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黒魔術師松本沙耶香 客船篇

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20部分:第二十章


第二十章

「それじゃあね」
「宜しいですね」
「まずはシャワーを浴びるわ」
 こう二人に告げるのだった。
「いえ、そうね」
「何か」
「お風呂にするわ」
 口元を思わせぶりな語りにしながらの言葉だった。
「その方がゆっくりできるからね」
「では今から」
「いらっしゃい」
 二人への言葉だった。
「この部屋のメイドは二人なのよね」
「そうです」
「私もです」
 そのもう一人の少女もねだるようにして言ってきた。
「ですから。どうか」
「お風呂掃除は。そうね」
 その豪奢な風呂場を見てであった。かなりの広さでそれだけ下手なホテルの部屋の一つ分はある。トイレは別の場所にあり風呂とは完全に分かれていた。
「服を着たままでするものじゃないわね」
「ではこれから」
「三人で」
 こうして三人で風呂場に入った。沙耶香は二人の肢体を心ゆくまで楽しみそれを朝の宴としたのだった。
 そして風呂から出るとそれから服を着て朝の食堂に向かった。見れば朝はテーブルは自由席だった。そしてバイキング形式であった。
「朝はこれなのね」
「はい」
 沙耶香の席についていたあのボーイが朝もいた。そうして彼女の言葉に応えてきたのだ。
「何でも好きなものをお召し上がり下さい」
「いいわね。朝からこうした豪勢なものはね」
「左様ですか。満足して頂けそうですか」
「朝に少し身体を動かしたし」
 二人のメイドとの情事のことであるのは言うまでもない。
「その分。こちらも楽しませてもらうわ」
「朝にお身体をですか」
 その言葉を聞いたボーイはこう考えた。その考えとは。
「ではプールかジムにでも」
「プールもあるのね」
「左様です。そちらではないのですか」
「そうしたスポーツをする趣味はないのよ」
 思わせぶりに笑ってみせての言葉である。
「残念だけれど」
「それでは何を」
「身体を動かすことはスポーツだけではないわ」
 ここでも思わせぶりな言葉だった。笑みもそのままだ。
「それだけではね」
「?申し訳ありませんが」
「言葉の意味がわからないというのね」
「申し訳ありません」
 まさにその通りだというのである。
「それは」
「わからなくてもいいのよ」
 これが沙耶香の返答だった。
「別にね」
「わからなくてもいいのですか」
「そうよ。それでだけれど」
「はい」
「プールがあるのはいいわね」
 このことについての話になっていた。
「それはね」
「泳がれるのでしたら水着を貸し出すことができますが」
「いえ、泳ぎはしないわ」
 だがそれはいいというのだった。
 
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