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MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士

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009話

 
前書き
「MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士を読む時は

部屋を明るくして、画面に近づき過ぎないようにして読んでくれ」 

 
立ち直ったジークはドロシーと共にヴェストリに戻りスノウ達と合流した。そこでは漸く目覚めたギンタが不思議そうに周囲を見回していた。

「ようねぼすけ、もう夕方だぜ」
「あれジーク……あれ、俺確か地底湖で、チェスと戦ってそれから……」
「この馬鹿タレ!精神力を使いすぎたんじゃよお前は!」
「あっ思い出してきた……」

バッボの言葉で漸く何故自分が気絶しているのかを思い出したギンタ、ジークもそれを聞き何故其処までの魔力と精神力を使ったのかを察した。スノウに多様厳禁と言われたほどの強すぎる力、だが遣わなければならない相手という事になる。

「おおおっ!ギンタさんが起きたぞ~!!」
「英雄殿が目覚めたぞぉ~!!」

ギンタが起きた、その情報は一瞬で村中に広がっていきギンタの周囲で休んでいたメルの一同は村人たちに囲まれる事になった。村を救ってくれた英雄たち、それは村人達に新しい活力と喜びを与えた。メルの一同が胴挙げされた後、村を上げての宴会をすることになった。



「さあ出来たぞ!ジャックの野菜をふんだんに使ったフルコース、存分に飲食いしろ!!」
「「「「「おおおおおおおおおお!!!!」」」」」

一斉に上がる歓声と空腹の腹の音、村人全員が十二分に食べれるように作る必要があったため宴が始まったのは夜になってしまった。だがそれでも村人たちの興奮が止む事は一切無かった、一度は死ぬ事まで考えた村人達だが待っていたのは救世主という英雄(希望)。チェスは撃退され、ジャックによって十分な食料が与えられた。

「本当に有難う御座います。ギンタさん、ジークさん、私達は貴方たちのおかげで立ち上がる事が出来た。そしてこれほどの作物!ジャックさんが与えてくれた!!これなら暫くは食料に困りませんし新しい種まで下さった!」
「いやぁ大した事してないっすよおいらは」
「大した事はしてない訳無いだろジャック」
「ああ、っというか幾らなんでも育ちすぎじゃないかあれ……?」

ジークが視線を後ろへと逸らすと其処にはまるでジャングルが生い茂るかのごとく育ちまくっている作物達があった。植物使いであるジャックが作った豆が僅かな時間で此処まで大きく成長したのだ、此処の土地が肥沃である事に加えジャックの魔力が上がった事とネイチャーのマジックストーンを手に入れた結果ここまで育ったのだろう。

「お、おいらも驚いてるけど……ま、まあ育たないよりは良いんじゃないっすか?」
「まあそうだけどよ……」

料理の疲れが来ているのかこの村の水が身体に染みるように行き渡る、視線を少しずらせば

「なぁ~っはははは!!かわええ女の子達にモテモテや~!」
「「「「「ナナシ様ぁ~♪」」」」」

村の若い女の子達をナンパし、ハーレム的な状態を築き大声で浮かれているナナシに

「きゃはははは!!エド~これおいし~!!!今夜はとことん騒いじゃうぞぉ~!」
「うおわぁああああ姫様ぁぁあああ!!?プ、ププラの実を飲んだのですね……」
「うん、きゃはははははは!!!」
「一度笑ったら1時間は笑い続けるププラの実……ああ、姫様ぁ……」

とある実のジュースを飲んで笑い続けるスノウを心配するような呆れるな目で見ているエド。そして

「んっなぁ~にぃ~ジーくん?」
「いや、何でもないよ」
「むぅ~ん連れないな~♪」
「お、お前酔ってるのか………?」
「酔ってないよ~ムフフフフフフ♪」
「酔ってるだろこれぇえええええ!!?」

明らかに様子の可笑しいドロシーと色々と混沌としている。ジークは溜息を付きつつ彼女を抱き上げる。

「ちょっとドロシーの酔いを醒まさせてくる」
「ああいってらっしゃい」

一言言ってから村はずれの井戸がある場所に移動する、彼女を井戸の辺に座らせ自分もその隣に座る。

「ドロシー、そろそろその下手な演技を止めたらどうだ?」
「ありゃバレバレだった?」
「君の事は結構解る自信あるからね」
「もう嬉しいな♪」

軽くジークに抱きつきながら空を見上げるドロシー、綺麗な満月が広がっている。穏やか夜の中、静かに月を眺める、此方の世界では初めての経験かもしれない。

「月が綺麗だな……」
「そうだね……こんな気持ちで月を眺めるなんて何時振りかな」
「ドロシー、俺は何処までもお前に付き合うよ」
「ジーくん……?」
「君は俺を救ってくれた、その恩を返したいって訳じゃない。君の傍に居たい、そう思うだけだ」

心からそう思う、一度も心から恋などした事など無かったからどのような気持ちが恋心何で解らない。が今、彼女(ドロシー)の傍に居るときに高鳴る鼓動に静まらない感情。これが人を好きになるって事なのだと思う。

「いいの……?私なんかと、一緒で………」
「あれだけアタックしてきておいて何を言うんだ君は。俺は君の事が好きだ、君は如何かな……?」
「ジーくん……」

真っ直ぐと見つめあうジークとドロシーの瞳、深く澄んだジークの瞳に思わず魅入りしまい顔を赤くするドロシーだが視線は不思議と外せなかった。

「私も……貴方の事が好き……」
「有難う、その言葉を聞きたかった」
「ジーくん………」

潤んだ瞳のままジークに惹きつけられて行くドロシー、不思議な魅力と彼への思いが自然と身体を近づけていき彼を求めている。荒くなっていく呼吸と高鳴りを続ける鼓動、瞳を閉じ彼の唇へと自分の唇を捧げようとした時、彼の指がそれを阻んだ」

「如何して、邪魔しちゃうの……?」
「出来れば私とてしたいさ、だが……こうもギャラリーがいては恥ずかしいのでね……」
「えっギャラ、リー……?」

頬をかくジーク、その後ろを見てみると其処には木の影に隠れながらこちらをニヤニヤしながら見つめているギンタ、スノウ、ジャック、バッボ、ナナシ、エドの姿があった。今までの行為や言葉が聞かれていたと解ると頭から蒸気が出るようなボン!という音を立てながらドロシーは顔を真っ赤にしながら箒を握り締める。

「あ、あ、ああああ、アンタ達ねぇええええええええええええええ!!!!!!????」
「し、しもうたバレたでギンタ!?」
「ヤ、ヤバいっすドロシー姐さんすげえ怒ってるっすよ!?」
「に、逃げるか!?」
「だ、駄目じゃ間に合わん!?」
「ひ、姫様急いでお逃げをってあれぇ!?姫様何処へ!?」
「全員ぶっ飛んで反省しやがれええええええええええ!!!!!!!」

怒り心頭のドロシーは箒に全力の魔力を纏わせて今か今かとそれを振るおうとしていた。まあそれも相応の罰だと思っていたジークだが頭上の月を見上げた時それを改めた。

「待てドロシー!月が可笑しい!!」
「次が可笑しいってどういう事!?」
「次じゃない月だ!!」

月を指差す、一同はその先を凝視するがそこにあったのは鏡のように変化している月の姿だった。異様な光景はまだ続く、月の中心から影のようなものが伸びそれは人の形となって映し出された。鋭くも異様な殺気と魔力に満ちた男の姿に。

『メルヘヴン全土に存在する我ら"チェスの駒"に敵意を示す全ての者共に通達する。再びウォーゲームを始めようではないか!!』

ウォーゲーム、6年前にも行われたというチェスとの代理戦争。それを再びを行いこの世界をそのものを手に入れようというのか、そしてエドが矢張りと言った辺り6年前と全く同じ手口なのだろう。

『場所はメルヘヴン中央西部に位置するレギンレイヴ城、既に我らの手に落ちたこの城に我らと戦いを望む者は集え。6年前の恨み、我らは忘れてはいない!一人として集まらぬ時はメルヘヴンを焦土と化す!!一人でも多く、我らを楽しませてくれる人間の参加を期待する、特にだ!』

瞳をギラリと輝かせて頭上から見下ろす男はまるで自分達を見ているかのように視線を鋭くさせた。

『ファントムのARMでありながら我らチェスの駒を裏切ったバッボ、それを持つ少年。そして……ジークという青年!』

ギンタとバッボだけではなく名指しされたジーク、この世界でも異質な存在ある自分に興味を占めているに違いない。

『開戦は明後日、正午。待っているぞ』

そう告げると消えていく男。だがこれは大変な事態になってきた、遂に始まろうとしているチェスとの全面戦争が始まろうとしている。

「行こうギンタ、レギンレイヴ城へ!!」
「そ、そうっす!ヴェストリみたいな所をこれ以上増やさない為にも!!」
「いい啖呵じゃぞ家来その2、じゃが声と体が震え取るぞ。シャッキリせんか!」
「お、おいらこの前まで畑で野菜作ってたんすよ……?でもやるっす!!」
「自分もやったるで、クロスガードなんておらんでええわい。自分がおるからのぉ」

それぞれがチェスの駒打倒への言葉を口に出し士気を高めていく。これから戦争だというのに元気だとジークは感じる、これから始まる殺し合い。だがもう自分は恐れない、前に進み平和を脅かす絶対悪を滅ぼす為に剣を取る。

「雰囲気的に降りられないって感じ……?」
「ドロシー、嫌なら降りてもいいぞ。私が君の分まで戦う」
「ジーくんが出るなら出るよ、傍にいるって約束でしょ?」
「……ああ、そうだな」


「おぉおし!!メル、ウォーゲームに向けて出陣だぁああああ!!!」
「「「「「おおおおおおっ!!!!!」」」」」



―――二日後

「ってこれ間に合ったかぁああ!!?!」
「ったくギンタとジャックが寝過ごすから走る羽目になっとるじゃワイ!!」
「走るってバッボ走ってねぇだろ!?ジークが抱えてるだけじゃねぇか!!」

間もなくレギンレイヴに到着しようという時に盛大に寝過ごしたメル、現在は大急ぎでレギンレイヴ城へと入った。ナナシが以前この城にやって来た事が幸いしアンダータでやってくる事ができた。寂れた城に集っている戦士達、それは6年前にチェスの駒と戦ったクロスガードの面々。

「にしてもナナシ、お前本当に色んな所に行くな」
「まぁ盗賊やからな、お宝の匂いのする所へは何処へでも行くもんや」
「ぁぁああああ!!!」

ナナシと会話していたジークだが突然大声を上げるジャックにそちらを振り向くと、一人の少年に向かって恨みを込めたような声を張り上げていた。

「よおアルヴィス!久しぶりぃ!」
「あ、ああ」
「知り合いかギンタ」
「ああ、アルヴィスって言うんだ!こっちはジーク、俺の友達だ!」
「ジークだ」

挨拶をするジークだが少年はジークから溢れ出ている魔力に驚きを隠せていなかった。強さだけではなく魔力の澄み切った純度、凄腕のARM使いでなければ出せないレベルの物だからだ。そしてジークという名、チェスの駒が名指しにしてきた唯一の人物。

「ア、アルヴィスだ」
「宜しく頼む」

この後、ウォーゲームに参加する為の試験が行われたがアルヴィスを含めたメルのメンバー全員が試験を突破しウォーゲーム参加を決めた。そしてゲーム開始は翌日、今日は生き残れた幸運を噛み締め休めという言葉をチェスから貰い、メルは城で休む事になった。

「おおおおおっ身体が疼いてしょうがねぇぞおおお!!」
「まあまあギンタ今は休んどき、いざって時に動けへんって事になったら大変やで?」
「その通りだよギンタ、ストレッチ程度にしといたほうがいいよ」

客室で各々が自由に時間を過ごす中ジークは砥石を用いてバルムンクを研ぐ。魔力さえ通せば切れ味は回復するのだが相棒はきっちりと手入れをしてやらねばと考えるジーク、そんな彼に近づくアルヴィス。

「ジーク、貴方は一体何なんですか」
「………さて、どういう意図があるのかな」
「貴方の魔力は普通では考えれない位に澄んでいる、清流の水のように。普通の人間ではそれ程の魔力は出せません」
「お前はあのおっさんと同じ事を聞くんだな」

そう言いながらエドを見るジーク、エドは頭を欠いている。

「俺自身記憶が曖昧な物でな、その内記憶も戻るだろう。そしたら教えてやるさ」
「……解りました、今はそれで納得しておきましょう」

この後、アルヴィスもメルに加入する事になり、キャプテンはギンタが務める事となった。そして時は流れ……遂に、ウォーゲームが始まろうとしていた。 
 

 
後書き
今作のギンタはジークの影響で原作よりも魔力や近接戦闘術が向上しており早めに目覚めております。


先程なんとなくランキングを見てみようと思ったら

日刊ランキング1位、 MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士

「(* ̄- ̄)ふ~ん……いつかは1位になりた……Σ(゚Д゚)!?」

えええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!?????
い、一位になってるうぅううううううううううううううううううううううううう!!!!???
な、なんなんなの!?お、落ち着け!ま、まだあわわわわわっわ!!!

そうだ落ち着くんだ!1,3,5,7,11で近くのスーパーでメロンパンの皮が半額で大安売りまじか小説なんて書いてる場合じゃねぇよし落ち着いたって落ち着けねぇよ!!

何これどうなってんの!?
ア、ありえないよ!?み、皆さん何かした?!えええええ!!!??
わ、私なんかには勿体無い名誉です!!一時的なものでもこれは嬉しすぎる!!

こ、これからも頑張ります!! 
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