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詩集「棘」

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ただ待つだけでは…



静かに緩やかに…冬の影が忍び寄る
見上げた空には欠けた月…浮かぶ…

人の心は形がなく 目には見えなくて
うつろいゆく四季にもなれば
空の星のように永久(トワ)に
変わらないものだってあるでしょう?

ただ待つだけでは淋しすぎて
街の中で君を探してる
見つかるわけもないのにね…
空を見上げてそっと…微笑んだ…


風に揺れる尾花…月影の中 幽かに
寂しさ誘う秋の虫…鳴いて…

小さく溜め息ついたよ…柔らかな陽射しに
ざわめいてる人の波に
どうして君の姿を
見つけ出すことが出来ないのかな?

ただ待つだけでは哀しすぎて
会いたい…なんて神様困らせて
夢の中でも目覚めても
君がいないことだけ…変わらない…


夏を偲ぶように咲く露草は
自らを憐れむことなんてない
ただ その時まで…凛と佇み…

ただ待つだけでは苦しすぎて
静かに泣いたこともあるけれど
掠れゆく緑 眺めては
口に出せない想いに…苦笑した…

ただ待つだけでは淋しすぎて
何度も電話をしたくなったよ
そんな勇気もないクセに
窓から空見上げて…微笑んだ…

幸せ…ですか…?



 
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