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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第七十三話






 雪蓮が袁術軍に降伏してから二時間が経った。

 雪蓮の降伏直後、砦内はかなり混乱していたが今は大分終息をして、孫策軍の兵士に対して免死を伝えると兵士達は次々と剣や槍、弓を捨てて袁術軍に投降した。

 そして、俺達は降伏した雪蓮達を連れて合肥城の玉座にいた。





―――玉座―――

「………ここに、孫呉の王である孫策は袁術に降伏する事を記す………と」

 玉座では、雪蓮が降伏文書に調印をしていた。

「………これで呉の領土は貴女の物よ美羽」

 書簡に調印した雪蓮が美羽に言う。

「そうじゃろうな。別に悪政等はしないから安心するのじゃ雪蓮」

 美羽はそう言って久しぶりにお椀に注がれた蜂蜜水を飲む。

「うむ。久しぶりに飲む蜂蜜水は美味いものじゃ」

「………ところで袁術殿。我等孫呉の首脳陣の処遇は如何なさるので?」

 雪蓮の横にいた周瑜が美羽に聞いた。

「勿論、我が袁術軍の配下に入ってもらうのじゃ。戦闘狂の雪蓮、宿将の黄蓋、軍師である周瑜や陸遜、呂蒙、偵察の周泰に暗殺の甘寧がおるのじゃ、首をはねるなど勿体無いに決まっておろう」

 美羽は雪蓮達に言う。

「あら? 蓮華が無いわよ?」

 美羽の言葉に蓮華の単語が無かったの気付いた雪蓮が美羽に聞く。

「蓮華は武官か文官というより王としての雰囲気が出ておるからのぅ。あ、後はお尻が良い形しておるくらいかの」

「なッ!? み、美羽ッ!! そんなの言わなくて良いじゃないッ!!」

 指摘された蓮華が顔を真っ赤にする。

「だって前に長門が言っておったのじゃ。蓮華の尻はとても良いとな」

「ブッ!?」

 そこで俺に振るな美羽ッ!!

「………なぁ~がぁ~とぉ~~~~~」

「………やべ………」

 蓮華の後ろから炎が出ているのは幻じゃないよな………てか甘寧もかよッ!!

「待て蓮華ッ!! 落ち着け、な? は、話せば分かるってッ!!」

 俺は必死に蓮華を落ち着かせようとする。

「問答無用ッ!!」

「ゲェッ!? 何で南海覇王を持って………って七乃が犯人かよッ!!」

 いつの間にか蓮華が南海覇王を持っていたけど、その後ろに何故か七乃がニヤニヤしながらいた。

 七乃が絶対に犯人やッ!!

「え~、私は何もしてませんよ~?」

「嘘つけェッ!! ったぁッ!?」

 あ、危な。もう少しで斬れるところだった。

「ち、外したか」

「性格変わってないかッ!? 絶対に変わっててるぞ蓮華ッ!!」

「大人しく南海覇王に斬られろォォォッ!!」

「戦略的撤退ッ!!」

 俺は迫り来る蓮華に玉座から逃げた。

「ハッハッハ、袁術軍の奴等は面白い奴等ばかりじゃな」

 先の戦闘で負傷して頭に包帯を巻いた黄蓋が目の前の珍事に笑った。




 袁術が孫呉を下した事は直ぐに諸国に伝わった。





「袁術が孫策を下した………袁術は良い部下に恵まれているのか、それかたまたまなのか………」

 玉座で、私はそう呟いて曹徳………王双を思い浮かべる。

「荊州の劉備は蜀へ向かって漢中の張魯を討とうとしています」

 桂花が私に報告する。

「頭がお花畑な劉備はそう思っているけど、肝心の天の御遣いと軍師達は違うでしょうね」

「と言いますと?」

 秋蘭が聞いてくる。

「天の御遣い達の狙いは蜀よ。蜀は自然の防衛線によって張魯の侵略を防いでいる。だから蜀が欲しいのよ」

「成る程………」

「ところで秋蘭。涼州への侵攻の準備は整っているのかしら?」

「………申し訳ありません。まだ武将の編成が終わっておりません」

 私の言葉に秋蘭は申し訳なさそうな表情をする。

「構わないわ秋蘭。原因は私にもあるのだからね」

 武将の編成が終わっていない理由は郭淮、張コウ、司馬懿が抜けたからだ。

 私が興味からの好奇心から郭淮とヤろうとしたら夫の張コウがキレて、郭淮を私から奪い返して軍を脱走した。

 司馬懿も私から逃れたかったみたいで郭淮達と同行した………というのが経緯よ。

 何でもかんでも手を出すのは控えた方が良いと思ったわ。

「秋蘭の予定では何時に編成が完了するのかしら?」

「は、予定では後一月かと………」

「分かったわ。涼州への侵攻は一月後にするわ」

 私はそう決断した。

 ………待ってなさい曹徳………いえ王双。







 
 

 
後書き
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