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パレオ

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第二章

「まだね」
「そうね、それじゃあね」
「タヒチでいいね」
「ええ、二人で行きましょう」 
 何だかんだで妻も夫の言葉に頷いた、そしてだった。
 二人で休暇を取って南太平洋のタヒチに向かった、実際に飛行機ならばすぐにフランスから遠く離れたそこに来られた。
 その青い何処までも続く水平線と澄み切った空、二つの青を見てだった。
 マリーはまずだ、こう言った。
「泳ぎたいわね」
「早速かい?」
「ええ、これからね」
「その前にね」
「ホテルに入ってなのね」
「そこに荷物を置いて」
 そしてとだ、フィリップは妻に言った。
「それからだよ」
「そうなるわね」
「そう、まずは荷物を置いて着替えて」
「水着に」
「新しい水着買ったんだよね」
「今回のバカンスに備えてね」
 その前に店に行ってだ。
「三つ買ったわ」
「三つ共持って来たんだね」
「私の水着姿見たいわよね」
 妻はくすりと笑って夫に問うた。
「やっぱり」
「あれっ、女の子に見せるんじゃないの?」
「だからいつも言ってるでしょ、男性はね」
「僕だけだっていうんだね」
「最初から最後までね」
「女の子は別にして」
「男性で見せるのはあなただけよ」
 あくまで、というのだ。
「だからどうかしら」
「君の身体は毎晩見ているけれどね」
 フィリップは悪戯っぽく笑って妻に答えた。
「何度見てもいいよ」
「それが答えね」
「そう思ってくれていいよ」
「じゃあまずはホテルに入って」
「荷物を置いて着替えよう」
「それではね」
 こう話してだった、そのうえで。
 夫婦でまずはホテルに入ってだった、荷物を置いて着替えた。
 フィリップはビキニの水着だった、下着はボクサーにしているが水着はあえてそれを選んだ。そしてマリーはというと。
 黒のパレオを腰に巻いている、上は黒のビキニだ。胸はかなりある。
 その水着姿の妻を見てだ、夫は言った。
「下は隠しているのかい?」
「見たいのかしら」
「是非ね」
「見せてあげてもいいけれど」
 くすりと笑って言う妻だった。
「今は駄目よ」
「ビーチでだね」
「見せてあげるわ」
「水着は海で見せるもの」
「だからよ。そこでね」
「そうするんだね、ただ君のその格好だと」
 水着姿の妻への今度の言葉はというと。
「言い寄って来る男がいるかな」
「大丈夫よ、そのことは」
「それはどうしてかな」
「こうした場所で声をかけられるのは女の子よ」
 そうした年齢の娘だというのだ。
「私みたいに二十代後半になるとね」
「声をかけられないかな」
「そうよ、もう街を歩いてもね」
 そうしてもというのだ。
「誰も見ないわよ」
「そんなことはないと思うけれどね」
「声をかけられるのは女の子でおばさんはそうじゃないのよ」
「そういうものかな」
「そうよ、だから私は自分から声をかけるの」
「女の子に」
「そうしてるのよ」
 くすりと笑ってだ、マリーはフィリップに話した。 
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