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星の花

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2部分:第二章


第二章

「それじゃあ」
「けれど輝くものはあるじゃないですか」
「夜にかい?」
「はい、ありますよ」
 それはあるとです。主に言うのでした。
「ちゃんと」
「何があるんだい、一体」
「まず月があるじゃないですか」
 最初に出したのはそれでした。
「月が」
「月かい」
「あの光もいいじゃないですか。とても奇麗で」
「けれどあれは月の女神のものじゃないか」
 夜の神は項垂れて梟に言い返しました。
「そうだろ?だからあれは」
「ええ、そうですね」
「何だ、わかってるじゃないか」
「他にもあるじゃないですか」
 梟はまだ言います。
「ちゃんと」
「あるって」
「夜空に他には何がありますか?」
 こう夜の神に尋ねます。
「お月様の他には」
「ええと、月の他には」
「月の他に輝くものですよ」
「ああ、それなら」
 こう言われてです。夜の神も気付きました。それは。
「星だね」
「はい、星がありますよね」
「それも一杯ね」
「色も様々ですしいつも輝いていますし」
「じゃあそれを贈れっていうんだね」
「はい」
 まさにその通りだと。梟は言いました。
「それでどうですか?」
「よし、そうだね」
 夜の神の声も強いものになっていました。
「それじゃあその星を一杯集めて」
「そして贈るんですよ」
「そうしようか。ただ」
「ただ?」
「思うんだけれどね」
 ここでまた弱気な顔を見せる夜の神でした。そうして梟に対して言います。
「そのまま贈っても駄目なんじゃないかな」
「星達をですか」
「少し芸がないんじゃないかな」
 こう言うのです。
「それは」
「駄目ですか」
「ううん、印象が弱いっていうか」
 これが夜の神の考えでした。
「そう思うんだけれどね」
「そうですかね。私は充分だと思いますけれど」
「いや、弱いよ」
 夜の神はまだ言います。
「やっぱりね」
「じゃあどうされますか?止めますか?」
「星を贈るのをかい?」
「はい。それで別のものにしますか?」
「いや、それは止めておこう」
 夜の神はそれはしないというのです。
「それはね」
「じゃあ本当にどうするんですか?」
「星は贈るよ」
 それは決まっているというのです。夜の神の中では。
「それはね。ただ」
「そのまま贈るのはですか」
「だから何とかしないと」
 こう言うのでした。
「それでどうしたらいいかな」
「それじゃあですね」
 梟はここでまた知恵を出してきました。夜の神の為に。
 
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