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異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。

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どうやら彼女はお姫様であったらしい

 こうして僕はまずこの世界について聞くことにした。

「この世界についてまず教えてもらってもいいかな? レイアさん?」
「レイアでいいです。えっと、この世界の話でしたか……ちょっとお待ち下さい。地図があったはずですから」

 そう言って、彼女は少し離れた場所にある机に小さな足音を立てて走っていく。
 なびいた水色の髪がサラリと揺れる。
 ただ走っているだけなのに可愛く見えてしまうのは、多分気のせいじゃない。

「たしかここにあったはずだけれど、違ったかな」
「あ、えっと、地図無しで話せる範囲で構いませんが……」
「いえ、地図があった方が分かりやすいですから……ここに引き出しではなくて」

 そう言ってレイアが別の引き出しを探し始めた。
 その間僕は暇になってしまったので周りを見回す。
 女の子の部屋だなとは思ったけれど、側にあるベッドには淡い水色の布と白いレースの天蓋がかかっていたり、調度品は金で縁取られた硝子で細かな細工が施されていたりと、僕のイメージの中にあるお姫様の部屋のようにも見える。

 ただ、お姫様というとレースやら柔らかい布地でフリルの付いたドレスを来ていそうな気がするが、この少女はミニスカートである。
 お姫様がミニスカートなのも何かがおかしい気がしたので、きっとこの子は違うのだろうと思うことにした。
 そして女の子の部屋をジロジロ見たりするのも何となく変態っぽいような気がしたので、代わりに傍にあった窓に僕は近づく。

 この部屋の位置の関係があるのだろうけれど、空の青さしか見えない。
 この世界も空が蒼くて白い雲が浮かんでいるのでその点は安心できそうだ。
 そもそもこの部屋の作りも僕達の世界と馴染みが深いパーツで出来ているし、先ほど僕を召喚したらしいレイアという少女も僕と同い年くらいのちょっとだけ僕よりも背の低い少女だ。

 なので突然変なものを目にすることはないだろうと僕は思う。
 だから大丈夫と僕は心の中で繰り返しながら窓に近づき……そこで、窓から一望できる人々のオレンジ色の屋根の連なりが見えてすぐ側にはとても大きな建物の尖塔が見えるというか……。

「お城?」

 物語やテレビ、地理の教科書に乗っているような写真で見たことがありそうな白い大きな建物の一角がここであるようだった。
 何でお城のお女の子の部屋に呼び出されているのかと僕は、答えのでない問を繰り返す。と、

「どうかなさいましたか? 颯太」
「いや、ここって城なんだなって」
「はい、カンパニュラ城と呼ばれています」
「ちなみに一つ聞きたいのだけれど、レイヤってここのお姫様だったりするのかな?」

 一応は聞いておいたほうがいいかなと思って僕は聞いてみた。
 するとそこでレイアは紫色の瞳を瞬かせて、

「はい、そうですが……あ、自己紹介をしていませんでした。私はこのアルスワード王国の姫、レイア・アルスワードです。この度は私の旅に付き合うと言うわがままを聞いていただきありがとうございます」
「あ、えっと、お姫様……」
「……普通に接してはいただけないでしょうか」
「え?」
「立場上しかたがないこととはいえ、同性でも普通に友達のように話したり笑ったり出来ないことが多かったので、せめて異世界からいらした颯太には普通に接していただけないかと……駄目でしょうか」
「そ、それは構わないけれど……」

 僕はつい焦ってしまうというかしどろもどろになってしまう。
 だって上目遣いでこんな可愛くて綺麗な子に言われた、お願いを聞いてしまいたくなるというか……。
 一応小中高と共学だったので女の子に耐性はあるし話してもいたはずなのに何でレイアに言われると頷いてしまいたくなるんだろうと僕は心の中で疑問が膨らんでいく。

 けれどそんな僕にレイアはニコリと微笑み、

「ありがとうございます。ではまず、この世界について説明させて頂きますね」

 そう言って彼女が僕の前に丸まった紙を広げ始めたのだった。

 
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