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『私とカッターナイフ』

作者:零那
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『境遇』



安心できる逃げ場は無かった。
家庭内に味方は1人も居ない。
血の繋がりが在っても無くても関係なかった。

学校でも味方は居なかった。
自我は強い。
それなりに虐められたりもした。

中学になると少しだけ変わった。
相変わらずの自我で周りとは巧くやれない。
いや、巧くやろうという概念すら無かった。

家庭内で起こる複雑な境遇によって変化が起きた。

『誰か気付いて』
『誰か助けて』
『誰か...』

そんな気持ちが大きくなった。
弱くなった。
気は強い方だったから、こんなに他人を欲した自分にビックリした。

校内に親友は出来た。
言ってしまいたいけど、なかなか言えなかった。
嫌われてしまうのが怖かった。
こんな風に思ったのは初めてだった。

でも、どうかこの子にだけは...
打ち明けた。
何も言わず肩を抱いてくれた。
凄く凄く温かかった。

学校に行けない日が続くと凄く心配してくれた。

『出来るだけ逃げて来い!!
いつでも電話しといで!!』

いつも励まされてた。

親友に打ち明けてからは学校が大好きになっていた。


 
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