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幻想のゴッドイーター

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出会い

 
前書き
「GOD EATER 2 RAGE BURST」ファイル1主人公「神威ヒロ」(ボイス1)
同じくファイル2主人公「神裂(かんざき)サナ」(ボイス20)
出会う筈のない二人をある事件が襲い、未知なる世界へ引きずり込んだ。 

 
 部活が終わり、学校の帰り道をただ走る。今日は塾もない。宿題も学校で終わらせてしまった。つまり、この後やることは何もない。


 …ことはない。

 タッタッタッタッ

 「ただいま!!」

 自宅の玄関の扉を乱暴に開け、靴を脱ぎ捨てる。

 急いで二階に上がり、部屋に入り、PSvitaを手に取る。

 ソフトは「GOD EATER 2 RAGE BURST」

 大好きなゲーム。かれこれ300時間は遊んでいる。

 ファイル1は、最初に遊んだ男主人公「神威ヒロ」

 ファイル2は、気分を変えるために後から作った女主人公「神裂サナ」

 「今日はどっちで遊ぼうかな…」

 どちらも愛着のある主人公である。それぞれ150時間ずつ遊んできた。




 その時、気分が浮わついていたせいか、vitaを床に落としてしまった。

 「あっやべッ!」

 急いで拾い上げ、キズを確認する。

 幸い大きな損傷は無かった。

 「よ、よかった…」

 改めて気持ちを変え、ゲームを楽しむことに専念しよう。

 そう思い、スタートボタンを押した。


 「あれ?」

 ゲームの異変に気づく。別にデータが飛んだとかではない。ファイル1、ファイル2とも無事だ。しかし…

 「ファイル…3…?」

 ある筈のないデータ。ファイル3。主人公の名前もプレイ時間も文字化けしている。

 「バグっちゃったのかな…」

 ファイル1と2が無事なら良いのだが、こんなバグは聞いたことがない、と興味が湧いた。

 ファイルスロットのカーソルをファイル3に合わせる。

 「これ、ロード出来るのかな?」

 試しに○ボタンを押してみる。









 ―――ロード完了



 この少年についての情報はこれでおしまいである――












 極東支部、アナグラのブラッド区画。エレベーターから一人の少女が降りてきた。

 銀髪青眼、華奢な体つきをしていて、頼りなさそうな顔をしているのは、ゴッドイーター精鋭中の精鋭。ブラッドの隊長「神裂サナ」である。

 「よいしょ…ああ、重たい……」

 ゴッドイーターは常人より遥かに力があるため、実際は重くない。この場合、重たいは量を表している。

 「健康診断に神機整備、それに任務報告書がたんまり……ハァ……」

 今さらため息をついても仕方がない。しかし、これだけの書類を全て記入するとは骨が折れる。それも今日中に、だ。

 隊員の分も管理しなくてはならない。

 「隊長って楽じゃないなぁ……」

 今更ながら、なんで隊長になったんだっけ、と記憶を掘り起こす。

 ゴッドイーターになってから、本当に色々なことがあった。

 楽しいこともあったし、辛いことだってあった。どれも忘れたくない大切な思い出。

 「私…こんなに楽しいの、生まれて初めてだなぁ…」

 暖かい思い出に浸り、笑顔をもらす。

 これからも頑張らなくちゃ、と心を奮い立たせ、止まっていた足を再び動かす。











 ――その時



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 「うわっ!?え、なにっ!?」

 突如、大きな地震が極東を襲った。

 「わ、わわっ!」

 バサバサ

 うまく立つことができず、手に持っていた大量の書類を落としてしまった。

 「あー…」

 壁に手をつき、残念そうな表情をする。

 次第に揺れは治まり、バランスを取り戻す。

 放送『只今、極東で大きな地震を観測。被害は不明。各整備、偵察班は直ちに民間人の救助、支援に向かって下さい。アラガミによる可能性もあるので、神機使いの方々は準備が整い次第待機してください。繰り返します……』



 「ハァ……」

 今日はついてないな……

 そんなことを思いながら、床に散らばった書類を集める。

 私はアラガミが嫌いである。まあ、アラガミが好きな人なんていないだろう。そういばアラガミを神として崇める宗教もあったような……ってそんなことはどうでもいい。人を助けることはもちろん、ゴッドイーターであることにも誇りを感じ、それは私の使命であり、生き甲斐でもある。ただ…アラガミと戦うことは怖いし、戦闘も嫌いだ。アラガミさえいなければって何度思ったことか…

 だがゴッドイーターにならなければ皆と出会えることもなかった。後悔なんて今さらしていない。

 「アラガミのお陰でもある……か」
 「へえ、面白いことを言うね」
 「へっ?」

 顔を上げると、一人の少年が立っていた。同い年くらいだろうか。

 こんな人…アナグラに居たかな…?

 すると彼は隣に座り込み、散らばった書類を集めてくれた。

 「はい、これ。」

 差し出された書類を受け取り、頭を下げる。

 「あの、ありがとうございます…ええっと……」

 少年は少し考えるような仕草をし、何かを閃いたように目を見開く。

 「ああ、紹介が遅れました。自分、この極東支部に所属しているゴッドイーター、特殊部隊ブラッド隊隊長「神威ヒロ」と申します」










 「へっ?」

 すっとんきょうな声が出た。頭の中は疑問符が渦を巻き、それが自分の脳の処理速度をオーバーしそうになる。

 「あなたは?」
 「はいっ!?」

 突然問われたので変な声を出してしまった。
 ここは正直に答えた方がいいのだろうか……

 「ええ…と、私は…「神裂サナ」……極東支部所属特殊部隊ブラッド隊隊長……です……?」





 沈黙が支配した。

 少年は目を見開いている。自分だってそうだろう。だって……











 ブラッド隊隊長が……二人……?

















 時は少し遡る。

 極東支部、アナグラブラッド区画、最奥の部屋。そこに一人の少年が居た。

 「神威ヒロ」。ブラッド隊隊長である。

 茶髪に青眼。中性的な顔立ちは本人の優しさを表しているようだ。

 今は自室の机にかじりついている。

 「健康診断に神機整備、それに任務報告書と……ハァ、隊長は楽じゃないな……」

 手を止めずにため息をつく。今は何時か……

 「……うん。今日の任務までには間に合いそうだ」

 そう言って再び机に向かう。

 カリカリと、字を書くペンの音のみが響いた。











 「よぉーし、終わったぁ……」

 ペンを置いて大きく伸びをする。長時間同じ体勢だったからか、身体中がポキポキと音をたてる。

 時計を確認し、まだ任務の時間まで一時間近くあることに気がつく。

 「やることやったし……ラウンジに行こうかな…」

 そう思いながら立ち上がろうとした……


 その時――




 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 突如、極東を大きな地震が襲った。

 「おわっ!?」

 急いで体勢を立て直し、バランスを取る。

 「なんの前置きもなく地震……アラガミ…?」

 大きな地震が来る場合、地震発生直前に微弱な揺れを機械が感知し、地震警戒を放送で呼び掛ける。しかし今回放送は入っていない。感知できなかったか、それともアラガミの仕業か……


 考えている内に地震は治まった。

 治まってからやや遅れて放送が入る。

 「ゴッドイーターは待機……かあ……」

 ただ待機をしてればいいわけでもない。皆の様子も確認しに行かなければ。

 もしかしたら物とか落ちて困っている人がいるかもしれない。

 そう思い、部屋をでた。

 すると、早速困っていそうな人発見。書類をばらまいていた。

 銀髪の少女。

 あんな子、アナグラに居たかなぁ……と思いながらも手伝うために近づく。



 ふいに、彼女が言った。

 「アラガミのお陰でもある、かぁ……」

 なんのことだか分からなかった。アラガミに感謝?そんなバカな。

 「面白いことを言うね」

 取り敢えずその言葉に反応し、書類を拾うのを手伝う。

 「あの、ありがとうございます…ええっと…」

 はて、自分は一応ブラッド隊長。アナグラの人々で知らない人などいるのか…まあ、自分もまだまだだってことだろう。

 「ああ、紹介が遅れました。自分、この極東支部に所属しているゴッドイーター、特殊部隊ブラッド隊隊長「神威ヒロ」と申します」
 「へっ?」

 少女は困った顔をした。何かまずいこと言っただろうか……?

 「あなたは?」

 少女に名前を問う。

 「ええ…と、私は…「神裂サナ」……極東支部所属特殊部隊ブラッド隊隊長……です……?」



















 それが、二人の出会い。

 異なる世界、つまり平行世界の境界が乱され、曖昧になった。

 そして、一人の妖怪がいち早く乱れに気付いた。









 事件に巻き込まれたのは、神威ヒロと神裂サナ。二人のブラッド隊隊長である。 
 

 
後書き
衝動的に書きました。ヒロはもちろんボイス1。サナはボイス20となっております。思いつき次第書いていきますので生暖かい目で見ていただけると幸いです。

ブラッドの隊長は隊員の管理も大変です。
 
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