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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第1章:平穏にさよなら
  第2話「日常」

 
前書き
伏線とかが苦手なので、展開が読みやすいですが、ご了承ください。



空白期から、前回と同じ人物(主人公)の視点で始まります。

 

 


       =???side=







「―――はっ!?」

  布団から飛び起きる。

「...また、あの夢か...。」

  いきなりミスで死んで、なんか正気じゃない神様二人に消されそうになる夢。不定期だが稀に見るな。

「...ホント、あの後どうなったのやら。」

  実際、僕は転生はしている。あの後気が付いたら赤ん坊だったし、なんか特典みたいなモノも使えた。

「...相変わらず、覚えてないんだよなぁ...。」

  あの光の奔流に飲まれそうになった後の記憶が一切ない。何かあった事は確かだろうけど、本当に一切覚えていない。

「...とりあえず、支度するか。」

  さっさと布団を畳み、服を着替えてリビングへと向かう。





「さーって、今日は...無難な奴でいいか。」

  冷蔵庫から卵やウインナーなど、昼の弁当にありがちな具材を取り出していく。

「~♪~~♪」

  適当に鼻歌を歌いながら、テキパキと二人分(・・・)の弁当を用意していく。

「後は...レタスとミニトマトでも添えようか。」

  色々な具を入れて行き、少し余ったスペースにレタスとミニトマトを入れる。

「.....よし、できたっと。」

  ご飯を敷き詰め、パラパラとふりかけをかけて弁当箱の蓋を被せる。

「次は朝食だな。」

  今度は食パンを取り出し、卵とベーコンも取り出しておく。

「そろそろ起きてくる時間だし、ちょうどいいかな。」

  食パンをオーブントースターに入れ、卵とベーコンをフライパンで焼いていると、寝室がある二階から足音が聞こえてくる。

「...お兄ちゃん、おはよ~....。」

「おはよう緋雪(ひゆき)。もうすぐできるから顔を洗っておきなよ。」

「は~い...。」

  眠たそうにしながら起きてきたのは僕の一つ下の妹である志導(しどう)緋雪だ。いつも朝に弱いので、大抵さっきのやりとりをしている。

「ふわぁ...まだ眠い...。」

「はい、眠気覚ましのアイスコーヒー。」

「ありがと~...。」

  ミルクと砂糖が多めの甘いアイスコーヒーを緋雪は飲み、そこでようやく眠気がなくなったのか、うとうととした雰囲気はなくなった。

「朝食を食べたら着替えなよ。」

「はーい。」

「それじゃあ、」

「「いただきます。」」

  作った朝食を二人で食べる。...両親はもういない。緋雪が小学校に上がる直前の春休みの時、交通事故で亡くなった...とされている。

  なぜ“されている”なのかは、遺体がなぜか行方不明なのだ。これについてはメディアが色々と憶測を立てたりしたが、結局は分からず仕舞いだった。

  結果、僕らは小学生低学年の年齢でたった二人で生きて行くことになってしまった。親戚とかはいたけど、ある程度裕福だったせいか、遺産狙いの人しかやってこなかった。だから、僕はそれらを拒絶して必死に妹と暮らして行けるように頑張った。...前世の経験が生きたなぁ...。

「...ごちそうさま。」

  僕は、未だに両親の事を悔やんでいる。なぜなら、両親がいなくなってしまう事を感じ取っていた(・・・・・・・)からだ。

「(あの時、無理矢理にでも引き留められてたら...。)」

  僕が持っている特典であろう物の一つ、“虫の知らせ(シックスセンス)”は自分にとって不幸な事が起きる際にどこぞのニュータイプのように感知する能力だ。...それが発動したのにも関わらず、僕は引き留められなかった。

「(....っ、ダメだダメだ。しっかりしないと...!緋雪には負担を掛けられない...!)」

  暗い感情を振り切るように頭を振って思考を切り替える。

「....?お兄ちゃん?」

「あ...なんでもないよ。ほら、着替えてきな。」

「はーい。」

  緋雪にも心配されたのできっちりと思考を切り替える。

「さて、僕は洗い物をっと。」

  緋雪が着替えてくる間に朝食の後片付けを終わらせる。

「着替え終わったよー。はい、お兄ちゃん。」

「ほいほいっと。」

  緋雪から着替え終わったパジャマを受け取り、纏めておいた洗濯物と一緒に洗濯機に入れて洗う。

「...うわぁ...髪が...。」

「うおっ、今日は結構ひどいな。」

  洗濯物が洗い終わるまでに歯磨きをして、緋雪の髪を整える。

「自分でもできるのに、なんで僕にやらせるんだ?毎回思うけど。」

「えー?だってお兄ちゃんの方が上手いじゃん。」

  綺麗な背中まである黒い髪を梳かしながら緋雪に聞くと、そんな返事が返ってくる。

「そうなのか?慣れただけだから実感がないんだけど。」

「そうなんだよ。それに、気持ちいいし♪」

  むぅ、男には分からないものだな。

「よし、これでいいだろ。」

「うん!ありがとう、お兄ちゃん。」

「いつもの事だ。別にいいよ。」

  両親がいなくなる前も、何度か髪を整えたりはしてたしね。

「さぁ、学校の準備で忘れ物がないか確認しときなよ。」

「分かってるって。」

  僕も確認しておく。......うん、完璧だな。

「今日の天気は...よし、晴れだな。」

「降水確率も0だって。」

「じゃあ、干しに行くか。」

  天気予報を確認して、ちょうど洗い終わった洗濯物を干しに行く。





「忘れ物はないかー?」

「大丈夫!問題ないよ。」

  洗濯物を緋雪と一緒に干し終わり、鞄を持って玄関を出る。

「うぁー、今日、社会あるんだよねー。」

「苦手科目だもんな。頑張れよー。」

  学校へと歩きながら緋雪とそんな話をする。

「お兄ちゃんは、苦手科目とかないの?」

「うーん...ない、かなぁ?強いて言うなら、英語だね。」

  これでも前世は大学卒業して社会人にまでなってたからね。いくらなんでも小学生の問題で躓かないよ。

「公立の小学校だったら英語はもっと簡単だろうにね。」

「仕方ないよ。今更他の学校になんて行けないんだし。」

  僕達兄妹が通っている学校は、この辺りでも有名な私立の学校だ。親が行方不明になった時、緋雪の入学はもう決まっていたので、ここに通っている。親戚とかは頼りにならないし、今は保護者に当たる人がいないから、転校もする事ができない。...まぁ、お金に関しては平気だったけど。

「あ、もうそろそろ着くよ。」

「そうだね。」

  適当に話していると、僕達が通う小学校、私立聖祥大附属小学校の門が見えてきた。

「じゃあ、緋雪、今日も頑張れよ。主に社会。」

「うっ...が、頑張る...。お兄ちゃんも、また昼休みにね。」

「おーう。」

  下駄箱で上靴に履き替え、緋雪は四年生なので二階、僕は五年生なので三階に行くため別れる。

「おはよー。」

「おはよー志導君。」

  教室に入りつつ挨拶をすると、何人かの人が挨拶を返してくれる。

「なあ、優輝(ゆうき)。宿題、見せてくれないか?」

「...またやってこなかったのか?」

「あっはっはー。....ごめん。」

  友達の一人が僕の名前(優輝)を呼んでそう頼み込んでくる。...いや、謝るくらいなら自分でやってきなよ...。

「計算の仕方がよくわからなくてよー。つい放置しちまったぜ。」

「いや、せめてできないながらもやれよ。うちの妹もそうしてるぞ。」

「うぐっ....。」

  まぁ、緋雪もいやいや言いながらだけどな。

「...はぁ。ほら、提出前には返せよ?」

「わかってるって。」

  そう言って自分の席に戻る友人。それと入れ替わるように一人の女子生徒が近づいてきた。

「...志導君、また宿題貸しちゃったの?」

「一度貸さずにひどい目を見たら懲りるとは思うんだけどねー。ほら、どうも僕はお人好しみたいで...。」

  この性格は前世から続く。どんなに辛い目に遭ってもこれだけは変わらなかったので、そういうものだと思っている。...さすがに人は選ぶけど。

「私が言うのもなんだけど、優しくしすぎると堕落しちゃうよ?」

「...もう、手遅れなんじゃないかな?」

  こういうのはどんどん嵌って行ってしまうモノだ。矯正しようにもできなくなったりする。

「聖奈さんみたいに、ちょうどいい具合に優しくできれば、堕落しないんだろうけどなぁ...。」

「あはは...私の場合はちょっと別の理由があるからかも...。」

「あー...確かに。」

  僕に話しかけてくる彼女は聖奈司(せいなつかさ)さん。背中辺りまであるふんわりとした綺麗な亜麻色の髪にブルーの瞳をしている、この学校で“聖女”の通称で知られている美少女だ。誰にでも優しく、優等生で人望もあるため、相当有名になっている。彼女が言った“理由”も、その有名な事だろう。いくら優しくされるとはいえ、美少女にかっこいい所を見せたいがために堕落はしない。...そんな感じだろう。男子限定だけど。

「まぁ、さすがに何とかするよ。忠告ありがとね。」

「うん。それじゃあ。」

  そう言って、彼女は自分の席に戻っていった。

「このっ、羨ましいぞ優輝!聖奈さんと親しく話せて!」

  すると、すぐ近くで談笑していた男子達の一人が絡んでくる。

「いや、話しかけてくる事はあるんだからそこから話題を発展させれば親しく話せるだろ?」

「それができないから羨ましいんだよ!」

  それただの自業自得じゃね?というか、嫉妬だよね?

「はぁ...。いくら聖祥九大美少女の一人とは言え、会話しようとするだけでテンパったらだめだろ。」

「くっ...!これだから落ち着いた奴は...!」

  聖祥九大美少女とは、この学校でも有名な美少女達の事だ。...うちの妹もその一人だったりする。

「こいつに弱点はないのか...!?」

「いや、弱点ってなんだよ。」

  強いて言うならやっぱり英語が弱点だろうけど...。

「あまり目立たないのが欠点...ではないな。」

「地味で悪かったね。」

  僕の容姿はそこまで良くはない。緋雪曰く、“クラスで三番目の顔”みたいな感じらしい。あ、あと女顔だとも言われる。...まぁ、僕はあまり自分の容姿に無頓着なんだけどね。

「妹の髪は梳いたりするけど、僕自身はあまり整えたりしないからね。」

  ちなみに、あまり整えないのが原因だったのか、前世の学園祭では面白半分で女装させられた事がある。しかもメイド服。学園祭の割に全力で容姿を整えさせられたから少しトラウマだったりする。...しかもなぜかその時の僕を見た男子連中が顔を赤くしてたし。

「くそ、これが兄妹だという事の余裕か...!?」

「志導さんの髪を梳く...だと!?」

  緋雪が求めてくるし、二人暮らしなんだから仕方ないだろ。...とは言わない。言ったら色々と荒れるし。

「はいはい。もうチャイムが鳴るから座れよ。」

「くっ...。覚えておけよー!」

  ありがちな捨て台詞を吐いてチャイムの音と共に席に座る。

「(本気で言ってる訳じゃないからこうやって気軽に話せるんだよなー。)」

  転生して小学生に上がった時は、大人の感性で小学生に馴染めるかなーとは思ったけど、なんだかんだと上手く行ってるからホッとしている。

「(...あいつらは、元気にしてるかな...。)」

  同年代の友人と言うことで、前世の親友たちを思い出してしまった...。いきなり僕が死んだことになって、どう思っているかな...。

「(もう、会えない...それは分かってるんだけど...。)」

  死別した訳じゃない分、前世と今世での両親の死よりも辛い...。

「(...っ、だけど、僕はこの世界で生きてるんだ。だからちゃんとしなきゃな...。)」

  まだまだ引きずってはいるけど、前世みたいに目の前の事に集中しなくては生きていけないしな。







     ~昼休み~





「お兄ちゃん、お待たせ!」

  あれからあっさりと時間は過ぎて行き、昼休み。屋上へと行ける階段で僕は緋雪と合流した。

「よし、じゃあ行こうか。」

「うん。」

  僕らはいつも屋上で二人で食事を取る。...僕が一緒に食べるほど仲のいい友達がいないからなんだけどね...。

「毎回思うんだが、緋雪は僕とじゃなく、他の友達と食べていてもいいんだぞ?」

  緋雪の友達事情は知らないけど、別にボッチって訳じゃないはずなんだけど...。

「私はお兄ちゃんと一緒に食べたいから。」

「そっか。ならいいんだけど。」

  ...ふと思ったんだけど、どうしてここまで緋雪に慕われているんだ...?

「(普通の妹ならともかく、転生者(・・・)ならここまで慕うなんて...。)」

  ...まぁ、嫌われてるわけじゃないからいっか。

「(例え転生者でも、家族としてここまで慕ってくれてるんだから、それでいいよな。)」

  なぜ緋雪が転生者か分かったのかは僕のもう一つの特典であろう物、“キャラクターステータス”のおかげだ。これは、“視よう”としたらゲームとかのキャラクターのようにステータスが分かるような能力だ。頭に思い浮かべるだけにもできるし、パネルのように目の前に表示することもできる。人の個人情報を覗いてしまってるようで、今では視るべき相手以外は視ないようにしてるけど。

  ちなみに、緋雪のステータスはこんな感じだった。

     志導 緋雪(しどう ひゆき)
   種族:人間(吸血姫) 性別:女性 年齢:9歳
   プロフィール▼
   称号:転生者▼、ブラコン▼、吸血鬼の姫君▼、悲■にて■■し
   ■■き■、■■、■か■■者
   アビリティ▲
    吸血鬼化▼、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力▼、
    洗脳・魅了無効化▼
   スキル▲
    スペルカード(12)▼、闇耐性C(S)、魔法耐性D(B)、精神操作
    耐性EX、火属性強化E(C)、闇属性強化C(A)、光耐性弱化E(D)、
    魔法技術E(A)、知識吸収C(A)、狂気E(D)、見稽古D(B)、
    直感C(S)、自然治癒力強化C(S)▼
   ステータス▲
    Level:4 種族レベル:23(50)
    体力:100(1000) 魔力:500(3500) 筋力:45(450) 耐久:30(300)
    敏捷:40(350) 知力:40(100) 運:15(20)
   概要▼

  一部分、なぜか分からない所があるけれど、僕も自身の特典について全部分かってるわけじゃないからどうしようもない。

「(“悲”ってついてる時点でなにかやばそうなんだけどね...。)」

  分からないものは仕方ない。という事で放置している。

「(...大丈夫。いざとなれば虫の知らせ(シックスセンス)が知らしてくれるから。)」

  そう考えて正当化してるけど、実際はどうしようもないだけなんだよね。

「...お兄ちゃん?どうしたの?ボーッとして。」

「あっ、いや、なんでもないよ。」

  いつの間にか弁当を食べ終わってボーッとしてたみたいだ。

「....あ、またやってる...。」

「うん?....あー...。」

  緋雪の見ている方を見ると、黒髪の少年と銀髪の少年が言い争ってた。傍らには何人かの女子達がいる。

「...迷惑だよな。ああいうの。」

「...うん。あ、聖奈さんが止めに行った。」

  再び見たら、聖奈さんが二人を止めに入っていた。やんわりと止められたからか、二人とも案外すんなりと引き下がる。

「聖奈さんがいなければどうなっていた事やら。」

「うるさいままか、私とお兄ちゃんが止めに行ってたね。」

  うん。考えてた事ぴったりだな。上級性として注意するべきだと思ってたし。

「...ま、いつもの事だ。...嫌だけど。」

  これが僕達の日常。日常になって欲しくない部分もあるけれど、僕達はこの日々を享受している。







   ―――まさか、近いうちに非日常に巻き込まれるともつゆ知らずに。





 
 

 
後書き
虫の知らせ(シックスセンス)…自身にとって不幸な事が起きる要因が発生するとき、察知できる能力。一応、誰が要因の中心かは分かるらしい。

キャラクターステータス…対象の人物のステータスが分かる能力。相手を“視よう”と思えば発動する。脳内に思い浮かべる事も、パネルのように表示する事もできる。パネルの場合は他人にも見えるようにする事が可能。表示の際の▼は、表示を省略しており、▲だと表示している事を示している。伏字のものは未だに覚醒していないもの。表示するものは必要な部分だけなため、結構使い勝手がいい。



上手く描写できてるかが不安です。ちなみに、緋雪のステータスの括弧については、アビリティの吸血鬼化を使った際のステータスです。
ちなみに一般男性の平均値↓
体力100 魔力0 筋力50 耐久50
敏捷50 知力50 運10

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