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IS~夢を追い求める者~

作者:かやちゃ
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第1章:修正の始まり
  第3話「増える住人」

 
前書き
オリジナルの展開を書こうとするとなかなか思いつかないもんですね...。
今回は別作品のキャラが出てきます。

※【】のセリフは通信機器を通した会話です。「」と二重になってる場合は肉声もある、もしくはその場にいる人物のセリフです。 

 


       =桜side=



「あ、あっ君。剣道って、まだ続けてる?」

  これからの方針を決めた次の日、朝食が終わった辺りで束がそう言いだした。

「剣道...ですか?一応、まだ欠かさずやってますけど...。」

「ほうほう...なら、ちょっと見せてもらえるかな?」

  貰った知識と束に聞いた話によると、秋十君は才能を補って余りあるほどの努力ができるそうだ。剣道...束の実家がやってた篠ノ之流もずっと努力していたらしい。

「...あまり期待できるものじゃないと思いますよ?」

「いいからいいから!」

  そう言って、試合ができるような場所へと移動する。...え?道具とかはあるのかって?一応なんでも揃えてるらしい。束も剣道をやってたからな。

「じゃあ、私が相手するね?」

「えっ?束さんがですか!?」

  束が相手をする事に驚く秋十君。...あー、秋十君は束も剣道をしてた事を知らないのか。

「実家の流派を覚えてない程度じゃ、天災は名乗れないからね!あ、ちゃんと昔に習ってたよ?結構衰えたかもしれないけど。」

「そ、そうですか...。」

「...さぁ、あっ君の全力、見せてね!」

  そう言って構える束。...おい、どこが衰えただ。確かに構えが荒くなってる節があるけど、素人には気づけない誤差レベルじゃねえか。むしろ俺が知ってる時よりもいいんだけど。

「....始め!」

  俺の合図によって二人の試合が始まる。

  最初は、束が秋十君に合わせるように防いでいたが、何かを感じ取ったのか、攻勢にも出るようになった。その攻撃に圧倒される秋十君だが、決して一本も取られない。

  何度も負けそうになるが、段々と動きに対応していき、まるで...いや、実際に何度も研ぎ澄まされた剣筋になっていく。

「(...おいおい、一体どれだけ努力したんだよ...。)」

  秋十君の動きを見て、ただただ俺はそう思った。...実際、かつての俺よりもいい動きをしている。...俺も結構天才染みた才能だったんだがな...。

「せいやぁあああっ!!」

「っ!」

  一瞬の隙を突き、秋十君が決めに掛かる。

「...一本!」

「....負けました。」

  結果は...束の勝ち。あの瞬間、見事にカウンターを決められ、秋十君は負けてしまった。

「...やはり、勝てませんでしたね...。」

「いや、正直、これが公式の試合なら秋十君の勝利だったかもしれないぞ?」

「えっ?」

  俺の言葉に疑問の声を上げる秋十君。

「束の最後の動き、あれは完全にオリジナルの動きだ。反則ギリギリだったしな。」

「そうそう。まさか、あそこまで凄いとは思わなかったよー。束さん、気迫で負けるところだったよ。」

  確かに、後半の秋十君の気迫は、相当な凄さだった。思わず俺も冷や汗を流すほど。

「...なぁ、秋十君、君は一体、どれほどの努力を重ねてきたんだ?」

「えっ...?えっと...俺は人より才能が少なかったので、暇さえあればひたすら竹刀を振ったりしてきたので、どれくらいと言われても...。」

「...いや、大体わかった。」

  少なくとも、常人の二、三倍は努力してるだろう。もしかしたら五倍かもしれない。

「...これ程の“力”を見つけられないとは、周りの目も曇ったもんだな。」

「...そうだね。お父さんやお母さんは気づいてたけど、洗脳された私達は気づいてなかったよ。」

  洗脳は仕方ないと思うが...。というか、やっぱりあの二人は気づいていたか。

「ま、大体秋十君の強さは分かった。」

「は、はぁ...。」

「とにかく、着替えて戻るぞ。」

  秋十君は自分の力がどれほどのものか実感していないようだけど、今は置いておこう。









「【束、言った通り、研究所を潰しておいたぞ。】」

【りょうかーい。じゃあ、見つからないように戻ってきてね。】

  あれから数週間後、俺は今ドイツにあるとある違法研究所を潰してアジトに帰るところだ。

  あれからした事と言えば、まずは俺のISをプロトタイプから第三世代レベルまで強化した(俺と束で一気に済ませた)事と、会社を立ち上げるための準備とかだな。それと、違法研究所の場所も探し出したりしている。

「さて、さっさと戻るか...。」

  ISで飛びながらアジトへ向かう。束から貰ったステルス装置を使ってあるから簡単には見つからないはずだ。

「....うん?」

  ふと、そこで気がかりなものが見えた。

「...なんだ?あのいかにも怪しい車は。」

  視界に寂れた倉庫とそこに停めてある一台の車が映る。

「...見に行くか。」

  なにやら嫌な予感がしたので、ISでそこに向かう。





「...やっぱり誘拐だったか...。」

  ステルスで見張りにばれないように倉庫の中をハイパーセンサーで探ると、大人が数名に、子供...それも少女の反応があった。

「(おまけに状況はよろしくないようだ...。)」

  中から誘拐されたであろう少女の嫌がる声が聞こえる。...このままではR-18な展開になってしまうな。

「(それじゃあ...。)」

「うごっ!?」

「なっ!?どうしtガッ...!?」

  さっさと見張りの二人を気絶させ、こっそりと中へ入る。

「いやっ!やめてください!」

「へへへ...ここに助けなんてkぎゃあっ!?」

  今まさに襲っている男がいたのでとりあえずステルス解除しつつ蹴り飛ばす。

「ったく...胸糞悪くなる所に遭遇するとはな。」

「な、なんだお前は!?」

  傍から見るといきなり現れた俺に驚く誘拐犯(仮)共。

「じゃあ、くたばっとけ!」

  どうみても誘拐現場だったので量子変換しておいた非殺傷用拳銃を取り出して全員を気絶させる。ちなみに中身はゴム弾だ。

「随分あっさりだな。...計画的な犯行じゃなかったか。」

  人数も少ないし、偶々誘拐したって感じか?

「あ、あの...あなたは...?」

「あー...ちょっとした通りすがり...かな。篠ノ之束に似ているが別人だからな?」

  改めて誘拐されていた少女に向き直る。ウェーブのかかった長めの金髪。どこか儚げな雰囲気を持つ彼女は、怯えた表情で俺を見ていた。

「...一応、君を誘拐した奴は全員倒したつもりだ。自分で歩いて帰れるなら俺はこのまま帰るが...。」

「あ...その...。」

  オロオロした感じで口籠る。...なにかあるのか?

「...私...捨てられたんです...。それで、途方に暮れてた時にこんな目に遭ってしまって...。」

「....詳しい話を聞かせてもらえるか...?」

  やっぱり何か事情があるらしく、話を聞かせてもらう事にした。

  ...聞けば、彼女の家はちょっとした金持ちらしく、実力主義な一面もあるため、病弱だった彼女は冷遇されていたようだ。唯一、優しくしてくれた母親が少し前に亡くなり、最終的に捨てられて今に至る...と。

「...そりゃ、ひでぇな...。詰まる所、君は令嬢なのだろう?なのに捨てられるとは...。」

「...優秀な、姉がいましたから...。」

  ...ますます秋十君に似た境遇だな...。

「じゃあ、行く宛てがないんだな?」

「....はい....。」

  拘束が解けた手で、膝を抱え込む彼女。...ふむ。

「...なら、俺の所に来るか?」

「えっ...?」

  俺の言葉にキョトンとする彼女。

「あー...なんだ、俺の所にも君に似た境遇の奴がいてな。見捨てられないんだよ。第一、このまま置いて行ったら君はどうしようもないだろ?」

  元々見捨てるのも嫌だし、秋十君の境遇と似てるならなおさらだ。

「...いいんですか...?」

「ああ。君さえよければいいんだ。」

  ...と言っても、今の俺って結構怪しい存在だけどな。

「...お世話になります。」

「...ああ。」

  彼女の手を取り、立たせてあげる。

「...っと、名前を聞いてなかったな。俺は神咲桜って言うんだ。君は?」

「...ユーリ・エーベルヴァインです。」

「ユーリちゃんね。よろしくな。...あ、あと俺は男だからな?」

  言い忘れていたので付け足しておく。ちなみに未だに髪は切ってない。というか束に全力で阻止された。ちくせう。

「え、おと...こ...?」

「よし、それじゃあ早速行こうか。」

  驚かれるのにはもう慣れたので反応を無視してお姫様抱っこで運んでいく。

「じっとしててくれよ?落ちたらやばいからな。」

  ステルス装置を起動してISで抱える。

「お、おお、おとっ、男の人なんですか!?」

「そうだぞー。いやー、普通の反応をありがとう。」

  男に抱えられるのはやはり恥ずかしいのか、“はわわ”とか言って顔を赤くしているユーリちゃん。...暴れないのは助かるな。

「あれっ!?なんでISを使えるんですか!?」

「後で分かるさ。とりあえず、一気に飛ぶから舌噛むぞ。」

「えっ?きゃぁあああああああ!!??」

  アジトに向かってスピードを出す。...皆になんて言われるだろうか。









「....ねぇ、さー君、その子は...?」

「拾ってきた。」

  とりあえずアジトに帰還したのはいいが、ちょっと怒ってる束に尋問される。

  ...うん。なんで今のように拾ってきたなんて答えたんだ?俺。

「拾ってきたって...はぁ、しかも目を回してるし...。」

「結構スピード出してたからな。気絶してないだけマシかな。」

「そーいう問題じゃないでしょ。」

「すまんすまん。」

  とにかく起こすか。ほい、ねこだまし。

「はわっ!?え、えっ?ええっ...!?」

「おーい、起きたかー?」

「は、はい....。ここ、どこですか?」

  辺りを見回しながらそういうユーリちゃん。...うん、小動物っぽくてかわいらしい。

「今の俺たちの拠点だな。」

「はぁ...?あの、その方はもしかして...。」

「その通り、篠ノ之束本人だ。」

  束の方向を向いたまま固まるユーリちゃん。...いや、無関係な人なら当然の反応か。

「...あー、とにかく事情を聞かせてくれる?どうしてこうなったか。」

  おい束、コミュ障が発動してるぞ。まったく...昔も他人と話す時は無愛想になってたよな...。

「は、はい。えっと...。」

  ユーリちゃんが経緯を一通り説明していく。





「―――それで、ここに居るんです。」

「....ふむ...。」

  ユーリちゃんの話を聞いて考え込む束。

「...うん、いいよ。ここに住んでも。」

「い、いいんですか?」

  あっさり許可されて驚くユーリちゃん。

「いやぁ、事情を聞くだけでも放っておけないし、あっ君と似た境遇ならなおさらだよ。」

「そ、そうですか...。」

  ユーリちゃんは最悪の事態にならずにホッとしているようだ。

「篠ノ之博士って、大事に思っている人物以外には辛辣だと思ってましたけど、そうじゃなかったんですね。」

「あー、えっと、以前の私はちょっとおかしかっただけで...いや、人見知りで無愛想になるからあながち間違ってない...のかな?」

「ま、根はいい奴だ。そう思い詰める必要もないさ。」

  そう言えば、ニュースとかでの束の性格は親しい人以外には横暴な感じだとか言われてるよなぁ。

「...これからよろしくお願いします。」

「うん。ようこそ、私の研究所へ!」

  こうして、また一人仲間が増えた。

「...ところでお二人はどんな関係なんですか?」

「え?えっとねー、夫h<ベシッ>あだっ!?」

「幼馴染だな。よく似ているとか言われてたよ。」

  おかしな事を抜かしそうになったのでチョップで黙らしておく。

「あはは...。ホントにそっくりですもんね...。」

「実は双子だとか言われたりしたが、遺伝子上一切関係ないからな。」

「もし姉妹とかだったら結婚とかもできn<ベシッ!>っつぅ~っ!?」

  またふざけた事を抜かしたのでもっと強くチョップしておく。

「俺は男だっつの。」

「...仲いいですね。」

「ま、親友だからな。」

「親友...ですか...。」

  ...っと、やべ、ユーリちゃんにはきつい事だったか?

「...ユーリちゃんも、俺たちと仲良くなろうぜ?」

「えっ?」

「まぁ、年は離れてるけど、ここに住むんだから、仲良くならないとな?」

  あまり気の利いた言葉じゃないけど、安心はさせておきたい。

「と言うか私から仲良くなるよ!良く見れば何この子!?すっごく可愛らしいんだけど!?」

「きゃっ!?」

  束が突然ユーリちゃんに抱き着く。

「なでなでしたい!というかこのふわふわな髪をもふもふしたい!」

「やべ、束ってこんな可愛い物好きだったか?対処が分からん...。」

  以前は見なかった行動にどう対処すればいいか俺は困惑する。

「あ、あああああの...はな、離してください...!」

「とにかく、おらっ!」

「あぐぁっ!?」

  束が暴走した時はチョップすれば万事解決だな。

「可愛いのは分かったから暴走するな。」

「はーい...。」

  ユーリちゃんをこっちに引き寄せ、束を引きはがす。

「あ....。」

「ん?すまん、どこか痛くしてしまったか?」

  ふとユーリちゃんが声を上げたので、引き寄せた際に何かやってしまったか心配する。

「い、いえ...な、なんでもありません...!」

「.....?」

「む!...はは~ん...。」

  ユーリちゃんの様子に束が何かに気付く。

「どうした?」

「ベっつに~?さー君ならありえてもおかしくないし~。」

「は...?」

  意味わからん。とにかく、ユーリちゃんに何かあった訳じゃないからいいか。

「束様ー、御夕飯の支度...が...。」

「あ、くーちゃん!」

  クロエが奥から出てくる。っと、もうそんな時間だったか。

「あの、彼女は...?」

「えっとね、今日からここに住むゆーちゃんだよ!」

  ゆーちゃんって...またあだ名かよ。親しくなった証拠だけども。

「...っと、ユーリちゃん、これ持ってくれ。」

「えっ?これは...?」

「俺と束で開発した翻訳機。それを使えば機械音声とは言え完全に翻訳してくれるぞ。」

  今のユーリちゃんはドイツ語しか喋っていない。俺と束はドイツ語も喋れるようについこの前に習得したけど、クロエも秋十君も短期間で英語以外を覚えるのは困難だ。...クロエの場合はドイツの研究所から生まれたからか習得が幾分か早いが。

  そこで発明したのがこの翻訳機だ。これならユーリちゃんも会話できるだろう。

「えっと、ユーリ・エーベルヴァインです。」

「あ、クロエ・クロニクルと言います。」

  束と違って大人しい二人の会話。...見てるだけでほっこりするんだけど。

「そうだ、クロエとも挨拶したのなら、秋十君とも会っておかないとな。」

「アキト...?」

「もう一人、ここに住んでる奴がいるんだ。というか、元々彼を保護するためにここに来たとも言えるな。」

  と言う訳で早速秋十君の所へゴー。





「ふっ...!ふっ...!」

  秋十君の所に行くと、秋十君は木刀で素振りをしていた。

「おーい、秋十くーん!」

「あっ、桜さん。...あれ?彼女は...?」

  素振りを中断し、俺の隣にいるユーリちゃんに気付く。

「今日からここに住むことになるユーリ・エーベルヴァインだ。ドイツの子でまだ日本語は喋れないからしばらくは翻訳機を使ってくれ。」

「よ、よろしくお願いします。」

  よし、これで全員との挨拶は終わったな。後はユーリちゃん自身が馴染むのを待つだけだな。









「さー君、こことこことここ。お願いね。」

「りょーかい。」

  会社を立ち上げるための資料や、IS関連の事を束に頼まれる。早速自室に戻り、俺専用に用意されたコンピュータに向かって作業を始める。

     コンコン

「....うん?どうぞー。」

「あの....。」

  ドアをノックして入ってきたのはユーリちゃん。

「どうしたんだ?」

「いえ...その...。」

  もじもじしながら遠慮がちに何か言おうとする。

「...私も何かしなくてはいけないと思ったので...。」

「あー...もしかして色々と遠慮しちゃってる?」

「...はい。」

  気にしなくてもいいって言っても、ユーリちゃんの性格なら意味ないだろうしな...。

「...しょうがない。作業しながらで悪いけど、相談に乗るよ。」

「す、すいません。作業中に...。」

「いいっていいって。他の事しながらの方が案外捗ったりするから。」

  カタカタとキーボードを叩いていく。おっ、ここはこうすべきだな。

「あの、そういえば何をしているんですか...?」

「うーん...世界を変えるための下積み?」

  会社を立ち上げて、ISに革命を起こす...と言うより本来の姿に戻すって言う方が正しいか。それを行ったりして女尊男卑をなくしたり...。まぁ、色々するな。

「下積み...ですか。」

「まぁね。女尊男卑をなくして、ISを男女共に使えるようにしたり、束の...いや、俺たちの本来の目的の宇宙進出へ辿り着くにはこれくらいしないとな。」

「....凄いんですね...。」

  まぁ、天災が二人で協力してるからな。これぐらいはできないと。

「ユーリちゃんは何かしたいとは言うけど、今は特にする事はないんだよね。一応、家事は当番制にしてるからそう言うのはするだろうけどさ。」

「そう...ですか...。」

「まぁ、秋十君だって、やる事がないから...と言うか、努力をする事がやる事って感じかな。今日みたいにただただ努力して強くなったりしてるし。」

  クロエは全員のサポートかな。もしくは器用貧乏とも言えるな。

「ユーリちゃんは見たところ、アウトドア系じゃないから、必然的にサポートやコンピュータ関連になるけど、それでも手伝う?」

「...はい。手伝わせてください。」

「よし分かった。じゃあ、早速で悪いけど、このデータを解析・整理しておいてくれ。」

  そう言ってIS関連のデータを渡す。

「い、いきなりISですか!?」

「大丈夫。ほら、ISの解析とかのための本。これ見ながらでもいいしさ。」

「わ、私、コンピュータはさすがに操作できますけど、神咲さんのように速くなんて...。」

  いや、俺を基準にされても困るなぁ...。

「大丈夫だって。それは優先度が一番低い奴だし、こういう事にチャレンジすれば自分の新しい力に気付くかもしれないしさ。」

「はぁ...?」

「ま、とにかくやってみなよ。そっちのコンピュータが空いてるからさ。」

「分かりました...。」

  そう言って隣のコンピュータの椅子に座って作業を始めるユーリちゃん。

「(...案外、彼女は解析とかの能力に長けてるかもしれないしな。)」

  なんとなく。そう、なんとなく感じたからユーリちゃんをこの仕事に割り当ててみた。

  秋十君のように才能に恵まれなかったらしいけど、なんの才能にも恵まれていないなんてありえない事だ。

  俺や束、千冬のようにあからさまに秀でてる場合もあれば、ひっそりと目立たない才能を持っている者もいる。秋十君の場合はまさにそれだ。...才能と言うには少し違うが。

「(なにはともあれ、新しい家族だ。仲良くしていこうな。)」

  そう考えて俺も俺の作業に戻っていった。







 
 

 
後書き
 想起…桜の持つISの専用機。元々は束が夢を叶える第一歩として桜にプレゼントしたプロトタイプのIS。“想起”の名は、束たち三人の夢を“想い起こす”という込められた意味がある。実は、桜のISの他にも、束や千冬専用の同じようなコアがある。

なお、作者に剣道の知識は一切ありません。

特に描写はしていませんが、誘拐のシーン以降は全員ドイツ語で喋っています。 
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