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デート・ア・ラタトスク

作者:エミル
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暴走&最悪の再会








その後、エミル達はフラクシナスの援護を受けながら十香と一緒に色んな場所を周り続けた

「おお!ここは絶景だな!!」
「あぁ…俺もお気に入りの場所だからな」

夕日に染まった高台の公園に士道と十香がいた。ちなみにエミルとマルタは途中から用事ができたと嘘を言って、後ろから二人を見守っていた

「……後は士道がどう行動するかだね」
「……うん。そうだね」

二人には聞こえないようにエミルとマルタは小さい声で喋る

「どうだ?お前を殺そうとする奴なんていなかっただろ?」
「うむ……皆優しかった。正直、まだ信じられないくらいに」

十香は自嘲気味に苦笑しながら、口を動かす

「あんなにも多くの人間が私を拒絶しない、私を否定しないなんて……」

少しだけ悲しそうな表情を見せた十香。だが、十香にとってはそれが普通だったのだ。否定されて、拒絶され続けるのが、普通だったのだ

「でも、本当に今日はそれを忘れさせる程、有意義な1日だった。世界がこんなに楽しくて、優しくかっただなんて……思いもしなかった」
「そう……か…」

士道は口元を綻ばせて息を吐く

「それに……ASTとやらの考えも少し分かった」
「え……?」
「私は…いつも現界する度に、こんなに素晴らしいものを壊していたんだな」






















──同時刻。折紙含むASTは今精霊がいる公園の1キロ圏内に燎子と折紙が待機しており、他にもASTの隊員が10人おり、2班1組の5班に分かれている

「……狙撃許可は?」
「出てないわ…待機してろだってさ。まだお偉いさん方が協議中なんでしょ」
「そう」

短い返事をして、折紙は頷く。折紙は対精霊ライフル〈CCC(クライ・クライ・クライ)〉を携えたまま許可を待つ

「あーあ……つまんないの…いつになったら許可が降りるのよー…アリスちゃん帰ろっかなー」
「アリスちゃん!もうちょっとだけ待とうよ!もう少しで許可が降りるはずたがらさ!ね?」
「もうちょっとって何回も聞いたわよ……防衛大臣と幕僚長は何してるのよ……」

燎子と折紙の近くにはDEM社から派遣されたアリスとデクスがいた。アリスは今すぐにでも帰りたさそうにしていて、それを何とかデクスが引き止めていた
………時折、デクスからは強い香水の匂いというより刺激臭に近い匂いがするが燎子と折紙は何とか耐えていた

「はぁ〜……退屈ね……。燎子ちゃーん、まだ許可が下りないの?」
「はい。お偉方もまだ決まってないようで……ん?」

突然、燎子の耳にノイズ混じりの音声が届いてきた

「はいはい、こちらポイントA。何が───え?」

燎子は伝わった情報に目を丸くして、通信を終える

「……驚いたわ。狙撃許可が下りた……」

まだ待機命令が出ると踏んでいたが、意外な答えが返ってきた。少し意外なことだったが、燎子はすぐに冷静を取り戻して折紙に目を向ける

「折紙。あんたが撃ちなさい。失敗は許されないわ。絶対に一撃で仕留めなさい」

折紙は燎子の言葉に何の感慨も浮かべぬまま

「了解」

ただ、そう告げて対精霊ライフル〈CCC(クライ・クライ・クライ)〉を構える。顕現装置(リアライザ)を起動させ、弾を装填する。そしてそのまま精霊に狙いを定める


そして何の迷いもなく─────引き金を引いた


折紙の放った弾は精霊に向かって一直線に飛んでいく。そこで折紙が見たのは精霊が倒れていく姿ではなく、精霊と一緒にいた士道の倒れていく姿だった

「────え?」

折紙はその光景に目を疑った。今、自分は、精霊ではなく士道を──

「あ………あぁ……」

目の前の現実に折紙は何も考えられなくなった

「折紙ッ!悔いるのは後よ!」
「───っ」

燎子の声で折紙は我に返る。燎子は戦慄した表情で

「今は──生き延びることを考えなさい……!」

折紙にそう告げた。一方、アリスとデクスは嫌な笑みを浮かべながらもう一体いる精霊に向かっていった
























「シドー……?」

十香は士道を呼ぶが、返事はなかった。頬をつついても反応がない。さっきまで十香に差し伸べられていた士道の手は血でべっとりと染まっていた

「うあ……あぁ……」

頭が混乱する。意味が分からない。なんで士道は。でも、分かったことはあった。いつも十香を殺そうとして襲ってくるASTのものだ。あの研ぎ澄まされた一撃は前に十香が前に交戦したあの女だと思った



───やはり、駄目だった。十香は一瞬、この世界で生きられるかもしれないと思った。士道がいてくれるならなんとかなるのかもしれないと思った



だけど、やはり駄目だった。この世界は自分を否定した

「……〈神威霊装・十番(アドナイ・メレク)〉……ッ」

十香は静かに怒りを燃やしながら、ドレスの霊装を顕現する。絶対にして最強の十香の霊装。その時、十香の霊装が光り輝く。何が起こっているのか分からなかった。そして突然、脳内に頭が響く


────力が欲しいか?


誰かも分からないその問いかけに十香は迷いもなく、頷いた


────ならば、受け取るがいい


次の瞬間、今にも爆発しそうな力が十香に流れ込んだ

「あ、ああ、ああああああああ─────ッ!!!!」

十香は頭を押さえながら、叫ぶ。精神がおかしくなってしまうような感覚に襲われる。同時に霊装の光も強くなっていく。光が収まると、十香の霊装が変わっていた。全身が光のドレスに纏われ、頭には光のティアラを着けられており、何とも美しかった


「〈鏖殺公(サンダルフォン)〉──〈最後の光剣(ハルヴァンホーリーへレヴ)〉!!」


その美しさとは裏腹に巨大な光を放つ剣を顕現させる。その直後、十香は弾が撃たれた場所に視線を向けると折紙と燎子がいた

「よくも………士道を……!!」

十香は剣を握る力を込めると、刀身から光が漏れ出す。そのまま剣を折紙と燎子に向けて思い切り振り下ろすと、光の衝撃波が地面に亀裂を走らせながら、二人に襲い掛かる。二人はかわしたが、同時に広大な台地が縦に両断されていた

「許さない…!許さない……!!」

十香は一瞬にして、二人の元に現れ、その巨大な剣を折紙に向ける

「貴様か、我が友を、我が親友を、シドーを殺したのは、貴様だな……!」
「…………っ」

折紙が初めて表情を歪ませる。その隣で燎子はレイザーブレイドを構えるが、十香は軽く剣を一薙ぎすると、レイザーブレイドは一瞬にして粉々になった

「……う……嘘……」

燎子はあまりの力の違いにその場に崩れ落ちる。だが、十香は興味が示さず、再び〈最後の光剣(ハルヴァンホーリーへレヴ)〉を向け、折紙を見下しながら怒りを燃やす





「────殺して殺して殺し尽くす。死んで死んで死に尽くせ……っ!!!」

























茂みで見ていたエミルとマルタは士道が撃ち抜かれて驚愕していた。十香も士道が死んだ悲しみでルーメンが暴走した。何もかも最悪な状況だった

「士道!士道!目を覚ましてよ!!」
「士道!起きてよ!」

二人が呼びかけても士道は反応しない。すると、インカムから琴里の声がした

『二人とも、落ち着いて。冷静を保ちなさい。あなた達のやるべきこともあるでしょ?』

琴里はさほど深刻そうな調子ではなく、冷静な声音で二人を落ち着かせる。エミルとマルタは力が暴走した十香に視線を向ける。そうだ、自分達にはやるべきことがあると

「琴里さんの言う通りです。私達はセンチュリオンの力を回収しなくてはなりません。今は冷静になりましょう」

闇の中から現れたテネブラエも二人を落ち着かせる。 そして琴里は続けて二人に告げる

『それに士道がこれで終わりなわけないでしょ?』
「「…………え?」」

エミルとマルタは琴里の言っていることが理解出来なかった。二人は訳の分からないままは琴里は素早く、死んでいる士道を回収する


すると、突然鞭のようなものがエミルとマルタに目掛けて横薙ぎに襲い掛かった。伏せてかわすと、二人の目のにワイヤリングスーツにCR-ユニットを纏っている一人の少女が視界に入る

「うふふ♪〈バーサーカー〉見っけ♪それにしても今の良く避けたわねー♡」
「ア……アリス!?」

マルタは声を上げた。それは今、鞭を放った少女がマルタ達の世界にいたヴァンガードに所属していたアリスにとても似ていた

「アリスちゃーん!俺を置いてくなんて酷いよ!」
「デ……デクス!?」

今度はエミルが声を上げた。こちらの少年もワイヤリングスーツとCR-ユニットを纏っていて、同じくヴァンガードに所属していたアリスLOVEのデクスにとても似ていた

「……?何であなた達アリスちゃんの名前知ってるの?」
「俺の名前を知ってるなんて……もしかして俺のファンか?」

どうやら名前も一緒で性格も一緒だったようだ。こんな偶然があっていいのかと二人は思った

「ま、とりあえずそこのなぜかムカつく女の子と〈バーサーカー〉を倒せばいいわね♪」
「分かったよ!アリスちゃん!!」

アリスは鞭を、デクスは両手剣を構える。同時にエミルとマルタも武器を構える

「うふふ♪さぁ、死んじゃって♪」




最悪の再会と共にエミルとマルタはアリスとデクスに向かって突撃していった






 
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