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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第20話 暗躍する影、新たな転生

「行きたい!!行きたい!!」

駄々をこねるライ。

「今日は無理だって!!明日に行くからいい加減我侭言うな!!」

なぜこのような状況に陥っているかというと、昨日の夜に見たCMが原因だったりする………





『ゴールデンウィークにゴットスライダーついに解禁!!君はこのスピードに耐えられるか!!』

「うわぁ………」

目をキラキラさせてCMを見ているライとセイン。

ライは絶叫系が大好きだったりする。

前に遊園地に行ったとき、ライは絶叫系ばっかりに乗るため、俺や星、夜美は全く楽しめなかった。
以来、遊園地にはなるべく遊びに行かないようにしていたんだが………

セインはライと一番気が合う仲だ。
恐らくライと似たような状態になる気がする。

「すごいねぇ!ライ」

セインもやっぱり興奮しているようだ。

なんか嫌な予感が………

「ねぇレイ………」

「今日は行かないぞ………」

「分かってるよ。今21時だよ」

「で、何だ?」

「行かないぞって言っている時点で分かってるくせに………」

ちっ、余計な事を言ってしまったな………

「だってお前行くと止まらなくなるじゃないか!俺たちどれだけ大変だったか………」

「でもセインも行きたそうだよ………」

そう言われてセインを見る。
ウルウルと泣きそうな顔で俺を見る。

「………行きたいのか?」

まぁ気づいているけど………

コク。

頷くセイン。

「………分かった。じゃあ明日行くか………」

しょうがない、また明日気張るか。

「ありがとう!!レイ、大好き!!」

そう言いながら飛びつくライ。
嫌じゃないんだがな………

他の人たち(主に星と夜美)の視線が痛いからやめてけれ………

俺達は明日、遊園地に行くこととなった。




………だが、

「………雨か」

そう今日はあいにくの天気は雨。

それもザーザーとどしゃ降り。

で、最初に戻ります。

「大丈夫だよ!!これくらいの雨なら普通にやってるよ!!」

「やってるか!!どう考えたって休みだよ!!」

涙目になりながらもライは諦めない。

しかも時間を考えて欲しい。

朝の5時半って馬鹿ですか?
俺の部屋に押し入りやがって………

いつもはギリギリまで寝てるくせに………

「行ったら止むもん!!だから………」

「………今携帯で天気見たら今日は一日中80%だって」

「レイの………バカ!!!!」

平手を俺に食らわせ、俺の部屋を出ていったライ。
俺のせいじゃなくね!?

叩かれた所を抑えながら俺は呆然としてた。





「はよ~」

「おはようございます。今日は随分と遅いですね」

「いや、朝方ライが俺の部屋にやって来て、『今日雨降ってるけど遊園地行くよね!?』って俺を起こしてきたから………」

「二度寝したんですね………」

呆れながら言う星。

「全く………楽しみにするのは構わないけどさ」

「かわいいじゃないですか」

「そのかわいいライはどうしたんだ?」

リビングを見るとライの姿が見えない。

「………朝からセインと部屋でずっとてるてる坊主作ってます」

「………大丈夫かあいつら」

「雰囲気が恐くてとても止められませんでした………」

どんだけ行きたいんだよアイツらは………

「分かった。俺が部屋に行ってみるよ」

「お気を付けて………」

普通、よろしくお願いしますじゃね?
少々不安を覚えながら俺はライの部屋に向かった………






「………これは」

思わず絶句してしまった………
床を埋め尽くすてるてる坊主達。

未だに二人は手を止めていない。恐らく俺が入ってきていることにも気づいていないのだろう………

「おいライ、セイン」

「「………」」

「無視するなって!!」

「「………」」

「おい!!!」

「「………」」

こちらに全く気づいていない。
というよりもはやてるてる坊主を作ることにしか興味がないみたいだ。

そんな様子をみて居ても立ってもいられなくなった俺は思わずライを抱きしめてしまった。

「えっ!?レ、レイ!!何してるの!?こんなに明るいときにダメだよ………」

「俺が悪かった!!ちゃんと明日は遊園地にも行くようにする!!だから帰ってきてくれライ!!」

「な、何を言ってるのレイ。わ、私は正気だよ。ど、どうしたのレイ?」

少し緊張した声でライは言う。

「お前気づいてないのか?今まで何をしてたのかも分かってないみたいだな………」

俺はライから離れる。
ちょっと残念そうな顔をしているような気がするが気のせいだろう。

「周りを落ち着いて見てみろ」

ライは言われた通りに周りを見る。

「えっ!?何これ!!」

自分の部屋の状態にやっと気づくライ。

「セイン!!何やってるの!?」

セインは未だにてるてる坊主を量産している。

「セイン!セイン!!」

「………」

ライが声をかけても反応がない。

「レイどうしよう!!セインが!!」

しょうがない………ライでうまくいったし、セインもうまくいくだろ。

俺はセインに近づき、ライと同様に抱きしめた。

「レ、レイ!?」

どうやらセインも元に戻ったらしい。

いやぁ良かった、良かった。

「な、な、何をしてるの!!」

ライが叫び声を上げながら俺とセインを引き離す。

「男の人に初めて抱きしめられた………」

「セイン!!大丈夫!!」

「えっ!?私はいつも通りだよ?」

お前も同じか………

「セイン周りを見てみて」

ライにそう言われセインは自分の周りを見てみる。

「うわっ!?何でてるてる坊主がこんなにあるの?」

「私も分からない………幽霊の仕業かな………」

「………」

俺は頭を抑えながら二人のアホな会話を聞いていた。

「………二人とも正座!!!」

俺の大声に二人は慌てて正座する。

「お前たちは自分たちが何してたか分かってるのか?」

「「いいえ………」」

そんな二人に俺は今日の事を説明した………





「「ごめんなさい………」」

「まぁ、分かってくれればいいが………」

このてるてる坊主どうするんだよ………

取り敢えず大きなゴミ袋に無理やり詰めた。
袋、5個分になったが………

どんだけ紙無駄にしたんだよ………

「ねぇ、レイ………」

ライがおずおずと俺に話しかけてくる。

「明日、遊園地行くよね………?」

「………行くよ」

今回は少なくとも俺にも非があると思ってるしな。

「………本当に?」

「ああ」

「………絶対?」

「ああ」

「………嘘じゃない?」

順番に俺に聞いてくる二人。

「本当だ!!明日は必ず行く!!だから今日はおとなしくしとけ!!」

「「うん………!!」」

二人とも嬉しそうだな。
明日は覚悟するか………

「ねぇ、レイ………」

「?どうしたんだセイン?」

もじもじと俺に話しかけるセイン。

「あの、ありがと………」

「どういたしまして………さてリビングに出て星達にも挨拶しないとな」

「「うん!!」」

こうして三人は部屋を出た。






「………どうだ?」

『能力正常………AMF展開可能………スキル魔力吸収発動可能………』

「どうやらうまくいったようだ」

男、クレイン…アルゲイルはディスプレイに浮かんでいるデータを眺める。

「さて、前の教訓を生かし、魔導師の弱点となるスキル魔力吸収がどこまで使えるか。また実験をしてみるか………」

そしてクレインは違うデータを見る。

「黒の亡霊………その場で急に転移するだけでなく、特殊なバリアと頑丈な装甲に守られた特殊な能力。魔力ランクはS+ほど………これほどの相手はいないだろうな」

クレインはニヤリと笑みを浮かべる。

「どのくらい彼に通用するか楽しみだ。プロト2この魔力をたどって彼を殺せ」

『イエス、マスター。』

そう言われた女性、プロト2は入っていた生体ポットから出てくる。

「さあ、楽しませてくれ黒の亡霊よ………我が望みを叶えるために!!」

男はその場所で笑い続けているのだった………










「さて、話はこれくらいじゃ。それではお主等にはリリカルなのはの世界に転生してもらう」

「リリカル?」

「なのは?」

「おや?知らないのかの………まぁ行けばわかるじゃろ」

「嫌そんなこと言われても………」

「なんだか不安………」

ここは零治達が転生する前にいた場所。
そこに新たな二人の男女がいた。

「それでは特典として3つお主達の願いを叶えてやろう。ただしわしに叶えられる願いだけじゃ」

「えっと………」

「いきなり言われてもな………」

二人ともいきなりの展開に驚く。

そして男が口を開く。

「えっと、一つ聞きたいんだけど、俺達以外に転生者っている?」

「おお、おるぞおるぞ。ただし別の世界のリリカルなのはの世界じゃがな」

「その人たちの名前は?」

「名前か?確か………佐藤考輔と神崎大悟と言ったはずじゃの………」

その名前を聞いて二人は驚く。

「兄………さん?」

「何で考輔が………」

「ん、知り合いかの?………そうかその娘は零治の妹か」

「零治って?」

「ああ、転生した世界で名乗っている名前じゃよ。有栖零治と名乗ってるよ」

「有栖………零治?」
「あいつ生きてるのか!?」

「そうじゃ。………それで願いはどうするのじゃ?」

神様はきりが無いと思い、そこで話を止め、無理やり聞いた。

「願いか………」

男の方が再び考え始める。

「じゃあ、まず一つ。俺と加奈を考輔のいる世界に転生させてくれ」

「………二人は無理じゃな。一人なら問題ないが………」

「なら私も同じお願いでお願いします」

「分かった、それならOKじゃ。………それでは二つ目の願いはなんじゃ?」

「二つ目は転生した場所を考輔の近くの場所にしてくれ」

「だが二人は………」

「私も同じで!!」

神様が話そうとしたところを女の子が遮る。

「………分かった、そうしよう。それでは最後はどうするのじゃ?」

「………その前に聞きたい。転生した時の年齢ってどうなるんだ?」

「年齢は物語の始め、8歳になるはずじゃ」

「なら願いは考輔と同じ年齢にしてくれ」

「私もそれで………」

「………了解じゃ」

そう言って神様はなにやら呟き始める。
しばらくたち神様が口を開いた。

「完了じゃ。転生したとき、零治と同じ14歳で転生されるじゃろ」

「そうか………」

「ありがとうございます………」

女の子は神様に頭を下げた。

「構わん。わしが好きでやっていることじゃ。………しかし零治と同じく欲がない奴じゃの」

「あの………兄はどんな願いにしたんですか?」

「ああ、零治はまだ1回しか願いを言っておらんよ」

「「えっ!?」」

「もう一人の方はチートな能力を頼んだのじゃが、零治は時間をかけても出てこなかったから保留にしたのじゃ。まぁ一回は使ったのじゃが………」

「そうなんですか………まあ兄さんらしいです」

少女から笑みがこぼれる。
男は逆に呆れているが。

「それじゃあ、デバイスを渡すぞ」

「「デバイス?」」

「説明面倒じゃの………デバイスはあっちの世界の武器みたいなものじゃ。各自好きな能力を考えておくが良い」

「戦いがあるのか!?」

「それはお前たち次第じゃ。関わらなければ戦いをせずにも済むじゃろ。ただし零治は戦いに巻き込まれているがの………」

「そんな………」

「考輔………」

二人に重苦しい雰囲気が流れる。

「まぁ、零治なら大丈夫じゃ。あ奴には頼もしい仲間も大勢居るしの」

二人ともその話を聞いて安心する。

「おっと、もう時間じゃ。すまんが早速行ってもらうぞ。まず着いたらデバイスの能力を考えておくことじゃ」

「ってデバイスは?」

「おっと、こりゃすまん忘れておったわ」

神様は男に言われ、慌てて懐から首飾りと腕輪を取り出した。

「首飾りをお主に」

首飾りを少女に渡す。

「腕輪はお主に」

腕輪を男に渡した。

「首飾りの名前はエタナド」

『よろしく頼みますマスター』

「よ、よろしく………」

「腕輪はレミエル」

『よろしくなの』

「あ、ああ、よろしく頼む」

二人はそれぞれデバイスがしゃべることに驚く。

「今度こそ大丈夫じゃな。それじゃ、頑張れ若人」

手をかかげる神様。
二人の目の前が真っ暗になった………

「まさか零治の知り合いじゃったとはの………さてあいつがどんな表情をするか楽しみじゃの」

神様は誰もいないその場で呟いた。


こうして佐藤考輔の妹、佐藤加奈と考輔の親友加藤桐谷は考輔のいるリリカルなのはの世界に転生した。 
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