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詩集「棘」

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残像



濡れる月草…くすんだ青
暮れゆく夏の雨の朝
あれだけ響いた蝉の声は
もうここには届かないよ…

想いは僕を縛りつけて
身動ぐことさえ出来ないよ
細々と鳴く虫の音に
なぜか心が痛くなった…

降り頻る残像 君の姿
何度も映し出しては消えてゆく
燦めいた残像 君の笑顔
どうしたって忘れること出来ず
苦しくても…哀しくたって…
君に会いたいんだ…


歪な世界の輪郭は
いつしか淡く滲んでゆく
人の気も知らず ただ時は
悠々と流れてゆくだけ…

一瞬の幻が過る
もしかして…なんてないけれど
頭で解ってたとして
恋しい気持ち変えられず…

夕焼けの残像 君の影
切なく見送った後ろ姿
月影の残像 君との日々
夢見たって取り戻せやしない
分かってる…それでも願う…
君と生きたいんだ…

降り頻る残像 君の姿
何度も映し出しては消えてゆく
燦めいた残像 君の笑顔
どうしたって忘れること出来ず
苦しくても…哀しくたって…
君に会いたいんだ…

君をずっと待っているよ…



 
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