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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another44 光子郎

 
前書き
その頃光子郎は 

 
光子郎「…誰もいない…テントモン。早く」

テントモン[は、はいな…]

自宅に帰宅した光子郎は両親がいないことを確認し、すぐさまテントモンを自室に迎え入れた。
久しぶりの自分の部屋に安堵感が、光子郎を包み込んだ。

光子郎「ふう…」

テントモン[ここが光子郎はんの家でっか……]

テントモンが部屋を眺め回した直後に部屋をノックされた。
いきなりのことに驚いた光子郎は一瞬肩を揺らした。

光子郎「は、はい!!」

テントモン[ど、どうしましょ!!]

光子郎「だからD-コネクションから出ないでって言ったんですよ!!早くD-コネクションの中に入って下さい!!」

テントモン[はいな!!]

D-コネクションの中に吸い込まれていくテントモン。
光子郎はテントモンがD-コネクションの中にいることを確認して、扉を開けた。
そこには光子郎の母、泉佳江がいた。

佳江「あら!?帰っていたのね」

光子郎「た、ただいま!!キャンプ、中止になりました!!」

後ろ手にD-コネクションを隠しながら、事情を言う光子郎。

佳江「そうなの…ところでどうかしたの?」

息子の様子が少しおかしいことに気づいた佳江は光子郎に尋ねる。

光子郎「どうもしません」

佳江「あら、そう…」

息子の素っ気ない言葉に佳江は悲しそうに微笑みながら部屋を後にした。






























しばらくして、母がいなくなったのを確認をして、光子郎は溜め息を吐いた。

光子郎「ふう……」

テントモン『何や、久々の再会やと言うのに素っ気なくあらしませんか?』

D-コネクションの中にいるテントモンが首を傾げながら尋ねる。

光子郎「いえ、そんなことは…」

テントモン『?』

それだけ言うと光子郎は黙ってしまった。
疑問符を浮かべるテントモン。
光子郎の脳裏に父と母の会話が蘇る。

































佳江『ねえ、あなた。いつになったらあの子に本当のことを……』

政実『もう少し待とうじゃないか。今話せば光子郎はきっとショックを受ける』

佳江『でもあの子……気付いてるんじゃないかしら……自分が私達の本当の子じゃないってこと……養子だってこと』

政実『何か……あったのか?』

佳江『具体的に何かある訳じゃないんだけど……』

































テントモン『光子郎はん…光子郎はん!!大丈夫でっか?』

光子郎「…ええ……」

テントモンの声にハッとなった光子郎。
少し間を置いて返事をする。
ふと窓を見遣ると、見知った少年がいた。
確かあれは…。

光子郎「ルカ…君?」

大輔とアインスの知り合いのルカ・ハラオウンだ。
隣にはスバルもいる。
買い物の帰りだろうか?

光子郎「すみませんお母さん!!僕少し出掛けます!!」

佳江「え?ええ…」

急いで外に出る。
今なら急げば間に合うはずだ。






























スバル「あれ?ルカ兄、あれ光子郎さんじゃない?」

ルカ「おや、本当ですね?どうしたんでしょうか?」

大量のコンビニ弁当の入った袋を持った2人が振り返り、光子郎の姿を発見して首を傾げた。

光子郎「はあ…はあ…良かった。間に合って」

ルカ「どうしたんですか?そんなに慌てて」

光子郎「あ、いえ…用事があるわけではないんですけど…」

ルカ「はあ?ではそちらのベンチに座りましょうか」

近くのベンチに座る。
ルカはコンビニ弁当の封を開けると食べ始める。

ルカ「それで?どうしたんですか?そんなに慌てて?」

光子郎「あ、ええと…」

姿が見えてつい追いかけてしまったなどと言える訳がないために、何とか話題を探そうとした。

スバル「ルカ兄…遅くなったらお義母さん心配するんじゃない?」

ルカ「大丈夫ですよ。あの人はある意味どこまでも我を行く人ですから…引き取られた時に何となく悟りました。」

光子郎「引き取られ…?もしかして君…」

ルカ「ああ、僕養子なんですよ。血の繋がりはあるんですけどね」

スバル「私も一応養子なんだよね、ギン姉も」

光子郎「君達も…ですか…」

スバル「ほえ?」

パンを頬張っているスバルが光子郎の言葉に振り返る。

光子郎「僕も養子なんです。ある時それを聞いてしまって……」

ルカ「…もしかして、ご両親との仲が良くないのですか?」

光子郎「…その、どう接していいのか分からないんです。何て言えばいいのか…」

ルカ「簡単です。変に遠慮するより自然体で接すればいいんです。考えすぎるからギクシャクするんです」

スバル「だよね~。遠慮されるよりありのままで接してくれた方が嬉しいよね。家族なら」

光子郎「…………」

リンディ「ルカ~」

ルカ「ああ、母さん。」

リンディ「お買い物に出掛けて帰ってこないから心配したわよ」

ルカ「すみません。僕、どうしてもコンビニ弁当が食べたくて……」

リンディ「もう、うちの子は本当に育ち盛りなんだから」

ルカ「あははは、すみません」

光子郎の目には2人の間には、自分達のような不自然さがまるでなかった。
まるで本当の親子のようだ。

スバル「こんなのでいいと思うの」

光子郎「え?」

スバル「引き取られた子供でもお父さんとお母さんは私のことを大事にしてくれる。もしそれを気にしているなら、ありのままの自分を見せて接することがお父さんとお母さんへの恩返しなんだって思うの。光子郎さんはお父さんとお母さんのこと嫌いなの?」

光子郎「いいえ!そんなことは……」

スバル「だったら、今まで思っていたこととか話してみなよ。そうすれば変わるよ。絶対に。だいじょーぶ!!」

親指を立てながら言うスバルに苦笑しながら、光子郎は礼をして立ち去った。

ルカ「スバル、僕達も帰りましょうか」

リンディ「スバルさん、クイントさん達も待っているわ」

スバル「はーい」

こうしてルカ達も自宅に帰って行く。

































光子郎「すみません、ただいま戻りました…」

佳江「あらお帰りなさい。もういいの?」

光子郎「はい…」

佳江「そう、でもあまり夜に外出しないで…最近物騒だから…」

光子郎「分かりました…心配をかけました…ありがとうございますお母さん」

佳江「え…?」

光子郎「あ…じゃなくて…あり、がとう…」

佳江「いいのよ、無理しなくても…」

光子郎からの言葉に佳江は目を潤ませた。
久しぶりに真正面から母と呼んでくれたことに喜んでいた。

光子郎「僕、お風呂入りますね」

佳江「ええ、疲れたでしょうからゆっくりね…」

2人の間に流れる空気はとても優しかった。
































おまけ

風呂上がりにウーロン茶を飲んでいた光子郎に佳江が口を開いた。

佳江「そういえば、ついさっきお台場の海岸付近で大爆発が起きたらしいの」

光子郎「ええ!!?」

佳江「怖いわね…犯人は見つかっていないらしいのよ…」

光子郎「(まさか、ヴァンデモンが…)」

ピンポーン。

インターホンが聞こえ、思考を中断して、ドアを開ける。

アインス「夜分遅くにすまないな泉」

光子郎「アインスさん!!どうしたんですか?」

アインス「ああ、これを忘れていたぞ」

アインスが渡したのは光子郎の携帯電話。

光子郎「ああ、すみません。それにしてもアインスさん、何でボロボロなんですか?」

アインス「ふっ、宿敵(フェイト、アリシア、アリサ)と久しぶりに対決してな。決着はつかなかったが…お台場付近の海岸で戦ったんだが…」

光子郎「アインスさん、もしかしてお台場付近の海岸の大爆発の元凶は…」

アインス「あ、すまん。それは私達だ」

光子郎「何してるんですかーーーーーーっっっ!!!!!あなたがこの世界を滅茶苦茶にしてどうすんです!!!!!」

アインス「あっはっはっは、すまん」

光子郎「すまんで済んだら警察は要りません!!」 
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