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歌集「春雪花」

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 淋しさを

  埋められもせず

   君 想い

 会えしことをば

     思い返さん



 毎日を坦々と遣り過ごしている様でも…淋しさがなくなる訳ではなく、結局は彼のことばかりを考え続けてしまう…。

 刹那の幻の様に…たった数分だけしか会えなかったあの時を、繰り返し思い出す…。

 これが今の私の…生きるよすがなのだ…。



 花咲かず

  実を結びもせず

   立ち枯れて

 虚しく聞くは

     蝉時雨かな



 もはや花を咲かせることもなく、実を結ぶこともなくなった林の中の老木…もうすでに枯れ始めているようだ…。

 それはまるで私の様でもあり、そこには蝉時雨だけがそぼ降っていた…。

 余りに対照的で、余りに虚しく…自分の有るべき必要性を考えてしまう…。

 どんなに想っても…彼に私は不必要なのだ。
 どんなに愛しても…彼が私を愛してくれることはないのだから…。



 
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