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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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ドキドキ・リュウゼツランド 前編

シリルside

「プールだと?」
「わぁ!!」
「近くにあるの?」

みんなが祝勝会で盛り上がる中、エルザさんとウェンディ、ルーシィさんがレビィさんから言われた言葉に目を輝かせている。

「フィオーレ有数のサマーレジャースポット『リュウゼツランド』!!」
「行くしかねぇだろ!!」
「暑ぃもんな!!」
「楽しそうですしね!!」
「あいさー!!」

レビィさん、ナツさん、グレイさん、俺、ハッピーがそう言う。グレイさんは上半身裸だけどそれでも暑いのか?

「リュウゼツランドか・・・いいねぇ」
「せっかくだからみんなでいこうぜ!!」

腕組みしているマックスさんと拳を掲げるウォーレンさん。

「プールってことは水着だよね?」
「そりゃそうでしょ。下着で行く人なんている?」

キナナさんの問いにラキさんが答える。この前アカネビーチに行った時は水着でちょっとひと悶着あったけど、今回は―――

「お前はラッシュガード着てるんだぞ」
「ですよねぇ・・・」

俺の思考を読み取ったのか、エルザさんにそう釘を刺される。ま、エルザさんが近くにいる時だけ着ておいて別行動になったら知らないフリして脱げばいいや。だって泳ぎたいし。

「でもマスターに断らなくて大丈夫かな?」
「マスターならラクサスに連れ出されていったぞ」

ルーシィさんにエルザさんがそう答える。確かに今ここにはマスターもラクサスさんもいない。そういえば初代もいないなぁ・・・あれ?昨日とか初代っていたっけ?

「ラクサスとマスターが2人で!?」
「珍しいこともあるんですね」
「何をしているんだろうなぁ」

ルーシィさんたちの言う通り、確かにマスターとラクサスさんが2人だけでどこかに行くのは珍しい。とはいっても2人は血が繋がった家族なんだし、誰にも邪魔されずに話したいことぐらいあるのかもしれない。

「じっちゃんも出掛けてるならいいじゃねぇか!!早くいこうぜ!!」
「だな!!」

ナツさんとグレイさんはすでに泳ぐ気満々なようですぐにでもお店から走っていきそうになっている。

「そうだな。じゃあ、リュウゼツランドとやらに行こうか」
「「「「「「「「「「イェーイ!!」」」」」」」」」」

というわけで、俺たちはサマーレジャースポット『リュウゼツランド』にみんなで遊びに行くことになりました。























リュウゼツランドにて・・・

「やっとついたぁー!!」

グレーの海パンを履き、前にエルザさんからもらった(というか押し付けられた)虹色のボーダー柄のラッシュガードを着ている俺。俺たちはリュウゼツランドに着くと男女別々の更衣室へと向かい、水着に着替えてきたのだ。やっとというわけのは俺が男子更衣室に入ろうとしたら係員に女の子と間違えられて止められたからである。だけどグレイさんとガジルさんが一緒に説明してくれて無事に着替えることができた。ガジルさんも意外と優しいんだな、人は見た目によらないな。

「にしてもでけぇな」
「人もいっぱいいますね!!」

いつもとあまり変わり映えのしない上に海パンも以前と同じ水色のものを履いているグレイさん。理由は単純、上半身裸で過ごしていることが多いため。普通水着になると露出が増えるものだがグレイさんに限ってはそれは当てはまらない。だっていつも下しか履いてないもん。

「おぉ!!あっち見ろよ!!面白そうなもんがあんぞ!!」

そう言ってグレイさんと同じく海合宿の時と同じ赤い海パンを履いたナツさんはどこかに向かって走り出す。俺が見た感じここにはウォータースライダーもあるし波の出るプールもある。それにさっき案内板を見たら水族館も備え付けられているらしく水に関係するものがなんでもあるみたいだ。水の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)としてはワクワクが止まらない!!

「ったく、イカレてるぜ」

そう言ったのはガジルさん。ガジルさんは黒い膝元まである海パンを履き、腰に手を当て走っていくナツさんを見ている。おおはしゃぎのナツさんとは対称的になんだか面倒くさそうな顔をしている。のわりにはちゃっかり一緒に来るところがガジルさんのいいところだと思う。

「ついたぁー!!」
「広いですね!!」

俺たちがリュウゼツランドの大きさに感心していると後ろから聞き覚えのある女性と女の子の声がする。そこにいたのはピンクを主とした星柄のビキニを着ているルーシィさんと緑色と薄い黄色のチェック柄の海合宿とは違うビキニを身に纏うウェンディ、そしてこれまた前回とは違い黄色いビキニを着ているエルザさんだった

「ん、ん~!!気持ちいいなぁ」

エルザさんは大きく伸びをしながらそう言う。それにしてもルーシィさんもウェンディもエルザさんも新しいビキニを着てくるなんて・・・ありがとうございます。

「すごい!!夜なのにたくさん来てるのね」
「フィオーレでも有名らしいな、ここは」
「7年の間にこんなところが出来てたんですね!!」

3人はそう言いながら俺たちが集まっているところへと歩いてくる。するとその様子をミラさんと一緒に見ていたリサーナさんが素朴な疑問を呟く。

「エルザキズ大丈夫なの?」
「まぁ、エルザだし」

ミラさんはそんな疑問をエルザさんというだけで片付けてしまう。でも実際その通りだからなんとも言えない・・・

「お前も意外と回復力あるんだな、驚いたぜ」
「そうですか?」

グレイさんは俺の方を見ながらそう言う。俺とエルザさんは今日の競技パートでかなりの大ケガをしたけど、ウェンディたちのおかげで今はすっかり元気になっている。俺に至っては包帯も全て取れているぐらいだし。

「見ろよ!!」

俺たちがそんな話をしているとどこからかナツさんの声が聞こえてくるのでそちらを向く。そこには楽しそうにあるものに乗るナツさんがいた。

「水上機関車だ!!」

ナツさんが乗っているのはプールの上を走る機関車。すごく楽しそうではあるんだけど・・・あれって乗り物だよな?つまり・・・

ガタッ

「う・・・うぷっ・・・」

案の定ナツさんは水上機関車の上に突っ伏して真っ青になって吐き気と戦っている。ナツさん何考えてあれに乗ったのかな?

「なぜ乗った?」
「そして頼むからキラキラをプールにぶちまけないでくれ」

ドロイさんとジェットさんも同じことを考えたらしくそう言う。

「相変わらず後先考えねぇ奴だな、ったく」
「ナツさんらしくていいですけどね」

呆れたようにそういうグレイさんだが、俺と同じでらしくていいと思っているのか、少し口角が上がっている気がする。

「わざわざ露出度の高い水着で肌を危険に晒し、その上金銭まで取られ、人々というのは何を考えているのやら」

俺とグレイさんの後ろからそんな声が聞こえてくる。そこにいるのは水色のワンピース型の水着を着ているラキさんと黄緑色のビキニを着ているキナナさん。ラキさんがキナナさんにプールサイドでそんな話をしていたのだった。

「そう言うラキ、それ勝負水着じゃない?」
「男子を次々と捕獲し血の雨を降らせる優れものよ!!」
「訳わかんない・・・」

キナナさんの問いにセクシーなポーズを取るラキさん。意味不明な発言にキナナさんは苦笑いするしかなかった。

「つーか人々って・・・ラキも人じゃねぇか?」
「そこに突っ込んじゃいますか?」

あえて触れてなかったところをグレイさんか突っ込む。というかラキさん勝負水着はさすがに気合い入りすぎじゃね?

じーっ

「?」

俺とグレイさんが話していると妙な視線を感じる。どこからなのかわからず辺りをキョロキョロと見回していると、青色のよくわからない生き物の大きなモニュメントの影からこちらをじっと見ている人がいる。
グレイさんを顔を赤くしながら見つめ、俺の方をまるで親の仇みたいな表情で見ている人が・・・

「どうした?」
「いや・・・目が合ってはいけない人とあったような気がします・・・」
「?」

俺の異変に気づいたグレイさんがそう声をかけてくれたのでオブラートに包みながら返事をしてみたがグレイさんには意味が通じなかったらしい。
俺と目の合ったその人は海合宿では結局グレイさんに水着を見てもらえなかったからか、緊張している様子で中々こちらに近づいてくる気配がない。

「グレイさん、後ろ後ろ」
「は?」

俺はさすがに可哀想に思い、グレイさんにその人の方を向くように言う。その人とは言わずと知れたジュビアさん。俺はジュビアさんにウインクしてみせると、顔を赤くしたままうなずいたジュビアさんが全身像を覗かせる。
紫色を主とした水玉模様のビキニ、下はミニスカ風のものを着ているジュビアさん。きっと海合宿でグレイさんに見せたかったものなのだろう。以前とは少し変わった髪型のおかげでゆるふわ感が出ててより可愛らしさが溢れ出ている。今更だがリオンさんが一目惚れした気持ちがわかった気がする。俺は絶対ウェンディ派だけども。

「後ろがどうし・・・」

グレイさんが振り向くとある一点で視線が止まる。そこにいるのは体をモジモジとくねらせているジュビアさん。やっぱり恥ずかしさの方が上回っているのか、中々グレイさんに近づいてこない。
するとそれに見かねたのか、はたまたジュビアさんの水着姿に心が揺らいだのか、グレイさんがジュビアさんの方へと歩き出す。

「ジュビア、この水着・・・」
「は・・・はい/////」

なんか妙にいい雰囲気な2人・・・と思ったのも束の間、

「値札付いてんぞ?」
「えぇ!?」

グレイさんはジュビアさんの水着に付いている値札を指摘したかっただけのようだ。ジュビアさんは値札を取り忘れたのとグレイさんに水着を誉めてもらえなかったことがショックだったのか、orz状態でさめざめと泣いています。

「「「「「キャーー!!」」」」」

一方、指摘したことで満足したのか、グレイさんはどこかに向かって歩き出す・・・のはいいのだが、脱ぎ癖が発動したのか、唯一着ている海パンを脱ぎ捨ててしまっており、それを見た一般の女性客は悲鳴をあげていた。

「ジュビアさん、大丈夫ですか?」
「はぅぅ・・・」

俺はがっかりとしているジュビアさんに声をかける。ジュビアさんはいまだにショックを引きずっており、涙を流していた。
仕方ないので俺はジュビアさんの水着についている値札をジュビアさんの水流の斬撃(ウォータースライサー)の要領で切ってあげる。よし、これでオッケー。

「値札取れましたよ、ジュビアさん」
「ありがとう・・・シリルくん・・・」

ジュビアさんはまだ心のキズが回復できておらず、立ち上がることができない模様。仕方ない、無理矢理立たせるか。

「早くしないとグレイさんがルーシィさんのところに行っちゃいますよ」
「ドキンッ!!」

俺が耳元でそう呟くと、ジュビアさんはすぐさま立ち上がり辺りを見回す。本当はグレイさんはルーシィさんとはまるで別のところに向かっているけど、こう言っておけばジュビアさんは勝手に起きるということは前々から知っているからこうしてみた。ジュビアさんはグレイさんを見つけると、

「あ~ん!!待ってくださいグレイ様~!!」

両手を広げてグレイさんの方へと走っていた。プールサイドで走ると転びそうなものだが、水の魔導士だからかジュビアさんは悠々とグレイさんへと向かって駆けていく。後ろ姿だけを見ると1人で先に行ってしまう彼氏を追いかける甘えたな彼女のようなんだけど・・・実際はただの一方通行なんだよなぁ・・・

「グレイさんとジュビアさん、本当仲いいよね」
「どこをどう見たらそう見えるの!?」

いつの間にか隣に来ていたウェンディの言葉に驚きながら返す俺。男と女で見方が違うのだろうか?それとも俺とウェンディだけの間なのだろうか?疑問が残る。

「ところでさぁ、シリル」
「ん?」
「この水着、変じゃないかな?」

ウェンディは恥ずかしそうに体を回転させ、俺に水着を見せつける。海合宿の時はポニーテールで水着を着ていたが、今はサイドアップにしていてより可愛らしさが増している気がする。さらには水着自体も変化しており、チューブトップとミニスカのボトムだったものが俗に言う三角ビキニになっていた。
海合宿の時も可愛かったのにさらにその上をいっている。さすがウェンディ!!

「超絶可愛い!!」

ギュッ

あまりの愛らしさに俺は思わずハグしてしまう。

「ちょっ!!シリル/////」

ウェンディは俺に抱きつかれたことで顔をトマトのように赤くしている。その慌てたような声でようやく俺は正気に戻り、すぐに離れる。

「ご・・・ごめん!!/////」
「う・・・ううん。大丈夫/////ちょっと驚いただけだから」

俺もウェンディも顔を赤くしその場に立ち尽くす。いつもならここでセシリーやらシャルルやらが何か言ってくれて正気に戻るのだが、今は2人ともガジルさんやレビィさんたちと一緒に水族館に向かっている。当然ハッピーとリリーも向こうにいっているので誰も助けてくれない。
しばらく2人とも顔を赤くしたまま向かい合って立ち尽くしていると、ウェンディの後ろから聞き覚えのある声がする。

「ヒューヒュー!!2人ともお熱いですね(笑)」

その声の方を振り向くとそこにはオレンジ色の髪をボサボサに伸ばし、青の海パンを履いた少年が立っていた。

「ラウル君!!」
「ヤッホー!!」

レオンと昨日俺たちの飲み会に現れ、リオンさんとグレイさん、そしてジュビアさんの謎の二次会を作り出した原因の1人、ラウル君だった。

「どうしてここに?」
「ラウル君がいるってことはもしかして・・・」

俺とウェンディの質問にラウル君は大きくうなずく。

「うん!!レオンたちも来てるよ!!ほら!!」

ラウル君が指を指した方にいるのはレオン・・・ではなくなぜかグレイさんとジュビアさん。

「グレイ様!!あの『ラブラブスライダー』なるものに、一緒に乗りましょう!!」

ジュビアさんはハートの下で1人の天使にもう1人の天使がキスをする像のあるスライダーの方を指差しそう言う。

「なんだそのネーミングセンスは?」

グレイさんはあまりに直球すぎる名前に呆れたように言葉を漏らす。

「抱き合った形でのスライダーなんですって。ウフフフ」
「乗れるか!!」

恥ずかしそうにそう言うジュビアさんと怒鳴るグレイさん。するとジュビアさんの体が突然何者かの手によって持ち上げられる。

「ならば、俺が連れていってもいいってことだな?」
「リオンさ・・・ま?」

ジュビアさんをお姫様抱っこしたのはリオンさん・・・のようだが少し違う。髪型もいつもと反対に前髪が残っており、色も金色になっている。さらにはリオンさんのギルドマークはグレイさんと同じところにあるはずなのに反対の左胸に水色のギルドマークが入っている。
さらにはその身長も全然違う。リオンさんはグレイさんと同じか少し大きいくらいなのに、ジュビアさんをお姫様抱っこしているリオンさんはジュビアさんよりも見た感じ小さい。

「・・・お前・・・リオンじゃねぇよな?」
「バレたか」

グレイさんに突っ込まれて諦めたようなジュビアさんを下ろすのは髪型こそ違うけれど間違いなくレオン。レオンはオレンジの海パンを履いており、変装?を見破られたために髪の毛をバサバサと手で直しいつものボサボサヘアに戻る。リオンさんより小さく細身だから、見分けるのは簡単だとは思わなかったのかな?

「さすがジュビア。俺とレオンを一発で見分けるとは。というわけで」

すると今度はレオンの背後から現れたリオンさんがジュビアさんをお姫様抱っこし、

「あの『ラブラブスライダー』に乗ろうではないか!!」

リオンさんは『ラブラブスライダー』へとジュビアさんを連れていこうとする。

「というわけでって・・・え?」
「おめぇは何言ってやがるんだ!!」

リオンさんの雑な作戦に動揺の色を隠せないジュビアさんと仲間を連れていかれて怒るグレイさん。リオンさんとグレイさんはにらみ合ったまま『ラブラブスライダー』の乗り場へと向かっていく。レオンはそれに満足したのか、こちらに向かって歩いてくる。

「ウェンディ!!」

レオンの方を見て呆然としていた俺とウェンディ。するとその反対側からこれまた聞き覚えのある声が聞こえ、俺とウェンディ、そしてラウル君がそちらを向く。

「シェリア!!」

こちらに手を振り歩いてきたのは今日の最終試合でウェンディと戦い、お友達になったシェリアさん。シェリアさんは青とオレンジボーダー柄の三角ビキニに身を包んでいる。

「シェリアたちも来てたの?」
「うん!!」
「楽しそうだからみんなで来たんだよ!!」

ウェンディの問いにうなずくシェリアと楽しそうに答えるラウル君。

「今日はいい戦いだったね!ケガ大丈夫?」
「はい!!おかげさまで」
「また敬語になってる」
「あ・・・癖でつい・・・」

両手の人指し指をツンツンと合わせて照れるウェンディ。するとシェリアさんは俺の方を向く。

「今日の『伏魔殿(パンデモニウム)』すごかったよ!!シリル」
「ラウもシェリアもびっくりしちゃったよ!!」

シェリアさんとラウル君にそう言われ少し照れてしまう。自分でもあんなことできるなんて思ってなかったからびっくりしたんだよなぁ。

「それだったら俺も驚きましたよ。シェリアさんがまさか天空の滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)だったなんて」

俺がそう言うとシェリアさんも頭をかき照れたような反応をする。

「あの魔法ね、魔法学校を飛び級で卒業した時に評議院のグラン・ドマ議長から記念にもらった本に載ってたんだ。まさか議長もできると思ってなかったらしくてびっくりされちゃったの」
「「へぇ~!!」」

あげた本人がびっくりしてるんじゃ俺たちがびっくりしないわけないよな。それにしても自己回復ができるなんて便利な魔法だよなぁ。

「それとシリル、あたしのこと呼び捨てでいいよ!あとタメ口で」
「え?いいんですか?」
「うん!!だってあたしとウェンディが友達ってことはシリルも友達でしょ?だからだよ」

笑顔でそう言うシェリアさん。面と向かって友達って言われたことってほとんどないからなんか嬉しいな。

「ラウのこともラウルって呼んでいいよぉ」
「じゃあ俺もシリルって呼んでね」

ラウルもフレンドリーな性格らしく互いに呼び捨てにすることにした。

「じゃあ、ウェンディも俺のことレオンって呼んでよ」
「ひゃっ!!」

俺たちが話しているとその後ろから突然レオンが現れる。びっくりしたウェンディは思わず変な声をあげてしまった。

「もうレオン!!ウェンディを驚かせたらダメだよ!!」
「そんなつもりじゃなかったんだが・・・」

シェリアに注意されるレオン。レオンの方が年下みたいだからなのかなんか姉弟みたいな関係に見えてくる。

「レオンはいっつも周りのこと考えてないよね!!今日だって―――」
「はいはい悪かった悪かった」

なおも小言を言おうとするシェリアに適当に返事をしてその場を乗り切るレオン。仲がよろしいようで何よりです。

「まぁいいや。せっかくだからみんなで遊ぼ!!」
「「「「賛成!!」」」」

シェリアの提案に手を上げて賛同する俺たち。その近くに丁度スペースが広く空いているプールがあったのでそちらにいこうとすると・・・

「シェリアーーーーーー!!」
「ギクッ!!」

シェリアのことを呼ぶ声が聞こえシェリアを覗いた4人が後ろを振り返る。そこには銀髪の長い髪の毛をツインテールに束ね、ピンクのフリルの付いたビキニを着てこちらに走ってくるソフィアさんの姿があった。

「シェ・リ・ア!!」
「きゃっ!!」

こちらに全速力で走ってきたソフィアさんはシェリアに向かって飛び付こうとジャンプする。シェリアは入場の時にやられたセクハラ行為をされると思い身を屈める。が

「あっ!!ちょっとタンマ」

そう言うとソフィアさんは空中で体を半回転させ、

「ウェンディちゃ~ん!!」
「え?」

シェリアの隣にいたウェンディに飛び付く。

ギュッ

「きゃっ!!」

ウェンディに抱きついたソフィアさんは小さいながらもしっかりと女性らしさを感じさせるウェンディのお尻を触る。ウェンディはそれにより思わず声を出す。

「う~ん・・・やっぱりいいお尻~☆」

ソフィアさんはウェンディの柔らかそうなお尻をムニュムニュと触り、満足そうな顔をしている。

「あ・・・あの・・・ソフィアさん・・・」
「ソフィアって呼んで。その方が燃えるから」
「え・・・え?」

あまりの堂々としたセクハラぶりに動揺しているウェンディ。ソフィアさんはその表情を見てさらなる一手を繰り出す。

「フッ」
「ひゃあああっ!!」

ウェンディの耳に向かって息を吹き掛ける。ウェンディは驚いて逃げようとするがソフィアさんにお尻を捕まれており、逃げたくても逃げられない。

「やっぱりウェンディちゃんはウブで可愛いなぁ・・・ソフィアそういうの大好き!!」

ソフィアさんはさらにウェンディのお尻に指をまとわりつかせる。徐々に顔を赤くしていくウェンディが妙に色っぽくて俺は見とれてしまい、ソフィアさんを止めるのを忘れてしまう。

「止めなくていいのか?」
「ハッ!!」

レオンに言われてようやく正気を取り戻した俺は急いでウェンディの腰元を掴み、ソフィアさんと引き剥がす。

「し・・・シリル!!」

ウェンディは待ち望んだ救援に目をウルウルさせて喜んでいる。そんなに嫌だったのか、とても見とれてましたなんて言えないなこれ。

「ソフィアさん!!ウェンディにそういうことしな・・・」

そこまで言うとあることに気づいた。ソフィアさんの視線が俺に向いている。何か危険な匂いを感じたが時すでに遅し。

「シリルちゃ~ん!!」
「なああああっ!!」

ソフィアさんは俺に飛び付きお尻を揉んでくる。なんだこの人の手つきめっちゃやらしいんだけど!!

「さすがシリルちゃんいいおし・・・り?」

嬉しそうに触っていたのも束の間、ソフィアさんの手が突然止まる。

「どうしたの?」

シェリアがソフィアさんの手が止まった理由を訊ねる。ソフィアさんは手をまた少し動かし俺のお尻の感触を確かめ、首を傾げるということを数回繰り返す。揉まれるたびに声が出そうになってしまったのは恥ずかしいから内緒です。

「シリルちゃんってさぁ・・・男?女?」
「男ですけど・・・」
「ふ~ん」

性別を答えるとソフィアさんはまたお尻を揉みしだく。なんなんだよこの人!!

「シリルのお尻がどうかしたの?」
「いや~・・・なんというか・・・不思議な触感?がする」

シェリアの問いにソフィアさんは俺の方を向いたまま答える。

「不思議な触感って?」
「男の子みたいな感じもするし女の子みたいな感じもするんだよね、シリルちゃんのお尻」

レオンの問いにそう答えるソフィアさん。どういうことだ?

「普通女の子みたいな男の子でもお尻とかお胸とかは男の子の触り心地しかしないのに、シリルちゃんは女の子みたいな弾力もあるし男の子みたいな固さもあるの」
「つまりどういうことですか?」
「う~ん・・・1度で2度おいしい?」
「変態か!!」

思わず大声を出してしまう俺。というかなんでお尻触っただけでそんなことまでわかるんだよ、他人のお尻触りすぎなんじゃないのこの人!!

「でもシリルちゃんのこの不思議な触感もいいなぁ・・・手が離せないよ」
「いや離せよ!!」

頑なに俺のお尻を離そうとしないソフィアさん。くっ・・・ウェンディのお尻を触られるのも嫌だけど自分のが触られるのはもっと嫌だなこれ。
俺がどうやってソフィアさんにセクハラをやめさせようかと考えていると救いの女神・・・いや、天使が舞い降りる。

「ソフィアさん、シリルから手を離してください」

ウェンディは怒った顔でソフィアさんにそう言う。

「だ・か・ら!ソフィアって呼んでってば」
「バルザックさん!!」

ソフィアさんはおふざけモードでウェンディにそう言ったがウェンディに名字で呼ばれると動きを止める。
ソフィアさんはしばらく固まった後、俺のお尻から手を離す。

「ごめんなさいウェンディちゃ~ん!!」
「「「泣いた!?」」」

ウェンディに名字で呼ばれたことがそんなにショックだったのか、ソフィアさんは泣きながらウェンディの腰にしがみつく。
俺とシェリア、ラウルはその姿に驚いている。

「人が嫌がることはもうしませんか?」
「しない!!しないです!!」
「じゃあいいです」

ウェンディはそう言って怒った顔から一転、いつもの可愛らしい笑顔へと変わる。

「これからよろしくね、ソフィア」

天使のようなその笑顔を見たソフィアさんは・・・

「わ~い!!ウェンディちゃんマジ天使!!」
「きゃっ!!」

ウェンディに抱きつき、お尻に手を伸ばしていた。

「あいつのあれ、絶対直らないだろ?」
「そこがソフィアらしいと言えばソフィアらしいんだけどね」

レオンとシェリアも呆れ顔。その後しばらくはソフィアさんがウェンディをギュッとしていたが、最後は俺がソフィアさんを引き剥がしてその場は収まった。
でもソフィアさんの行動は見張っておかないといつ誰が抱きつかれるかわかったもんじゃないな。気を付けておこっと。







 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか?
1話で終わらせる予定があまりにアドリブ入れすぎて2話目に突入することになっちゃいました。
次回もよろしくお願いします。 
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