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IS~夢を追い求める者~

作者:かやちゃ
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第1章:修正の始まり
  第7話「母親」

 
前書き
次回か次々回辺りに一気に展開が進みます。(予定では。)
というか、そろそろ原作に入らないと...!
 

 


       =桜side=



「―――...そっか。そういう事だったんだ...。」

  マドカちゃんにとりあえずこれまでの事を簡単に伝える。

「...ありがとうございます。」

「いいよ。俺だって、こんな世界は望んじゃいないしな。」

  お礼を言ってくるマドカちゃんに、俺は四季さん達を抑えながらそう返事する。

「...後は千冬ね...。」

「...千冬姉だけじゃありません。俺の幼馴染も...。」

  洗脳されている人は、後三人。千冬と秋十君の幼馴染である束の妹の箒ちゃんと、鳳鈴音(ファンリンイン)だな。他の人は別にいいと放置されているから洗脳を受けていないようだ。...助かったな。

「だけど、まずは俺たちが自由に動ける土台を作っておかなければなりません。」

「それで会社...という訳だね?」

  俺の言葉に続けるように四季さんがそう言う。

「はい。もう、設立する準備は整っています。後は、社員がいれば...。」

「それでここって事だね。」

  既に協力してくれると言っていたので、今からでも協力するのだろう。

「世界を変えるため、やるぞ。」

「オッケー!皆、いっくよー!」

  そう言って束が先行して外へと走っていく。いや、なんでだよ!?







   ―――...とまぁ、ぐだぐだだが会社を設立させた訳で...。









       ~数か月後~





「これはこうで、ここはこうして...ああもう!」

  事務処理なう。数が多すぎる...。いや、会社は繁盛してるんですけどね?

「少人数なのに活躍しすぎたか...。」

  テレビには俺たちが立ち上げた会社の事がまた紹介されている。

  突如現れた会社“ワールド・レボリューション”。世界を革命するかのように突然現れた俺たちの会社は、まずISの格納領域を利用した製品を販売して最初は地道に稼いだ。

  それからも地道に活躍すれば良かったのだろうが...なんと束がやらかして第三世代の量産機“夢想”を発明した事を会社として発表してしまったのだ。

「ぽっと出の会社が第三世代を発表だもんなぁ...。...ま、量産機と言っても今の世界じゃ、量産しづらいけどさ。」

  理論的には量産機だが、開発するのに今の世界じゃ費用が高くて難しいとのことだ。結局は量産機として各国に輸入された訳じゃないからよかったが...。

  あ、ちなみに発表したのは束本人ではなくて、世間上社長として存在している篠咲有栖(しのざきありす)(実際はそんな人物は存在せず、中身は束。)が発表した事になっている。

「....よし、終わり...!」

  一段落付けるぐらいには書類を片づけ、一息つく。

「ふぅ....。」

  この会社では今の所特に社長とかが決められていない。...近いうちに決めるんだけどね。だから、書類関係を俺がやってた。

     コンコン

「?どうぞー。」

  ドアをノックされたので、入室を許可する。

「束か。どうしたんだ?」

「えっと、さっき思ったんだけどさ...。」

  入ってきたのは束で、何か用があるみたいだ。

「なんだ?」

「...桃花(ももか)さんには、合わないの?」

「っ.....!」

  束の言う桃花...俺の母親の事だ。残念ながら、父親の方は俺が物心つく前に事故で亡くなっていたが、母さんはずっと俺を大事に育ててくれていた。

「桃花さん、さー君が事故に遭ってからずっと塞ぎこんでてさ...。」

「そう...か....。」

  話を聞けば、束が洗脳される前から抜け殻のようになってて、生きる最低限の事してしないようになってしまっているらしい。

「....行かなくちゃな。」

「さー君?」

  立ち上がり、そう言った俺に束が疑問の声を上げる。

「...今まで、散々心配をかけてしまったんだ。早く帰って安心させてやらなきゃ。」

「...そうだね。」

  どうして今まで家に帰ろうとしていなかったんだろうか。...とんだ親不孝者だな。

「ちょうど仕事も一段落ついたんだ。早速行くよ。」

「分かったよ。」

  さぁ、久しぶりに帰宅だ。









「.....懐かしいな....。」

  久しぶりに帰ってきた自宅の前で俺はそう呟く。体感時間では半年ぐらいしか経ってないが、実際は十年以上経っている。

「母さん....。」

  自宅の雰囲気は変わってしまっていた。玄関前にはごみ袋が大量に置いてあるし、心なしか家そのものがどんよりしている。

「さー君...。」

「...大丈夫。」

  心配でついてきた束が俺を心配する。そんな束に俺はそう返事しながらインターホンを鳴らした。

     ピンポーン

「.......。」

「.......。」

  ....出ない。出る気力もないのか...。

「母さん...。」

「...どうするの?」

「...どうするもなにも、家に帰ってきたんだ。やる事は一つさ。」

  玄関のドアに手を掛ける。...鍵は、かかっていない。

「―――ただいま。」

  扉を開け放ち、俺ははっきりとそう言った。

「.....静か、だね。」

「ああ....。」

  床も薄汚れてしまっている。ずっと、掃除していないのだろう。

「束、上がっていいよ。」

「...うん。」

  靴を脱ぎ、リビングへと向かう。多分、そこにいるのだろう。なんとなく、そう思えた。

「...母さん。」

「桃花さん...。」

  リビングに入り、ソファーに座っていた母さんに話しかける。

「...ぇ.....?」

  ゆっくりと、俺の方を振り返る母さん。

「っ....ただいま、母さん....!」

「さく....ら.....?」

  生命力そのものを失ってしまったかのような母さんに、俺はいてもたってもいられず、涙を流しながらそう言った。

「さく..ら...?本当に、桜なの...?」

「あぁ、ああ...!俺だよ..!母さんの息子、桜だよ...!」

  体に手を触れた瞬間に、母さんは相当弱っている事が分かってしまった。

「...よかった...また...あえ...た.....。」

「...母さん...?母さん!?」

  安心したのか、眠るようにソファーに倒れこんでしまう母さん。

「....さー君、まずいよ...!」

「っ....!」

  衰弱している。このままだと死んでしまうだろう。それだけは、何としても阻止しなくては...!

「束!何とかできないか!?」

「確か、さー君のために作っておいた治療ポッドを再開発しておいたから、それなら!」

  束に聞いてみると、俺を10年以上生かしたポッドが再開発されていたようだ。

「急ぐぞ!」

「うん!!」

  母さん...!せっかく再会できたんだから、死なないでくれよ...!





「身体の衰弱、栄養不足・運動不足による身体機能の低下...よくこれで生きてこられたな...。」

「ホントだよ...。間に合ってよかったぁ...。」

  何とか会社に連れてくることに成功し、母さんを緊急治療する。

「....外傷がメインのこの治療ポッドじゃ、これ以上は治せないよ。」

「衰弱は俺たちで何とかする...か。」

  母さんをポッドから出し、束とクロエに服などを任せる。

「桜さん、あの人は....。」

「俺の、母さんだよ。」

  秋十君とユーリちゃんが俺の所に来てそう聞いてきたので、簡潔に答える。

「ずっと、俺の帰りを待ってて、自分の体調管理もしてなかった...本当、バカな母さんだよ.....。」

「桜さん....。」

  涙が溢れてきて二人に心配される。....あんなになってまで俺の帰りを待っててくれたんだ..。あの母さんは...。

「....っ、俺らしくないな...。ちょっと、行ってくる。」

「行くって...どこにですか?」

「母さんのための食事だよ。衰弱してるからな、ちゃんと栄養を取らせないと。」

  そのための料理のレシピは頭に入っている。うん、大丈夫だ。





     コンコン

「入っていいか?」

「さー君?いいよー。」

  それからしばらくして、俺は母さんのいる部屋をノックしてから入る。

「....母さん。」

「桜....本当に、桜なのね....。」

「母さん....!」

  涙が溢れ、止まらなくなる。

「...どうして...どうしてこんなになるまで...!一歩遅かったら、死んでたかもしれないんだぞ!?」

「...ごめんね...桜....。」

「心配してたのは分かるけど、こっちまで心配させないでくれよ....!」

  母さんの寝ているベットに手を叩き付けながらそう言う。

「本当にごめんね...。...それと、帰ってきてくれて、ありがとう...。」

「っ....ぅううぅううう....!ぁああああぁああ...!!」

  涙腺が決壊する。弱々しくも撫でてくる母さんの手に、俺は居た堪れない気持ちで一杯だった。

「ごめん...!母さん...待たせて、ごめん...!」

「いいのよ...こうして、ちゃんとまた会えたんだから...。」

  誰にも邪魔されない中、俺は母さんに撫でられながらしばらく泣き続けた。





「....落ち着いたら、お腹が減ってきちゃったわね。」

「ぐすっ....恥ずかしい所見せてしまった...。」

  しばらくして泣き止んだが、黒歴史にしかならないと思う。

「......。<ニヤニヤ>」

「...あ゛。」

  しまった。この部屋には束がいるんだった...!

「....そぉい!!」

「ぬわっふぅ!!?さー君!?顔、顔を蹴るのはやめて!?」

  全力で顔にハイキックをお見舞いするが、躱される。...チッ。

「そのにやけた面、もしくは記憶をどうにかしたくてな...。大人しく蹴られろ!」

「さすがに束さんでもそれは嫌だよ!?って、戦闘態勢に入らないで!?」

  なんでよりによって束に見られたし...!

「...ふふ...相変わらず仲良しで安心したわ...。」

「....はぁ、束、絶対ここで見たことは誰にも言うなよ?」

  母さんの一言になんとなく蹴る気が失せた。

「うーん、どうしよっかなぁ~?」

     ヒュン!

「い・い・な?」

「はい....。」

  今度は手刀を顔ぎりぎりに繰り出して脅す。...さすがに俺が本気だと分かってくれたか。

「...まったく。」

「あれ?さー君どこ行くの?」

「ちょっと取ってくるものがあるから行ってくる。」

  一度部屋を出て、俺はさっき作っておいた食事を取りに行く。





「...はい、母さん。」

「あら?これ、桜が作ったの?」

「まあな。母さん、今は体が弱ってるんだから、早く回復できるようなレシピを選んだつもりだよ。」

  少し量が多めだが、今の母さんにはこれくらい食べてもらわないと困る。

「ちゃんと食べて、早く回復してくれよ。」

「あら、今度はどこに行くの?」

  また部屋を出て行こうとする俺に母さんはそう聞いてくる。

「...これ以上、ここにいたら色々と決壊しそうだからさ、ちょっと適当な作業をしてくる。」

  つまりはただの照れ隠し。一緒にいるだけでまた涙が溢れてくるだろうし。

「...母さん。」

「...?何かしら?」

「....ただいま。」

「ふふ...お帰りなさい。」

  その会話を最後に、俺は部屋を出て行った。





「はぁっ!」

「せやあっ!」

  秋十君が、最近は秋十君にべったりするようになったマドカちゃんと模擬戦しているのを横目に、俺は束の話していた。

「やっぱり、その内俺の名前を公開するのなら、母さんも会社に入れておいた方がいいと思うんだ。」

「それもそうだね...。一応、世間には事故死した扱いだったから、色々と騒ぎになるかもね。」

  俺の名前を公開するタイミングは、おそらく男性操縦者としてだろう。なら、余計に母さんをそのまま家に置いておくわけにはいかない。

「幸い、家は会社に近いからな。最悪護衛だけでもいい。」

「うん。...よし、じゃあ早速...。」





  色々と弄り、母さんはこの会社の社員となった。どうやら、俺が死んだことになってから職も失っていたらしい。

「社員になったのはいいけど、何をすればいいのかしら?」

「母さんは特に技術面とかで優れてる訳ではないからな...。でも、料理とかは上手いし、この際食堂のスタッフはどうかな?」

  ちなみに優れてないだけで普通にプログラムとか組める。

「...それもそうね。よーし、腕を振っちゃうわよ。」

「久しぶりの母さんの料理、楽しみにしてるよ。」

  自然と頬が緩む。楽しみだな。







 
 

 
後書き
今回はここまでです。料理関係の描写はありません。

ひっどい無理矢理展開だ。(自虐)...というか蛇足すぎますね。
正直、桜の母親の描写は必要ない気がしました。でも生きているんだから再会しとかないと...ね?
ちなみに桜は母親に弱いです。一つくらい桜に弱点がないとね。 
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