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機動戦士ガンダムSEED PHOENIX

作者:時風瞬
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PHASE-04 星屑の戦場

-デブリベルト宙域-

「あんまり、成績よくないんだけどね。デブリ戦」

「向こうだって、もうこっちを捉えてるはずだ。油断するな」

「わかってる。レイみたいな口きかないでよ…調子狂うわ」

デブリ宙域ではシンのインパルスとルナのザク、さらにミネルバ所属のゲイツRが索敵をしていた。だが、敵機の姿をまだ捉えられないでいた。

「敵艦に変化は?」

「ありません。進路、速度、そのまま」

「よし、ランチャー1、ランチャー6、一番から四番、ディスパール装填。CIWS、トリスタン起動。今度こそ仕留めるぞ」
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デブリベルトを飛翔する4機のMS。その四機をセカンドシリーズの3機は待ち構えていた。

ガーティ・ルーがアンカーを小惑星から外して移動を始める。
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「議長、それは…」

アスランが議長によって正体を暴かれた件のあと、しばらく誰も言葉を発せなかったがようやくカガリが口を開く。

「ご心配には及びませんよ、アスハ代表。私は何も、彼を咎めようというわけではない。すべては私も承知済みです。カナーバ前議長が彼らにとった措置のこともね。ただどうせ話すなら、本当の君と話がしたいのだよ、アスラン君。それだけのことだ」

デブリベルトを飛んでいるシンは、未だ敵機の反応がないことに焦りだしていた。

「(なんでだ…なんでまだ何も…)」

「インパルス、ボギーワンまで1400。未だ進路も変えないのか?どういうことだ?なにか作戦でも…」

「しまった…!」

「デコイだ!」

こちらを振り返ったタリアに、アスランは「しまった」という表情を浮かべる。
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「よーし、いくぜ!」

「オーケー!」

「………」

デブリベルトに隠れていたセカンドシリーズが飛び出す。

カオスは機動兵装ポッドを射出し、アビスはザフト軍MSの背後からビームとカリドゥスの一斉射を行う。

奇襲に気づいた4機は散開するが、即座に1機のゲイツRが機動ポッドに墜とされた。

「ショーン!…くっ!」

ポッドから放たれるオールレンジ攻撃をルナマリアはザクを駆って避けていく。

「散開して、各個に応戦!」

シンはアビスの第二一斉射を回避しながら指示を出す。さらにポッドからのオールレンジ攻撃を的確に避けていく。

「くそっ、待ち伏せか!…ボギーワンが!?」

「ボギーワン、ロスト!」

「なに!?」

「ショーン機も、シグナルロストです!イエロー62ベータに、熱紋3!これは…カオス、ガイア、アビスです!」

「索敵急いで!」

「ダガー隊発進!ミサイル発射管、五番から八番発射!主砲照準、敵戦艦!」

ガーティ・ルーから低反動砲を装備したダガーLが2機飛び立っていく。

「ブルー18、マークチャーリーに熱紋、ボギーワンです!距離500!」

「ええっ!?」

「さらにMS2!」

「アンチビーム爆雷発射、トリスタン照準!」

「ダメです!オレンジ28にMS!」

「…機関最大!右舷の小惑星を盾に回り込んで!」

ガーティ・ルーから放たれたミサイルがミネルバのエンジンを狙って突進する。ミネルバはCIWSで応戦し、いくつかを撃ち落とすが二発撃ち漏らしてしまった。その二発は小惑星に命中し、小惑星にダメージを与えていく。

「メイリン、シンたちを戻して。残りの機体も発進準備を!マイク、小惑星表面をうまく使って、直撃を回避!」

「「はい!!」」

「アーサー、迎撃!」

「ランチャー5、ディスパール、撃てーっ!」
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インパルスとザクは、カオスのオールレンジ攻撃から逃げ続けていた。

「もらい!」

その背後に回り込んだアビスが、フルバーストを撃つ。

それらはデブリを貫き、デブリに隠れていたゲイツRを撃ち抜いた。

「ゲイル!…あっと言う間に2機も…!」

そこにミネルバから帰還命令が届く。

「ミネルバが…!私たち、まんまとはまったってわけ!?」

「ああ…そういうことだな…けどこれじゃ、戻れったって!」
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ダガー2機のビームが、左舷からミネルバを襲う。それらのビームは外れると、小惑星をどんどん削っていった。

「ナイトハルト、撃て!」

大型ミサイルがミネルバから放たれる。

「後ろを取られては、どうにもできないわ!回り込めないの!?」

「無理です!回避だけで今は!レイのザクは!?」

「これでは発進進路も取れないわ!」
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ガイアがザクの背後から四足形態で迫る。ザクはオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲を構えると、ガイアに向かって撃ちだす。

「ええい!」

だが射撃成績がただでさえ悪いルナマリアの攻撃はガイアに当たることなく、ガイアはデブリを蹴ってザクに迫る。

「なによアンタ達は…この泥棒が!」

迫ってきたガイアに対してさらにオルトロスを撃つ。

「墜とす…!」

ガイアはそれも避け、ビーム突撃銃を斉射する。

インパルスはデブリの中を避けまわっていたが、コロニーデブリの中へとうかつにも入ってしまった。この機を逃さず、アビスとカオスは挟み撃ちにしようとする。

「回り込めアウル!今度こそ首もらおうぜ!」

「僕は別にいらないけど!」

「くそっ、これじゃ位置が…!」

「シン!」

インパルスの前方に、デブリの外からザクがガラスを破って飛び込んできた。ルナの声で意図を察したシンは外のガイアに向けてケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲を撃つ。

「なんなのよ!アンタはまた!」

忌々しげにインパルスに向けて吐き捨てるステラ。

そのころミネルバは、相変わらず敵の砲火に晒されていた。

「粘りますな」

「だが、艦は足を止められたら終わりさ。奴がへばり付いている小惑星に、ミサイルを撃ちこめ!砕いた岩のシャワーをたっぷりお見舞いしてやるんだ!船体が埋まるほどにな!…出て仕上げてくる。あとを頼むぞ」

ネオはまた、デッキへと向かっていった。

「ミサイル接近!…でもこれは…直撃コースじゃない…」

モニターを見ていたアスランがなにかに気づく。

「まずい!艦を小惑星から離してください!」

その声にタリアが応答するまもなく、ミサイルが次々と小惑星に命中していく。

「離脱する!上げ舵15!」

「さらに第二波接近!」

第二波ミサイルも小惑星に命中していく。降り注ぐ岩のシャワーに阻まれ、ミネルバは身動きが取れなくなってしまった。

「スラスター3から6、損傷!」

「進路、塞がれます!」

「さらにMA、MS接近!」

「エイブス、レイを出して!」

「はっ!しかし、カタパルトが…」

「歩いてでもなんでもいいから急いで!シンたちは!?」

「依然、カオス、ガイア、アビスと交戦中です!」

「この艦にはもうMSはないのか!?」

「パイロットがいません!」

「…!」

「艦長、タンホイザーで正面の岩塊を!」

「吹き飛ばしても、それではまた岩のシャワーを撒き散らすだけよ!」

パイロット、という言葉に反応したアスランを、カガリを心配げに、ギルはどこか楽しげに見る。

そうこうしている内にレイのザクが出撃する。

「ミネルバには、ギルも乗っているんだ…絶対にやらせるものか…」
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「クソ、ミネルバが…」

「戻らないと、やられちゃうわよ!」

「わかってる!」

デブリコロニーを突破した二機の直上から、アビスがビーム砲を斉射する。

インパルスはそれを避け、レールガンとケルベロスを3機に向かって撃ちだす。
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「右舷のスラスターはいくつ生きてるんです!?」

「えっ?」

タリアは怪訝な顔で振り向き、アスランを見たあとギルに視線を送る。ギルはタリアに向かって頷き、解答を促す。

「六基よ。でもそんなので出てっても、またいい的にされるだけだわ」

「同時に、右舷の砲を一斉に撃つんです!小惑星に向けて!」

「ええっ!?」

アーサーが信じられないという顔でアスランを見る。

「爆発で一気に船体を押し出すんです!周りの岩も一緒に…」

「バカ言うな!そんなことをしたら、ミネルバの船体だって!」

「今は状況回避が先です!このままここにいたって、ただ的になるだけだ!」

「タリア…」

「確かにね。いいわ、やってみましょう」

「艦長!」

「この件はあとで話しましょう、アーサー。右舷側の火砲をすべて発射準備!右舷スラスター、全開と同時に一斉射!タイミング合わせてよ!」

「右舷側、火砲一斉射準備!」
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そのころ、レイとネオは戦闘に入っていた。アーモリーワンでもあった、互いを引き付けるような感覚が、二人を引き合わせたのである。

ガンバレルからのビームを的確に避けていくザク。

「なんなんだ君は一体、白い坊主君!」

ダガーからの攻撃も避け、ビームをエグザスに撃ちこんでいくレイ。

「チイ!ちょこまかと!」

そのようなイタチごっこが数分続き、いいかげん邪魔なダガー二機をレイが撃とうとした刹那。



予期もしない方向から、六門の砲撃が加えられた。ビームライフルから一門、バラエーナプラズマ収束ビーム砲から二門、クスフィファス3レール砲からも二門、そしてカリドゥス一門から合計六門の砲撃が加えられたのである。それは、かつての名機『フリーダム』のハイマットフルバーストを彷彿とさせる一撃であった。

レイとネオは持ち前の反射神経でそれらを回避したが、ダガーL2機は避けることができずに貫かれ、花火を虚空に咲かせた。

「くそ!今度は何だ!」

ネオが忌々しげに砲撃が加えられた方向を見ると、そこには1機のガンダムタイプが佇んでいた。

「…フリーダム…」

自分の記憶にフリーダムがあるわけではない。だがなぜかその言葉が口をついてでてきた。

その機体は『トワイライトガンダム』。『不死鳥の騎士団』が新たに身に付けた翼。その翼を駆るマユ・アスカは、戦闘宙域での敵勢力牽制、可能ならばMSおよびMA撃破を言い渡されていた。

トワイライトが迫る。エグザスは迫ってくるトワイライトと距離を取りながら、ガンバレルで砲撃を加えていく。レイとマユはデブリの間をかいくぐるようにしながらビームの雨を避けていく。

「やらせはしない!」

マユはしっかりとガンバレルの軌道を見切り、二基のガンバレルを撃ち落とす。レイはミサイルをエグザスに向けて撃ちだしていく。

「一旦下がるか…また会おう、フリーダムもどき君!」

分が悪いとみたエグザスは戦線を離脱する。するとトワイライトはザクに向かってバラエーナを撃ちこむ。

ザクはデブリに逃げ込みながら、デブリの合間からビームを撃ちこむ。トワイライトはザクに向かってもう一度フルバーストを撃ち、岩のシャワーを喰らわせると戦線を離脱していった。
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「ええいっ!」

ルナマリアのザクはアビスに向かってオルトロスを撃つがアビスはこれを難なく回避する。

インパルスはカオスとガイアの二機に向けてミサイルを撃ちこむが、ビームで撃墜されるなど直撃弾は出なかった。

「あいつ…あいつ!」

ガイアがビームの銃口をインパルスに向けて撃とうとしたその時。

デブリベルトの全機に向けて、フェザーファンネルからオールレンジ攻撃が叩き込まれた。ガイアは両腕を撃ち抜かれ、カオスはビームライフルごと右腕を失った。アビスは上半身こそ無傷だが、左ひざから先を撃ち抜かれて失ってしまった。ザクとインパルスはなんとか全弾回避し、この攻撃では損傷を受けなかった。

「きゃあああああああっ!!」

「なんだ!どこから!」

各機の直上から、『フェニックスガンダム』が光の翼を展開して降下してくる。先のトワイライトと違い、フェニックスのことはこの場の誰もが知っていた。かつて連合ザフト双方に攻撃をし、最後は三隻同盟の指揮のもと戦い抜いた三傑の1機。その機体が目の前に現れたのである。

「こんのォー!」

アビスがビームランスを構えて突撃するが、フェニックスはビームサーベルを抜くと逆袈裟斬りの要領で切り上げ、アビスの右腕を切断する。

「なに!?」

そのまま右足でアビスのコクピットに蹴りを喰らわせ、後方へと弾き飛ばす。そこへルナマリアがオルトロスを撃ちこんでくるが、フェニックスは難無くそれを回避すると高速でザクとインパルスに迫り、ビームサーベルでオルトロスとケルベロスの砲身を真っ二つに切断してしまった。さらにザクの胴体に回し蹴りをくらわせて蹴り飛ばし、インパルスにはクスフィファスを至近距離から撃ちこんだ。

「きゃあっ!!」

「うわああ!!」

二機ともそれほどのダメージではないものの、フェニックスのあまりに早い攻撃に対応できず、効果的な反撃に転じることができなかった。

この隙にセカンドシリーズの三機は戦闘宙域を離脱。フェニックスはビームサーベルでインパルスの左腕を切り落とし、右足をビームライフルで撃ち抜いた。

「くっそおおおおおお!!こいつ!!」

シンが反撃に転じようと体勢を立て直すが、ケルベロスを失ったブラストインパルスにはビームライフル程度しかなく、それを避けながらフェニックスは戦線を離脱していった。
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「さて、とどめだ」

「岩塊に邪魔されて、直撃は期待できませんが…」

「いや、それでもいい。こちらのMSも、そろそろパワーが辛くなってくるころだからな」

「ボギーワン、距離150」

「総員、衝撃に備えよ!いくわよ!…右舷スラスター全開!」

「右舷全砲塔、撃てーっ!」

右舷スラスターを全開にすると同時に、トリスタン、イゾルデ、ナイトハルトが一斉射され、爆風でミネルバは小惑星から押し出された。

「回頭30、ボギーワンを討つ!」

「タンホイザー照準!ボギーワン!」

「回避!取り舵ー!」

「撃てーっ!」

ミネルバの最強武装、陽電子破砕砲QZX-1「タンホイザー」が発射される。タンホイザーはガーティ・ルーの右舷をかすめただけだったが、それでもガーティ・ルーは大きなダメージを船体に受けた。

ミネルバとガーティ・ルーがすれ違い、離れていく。

「ええい、あの状況から、よもや生き返るとは!信号弾撃て!宙域を離脱するぞ!」

信号弾がガーティ・ルーから放たれる。すぐにセカンドシリーズの三機は視認できる距離に来た。

「カオス、ガイア、アビス帰投…!全機、大きな損傷を受けています!」

「なんだと!?」

各機が補助ネットに倒れこむように着艦すると、パイロットたちはコクピットから引きずり出され、ゆりかごへと運ばれていった。

「ボギーワン、離脱します」

「インパルス、ザク・ルナマリア機、帰投…インパルスが左腕と右足を失っています!ザクも武装を…」

「なんですって!?」

「艦長、さっきの爆発で、さらに左舷エンジンと熱センサーが…」

「…グラディス艦長、もういい。あとは別の策を講じる。これ以上、アスハ代表を振り回すわけにはいかん」

「…申し訳ありません」
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「本当に申し訳ありませんでした、アスハ代表」

「こちらのことなどいい。ただ、このような結果に終わったこと、私も残念に思う。早期の解決を心よりお祈りする」

「ありがとうございます」

そのころ、メイリンはシンたちを探していた。移動していると、ザフトレッド三人が前方の通路から出てくる。

「シン!お姉ちゃん!レイ!」

ルナマリアはメイリンを抱きとめる。

「お疲れ様、大丈夫?」

「…あんまりかな」

ルナマリアは疲れを隠せない顔で苦笑いした。

そこにカガリ達が通りかかる。

「すでにアーモリーワンへの救援、調査隊が出ているとのことですので、そのうち一隻を、お二方のお迎えに回すよう要請しております」

「ありがとう」

「しかし、先ほどは彼のおかげで助かったな、艦長」

「え、まあ…」

「さすがだね、数多の激戦を潜り抜けてきたものの力は」

「いえ…出すぎたことをして、申し訳ありませんでした」

「判断は正しかったわ」

タリアは優しげに笑みを浮かべながら答える。

「…では!」

敬礼をするとタリアたちは戻っていった。
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「嘘でしょ!?あの騎士団がまた!?」

「事実だろうな。現に俺のところにも未確認のガンダムタイプが襲ってきた。その場にいた全員に攻撃をしかけてきたことを思えば、あの機体もフェニックスの仲間と見ていいだろう」

「レイのところも来たのね…もうシン!インパルス壊したからってあまり落ち込まないの!幸いまだ予備があるんでしょ!」

「いや、だからって…あっ」

たまたま四人が入った部屋にはアスランがいて、鉢合わせてしまった。

「アスラン・ザラさん、ですよね?伝説のエースにこんなところで会えるなんて、光栄です」

みんなが固まっている中、ルナマリアだけは近づいていく。

「…そんなものじゃない。俺はアレックスだよ」

「だからもう、MSには乗らない?」

「よせよルナ。オーブなんかにいる奴に。なにもわかってないんだから」

そういうとシンは部屋を出ていく。

「…失礼します」

後を追うようにレイも出て行った。

「でも、艦の危機は救ってくださったそうで、ありがとうございました」

ルナマリアはそれをみて、敬礼をすると出ていく。メイリンもそれについて行った。
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「えっ?そんなはずないだろう?」

「いや何度も確認した。見てくれ、こっちが二時間前の。今もすこしずつだが、間違いなく動いてる」

「そんなバカな。ユニウスセブンは100年の周期で安定軌道にあるはずだぞ」
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シンは自室で、ピンクの携帯をいじっていた。悲しげな顔で音声データを再生する。

『はい、マユでーす。でもごめんなさい、今マユはお話しできません。後で連絡しますので、お名前を発信音のあとに…』
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凍りついたのは、失われた者達の記憶か
それとも、失った者達の涙か
嘆きの声は今また、アスランの胸をも突き刺す
次回、機動戦士ガンダムSEED PHOENIX『癒えぬ傷痕』
切なる想い、叩きつけろ!ジン!
 
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