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魔法少女リリカルなのは 世界を渡りあるく者

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問題児編 第1章 手紙に誘われ
  ギフトカードに写るのは

 
前書き
遅くなって申し訳ありません。今回はかなり悩んだ挙句ちゃんとできたか不安です。ちょっと難しい場面なんどもありますが、お許しください。

それから、今回はあまり関係ありませんが、この小説では基本的に蒼炎視点で書いています。それはすなわち蒼炎がみた風景が地の文に現れていて、それが正しいとは限らないということです。例外的に第三人称視点で描くこともありますが、その時は蒼炎のことを一人称で書いているのですぐにわかります。この時だけは全ての表現が実際に起こったことになってます 

 
空に舞っている羊皮紙を一瞥し、ルールを把握する。相手を殺すのがなしって明文されてようとなかろうと殺すつもりなんて毛頭なかったが、相手も同じ条件であるということに少しの安心を覚える

それから、惑星主権ってのがなんなのかわかんないが、同じ行に星からのバックアップを禁止って書いてあることから推測するに、魔法の使用禁止ってところか。そうなると複製が制限されるな。使えるのはアイアスの盾とエクスカリバーか。ゲイ・ボルグはダメだ。殺しが禁止な以上それに近づく行為はなるべくやりたくない。とすれば、純粋な広範囲殲滅によってノックダウンさせるのが効率いいか。幸いこっちは二人、片方が囮になればもう片方はそれに専念できる。それが無理でも相手に前衛と後衛に分かれてると思わせられればいい

初撃は相手の火球を全て飲み込み白夜叉がいた所に着弾した。しかしそれと同時に砂煙を上げられたので向こうの姿が見えない。俺はティアナと目を合わせ

[前に出る。援護を]

[了解です]

互いに頷き、俺は大地を蹴り前に突っ込んだ。さらに魔力を周囲に放つことによって

「そこだ!」

「むう!」

白夜叉の位置を掴み斬りかかる。だがその攻撃は向こうの持っていた扇子で防がれてしまった。刀を防ぐ扇子など見たことも聞いたこともないが、この世界ではあり得るのだろうと納得しておく。もっとも、今の俺は囮だ。相手の動きを止められれば十分!

「クロスファイア」

「ん!!?」

こちらも巻き込んでのクロスファイアーシュート。おそらくフレンドリーファイア覚悟の攻撃に戸惑ったのだろう、反応よりも先に半瞬だけ隙が出来た。そこを見逃さずに

「ロック!」

バインド、そのまま離れる。本当はこのままでもいいが、隠せるものは隠しておいたほうが後々有利になりそうだ

しかし俺がかけたインスタントバインドは簡単に破られ、全周囲防御の膜を張られてしまう。レストリクトロックほどの強度はないがそれでも力押しならばもう少しは抑えられると思ったんだがな。それにあの膜の強度、すごいな。ゼロエフェクト付きのクロスファイア食らってるのに揺るぎもしないか。となると直射砲系統だとディバイド・ゼロあたりの追加効果付きじゃないと抜けないな。俺が今まで見てきた守りの中で一番硬いな(アヴァロン除く)

でも俺の直接攻撃ならどうだ?どちらにせよここで俺が後ろに下がれば向こうからの攻撃にティアナを巻き込む。今の俺はセンターガードじゃない、フロントアタッカーだ。ならやることは一つ!

後ろにある空気を固め、それを足場に蹴って再び突っ込む

「ふっ!!!」

右でバリアを崩し、さらに一歩分前に進み左で斜めに斬り落とす。見事に命中したが、手応えがない

「ほうら。どこを攻撃しておるんじゃ?」

触れた瞬間にそれは霧散していた。比喩ではなく本当に消えたのだ。それと同時に未来線が見えた。頭上に振り下ろされる何かを両手でガードする

「蜃気楼か!」

「ご名答。ほれ、こんなのはどうかの?」

幻ではなく実在するものだから気がつけなかった。最初に打ち合わせたときは本物だろう。だとすればクロスファイア受ける瞬間に変わったのかよ。失態だな...。すまんティアナ!

「緋十字!」

<解析完了 視界情報に追加します>

ティアナの持つ緋十字が白夜叉という存在自体を解析する。細かなところまでは無理だったが表面でも十分。ティアナと繋がっているラインからどこに本物がいるかわかる。どちらか片方がわかっていれば自然にもう片方にも伝わるというのは便利だな

「む」

俺とティアナの攻撃が本物の白夜叉に続けて向けられたことにより、向こうもこちらが対応したことを理解したようだ。だが予想通りティアナの放ったただの直射砲と俺の放ったアイスカノン、ソニックカノンにディバインバスターまで防御されてしまう。単純な威力不足、これでは誘導弾が意味をなさない。そもそも俺たちは遠距離から瞬間的に高火力を出すということに関しては専門ではない。どちらにせよ溜めがいるのだ。とすれば、勝つために取る方法は自然と限られてくる

[ティアナ。スターライトのチャージを。俺は前に突っ込んで可能な限り敵を引きつける]

[いえ、私が突っ込みます]

しかし、珍しくティアナは俺の意見に対して頷かなかった

[もしかしたら向こうはスターライトすらも無効化するかもしれない。リアクトが使えない以上私の最大火力はスターライト止まりです。でも貴方なら約束された勝利の剣を用いてもいいしファイナルブレイカーでもおそらく破れます。広範囲殲滅攻撃に巻き込まれたとしても、私の病化特性を使えばダメージを受けることはありません。これが、命を削らない場合の最善策だと私は思います]

なるほど、ティアナの言うことは一理ある。確かにティアナのスターライトはなのはのそれに比べて威力が大幅に劣る。といっても、彼女は先天的に魔力収束を高い領域で行える。それこそ待機中に散らばった未使用の魔力だけでなく使用済みの魔力まで自分他人問わず集められるし、速度も桁違い。それと比べるのもどうかと思うが、これは事実だ。もちろん収束魔法は威力が他の攻撃魔法に比べてかなり高い。だから普通なら十分止めの一撃になり得る。がしかし、向こうの防御力は桁違いだ。ティアナのスターライトでも破れるかどうかの確信は持てない。もちろん、俺のが届くという保障もないが

あれ?ここまで考えてようやく気がついた。この状況可笑しくないか?俺はティアナに確認することにした

[ティアナ。最初に白夜叉を見た時そこまで脅威を感じなかったよな?少なくとも全力で挑めば勝てる相手だった]

[?はい。それは今でも変わらないんじゃ?]

だよな。やっぱりそう思うよな

[俺の目に狂いがないとすればこの状況はおかしい。だって、ここまでの防御は原典のアイアス並、すなわち神話レベルってことだ]

以前、手から離して空中に設置したアイアスはなのはにいとも容易く破られたが、そうでない場合、直接手で支えて真名解放した場合は直射砲程度であれば受け止めるのは余裕だ

[いいか、間違いなく白夜叉の力は制限されてる。それはあいつの中に内在している力とオーラの格が釣り合ってないことから明確だ]

体、というよりも精神系に内在している力と外から見える、威圧感というかオーラのような物は比例関係にある。内在する力が多ければ多いほど威圧感が増していく。威圧感をどうやって測るか、というのは個々人によって異なる。俺は小精霊たちがその人をどれだけ避けているかを基準にしている。そういうものが多ければ多いほど精霊たちはその人を避ける傾向がある。かく言う俺もずっと前に闇精霊使いと全力で戦ったとき精霊たちを一言で引かせられたしな。彼らは力が強いものに対して逆らうことができないという性質を持っているからな

閑話休題

[で、だ。確かに出力制限は入ってるんだろう。一撃一撃がそこまで強くないことからそこは伺える。でも、あの防御膜。あれだけ硬いとすれば常時張っているのにはかなりの魔力、ないしそれに近いものを消費していなきゃ可笑しいんだ。そして、高威力なものを受け止めれば受け止めるほど維持魔力は増えていく。そしたら幾ら何でもそろそろ息の一つも上がってておかしくないと思う]

[でも白夜叉さんは生き生きしてますよ?]

[ああ。俺から見ても向こうは余裕そうだ。とすれば、どこからか力の供給を受けているか。あるいは]

[一定条件下の一時的な強化?]

一番確率が高いのはこの世界自体にギミックがあるということ。よく思い出せ、この世界を展開して確認した時あいつはなんて言った。俺の"この世界は白夜叉のことを示しているのか"という質問に対して向こうは満点をくれた。白夜と夜叉の性質を司る星霊と俺は言った、だがよく考えてみればこの世界のどこに夜叉の性質が現れている?これの風景が白夜叉の真の根源だとしたら、夜叉の性質は後付けということになる。とすれば、残る性質は太陽だけ...

考察を続け、さらに深いところまで見抜こうとするが

「っ、きます!」

「考え事をする暇なぞ与えんぞ!」

白夜叉がさらに数多の火球をこちらに飛ばしてくる。さらには炎熱レーザーも交えてきた。火球はガトリングのごとくこちらに迫ってきている。魔法で防御する時間はない。ならば

複製(コピー)入手(ゲット)!」

ティアナは俺の後影に隠れ、身構えている。ティアナ自身の防御魔法もあるが、なにも相手に見せるリスクを冒すまでもないだろう。なにせこれから呼び出すのは絶対防御の盾なのだから

熾天覆う七つの円環(ローアイアス)!」

目の前に七つの花弁、それら一つ一つが絶対防御を誇る盾である。生半可な攻撃ではこの盾を超えることは許されない

しかし向こうもこの盾を一目見ただけで性質を理解したのだろう。あるいは、以前見たことがあるのだろうか。数を増やすのではなく一個一個の威力をあげて突破しようとしてくる。耐えきれず砕け散る花弁は一枚、二枚と増えていき、しばらく経てば六枚とも割られ残るはラスト一枚。しかし、この一枚は残り六枚を重ねてたとしても及ばないほどの防御力を誇る。とすれば連射できるような攻撃で割ることが出来ないのは自明の理。ついに拮抗、お互い半透明の盾越しではあるが睨み合う

「「........」」

無言の時間がただ過ぎて行き、火球が盾に弾かれる音だけが空間に響く中白夜叉はぽつりと

「興醒めだの」

「お主の言は赤子の戯言ではないと思わせるだけの雰囲気があったように見えたのだが、それも勘違いだったようじゃの」

いつしか火球は止み、白夜叉は無機質な目でこちらを空から見下ろしていた

その目の奥に、なにか違和感を感じ取り

「だから、ここらで幕を退くとしよう」

空気が、否世界が揺れた

「!?消去(デリート)!」

アイアスを消し、姿勢を低くして衝撃に備える。白夜叉の周りをよく観察すると、このゲーム盤から魔力供給のラインが白夜叉に繋がってるのが今は見える。そして、白夜叉の手の中に今までの比にならない位の質量が生み出されていた。それをみて、俺は悟る

「白夜、決して太陽が落ちぬ場所。太陽が循環し続けることから派生して魔力を循環、無限に等しいエネルギーを補給。そして不死性を得るのか!」

そして、いまあいつの手のひらに作られているのはサイズと規模はとてつもなく小さいが太陽だろう。それでも、致命傷レベルのダメージを負うし、なにより後ろにいるあいつらが危ない

だが、これを防ぐ手立てを俺は2つしか知らない

一つはティアナの病化特性。本来彼女の病化特性はあくまで体の近くで発生するゼロエフェクトの強化。硬化とは違った防御特性だった。しかし今は、仮にティアナが完全な状態であれば一種の概念防御となし、ほぼ全ての攻撃を"無効化する"という概念を体の周りに押し付ける。これであればあの太陽であっても防げるだろう。しかしこれはティアナ1人にしか適応されないため、たとえ今使えても解決策にはならない

2つ目はアルトリアの鞘、全て遠き理想郷(アヴァロン)の真名解放、持ち主を妖精郷に避難させ外界からの干渉を遮断する能力により回避。あれはたとえ太陽であっても侵すことのできない絶対領域。干渉できるのはマジモンの創造主位だろう。しかしそれも今は無意味。貸出許可を得ていたとしてもこのゲームの中で俺は英霊の座にアクセスできない。あれは魔法ーー惑星主権があってこその奇跡だし、たとえ使えても結局1人しか守れないのなら意味がない


防御じゃダメだ。全員を守れるほどのものを作ることはできない。避けるのもダメ、見殺しにするのは気がひける。まあもっとも最悪俺とティアナだけでも避難だ。この世界から位相をずらせば当たることはない

とここまで考えたところで一つの案が浮かぶ。しかし、それは俺にとっても諸刃の剣。あの日、ティアナと誓ったときから封印してきたものを解き放つこと

どうする。でも、この手以外に思いつかない。なら、やるしかない、もとより俺が蒔いた種だ。たとえ赤の他人でも巻き込んで死なすわけにはいかない

俺は右手で左腕を力を込めて掴む。怖い、足が震えてる,なにが怖い?ーーここからいなくなるかもしれないのが怖い

もう以前のようには使えない。でも、やるしかない。俺は覚悟を決めるために目を閉じると、後ろに暖かい温度を感じた

「大丈夫。あなたはここにいる。私があなたを抱き止めます。いつだって、これからも」

ディアナが後ろから俺を抱きしめる。人の温もりを感じて、俺という存在が確立された。自然と力は抜け、思考は落ち着いてきた

「ああ、そうだな」

「覚悟は出来たか?ならば」

穏やかな気持ちで視線を上げると白夜叉がこちらに圧縮太陽を放ってきた。あれは核融合と同じことが起きている。仮にそのエネルギーが全て解き放たれたらここはなにも残りはしないだろう。だが、それよりも先にあれは奇跡によって編み出されている。そして奇跡とはいつだって不安定なもの。あやふやでどっちつかず、観ている人によって解釈が変わるもの。境界線上を進んでるようなものだ。そして、俺の本質はそれを操ること。あやふやなものを存在(1)にするか(0)にするかを決めること...

ならば、この程度なんの問題もあるわけがない。これ以上の危機なぞとうの昔に越えてきた

「幻は幻に。観測者なき真実は幻想となる」

左手を右から左に振るう。ただそれだけで擬似太陽は消え、空間に渦巻いていた魔力の奔流は正常に戻り、騒々しかった空気はいきなり無音になる

「なに!?」

アンタ(・・・)、見下しすぎなのよ!」

<ディバイド・ゼロ エクリプス>

同時に白夜叉の後ろに飛んだティアナはゼロ距離でゼロエクリプスを使用。だが、白夜叉もうまく動揺を押さえつけ、寸前で防御に全エネルギーを回したようだが、完全相殺はできなかったようで煙から出てきたその姿には傷が浮かび、表情から先ほどの余裕が消え去った

ただ、その傷も数秒経ったらほとんどふさがっている。やはりこの空間をどうにかしなきゃいけないな

「ティアナ!盤を開く。追撃10秒!!」

「了解!」

白夜叉が出来たことがおれに出来ないはずは無い。カケラーー即ちゲーム盤を用いてこの世界を上書きする。向こうもこちらの意図を理解し俺を妨害しようとするが、ティアナがそれを許さない。エクリプスをちらつかせるだけで向こうは防御に全力をまわす必要がある。そうしなければこちらを妨害できても自分が落ちると分かっているらしい。ようは

「油断大敵...だ」

俺たちを前に油断したのが早計だったなってことだ

「開け!」

叫ぶと同時に開いた左手に青い結晶が現れ、閃光を放つ



光が収まった後、白夜の世界はなに一つ無い夜の砂漠に変わっていた

「くっ。いつから気がついておった」

白夜叉が苦虫を潰した様な顔をしながら問いかけてくる

「中盤あたりで、消費魔力量から考えられる総魔力量と最初に感じたオーラが一致してなかった。だから、なにかしらの条件下で強化されるのだろうと考えたときに、その世界が本当に貴方の原風景、もしくは存在を表すのならあのゲーム盤自体をどうにかすれば解決できるかって考えた。そしたらさっきの疑似太陽、あれ生成するのにずいぶんと魔力が必要だった様だな。供給ラインが見えたから確信を持てたんだ」

説明している間にティアナが俺の横に戻ってきた。その顔には疲れが浮かんでいるが目は大丈夫と訴えている。それを横目で確認して、視線を白夜叉に戻す。向こうは扇子で口元を隠し、いきなりパシッと閉じてゆっくり頷いた

「なるほど。我ながら焦ったということかの。それにしてもあれは防がれることを期待して放ったが、まさかゲーム盤を変えられるとは。すまない、訂正しよう。そなた達は強い。少なくともこの状況、条件では勝つことはできないと思うほどには」

白夜叉の言葉は完全上から目線だったが、それに対して俺たちは文句を言えなかった。事実そうだ。悔しいが、今回の殺しなしという条件は俺たち以上に白夜叉を縛っていた。最後の疑似太陽、あれは俺でもーーティアナがいる限りないがーー消えることを覚悟して挑まなきゃいけない。それを防がれるのを期待してというのなら、最大火力はもっと凄まじいものなのだろう。そして、あれだけのものを制御して放てるのなら今まで防御してきた攻撃など子供の戯れに等しいものなのだろう、少なくとも向こうからしてみれば。あれ以上のものを無限に放つことはできたはず、それをしなかったのは単に俺たちが耐えられないと踏んだのだろう。単発なら耐えられる、十でも白だって耐えてみせよう。だがそれが千、あるいは万、もっともっと無限に続いたらどうだ?確実に防げるといえるか?それこそ絨毯爆撃のようにやられたら、いつかは果てるだろう。だからこそ、向こうはできなかった。そしてあの疑似太陽、見た目こそ派手だが内包してある神秘はそれ程でもない。勿論、宝具で言えばA+レベルの威力はあるが、それまで。手加減に手加減を重ねられたということだ。それが、今はとてつもなく悔しい。久しぶりだ、こんなことは。歯がギリッとなるまで強く噛みしめる。握った手のひらには爪が食い込み、今にも血が出そうになっている。なにより悔しいのは途中で弱気になり、覚悟を決めて相殺した攻撃が相手にとってそれほどのものでもないということ

ん、まてよ

「じゃあ、さっきの動揺も演技ってことか」

そうであれば、俺はとんでもない道化だ。いっそ笑いたくなる

「いんや。その力の本質を分かったときに、恐怖したよ。そなた、よくここにいるな」

ああ、なるほど。よかった、防ぎ方が予想外だったってことか。荒れていた思考も多少マシになるが、いまだ悔しさは晴れない

「さて、このままリザインしてもいいがひとつ試したいことがあってな」

そう言って、白夜叉は全身の力を抜き

















次の瞬間、右の視界が白い何かで埋め尽くされーーーー








ザスッ....














「っ!」

「蒼炎さん?」


反射的に右目を抑えるが、そこにはちゃんと目がある。では今の風景と音は幻覚かと思うが、それなら一瞬でわかるので違う。いったいなにが...

「ふむ、なるほどの。うむ、私の負けじゃ」

俺が戸惑っている間に白夜叉は両手を挙げて降参を示す。すると最初に空に待っていた羊皮紙と同じものがいきなり現れ輝いた。光で視界が覆い尽くされ、反射的に目を閉じる。光が収まりやっと目を開けることができたら、そこはもうさっきの和室だった

結局さっきのビジョンがなんだったのかわからずじまい、か

「まあそう焦ることもない。後で疑問には答えてやろう」

「!?」

し、思考まで読めるのか?

「顔に出ておったぞ。それは置いておいて見事クリアしたの。主催者(ホスト)としてクリア者にはなにかしらの褒賞を与えなければならないのだが...」

久し振りにそんなこと言われたな。顔に出てる、か。動揺が強すぎたのか、それとも前よりも思考が丸くなったのか。白夜叉が、恐らく褒賞なんにしようか考えている間俺はそんなことを思っていた。すると黒ウサギ嬢が

「元々白夜叉様にギフトの鑑定をお願いしようと思い伺ったのですが、それを景品としていただくことはできませんか?」

「なに!?ギフト鑑定じゃと!!?うーむ、出来んことはないが専門外というか無関係だしのぉ...」

そう言いながらも横に並んで座っている俺たちをじっと見つめて

「ふむふむ。全員素質はかなり高いの。じゃがこれだけではなんとも。おんしらは自身の力をどれほど把握しておる?」

「企業秘密」

「右に同じ」

「以下同文」

「「ほぼ全て」」

問題児3人はまた適当な。というか春日部嬢、それ自己紹介の繰り返し...

「おおおおおおい!!いやそりゃ仮にも対戦相手だったものに教えるのは抵抗があるだろうが、それでは話が進まんぞ...」

逆廻少年が鼻で笑い

「別に鑑定なんていらねぇよ。人に値札を貼られるのは趣味じゃない」

その言葉に残りの2人も同意するように頷いて俺は内心溜息をつく。彼我戦力差を理解できない奴がそんな粋がっても仕方ないだろうが...

これは困ったと、頭を掻きつつどうしたものかと考えているだろう白夜叉。しばらく経つと急にニヤリと笑い

「そうだな、これならばちょうどコミュニティ復興の前祝いとして丁度良かろう、まあちょいと贅沢な代物だがの」

パンパンと二回手を叩く。すると俺たちの目の前に純白の、光輝くカードが浮かび、手に取ると色が変わりそこには名前と異能の名前が映されていた


コバルトブルーのものは

逆廻十六夜

"正体不明(コード・アンノウン)"


ワインレッドのものは

久遠飛鳥

"威光"

パールエメラルドのものは

春日部耀

"生命の目録(ゲノム・ツリー)"

"ノーフォーマー"


ここまでが問題児三人の分


ゴールデンオレンジのは

ティアナ・ランスター

"内臓型魔力生成炉(リンカーコア)"

"神経型魔力生成回路(マジックサーキット)"

"EC同調者"

"クロスミラージュ"

"幻想と繋がりし者"



そして問題は俺の何だが

シンフォニーブルーのものに

遠藤蒼炎

"内臓型魔力生成炉(リンカーコア)

"神経型魔力生成回路(マジックサーキット)"

"欺きし者"

"禁忌魔法体系・幻想"

"魔法体系・未来"

"魔法体系・運命"

"航海者"

"生還者(サバイバー)・希望"

"運命刀"

"幻想刀"

"世界の管理者(地球)"

"異端"

"赤鍵"

"EC共鳴者"



..........なんか奥の手まで全部バレテーラ


そう思いつついやな汗が出てくる俺であった
 
 

 
後書き
ギフト名に色々あると思いますが、今回は何も補足はありません


「春日部嬢とはもう呼べないな、充分頑張った。あとはゆっくり休むといい」

ガルドとのギフトゲーム、春日部が決死の覚悟で挑むが....

次回、吸血鬼とノーネーム 
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