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転生とらぶる

作者:青竹
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Fate/stay night
  1113話

 目が覚め、恒例の朝。
 今日も今日とて、何故か凛はゾンビの如く歩いてきたのが、俺の顔を見るとどこかムッとした表情を浮かべてから台所へと向かい、10分以上が経ってようやくこっちに戻ってくる。
 昨日の赤いのとは違うけど、やっぱり今日も色々と微妙だ。
 いや、本当に何だって毎朝こんな風になるのかね?
 ともあれ、何とか復活した凛と朝食を済ませて学校へと向かう。
 その途中、前にも増して俺と凛に向けられてくる視線は強い。
 間違いなく、昨日のワカメとのやり取りが原因だろう。
 新市街という人の多い場所であれだけの事をやらかしたのだから、当然それを見ていた中には学校の生徒もいただろうし、そこから情報が広がったのだろう。
 ……って事は、ワカメの情けない様子も広がっているのか?
 あれだけ大勢の前で情けない姿を見せたのを思えば、色々と……それこそ尾ひれや背びれ、胸びれまでついて広がっていそうだな。
 そんな風に考えながら学校へと向かい、校門を潜る。

「っ! ……やっぱりね」

 忌々しげに呟く凛。
 その理由は、すぐに分かった。
 校門を潜った瞬間に、再びあの結界が展開されているのを感じ取ったのだ。

『どうやら1日……どころか、1晩あれば結界は復活させる事が出来るらしいな。あれだけ頑張った結果が殆ど意味ないってのは厄介だ』
『そうね。自動的に回復するのか、それとも昨夜私達が帰ってから改めて修復したのか。どちらにせよ厄介な事に違いはないわ』

 そんな風に念話で言葉を交わしながら校舎の中を歩いていると、後ろから走ってくる足音が聞こえてくる。
 ただし、敵意を感じる訳でもない以上……ああ、なるほど。

「よ、遠坂。アークも一緒か。昨日ぶりだけど仲がいいねぇ」

 凛の横に並びつつ、そう声を掛けてきたのは美綴。
 口元には笑みが浮かんでいるが……どことなく疲れた様子が見える。

「おはよう、美綴さん。昨日も言ったけど、アーク君とはそういう関係じゃないのよ?」
「ふふっ、校内に流れている噂だとそうじゃないみたいだけどな。何でも昨日は間桐――兄の方な――に街中で思い切り見せつけたって話じゃないか。それに、夜には2人きりで新婚夫婦のようにスーパーで買い物をしてたという目撃情報もあるぞ?」
「……さて、何のことでしょう? ただ、私とアーク君は同居している以上、一緒にスーパーに行ってもおかしくはないと思いますけど」

 そう言葉を返す凛に、美綴はしてやったりといった笑みを浮かべる。

「おやおや? 間桐の件は否定しないんだな」
「そちらは、美綴さんなら分かっていると思いますが?」
「ま、そうだね。……にしても、間桐か。昨日は私が部活に戻ったらいないと思ったら、いつの間にかサボってたんだな。結局遠坂にこっぴどく振られてから部活に来たんだけど、下級生……それも男に当たって大変だったよ。それでかなり激しい言い争いになってしまったけど」

 溜息を吐く美綴は、思い切り疲れきっているように見えた。
 それも、肉体的な疲労ではなく精神的な疲労。

「大丈夫か?」
「うん? ああ、大丈夫大丈夫。アークにも心配掛けてしまったな。ちょっと先に行ってるよ。少しゆっくりしたいしね」

 そう告げ、去って行く美綴。
 凛は何だかんだとそんな美綴を心配そうに見送っていた。

「あのワカメ、もっとへこませておくべきだったか」

 心配そうな凛の隣で呟くと、凛は難しい顔で首を横に振る。

「慎二はプライドだけは高いのよ。で、何か気に入らない事があると、自分より立場の弱い相手にそれをぶつけるの。……参ったわね。昨日は部活をサボってたのに、まさかあれから部活に行くとは思わなかったわ。弓道部には悪い事をしちゃったわね」
「けど、どのみちいつかははっきりとさせておかなきゃいけなかった事に変わりはないんだろ? ならその辺はしょうがないと……おい?」

 視界の中に入って来た光景に、思わず凛との会話を中断する。
 それを疑問に思ったのだろう。凛もまた、俺の視線を追い……思わずといった様子でその動きを止める。
 ……そう、視線の先にいる衛宮の姿を目にして。

「なぁ? 俺の見間違いか?」
「いえ、見間違いなんかじゃかないわ」

 俺の疑問に、感情を押し殺したような表情を浮かべて告げる凛。

『もしかして、セイバーが護衛をしているとか?』
『それもないわね。ランサーやライダーみたいに霊体化出来るならともかく、セイバーはあんたみたいに受肉してるし』

 聖杯戦争関係の事なので俺と凛が念話で話していると、やがて衛宮も俺達に気が付いたのだろう。笑みを浮かべて近づいてくる。
 ……そう。全くなんの警戒もなく。

「おはよう、遠坂。アークも」
「っ!?」

 更には、そんな風に朝の挨拶までもしてくる。
 凛としても、そんな衛宮の行動に息を呑み、次の瞬間には眦を吊り上げて目の前で呑気に笑っている男を睨み付ける。

「……行くわよ」

 だが結局、何を話すでもなくそのまま衛宮を無視し、俺を引き連れるようにして教室へと向かう。
 そんな俺達の背後では、衛宮が凛に無視されたのにどこかショックを受けたような表情を浮かべていた。

『凛、どうするんだ?』
『どうするって、決まってるでしょ? 聖杯戦争が始まっている時に、サーヴァントを連れずに1人だけでノコノコ出歩くような奴よ? 今日の放課後にでもとっとと退場して貰うわ』
『そこまで待たなくても、やるつもりならさっさと片付けるが?』
『駄目よ。幾ら衛宮君でも、アークエネミーに襲われたら令呪を使ってセイバーを召喚するかもしれない。もしそんな事になったら、下手をすれば昼間に皆の見ている前でサーヴァント同士が戦うのよ? さすがにそんな事態は避けたいわ』
『なるほど。……けど、それを言うのなら、元からそれを狙って衛宮は学校に来てたんじゃないか? 何かあっても令呪でセイバーを呼べるって。そう考えれば、衛宮の行動も決して考えなしって訳じゃ……』
『……そうね。確かに令呪が使いたい放題ならそれもいいでしょうね。けど、令呪は3回しか使えないのよ? それをこんな事で使うとか……普通の魔術師なら、ちょっと考えられないわね』
『けど、衛宮は普通の魔術師じゃないんだろ?』

 確か、衛宮の家で色々と説明した時に凛が聞いた話だと、魔術師としては色々な意味でチグハグな存在らしい。
 その辺を考えれば、寧ろ今の衛宮の行動は至極当然のものなのかもしれない。

『それでも、聖杯戦争の説明を受けてそれに参加すると納得したのに、サーヴァントを連れずに1人で学校に来るなんて……』
『向こうには向こうの考えがあるんだろうよ。……それで? どうするんだ? まさか、このまま見逃すなんて言わないよな? さっきも言ってたけど、やっぱり放課後か?』

 聖杯戦争の参加者が無防備に姿を現しているのだ。当然それを狙わないなんて事はないだろう。
 そして、凛もまた当然の如く俺の方を見て頷いてくる。
 ……その際に周囲が色々ざわついたが……うん、確かに他の人から見れば、目と目で会話しているようにしか見えないよな。
 凛もそれに気が付いたのだろう。薄らと頬を赤くして歩みを早める。

『とにかく、日中や昼休みは人の姿があるから攻撃を仕掛ける事は出来ないけど、放課後になってまだ学校に残っていれば確実に仕留めるわよ』

 それは逆に考えれば、放課後にさっさと帰るのなら見逃すって事なんだろうけど……まだ凛の中には衛宮を攻撃するのに躊躇いがあるのか?
 まぁ、その時は俺が手を下せばいいか。

『了解』

 短く返事をし、俺と凛はクラスへと向かう。
 ……尚、クラスに俺と凛が入った瞬間に以前に何度か会った色黒の女がこっちに来ようとしたが、近くにいた眼鏡を掛けた女によってあっさりと鎮圧されていた。
 うん、最初はてっきり敵か何かだと思ってたんだけど、実はあの色黒の女って単なるクラスメイトだったんだよな。
 しかも美綴程ではないにしろ、凛とはそれなりに仲がいい。
 その色黒の女とよくつるんでいるのが、今動きを止めた冷静そうな眼鏡の女と、その2人の間をオロオロとしている気の弱そうな女。

「おやおや、相変わらず遠坂夫婦は仲のいい事で」

 美綴が笑みを浮かべつつそう告げてくる。
 いや、相変わらずって……さっき廊下であったばかりだろうに。

「アーク君は私の家で同居してますから。一緒に登校するのは、そんなにおかしくないと思いますが?」
「そうかい?」
「ええ」

 うふふ。おほほ。そんな風に笑い声を上げながら会話を交わす凛と美綴だが、その背に竜と虎のイメージが浮かんだのは俺だけじゃないだろう。
 頼む、止めてくれ。
 そんな視線がクラス中から俺の方へと向けられる。
 いや、気持ちは分からなくもないんだけどな。俺だって火中の栗を拾うのは御免被る。
 それに俺がわざわざどうにかする必要もない。なぜなら……

「うん? どうした2人共。HRだぞ、席に着け」

 担任の葛木が姿を現した為だ。
 葛木の登場によって、2人の静かなる争いは自然と鎮火する。
 その後は特に何がある訳でもなく授業が進む。まぁ、休み時間の度に凛との件を聞かれるのは参ったが。
 特に男共からの嫉妬の視線が痛い。
 分からないでもないけどな。
 凛は学校でまさに高嶺の花、アイドルといった感じであり、俺はそんな凛と同居――嫉妬の視線を向けてくる奴等にしてみれば同棲――しているのだから。
 更にそれだけではない。美綴も当然ながらその凛とした雰囲気と整った顔立ちから男女問わず人気がある。
 そんな美綴とも凛経由でそれなりに仲のいい俺は、正に格好の嫉妬の的だろう。
 ともあれ、そんな風に時間が経過して放課後。

「さて……どうなると思う?」
「どうかしらね。少しでも危機感があれば真っ先に帰るでしょうけど……」

 冬の夕日が校舎内を照らす中、結界の起点を潰しながら、俺と凛は2人で廊下を歩く。
 こう表現すると何だか青春っぽい感じがするけど、実際に俺達がこれから行うのは聖杯戦争の殺し合い。とても青春なんて甘酢っぱいものではない。

「凛としてはどっちがいいんだ?」
「勿論残っていてくれた方がいいわよ? そうすれば造作もなく1人脱落だもの。……ほらね?」

 階段の下にいた存在に視線を向け、まるでネズミを見つけた猫の如く笑みを浮かべる。
 いや、実際に猫が笑みを浮かべるかどうかってのは分からないけどな。

「ああ、遠坂。アークも。こんな時間にどうしたんだ? まだ学校に何か用があったのか?」

 呑気に尋ねてくる衛宮だったが、その表情には危機感の1つも浮かんではいない。
 うん、確かに色々な意味で愉快な男だな。

「……ねぇ、衛宮君。次に会った時は私と貴方は敵同士。確かそう言っておいたわよね? 覚えてる?」
「ああ、勿論覚えてるぞ。けど、聖杯戦争ってのは人目につかないように夜に行われるんだろ? ならこうして俺達が話していてもいいんじゃないか?」
「1つ聞きたいけど、いいかしら? 今、この場には私とアークエネミーと衛宮君。この3人しかいないの。その辺はどう思う?」
「……え?」

 左手を魔術刻印とやらで輝かせながら尋ねる凛に、衛宮もようやく現在の状況が危険だと判断したのだろう。周囲をキョロキョロと見回し、次第に顔が引き攣っていく。

「と、遠坂?」
「あんたにフラフラされると、こっちの神経が保たないのよ。だから……衛宮君。何も殺すとは言わないわ。けど、聖杯戦争に参加した以上、腕の1本や2本は覚悟してるわよね?」

 ジリジリと後退る衛宮を見ながら、凛は魔術刻印の浮き上がっている左手を向け……

「ま、待て! 待ってくれ遠坂! 俺は遠坂と争う気は……」
「問答無用!」

 そう叫ぶと同時に、ガガガガガガガガッという音が聞こえてきた。
 音の正体は、凛の放つガンド。
 本来であれば相手を病気にするような魔術だそうだが、凛のガンドは1発1発がコンクリートを砕くだけの威力を有している。
 まさにガンド・マシンガンとでも呼ぶべき光景。
 もっとも、間一髪でそれを回避して逃げ切った衛宮も予想外に運動神経がいい。

『凛、手伝いは?』
『こんなヘッポコ相手に、いらないわよ! ……って言いたいけど、ここで下手に手を抜いて逃げられちゃ堪ったもんじゃないわ。お願い』

 へぇ。てっきり手を出すなとか言われるかと思ったけど……これが生き残りを懸けた戦争だってのを忘れてないようで何よりだ。

「なら、衛宮には退場して貰おうか」

 その場で地面を蹴り、衛宮の後を追いかけている凛を一気に追い抜き、そのままガンドの雨の中を縫うように通り過ぎ、一気に逃げている衛宮の後ろへと迫る。

「なっ! ズルいぞ遠坂!」

 そんな声が聞こえたが、残念ながらこれは戦争なんでな。凛に免じて命だけは奪わないでやるから、大人しく……

「腕を寄越せ!」

 そう告げ、手刀を衛宮の右肩向けて振り下ろそうとした、その時。

「セイバーッ!」

 衛宮の叫ぶ声と同時に令呪が光り、それを見て取った俺は反射的に後方へと跳躍する。
 その選択が正しかったことは、一瞬前まで俺のいた場所に見えない剣を振り下ろしているセイバーの姿を見れば明らかだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1183 
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