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閉店

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第三章

「何かな」
「嫌な状況だな」
「そうだな」
「もう行くの止めようぜ」
「その方がいいな」
「そうだよな」
 友の友人達、ゲーム仲間がこう話していた。その中には友もいてだ。
 彼もだ、こう言った。
「もうな」
「ああ、他にもいい店あるからな」
「他の店行こうぜ」
「あの店じゃなくてな」
「別の店な」
「そこに行こうぜ」
 こう言ってだった、それでだ。
 友はその店から離れた、そして。
 ある日だ、偶然その店の前を通ると。
 シャッターが降りていた、そのシャッターには貼り紙が貼られていてだ。そこには閉店の挨拶が書かれていた。
 それを見てだ、彼もわかった。
 そのうえでだ、家に帰ってだ。父にこのことを話した。すると。
 為景は神妙な顔になりだ、首を一回縦に振ってからこう言った。
「やっぱりな」
「潰れたっていうんだね」
「当然の結果だ」
 その閉店はというのだ。
「その時も言ったがな」
「馬鹿な店員を雇っているからだね」
「その店員以外にも馬鹿な店員を雇っていたな」
「何でこんなの雇うんだっていうのをね」
 友はこう父に答えた。
「雇っていて。お店の状況が酷くなって」
「誰も来なくなってだな」
「潰れたよ」
「店長は何をしていたんだ?」
「全然やる気なかったみたいだよ」
 このこともだ、友は話した。
「お店のことは店員に全部任せてね」
「そうか、つまりだ」
 そのことも聞いてだ、為景は友に言った。
「馬鹿な店長が馬鹿な店員を雇った」
「それでだね」
「店が潰れた、馬鹿な店長だから馬鹿な店員を雇った」
「そうなるんだ」
「そういうことだ、御前の話を聞いて潰れると思っていた」
「実際にそうなったね」
「ああ、本当にな」
 為景は淡々とだ、大学生になっている友に語った。友もその話を淡々と聞いた。
 閉店した店の後には暫くして居酒屋が入った。その居酒屋の店員は確かで店長も自ら先頭に立って働いていた。そうして店は繁盛していてだ、友もその店で酒と料理を楽しんだ。前にあった店のことを時折思い出しながら。


閉店   完


                          2015・2・22 
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