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恋姫†袁紹♂伝

作者:masa3214
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閑話―各陣営―

 
前書き
おまたせ。忘れられてそうな頃の更新なんだけど、いいかな? 

 
「あーもう……何故こんなことに」

 夜もふけた頃、執務室で頭を抱えている女性が一人居た。
 彼女の名は張勲、真名を七乃。

 袁家の先代当主袁逢から娘である袁術の教育と補佐、そして反袁紹派の懐柔を命じられていた。とりあえず出世することを目標にしていた張勲はそれを快諾、任をこなそうと思っていたが。その決意は主である袁術の可愛らしさの前に崩壊。
 誰よりも袁術の近くで共に在りたいという純粋な願いは、袁術と他者の関係を絶ち、彼女を独占し続けたいと思うほどに歪んでいた。

 そして張勲は―――実に有能だった。
 彼女が危惧したのは袁紹、袁家現当主にして袁術の実兄である。
 文武両道にして寛大、その先見の明は歴代随一とまで言われている。
 近況報告を兼ねて観察したが概ね噂通り――いや、それ以上に器の大きな人物に感じられた。
 張勲が望んでも手に入らない袁術との血のつながり、それに加え人たらしな雰囲気が鼻に付いた。

 もしも、もしもだが、張勲が袁術の補助に付く事無く、あのまま南皮で文官として働いていたらどうなったであろうか。袁紹の人となりや、その器を間近で感じ続けていたら――……今頃は文醜、顔良に次ぐ忠臣として、彼の側に立っていたかも知れない。

 もっとも、今となってはそんな気すら起きないが。

 

 閑話休題



 そんな張勲の心配は、袁紹が袁術を懐柔――もとい。袁術が袁紹に懐いてしまう事である。
 
 主である袁術は、物心ついた頃から反袁紹派の者達に囲まれて育った。そんな環境で成長すれば性格が歪むことは必須、それを良しとしなかった張勲は、反袁紹派達をなるべく袁術に近づけなかった。
 それが功を奏したのか、まだ幼いながらも袁術は純粋な少女に成長した。しかしあまりにも純粋培養しすぎた。
 そんな袁術が袁紹と対面したら何を思うだろうか、普段から袁紹を『怖い人』と刷り込んではいるが、この小さな主は勘が鋭い時がある。陽光のような袁紹の存在感を察し。今までの刷り込みが偽りだとばれてしまう。

 仮にばれなかったとしても、対面した時に袁紹が掛ける言葉で心を開くだろう。
 兄妹の初対面に張勲が口を挟むことなど出来るはずも無い。

 故に此処、荊州を袁術の籠とすることにした。
 主の実兄、袁紹の先見の明は異常である。幼少期から大陸の疲弊と、それに伴う飢餓や賊の発生を察知し。『棄鉄蒐草の計』なる大計略もやってみせた。
 これは張勲にとって喜ばしいことだった。袁紹が袁家当主として有能であればあるほど、反袁紹派を後回しにしてでもやらなければいけない事が多々ある――それを知ったからだ。

 ならばあとは簡単、表向きは味方であると見せて、あえて反袁紹派を存続させれば良い。
 身内達を気にして袁紹が強攻策にでない人物であることは知っている。反袁紹派の者達に適度に暴れてもらいそれを張勲が鎮圧、「仕事してますよー」と素知らぬ顔をし、最愛の主と悠々自適な楽しい生活を――送るはずだった。

 反袁紹派の厄介さは張勲の想像を遥かに越え、元当主である袁逢に同情を覚えるほどだ。
 各々が名家出身なだけに権力があり、堪え性の無い者達の集まりである。
 彼等は袁紹が活躍すればするほど不満を覚え、袁紹が情報をわざと流布させていたこともそれに拍車を掛けていた。
 
 とはいえ、不満があると言っても何が出来るわけでもない。
 諸侯から見れば袁術も強大な勢力だが、それも袁紹ありきの話し。自分達よりも強大な勢力に刃向かう度胸があるわけも無く、せいぜい裏で悪口を叩く程度だ。
 しかしそれだけでは気は晴れない。そんな彼らが何で鬱憤を晴らそうとするだろうか――……
 考えるまでも無かった。

 ある者は酒に、ある者は美食や散財、そしてある者は――民に手を出し始めた。

 これには流石の張勲も焦り、様々な方法で事態を収束させていた。
 もしもこれが袁紹の耳に入ったら――彼は関わってくるだろう。普段から民草の為にと動いている彼の事だ、反袁紹派の暴虐を見逃すわけが無い。
 故に、張勲はあの手この手でそれを有耶無耶にした。荒っぽい事はせず、迷惑料を支払うことで解決させていたのだ。
 彼女を知るものなら『らしくない』と思うかもしれない。
 張勲の非情は天然ものである。普段の彼女であれば迷わず効率的な『口封じ』をしていただろう。
 しかし出来ない、袁紹と敵対する気は無いのだから――……




 

 以前、袁紹の軍師である荀彧の間者を捕らえた事がある。
 袁紹に近況報告を兼ねた顔見せをした後の事だ。張勲としては巧く本性を隠せた心算だったが、荀彧が思いのほか有能なのか間者を送り込まれてしまった。
 そして運良く――否、運悪く捕らえてしまった。
 張勲は袁紹達と敵対する気は無い。そのために善政をしいて外面を繕ったのだから、むしろそれを袁紹達に報告して貰う事で疑惑を取り除いておきたかったが――時既に遅し。間者から荀彧の手の者と口を割らせてしまった。

「張勲様、始末終えました」

「そうですか、ご苦労様です」

 『始末』を命じた手の者の報告を作業的に流す。――隠語だ。
 張勲、もとい彼女の部下は間者の口封じなどしていない。

 確かに口を封じれば余計な情報の漏洩、反袁紹派の癇癪が袁紹等の耳に入ることを防げたかもしれない。しかし証拠は無くとも間者が行方不明になったとあっては、荀彧が黙っていないだろう。
 此方への監視が厳しくなり、反袁紹派の行き過ぎた『癇癪』が漏洩、袁紹がそれの解決に動き出す可能性もあった。
 故に、安易に間者を始末する訳には行かず。捕らえた三人の間者は南皮方面に開放されていた。

 では何故それを隠語で命じる必要があったか、それは―――

「どういう心算だ張勲!!」

 『コレ』に理由があった。

 執務室の扉を乱暴に開き入室したこの男、反袁紹派の一人である。

「騒がしいですねぇ……どういう心算とは?」

「何故わしの許可無く間者を始末したのだ!!」

「何故も何も、袁紹様に情報が漏れるのは皆様も望まれ――「そうでは無い!」」

 張勲の返答に食い気味で割り込み、血走った目で男は続けた。

「捕らえた女の間者は、わしに一任しろと言ったであろうが!」

「……」

 『コレ』である。名家の出として酒池肉林を思うままに堪能してきた反袁紹派の男達。
 彼らの中にまともな人格者は少なく、特に異常性癖の者達は厄介極まりなかった。

 金でどうにかなる美女に飽き、度々街に出向いては誘拐まがいの事件を起こし。
 こうして尋問と称し、間者にも手を出そうとしている。
 彼らに間者を預けるわけにはいかないだろう。それも袁紹に縁があるのだから尚更だ。

 ――とは言え、彼らを無下にすることも出来ない。
 彼ら無くして袁紹の介入は防げないのだから。

「実は醜女だったのです。ですから報告するまでも無いかなー……と」

「なんと醜女であったか、では用は無い。良くやったぞ張勲」

 嘘である。件の間者は美女では無いが平均的な容姿をしていた。十分この男の守備範囲内だ。

「見目麗しい間者を捕らえたら知らせよ」

「了解でーす」

 慣れた様子で笑顔を貼り付け返事すると、男は満足そうに執務室を後にした。

「では張勲様、自分もこれで……」

「あ、はーい。また何かあればお願いしますね」

「ハッ」

 待機していた部下にも労いの言葉を掛け、見送る。
 退室した扉を見ながら張勲は思う、『やはり誰も信用できない』――と。

 反袁紹派の者達はもとより、直属の家臣団もだ。
 直属、聞こえはいいが彼等は、ある利害の一致から付き従っているに過ぎない。
 もしその利害関係が無くなったら、あっさりと手のひらを返すだろう。

 もっとも、張勲にとって理解しがたい『忠』よりは。信用に値するが――……










「……はぁ」

 張勲の重い溜息と共に、話は現在へと戻る。

 まるで薄氷の上を歩くかの如く、危うい均衡状態を維持してきた張勲だが、それも最近は限界を感じていた。
 黄巾の乱の時である。飢餓、疫病、重税等々、様々な不満を募らせ爆発した民衆。
 袁紹達は時代の流れを読んでいたかの如く、『棄鉄蒐草の計』なる大計略を見事成功させた。

 それが不味かった。

 諸侯や漢王朝から見れば勝手な行動、反逆の兆しありという評価も、民衆からすれば正反対の物になる。
 無理も無い、重税を強いるだけで何も還元してこなかった王朝とは違い。袁紹は徳を持って大多数の人命を救ったのだ。その功績はすぐさま大陸各地を巡り、世間は袁家の話題で染められた。

 こうなると諸侯はもとより、漢王朝も苦言を呈し辛い。只でさえ王朝に対する不満は溜まっているのだ。民衆が支持する袁紹を批判し、さらに地に落とすわけにはいかないだろう。
 彼らに許されたことは、精々影で『棄鉄蒐草』と嗤う事だけであった。
 だが、それを良しとしない者達がこの荊州にいる。

 反袁紹派だ。かねてから目の仇にしている袁紹の活躍、評判、袁紹等が情報を拡散させていることにも拍車がかかり、嫌でも耳に入ることとなった。
 これに対し彼らの不満が爆発、功名心に逸り張勲を捲くし立てた。

 当然彼女は頭を抱えた。袁術軍は勢力としては大きいが、錬度が低い。黄巾討伐に乗り出しても大した功績は挙げられないだろう。張角の首級など夢のまた夢だ。
 故に孫呉の者達を利用した。彼女達の独立に対する願いと、それを可能に出来るだけの有能さを知っていた張勲は、狙い通り張角討伐の功績を横取りする事に成功した。

 この一件により反袁紹派の者達は沈静、彼らの功名心を満たすことに成功していた。

 そんな中また新たな一報が入る。その知らせとは『董卓』を、実質天子の次席である相国に据えたと言うもの。
 そしてそれに伴い、反董卓の風が漂い始めた。

 張勲は当初楽観視していた。自分達には余り関係が無いからだ。
 袁紹が連合に参加すれば袁術軍は召集されない。錬度の未熟さや、反袁紹派と言った不安材料を、わざわざ戦地に呼びはしないだろう。
 仮に袁紹が不参加を唱えたとしても、此方もそれに合わせ不参加と表明すれば良い。簡単な話しだった。

 しかし、反袁紹派は張勲の想定の範囲、それを軽く上回る厄介ごとを引き起こした。
 張勲の目を盗み袁術に接触、連合参加の文を署名させ、各地に届けだしたのだ。
 袁紹が参加の空気を醸し出すだけに留めたことを、恐れをなしていると解釈して……。
 
 これにより諸侯から、袁術軍の連合参加は確定的に見られている。前言撤回し、不参加にすることも出来るかもしれない。しかしその場合、袁術軍の名は地に落ち、不満を覚えた反袁紹派達は暴走するだろう。

 連合の参加は不回避、だが張勲の憂いはそれだけではない。

「恐れていた事になってしまいましたねぇ……」

 暗い表情でその文に目を通す、そこには――




 袁紹軍が正式に連合に参加すると記されていた。

 
 









「彼の策は裏目に出たようね、稟」

「はい」

 家臣から渡された文、袁紹軍の連合参加が記されているそれに目を通し、華琳は笑みを浮かべながら呟いた。
 先にその知らせを受けた郭嘉が反応し。肯定の返事をする。現在、陣営の主たる者達を集めた場所に居た。

「……なぁ秋蘭、何が裏に出たんだ?」

「『裏目』だ姉者。稟、説明を頼めるか?」

「承りました」

 今回の騒動、袁紹達は参加を仄めかすことで諸侯の動きを遅らせた。当初は旨く策が通じていたものの、袁術軍の連合参加表明を機に一変。諸侯や世間に連合参加は確定的と認識されてしまう。
 袁術軍が参加するのに、当主である袁紹が参加しないとは思えないのだから無理も無い。
 この空気の中、不参加を表明しようものなら袁家の名に大きな傷が付くだろう。袁紹には名族の長として、他に選択の余地がなかった。
        
 稟は丁寧に、わかりやすく説明した。

「な、なるほどなぁ……」

「はぇ~、大変なんですねー」

「今のを理解できたのか!? 季衣きい!!」

「はい! 袁紹さん達は、期待に応えなければならなくなったんですよね!!」

「概ねそんな感じです」

「やったぁ!」

「……」

 余り自分が理解出来なかったことを妹分である許緒―――季衣が理解していることに項垂れる春蘭。
 そんな姉の様子に秋蘭は、微笑みながらある事を促した。

「姉者」

「う、うむ……すごいぞ季衣!」

「春蘭様、ありがとう!!」

 尊敬する姉貴分に褒められ、許緒は益々気を良くする。その光景を微笑ましく見ていた秋蘭だったが、ふと、袖が引かれる感触がし、そちらに目をやると――

「秋蘭様……私も稟様の説明を理解できました」

 彼女の妹分である典韋――流琉るるが遠慮がちに声を掛けてきた。それを見た秋蘭は一瞬眼を丸くし、蕩けさせる。

「ああ、流石だな……流琉」

「あ……えへへ」

 期待する眼差しに応える様に彼女の頭に手を置き、最大限の愛情を持って撫でる。

 許緒の幼馴染である典韋は、活発な許緒に比べ落ち着きがあり、幼い見た目に反し聡明だ。
 稟の説明を十分に理解しただろう、それに対して秋蘭は疑うべくも無いが、それとこれとは話しが違う。大人びている故に忘れがちだが典韋もまだ子供なのだ。褒められてうれしくないはずがない。
 そして、それを理解しているからこそ秋蘭は優しく目を細め、娘を愛でる母親のような表情で頭を撫でた。

「……この流れ」

「乗るしかないの! 凪ちゃん!!」

「止めろ気色悪い」

「「ひどい!」」

「……」

 楽進、李典、于禁も交えた。温かい団欒の様な光景を見て郭嘉は思う。

 ―――我が主も変わった……と。

 華琳は規律を重んじる。以前の彼女であれば軍議の場に覇気をめぐらせ。無駄な発言を許しはしなかっただろう。
 それに比べ今のこの状況、彼女の覇気が緩んでいるわけではない。それどころか今も凜とした空気を張り詰めている。しかし、それは芯まで冷えるような氷ではなく、厳格な父親の近くで見守られているような温かいものだ。

 過度の緊張感は個人を萎縮させ、柔軟な発想や、それに伴う発言を潰してしまう。
 故に郭嘉は、主のこの変化を素直に喜んだ。

「稟、私達も連合に参加するわ! 通達と軍備を担当なさい!!」

「承知しました」

「春蘭と秋蘭は将として追従、貴方達の武名を天下に轟かせて!」

「「ハッ!!」」

「季衣と流琉は二人の補佐よ。副将として任、見事全うしてみせなさい」

「「はい!!」」

 家臣一人ひとりに指示を施し、最後に残った三人を見て華琳は思案する。
 
 連合に袁紹と自分が参加した時点で負けは無い。ならばこの戦は勝ち負けではなく、どう勝つかである。
 曹操軍は袁紹軍ほど世間に認知されていない。ならば――諸侯の目の前で刻み付ける!

「もちろん凪、真桜、沙和の三人にも働いてもらうわ。特に真桜、貴方は『アレ』の準備を」

「おおッ!? こないな大舞台でお披露目出来るんやろか!」

「順当に行けば……ね。泥水関と虎牢関の突破に役立つはずよ」

「よっしゃあ! 任しといて下さい!!」

「真桜、珍しくやる気だな」

「殆どの時間を『アレ』に使っているし、仕方ないの」

 泥水関、そして虎牢関突破の鍵になるであろう真桜の奮起。それを確認した華琳は、再び皆の顔を視界に収め宣言した。

「行くわよ皆! これが我が覇道の第一歩よ!!」












「袁紹軍に続き曹操軍も参加を表明……か」

「袁紹様が連合に否定的だった時は肝が冷えましたね~」

「ああ、だが亞莎あーしぇのおかげでその不安も無くなった」

「そそそそんな!? 勿体無いお言葉ですぅ!!」

 孫呉の屋敷、連合に参加する軍の目録に目を通していた周瑜と陸遜は。先の一件で袁紹を連合に参加させる策を考え付いた呂蒙――亞莎を褒めた。

「謙遜しなくても良いですよ~、この結果は十分誇れます」

「穏の言うとうりだ。私達には思いつかなかった策、見事だぞ亞莎」

「あ、ありがとうございます!!」

 独立のため、さらなる名誉を得るために、孫呉はこの連合で勝利を収める必要があった。
 そこに袁紹が連合に対して消極的な姿勢を見せ、彼女達は慌てた。諸侯が集まった連合は強大だろう。しかし、袁紹軍が敵に回っては苦しい戦いになる。
 何とか袁紹を連合に参加させようと周瑜と陸遜の両名は苦心していた。そこに、仕官して間もない呂蒙が策を進言したのだ。

『袁紹様達の策を、逆手に取りましょう!』

 彼女の大胆且つ堅実な策は功を奏した。

 反袁紹派の面々は張角の頸を挙げた功績に満足し、慢心していた。
 そこへ張勲の目を盗み接触、煽て上げ袁術軍の連合参加を説いたのだ。

 袁紹達が取った策、参加を匂わすことで諸侯の動きを遅らせるそれは効果が出すぎた。
 彼らの想定以上に民衆に認知されていたのだ。平民の出で民に理解のある呂蒙はそこに目をつけた。
 結果、袁術軍の参加表明と共に袁紹の参加も確定と認知。大陸中で認識される。こうなれば袁紹は名族として参加せざるを得ない。
 袁紹軍以上に、民衆を理解していた呂蒙独自の策であった。

「袁紹、曹操、そして我ら孫呉……穏、連合に参加する中で他に目ぼしい所はあるか?」

「あらら、袁術様の軍は蚊帳の外ですか~」

「ただの案山子だろう」

 周瑜の辛辣な言葉に陸遜は苦笑し、彼女の質問に答える。

「そうですね~、あとは幽州の公孫賛様くらいでしょうか」











「麗覇も華琳も連合……か、良し! 私達も連合軍に参加するぞ!!」

「うん! 困っている皆の為にも、悪い人をやっつけなくちゃだね!!」

 幽州にある太守の屋敷、その謁見の間に太守である白蓮と、彼女の援護を袁紹に任されていた劉備達が居た。

「待ちくたびれたのだ! ……ところで何で待っていたのだ?」

「董卓さんが本当に暴虐を行っていたのか、その確認のためです」

「つまり、董卓さんは悪い人かどうかわからなかったんだよ鈴々ちゃん」

「なるほどなー、朱里のせつめいはわかりやすいのだ! 雛里も見習うといいのだ!!」

「あ、あはは……」

 頭に大きな疑問符を浮かべていた張飛、そんな彼女に鳳統――雛里ひなりが答え、諸葛亮――朱里しゅりが噛み砕いて説明した。

「参加かるということは、真相がわかったのですか?」

「いや、わからん!」

 関羽が白蓮に疑問を投げかけると、彼女は何故かそれを自身ありげに否定した。
 そのあんまりな答えに関羽はずっこけながらも、目つきを変え、再び問いただそうとしたが――

 白蓮はそれを手で制し、口を開いた。

「れい……袁紹軍が参加するからだ、私はアイツを私塾で見てきた。名族としての体裁に拘るようで周りを重んじ、悪いことは見逃せないような奴なんだ。そなんあいつが連合に参加するってことは――」

「噂は本当なんだね!」

 食い気味に補足してきた劉備に頷く、それを確認した関羽も納得がいった様で後ろに下がった。

「準備ができしだい出発する! 目標は洛陽だ!!」







 こうして、数多の英傑が連合と言う名の一つの固まりとなり集結。泥水関で迎え撃とうと控える華雄を前に布陣した。

 
 

 
後書き
次話であの兄妹がついに対面!? 乞うご期待!!


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