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『吐瀉物』

作者:零那
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『父と私』



思い出してる、今でも遠いあの日を。
貴男が居た、貴男と居た、貴男と在った確かな時間(トキ)を。

緊張で手を握ることさえ躊躇した私。
そんな私を、屈んで覗き込んで、優しく手を握ってくれた貴男。

いつもの登校で通い慣れた道さえ息苦しくなる。

逢いたくても逢えなかった。
話したくても話せなかった。
抱き締めて欲しくても叶わなかった。
そんな貴男が、今此処で私の手を握ってる。

此はもう奇跡としか言いようがなくて...
こんな幸せな、こんな温かな日が、確かに私にも在った...

貴男は今何処に居ますか?
貴男は今何処かで生きてますか?
いつか、抱き締めてくれますか?


 
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