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MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士

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004話

 
前書き
ジークはギンタ&スノウの方に組み込むことしました 

 
「おうそこの!さっさと出てきやがれ!!」

突然飛来してきた空気の砲弾、それはぽつりと立っている以前の此処にあった建物の名残を残していた柱に炸裂した。当然の攻撃にギンタ、ジャック、バッボ、そして可憐な少女スノウは驚く。大きく土煙が上がった。

「お、おっさん何やってんだいきなり!?」
「そうっすよいきなり攻撃って!?」
「黙ってみてろ」
「エド……?」

煙が晴れていくと其処に居たのは剣を抜刀し鋭い眼差しを向けているジークとジークの後ろで土煙で咽ているドロシーの姿であった。

「あっ~!ジークにドロシーだ!俺がこっちにきて初めて会った二人だぜ、バッポも二人と一緒に取ったんだぜ」
「納得だな、こいつらがガーディアンを相手にしている間にギンタがバッボを手に入れたって訳か。にしても……」

男、エドはジークに向けて殺気を含めた鋭い視線を向けた。ジークが魔力を殺気に込めて鋭く睨み返す、その殺気に感心するような息を漏らすエド。

「(ほう……魔力はチェスの駒で言えばビショップクラスか。中々の実力者だな)」
「おい、いきなり攻撃してくるとは良い度胸だな。覚悟、出来てるのか………?」

先程とは違った全力の殺気をぶつけてくるジークに思わず笑いを漏らすエド、ギンタの態度から見て善人であるようだしチェスでもないようだ。

「悪かったな、微弱だが魔力を感じたもんでな」
「ったく、それだけで超高密度に圧縮した空気の爆弾をぶつけられたんじゃやってられないぞ。大丈夫かドロシー」
「けほけほ……だ、大丈夫よジーくん」

ドロシーの手を引きながら抗議をするように男の元へと向かっていくが、その時エドは不敵な笑みを浮かべていた。

「さあいくぞ」
「行くっておっさん、まだこれの使い方教わってないぞ!?」
「それから先は、自分で考えろ。ディメンションARM、修練の門!!!」

取り出したARMの竜が輪のような物を離すとギンタ、スノウ、ジーク(三人)ジャック、ドロシー(二人)の足元に巨大な扉のような物が出現する。ジャンプして抜けようとしたが時既に遅し。扉は大きく開きそれぞれを飲み込んでいく。

「「「うわあああああああああああああああああ!!!!???」」」
「いいやぁあああああああああああああああああ!!!!!???」
「嫌あああああああああこんな猿と一緒なんてぇえええええええええええええ!!!??ジィィイイくううううううん!!!!!!!!」


暫し落下すると地面が見えてくる、空中で身体を回転させ見事に着地するジークとスノウ。そして頭から落ちたギンタとバッポ。

「ったく一体何なんだ、いきなりこんな所に落としやがって………」
「あ~すいませんなんか巻き込んじゃったみたいで……」
「……もう巻き込まれちまったからしょうがない、気にするな」

周囲を見ているジークに謝罪するスノウ、だがそれを気にしない彼。あの男も何か意味が合って自分をこの空間に入れたのだろう、意味が無ければ何のメリットも無いだろう筈。

「いててて……何だ此処……?あれ、ジークも来たのか?」
「みたいだな、あのおっさん確か"ディメンションARM 修練の門"とか言ってたな」
「え~っとここはね―――!」

スノウによると此処は先程の男はエドという犬が人間の時にだけ使用出来るARMによって来る事が出来る異空間らしい。過去、ここでこの世界(メルヘヴン)の征服を企むチェスの駒に対抗する組織、クロスガードのメンバーも此処で修行し強くなって行ったらしい。

「つまりここは修業用の異空間か、それに俺を叩き落したって事はあのおっさん。俺もそのチェスってのと戦えって事か……」
「多分、そうだと思います」
「なあジークも一緒に戦おうぜ!!ジークが居てくれたら百人力だ!」
「おおそれもわしは賛成じゃ、お主は礼儀もなっとるしわしの家来にはぴったりじゃ!」

とキラキラとした瞳でこちらを見てくるギンタと家来になれと期待した瞳で見てくるバッポ。お盛らず肩を落とし空間が渦のように成っている空を見上げ思わず

「はぁ………愉快な二回目の人生だな」


「ぁあああああもう~!!ジーくん何処行ったのぉおおお!!?離れ離れなんて嫌だよ~!!こんな猿と一緒なんて~!!」
「はら、ほろひれ、はれ………」

頬を赤くして地面に転がっているジャックとジークを求めて騒いでいるドロシー、大方ジャックはいきなり叩き込まれたい空間に混乱し騒いでいるうちにドロシーにビンタされ地面に倒れたのであろう。

「暫くはここでこの猿に襲われないように気をつけながら生活しますか……はぁ、ジーくん、早く会いたい……ってあっそうだ、ジャック起きな」
「う、ううん……はいっす!なんっすか」

飛び起きたジャックの目の前にドロシーは手に持った緑色の玉を見せた。

「これがマジックストーン、ARMの能力をダウンロードしている石よ。これを石入れする事で君のただのスコップにも特殊能力をダウンロードできるのよ」
「ほぉ~……」
「まあそんな事が出来るのは腕の立つ彫金師か高名な魔女ぐらいだけどね、私みたいに!」

ジャックに石を渡しながら大きく高笑いをするドロシー、そんな彼女を無視しながら興味深そうに手に持ったマジックストーンを見るジャック。

「成程~、エドがバッボに付けさせたのはこれか」
「おっほほほっ……ってちょっと待ちなさい!!!」

笑い続けていたドロシーだったがジャックの付けさせたという言葉に反応し鬼気迫る表情をしながら胸元を掴みながら大声を張り上げた。

「あのヘンテコ不細工ARMに石入れ!?」
「み、三つ渡してたっす……」
「三つ!?何の石渡したのよ……ただでさえ訳の解らないARMなのにどうなっちゃうのか想像出来ないわ………」


その頃、ギンタ達は……

「ど、どうなっておるんじゃ!?如何してわし、ギンタの腕になっとるんじゃ!?」
「おおっ!何時ものバッボに戻った!!」
「何処が何時ものわしじゃ!?なんじゃこの姿は!?」

突然バッボとマジックストーンが光りだしたかと思えばバッポの様子が急変し、能力をダウンロードしろと言い出した。それはマジックストーンを嵌められた事によって発現する簡易人格のような物で、今までのカスタムが初期化された事で表面化するチュートリアル説明のような物だった。

バッポの新しい能力を持ち主であるギンタが想像し創造せよっと言ってきたのだ、それでギンタは新しい能力を想像し創造したのだが……

「ギ、ギンタ……それ、何?」
「バッボのバージョン1!ハンマーARMだ!」
「シンプルだが使い易そうだな、近距離戦闘ARMか」
「おう!ちょっとした隠し技だってあるぜ!」

そんな特殊能力の発現の様を見ていたジーク、だが急激な周囲の変化に意識が行った。周囲に突如出現し始めた岩石の人形たち。現在はドロシーが所持している石巨人よりも小型だが数が多い。

「な、なんだこいつら!?」
「ガーディアン ストーンゴーレム、ここら一体に野放しにされている実戦という第一関門!因みにこの異空間の時間の流れは速く外の60分の1、60日分修行しても1日分になって邪魔も入らないんだよ!」
「それは良いな、では行かせて貰う!」

まず先陣を切ったのはジーク、バルムンクを引き抜きゴーレムを一閃!頭部から股まで斬られたゴーレムは身体の中心から二つに分かれた。身体を回転させ背後に居たゴーレムを切り裂くと周囲のゴーレムの頭上から巨大な雪ダルマが襲来し次々と押しつぶしていく。

「これが、スノウのガーディアンか」
「そう!ユキちゃんっていうの!」

破壊されても再生していくゴーレム達、それを更に押し潰す雪ダルマに両断していくジーク。それに触発されたギンタはハンマーARMとなったバッボの性能試しとゴーレムへと走っていく。

「うおおおおりゃああああああああ!!!ハンマーARM!!!」

ARMを構えゴーレムの攻撃を避けその隙に強烈な一撃ゴーレムを粉砕するギンタ、それに驚くスノウと感心するジーク。次々とゴーレムを砕いていくギンタ、再生していくゴーレム達だがギンタの猛攻に遂に限界が来たのが再生を止めてしまった。

「(ステータス回覧!)」

【対象】:『虎水 ギンタ』
【種族】:『人間』
【属性】:『秩序・善』
【精神状態】:興奮
【ステータス】 筋力E 耐久E- 敏捷E- 魔力D 幸運B

咄嗟に開いたギンタのステータス、身体で感じるギンタから溢れている魔力。普段は魔力など感じないのにARMを発動させ戦うと一気に魔力が噴出している。塞き止められていた水が一気に開放されるかのように凄まじい噴出し加減だ。

「驚いたな……ギンタの奴、先程まで魔力など欠片も感じなかったのに今は過剰に感じる……」
「うん……本当に驚いた……」
「なあスノウ!」
「は、っはい!」
「あれってなんだ?」

ギンタが指差す先には鈴のようなものがついたアクセサリーが浮いていた。ARMだろうか。

「やっと来たのよ、私が待ってたガーディアンARMだよ」
「おっ!次の相手だな!!」
「ち、違うよ!!」
「変化するぞ」

そしてアクセサリーは煙と共に変化した、ARMは猫耳をつけた綺麗なお姉さんへと変じた。ギンタは余りの衝撃に顎をが外れそうなほどに口を開きジークも少し呆気に取られたような表情を浮かべた。

「ガーディアンのメリロさんだよ!」
「……あのおっさん、そんな趣味あったのか………」
「そ、そういう訳じゃないと思うけど……(猫、嫌いだしねエド)」

話を聞くと彼女はこれから自分たちの修行をサポートするガーディアンARMらしい、スノウは何度も修練の門に入った事があるためか顔見知り。彼女、メリロ曰くスノウ以外の人が来るのは6年ぶりとの事。

「先程の戦いぶりでARM使いとして戦闘力がまずますなのは見せていただきました。次のステップは更なるARMとのシンクロ、この門。割れずの門を割るのではなく砕いてください」
「ARMとのシンクロ……」
「そうだよ。ギンタはバッボさんとジークさんはその剣とシンクロするんだよ!」
「おぉし!なんだか良く解らないけどやってやるぞバッボ!」
『良く解らんがやってしまえギンタ!』
「少し、待ってくれ」

早速門へチャレンジしようとするギンタ、だがそんな彼にストップをかけた。

「如何したんだよジーク、腹減ったのか?」
「いやそうではない、空気が読めなくてすまない。俺のこの剣、バルムンクはARMではないのだが如何すれば良いだろうか」
「「ええええええええええええっっっ!!!!!???」」
「ジークのそれ、ARMじゃないのか!!!??」

修行は、前途多難? 
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