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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ソードアート・オンライン】編
  091 いざ再転生

 
前書き

何〝編〟かはもう出ているかもしれませんが…。 

 

SIDE 升田 真人

和人(かずと)真人(まこと)、この娘が新しい家族──今日からあなたの妹になった、直葉(すぐは)よ。……今日から和人もお兄ちゃんね。だから直葉と仲良くするのよ? ……いい?―

―うん! 直葉──スグよろしくね!―

―おにいちゃん? ……ねぇママは?―

―っ!? ……今日からおばさん──私が新しいママだから…っ―


「……思い…出した…」

〝今世〟の記憶を思い出しながら身体を起こせば、清潔さを表している〝白色〟が目に入ってきた。……どうやらミネルヴァさんの言っていた通りな感じに、無事再転生を果たせたらしい。

「……さて、ここは…? ……第一候補は病院ってところか」

一番最初に入ってきたのは〝白色〟、それに病院特有の消毒液やらをごった混ぜにした様な匂いが鼻腔をくすぐる。……なので、取り敢えず第一候補として病院を挙げた。……俺の居る病室の〝感じ〟を見れば、俺が居る時代も何となく推測出来てきた。

「……時代は大体平成と云ったところで、〝今の俺の〟名前は〝升田(ますだ) 真人(まこと)〟。年齢は5歳になって半年と云った頃か…。……把握した」

〝平賀 才人〟になった時の──あの頭に直接知識をぶちこまれた時の様な頭痛は無い。……これはミネルヴァさんの言っていた通りで、なんと無しに〝現状〟を理解出来ている。……ミネルヴァさんが言っていた通り、〝慣れとは怖いものであると並びに、役立つものである〟とはこう云う事を言うのだろう。

「さて、今の出来る事は──ナースコールを押すことか」

有言実行、ナースコールを押す。ナースを待っている間、なんだか手持ち不沙汰になったので再転生に至るまでのミネルヴァさんとの会話に思いを馳せる事にした。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE 升田 真人

「何を考えて項垂れて居るかは推して知るが敢えてここはスルーさせてもらおうか。……さて、お主──また一度転生してみないか?」

「はぁ…。……て──また一度転生? ……いきなりの呼び出しにいきなりの提案だ。勿論の事ながら詳しい説明はしてくれるんですよね?」

ミネルヴァさんは俺の鸚鵡返し+俺の問いに「うむ」と一つだけ鷹揚(おうよう)頷くと説明してくれた。曰く…


・とある転生者が事もあろうに〝主人公の抹消〟を願った。……それにより、〝その世界〟で死ぬはずが無かった数千人が死ぬ事になってしまう──かもしれないらしい。……このままでは部署的(?)に、その死んでしまう(かもしれない)数千人はミネルヴァさん処理する事になるので、その〝面倒〟が起こる前に俺に協力して貰いたいとの事。

・ミネルヴァさんがその世界に干渉しないのは、〝干渉したくない理由〟があるらしくギリギリ出来るのは、俺を〝それっぽい立ち位置に転生者として捩じ込む〟事くらいなものらしい。

・一応ミネルヴァさんは、俺に依頼している立場なので、〝後払い〟だが、〝特典(ほうしゅう)〟は貰える。……この時点で〝再々転生〟が決定している可能性があるのは気付いて無い振りをしておく。

「……まあ、色々と突っ込みたいけど、この際置いときましょう。……転生するのは取り敢えず了解しました。ですが、転生した後の〝あの頭痛〟と幻想郷に置きっぱなしになる〝店〟ってどうにかなりませんかね?」

「……そこら辺については案ずるな。お主は1度転生しとるから〝慣れ〟が有るはずじゃし、〝現人神(あらひとがみ)〟になってからは魂的な容量も上がっているはずじゃからたった数年程度の〝記憶〟なら受け入れれるはずじゃ。それに、転生する時期を幾らか早める事によって、更に緩和が可能なはずじゃからそうしておこう」

「……【満足亭】は…?」

「お主も一応〝神〟の端くれじゃろうから、〝分社〟を造って〝分霊〟を置いておけば大丈夫じゃろう」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

それから〝幻想郷〟に一度帰してもらい、俺が〝幻想郷〟に居られない時間の分──【満足亭】を、分霊──もとい“別魅”に任せたり、輝夜達に〝(ほんたい)〟は別の世界に行く事なった事を伝えたりする時間は出来た。

……その時、紆余曲折を経るのだが今は関係ない話である。

閑話休題。

その後はナースが来て今生の母親──母さんに連絡がいっててんやわんやとなるのだが、今は身体が幼児並みに縮んだ事による弊害なのか、急激に襲い掛かってくる睡魔と闘う事に全神経を費やすのだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

俺が転生を自覚して半年の月日が流れた。その半年で判った事がいくつかある。……まずは〝升田家〟の事。退院して家を見た瞬間に判った事だが──この家が〝中々の〟資産家である事が判明した。その次家族構成。父母の両親に、俺(8)、弟の和人(6)、妹の直葉(5)の──2男1女の5人家族である。

……妹の直葉は、〝妹〟とは云っているが実は従妹(いとこ)であり、直葉の本当の両親──桐ヶ(きりがや)夫妻は、既に鬼籍に入っている。交通事故だったそうだ。

……その時直葉は升田家に預けられていたので、直葉だけは無事だった模様。

閑話休題。

「うわぁぁぁん! カズ兄ちゃんがアリスをとったぁ~~っ!」

「駄目じゃないか、直葉にお人形──アリスを返してやりな? ……和人はもうすぐ小学生の良いお兄ちゃんだから出来るよな?」

「……うん…」

さてそんな身辺の説明している土曜日の午後。俺は〝平賀 才人〟だった頃の様に鍛練に勤しむわけでも無く──我が家を空けやすい両親に変わって和人と直葉の面倒を見ていた。……こう見えてもハルケギニアでは子供を一端(いっぱし)の国王にすら育て上げた事が有るので、下の兄妹を見るくらいならわけ無い。

「で、和人はなんで直葉が大事にしているお人形(アリス)を奪っちゃったんだ?」

「スグがアリスばっかりに構うからおれと遊んでくれなくなると思って…。……ひっぐ、ひっぐ…。……それで…」

「それで奪っちゃったんだな?」

俺は〝平賀 才人〟であった前世にしろ、前々世──〝升田 真人〟あった時にしろ一人っ子だったので、こうしていると俗に云う〝ブラコン〟や〝シスコン〟の気持ちが判る気がしてきた。……もちろんの事ながらそこまで重度のモノでは無いが。

「ごめんね、スグ」

「……和人は謝ったけど、直葉はどうかな? ……俺にすれば、どうしても許せなかったとしても直葉には和人を許してやって欲しいんだけどなー。……和人を許してくれる升田さん家の直葉ちゃんはどこかに居ないかなー?」

「……私、カズ兄ちゃんを許す。……だから…一緒に遊ぼ? あ、もちろん、まことお兄ちゃんも!」

「お、良いな。じゃあ何して遊ぼうか?」

「わたし、ご本を読んで欲しいなっ!」

「じゃあ読んで欲しいご本を取っておいで。あ、走っても良いけど足元には気をつけてな」

「うんっ!」

――ダダダダダッ

「……和人」

「っ!? まこと兄ぃ、ど、どうしたの?」

直葉は物凄い勢いで走り、自分の部屋に読んで欲しいらしい〝ご本〟──もとい、絵本を取りに行ったのを確認して和人を呼び止める。……和人はまた俺に叱責されると勘違いしたらしく、身体をびくん、と震わせる。

「いや、別に怒ってるわけじゃあないんだ。寧ろ直葉にお人形(アリス)を直ぐに返してくれたからありがとうって言いたかったんだ。……それに和人は絵本を読むより、他に俺とやりたい事が有ったんだろう?」

「うん…」

「和人は偉いな。立派なお兄ちゃんだ。……だから今度は和人がやりたい事をやろうか。もちろん直葉も一緒に」

「うん…っ!」

撫でてやると和人はぱぁ、と効果音が付きそうなほどの笑顔を向けて来た。……特に何でも無い土曜日の午後の出来事だった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

早いもので、俺が10歳に──和人は8歳、直葉は7歳になった。その間、両親からはさすがに俺の態度の〝おかしさ〟に疑問を持たれていたらしく、転生者だと話す事になったりした。その際…

―え、魔法使いだったの? 見せて見せて! ……え…? お嫁さん達の写真も有るの? 写真プリーズ! ……真ん中の黒髪の男の人が前世の真人? で、周り居るのがお嫁さん? ……きゃ~、可愛い~~!―

―ほう、3人もの妻──それもどれもこれも目も覚める様な美人さんを(めと)ったハーレム野郎か。……砕け散れ──あ、出来ればその女運を分けて下さいお願いします。〝キャバクラ(とある飲み屋)〟のねーちゃん達にちやほやされた…―

―面白い冗談ね、あ・な・た? ……詳しく聞かせてくれるわよね? なんなら〝今夜は寝かさないぜ~もう一人いかがかな~〟コースでも私は一向に構わないわよ? ……真人も家族が増えるの嬉しいでしょう?―

―イエス・マム―

―いや、母さん体力オバケだからちょっとそれは…―

―うふふ―

前世の記憶について説明している内に有耶無耶(うやむや)になって流れた。……それからそれ以上には突っ込んできて無いので、両親からしたら転生云々はどうでも良い話なのだろう。

……凄惨たる笑みを浮かべながら、父さんを引っ張っていく母さんに戦慄したのは記憶に新しく──そして〝母に逆らわざるべし〟と〝深ぁ~く〟刻み込んだのは言うまでもない。

閑話休題。

……ちなみに、その翌日やたら艶々(つやつや)した母さんと──それに反比例して、やたらげっそりした父さんが居て和人達に心配されたりしたのだが〝おめでた〟は無かった模様。……さりげなく父さんに“ベホイミ”を掛けてやった俺は悪くないと思う。

また閑話休題。

とにもかくにも、懐が深く、〝転生者〟なんてイレギュラーに愛情を注いでくれる両親には多大なる感謝をするのだった。
……それを(かんが)みれば鍛練に当てる時間が(いちじる)しく減ってしまったのは、仕方ない事なのだろう。

SIDE END 
 

 
後書き

というわけで、新章は【SAO】編です。
 
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