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ドリトル先生の水族館

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第一幕その三

「それからですね」
「お昼だよ」
「論文はどうなってますか?」
「今書いている論文だね」
「確か海洋生物の論文を書かれていますね」
「うん、深海魚のね」
 先生はこちらの学問にも通じていてです、論文も書いているのです。
「書いているよ」
「そちらは何時脱稿出来ます?」
「明日にでもね」
 書き終えるというのです。
「今日かなり書いたからね」
「それは何よりですね」
「うん、そういえば深海魚でね」
「何かありますか?」
「リュウグノツカイっていう魚がいるね」
「はい、あの細長い大きなお魚ですね」
「あのお魚について調べているけれど」
 そのリュウグノツカイというお魚もです。
「不思議な魚だね」
「色々と謎が多いですね」
「うん、調べる限り調べたつもりだけれど」
 それでもというのです。
「あまりわからなかったよ」
「そうですか」
「論文にも書いたけれどね」
「よくわからないですか」
「そもそもね」
「そもそも?」
「どうしてあの魚が海面に出て来たら地震とかが起こるのか」
 先生は首を傾げさせつつ言うのでした。
「そのこともわからないから」
「何かそこにもありそうですね」
「深海に行かないとね」
「わからないですか」
「うん、僕も深海に行ったことはないからね」
 世界中を冒険した先生ですがそれでもです。
「だからね」
「そこまでは、ですね」
「わからないよ」
 どうしてもというのです。
「他の深海魚もそうした種類がいるけれどね」
「リュウグウノツカイもそうで」
「まだまだわかっていないんだ」
「だから先生もですね」
「うん、調べているよ」
 実際にというのです。
「研究対象としてね」
「先生は色々調べておられますね」
 トミーは学者としての先生に感嘆の言葉も出しました。
「本当に」
「そうかな」
「いつも論文を書かれていますし」
「日本に来てからとにかく書く様になったね」
「イギリスにおられた頃は違いましたね」
「病院には誰も来なかったしね」
 開業医をしていた頃はです、先生はあの頃を思い出して少し笑いました。
「教授でもなかったから」
「それで、でしたね」
「論文を書くこともね」
「ありませんでしたね」
「今は依頼も来て」
 それで、なのです。
「書いてるよ」
「そうだね」
「うん、そうしてるよ」
 まさにというのです。
「次から次に色々な分野の論文をね」
「書かれていますね」
「そうしてるよ。だからね」
「それで、ですね」
「明日脱稿してね」
 そしてとです、先生はトミーにもお酒を勧めつつお話します。 
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