せばいいか…」
別に物々交換をしたかった訳では無いのだが…将来再会した時用に渡しただけなんだけどね。

よし!ここは別れ際のギャグで取り纏めよう。
「じゃぁさ…フローラのパンツ頂戴!さっき船に乗り込む時に見えちゃったんだけど、すごく可愛かったから、アレが欲しいな」
顔を真っ赤にしながらスカートを押さえている。
さ!これで更に印象を強める事に成功したし、あまり父さんを待たせる訳にはいかないのでお暇しよう。
「わかったわ!ちょっとこっちを見ないでね!」
え!?
なんつった今!?

どうやら気配からすると、俺の背後でパンツを脱いでいるらしい!
え?なに?あり得ないから!?
どうしても物々交換じゃないといけない子なの?頭おかしいの?
「はい、どうぞ…」
恥ずかしそうに俯きながら俺にパンツを手渡す。
そして笑顔で俺に「また逢えるといいね」と言い残し、上の階へ上がっていった。
俺は軽いパニック状態の中、再度父に呼ばれ船室を後にする。
そして気付く。
パンツを手にしたまま父の元に赴くのはヤバイよね!
慌ててバックの中にパンツをしまい、混乱冷めやらぬ中船を降りた。



 
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