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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)

作者:あちゃ
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第34話:モブらはみんな生きている 三

 
前書き
♪モブらはみんな生きている 生きているけど出番ない♬
♪モブらはみんな生きている 生きているけど台詞ない♬
♪手のひらを太陽に透かしてるポーズは 主役級が良く似合うのさー♬
♪子供だ~って メイドだ~って お城の兵だって~♬
♪みんな みんな 出ているんだ 台詞ほしいんだー♬ 

 
(グランバニア城下港地区 ポルト・リストランテ)
スカーレットSIDE

「なぁスカーレット……上級メイドのマオさんて、どんな女性なんだ?」
「何だお前……私を食事に誘ったのは、別のメイドへの足掛け代わりだったのか!?」
港地区にある小洒落たレストラン“ポルト・リストランテ”で、私をデートに誘ったはずのロバートが、別の(メイド)の事を聞いてきた。

「ち、ちがうよ。お、俺は……お前の事が好きでデートに誘ったんだ! この事に嘘偽りは無い」
リュカ様おすすめのレストランだけあって、雰囲気は極上。
そんな中で目の前に座る(ロバート)は、真剣な瞳で告白する。

「ス、ストレートに『好き』とか言うな……照れるでしょ!」
「あ、いや……か、勘違いされたくなかったから……」
如何やら本当に私と真剣交際を考えてる様で、思わず口から恥ずかしい台詞が溢れたみたい。

「じゃぁなぁに……初デートで別の女の話題を出すって?」
“好き”と言われ恥ずかしかった事もあり、ちょっと拗ねた口調で別の女(マオ)の事を聞いてきた訳を尋ねる。

「俺の同僚に“ドン”って奴が居るんだけど、そいつがマオさんに気があるらしいんだよ。俺としては同僚(ダチ)の為に、少しでも彼女の情報を仕入れたくて……」
多分ロバートも初デートに緊張してるんだろう。初デートにそぐわない話題を出してしまい俯きながら言い訳してる……ってか可愛いじゃねーか!

普段は真面目で凜々しい姿なのに、私の前で俯き恥ずかしそうにモジモジしてる。
やばい……このギャップは萌える!
このチャンスを逃す訳にはいかない。ロバートの同僚とメイド(マオ)の仲を持ち、私達の関係も進展させよう!

「なるほどロバートは優しいわね。同僚の為に情報を仕入れ様なんて……」
「いや……それもあるけど……俺も気になった事があるからさぁ」
「気になった事? もう浮気宣言か!?」
「違うって! 陛下のお側にお仕えするのに、独身(特定の男無し)なんて不思議だろ?」

「あぁ……言われてみればそうね。でも『陛下のお側にお仕えする』って表現は危ないわよ。彼女を含めて上級メイドはロイヤルファミリーのお側に仕えてるだけよ。陛下だけの怪しいメイドじゃないんだからね」

「解ってる。解ってるからこそ、マオさんの立場が気になるんだよ。何で陛下に口説かれないんだ? それとも口説かれたけど、スルーしたのか?」
「女の立場から言わせてもらえば、リュカ様に口説かれてスルー出来るとは思えないわ」

「じゃぁ……彼女は既に落ちちゃってたって事?」
「つまり、他所で落としちゃって連れ帰って職を与えてる……って事?」
「う、うん」
「無くはないけども……」

「腑に落ちないか?」
「うん。連れ帰ったてことは、今でも関係があるって事でしょ。そんな話は聞かないわね。ピエールさんやスノウさんとは毎晩頑張ってらっしゃるらしいけど……」

「周囲には秘密にしてるとか?」
「今更何を!? それに隠すつもりなら連れ帰らないでしょ」
「そっか……じゃぁ陛下が手を出されない理由って1つしか無いよなぁ」
「そんな理由ある?」

「あるよ。リュリュ様からの熱烈アタックに反応しない理由が」
血縁(子供)って事?」
「だとしたら納得出来るだろ。連れ帰って職を与えたのも、昔の結果に対して罪滅ぼし的な……」
「でも……それは有り得ないと思うわ」

「何で言い切れる?」
「まず、リュカ様はその手の事柄を隠したりしない。それに……」
「それに……何だ!?」
ロバートは私が言い切った事に不満なのか、かなり押し気味に理由を尋ねてくる。

「それに、彼女はウルフ君と同い年で17……いや18歳になったのかな? 兎も角ティミー殿下とは4つくらいしか離れてないわ」
「……それが何?」

「ちょっと……解らないの、本当に? 陛下はティミー殿下がお生まれになって直ぐ、8年間呪いで石になってたのよ!」
「そうか、17.8歳の子供なんて有り得ないのか!」

そう、リュカ様は8年間石になっていた。
グランバニアでは有名な事……でも、他所の国では知らない人が多数居る。
実際に以前、その事を知らないでリュカ様の子供を産んだと言ってきた詐欺師が居た。

当時ティミー殿下は16歳……その女詐欺師が連れてきた男の子は10歳。
お優しいリュカ様は、女詐欺師を強く罰したりはしなかったけど、謁見の間は爆笑に包まれたという。
グランバニアの笑い話として、以前先輩に聞かされた。

「う~ん……じゃぁ何で彼女は大丈夫なんだ? 謎は深まるばかりだよ」
「優秀すぎるからじゃないの?」
「優秀すぎる?」
「うん。私も少しだけどマオの仕事ぶりを見た事があるんだけど……」

「その仕事ぶりが優秀すぎるのか? メイドの仕事で優秀すぎるって何?」
「おいおい、メイドの仕事だって大変なんだぞ。陛下達の日常生活を円滑に過ごして戴くのがメイドの仕事なんだ。掃除の仕方一つにだって気を遣うんだから」

「はぁ~……なるほど。マオさんはそれらの仕事が他の追随を許さない程完璧だから、独身だけど上級メイドとして働けてるのか」
「だと思うわ。でなきゃ独身女をブレンダさんが上級メイドにする訳無いもん」

そうよ。お給料だって沢山貰えるんだから、そう簡単に上級メイドになんてなれる訳無い。
私だって上級メイドになりたいんだから……
まぁ能力的に無理そうだけどね。

「それにしても珍しいわね、この国の兵士なのにリュリュ様のファンじゃないなんて?」
「俺の事?」
「アンタもそうだけど、同僚さんの事よ」
「俺は違うけど、ドンはリュリュ様のファンだよ」

「なんだ……リュリュ様ファンだけど諦めてマオに乗り換えって事か」
「言い方が悪いな……現実を直視した行動と言ってやれよ」
どっちも同じだろうに……

「でもロバートは元々からリュリュ様ファンじゃないのよね。何で?」
「うん。俺も初めてリュリュ様を見た時は『可愛いな』って思ったよ。でも相手は王族だろ……俺とじゃ身分が違いすぎる。だから恋愛感情を持たずに眺める様にしたんだ」

「身分違いとか、そんな事意味ないでしょ……現にピピン大臣はオジロン大臣の娘さんと結婚されてるのよ。日常で接点が皆無なら解るけど、城の兵士をしてるんなら一縷の望みに賭けてみるモンじゃないの?」

「俺の趣味じゃないんだよ、あの(ひと)は」
「アンタの趣味って……何よ?」
私に告白したって事は、私はロバートの範疇内って事よね。気になるわぁ~コイツの趣味。

「いや……リュリュ様は可愛いけどさぁ……言動がさぁ……馬鹿……だろ?」
突如辺りを警戒し、顔を近づけて小声で激白。
「ア、アンタ気を付けなさいよ。そんな事をリュリュ様ファンに聞かれたら殺されかねないわよ」
思わず私も小声で指摘。

「解ってるよ。だから小声で喋ってるんだろ」
「まぁそうよね……でもさ、もしリュリュ様から『ロバートさん大好きです。結婚して下さい♥』って告られたら、如何する?」

「如何もこうも……俺は器用じゃ無いから土下座して許してもらう」
「はぁ? 答えになってないわよ。もうちょっと間を説明しなさいよ」
端折りすぎよ。

「だから、リュリュ様に告られても俺は気が無いから付き合えないの。でも只断ったってリュリュ様を傷付けてしまうだろ。そうしたらファン連中が殺気立つ。だから土下座して許してもらうんだよ……俺では貴女を幸せに出来ないし、俺も幸せになれないって」
確かにリュリュ様は優しい方だから、土下座までされたら諦める……かな?

「土下座ぐらいで諦めるかなぁ? そんな簡単だったら既にリュカ様への思いを諦めてると思うんだけど……」
「仕様がないだろ、それ以外にやりようが無いんだから! お前だって陛下から口説かれたら如何するんだ?」

「如何もしないよ。甘んじて身を委ねるよ……つか、身を委ねない女が居るものか!」
「委ねるんかい! そんなんだから出世出来ないんだろ」
「だろうね(笑) でも、もう大丈夫だよ。私には彼氏が居るから、リュカ様は口説かない……でしょ?」
「お、おう! 俺、彼氏」

言った私も恥ずかしくて悶えそうだが、言われたロバートは顔を真っ赤にしてモジモジしちゃってる。
も、可愛い!
明日から皆に自慢しよう。

「でもさぁ……リュリュ様もいい加減に身を固めて欲しいよな」
「何だね急に……君はリュリュ様の保護者かい?」
恥ずかしいからって突飛な話題変えだな。

「ドンがさマオさんを意識し始めたのも、リュリュ様とウルフ殿がフィアンセであるって噂を聞いたからなんだ。つまり、未だに独身で居る男性兵士共の中には、リュリュ様への未練が断ちきれない者も居ると思うんだよね。でもリュリュ様が誰かと婚約すれば、諦めて新たな恋に旅立つと思うんだ」

「そうなるかなぁ……婚約者を狙って騒動が巻き起こるだけじゃないのかねぇ?」
「かもしれない……でも、あの噂が真実になれば騒動は起きないだろ」
あの噂?

「だから“シージャック事件”が原因で起こった“リュリュ様とウルフ殿はフィアンセ”って噂だよ。これが真実になれば、男共も諦めるだろうし、諦めなくてもウルフ殿だったら問題ないだろ……彼は腕っ節も強いんだから」

「それはそうだろうけど、彼ってば既に他の姫様と恋仲って噂よ」
「それだよソレ! 噂って言われてるけど、本当はリュリュ様と恋仲なんじゃないのか? “シージャック事件”の時は思わず真実を言っちゃったんじゃないのかなぁ?」

「何でそうなる? あの二人は結構口論とかしてるわよ。多分家族ですら言わない事を、ウルフ君はズケズケと言っちゃってるわよ。とても恋人同士には見えなかったけどなぁ」
仕事を増やす面倒な女として、ウルフ君は嫌ってる様に見えるけど……

「だってさぁ……“他の姫様と恋仲”って、他の姫様まだ13歳だろ!? いや現状は良いよ。でもウルフ殿がグランバニアに来たのは5年も前の事……その頃から“姫様と恋仲”って言われてるじゃん。有り得るか8歳児と恋仲って?」

「有り得るわよ。だって彼ロリコンらしいもん」
「え、マジで!? でも、よくメイドを口説いてる姿を見るけど……」
「それは擬態よ。ロリコンだって悟られない為の」
「本当かよ……随分と手慣れてたぞ? って言うか何で言い切れるんだよ」

「ラングストン隊長よ……あの人がウルフ君はロリコン野郎だって騒いでたわ」
「あの人が言ってたって信憑性低いなぁ……だってあの人はトラブルメーカーだろ。この国に居ると目立たないけど、基本的に騒動の中心地に居るじゃん」

う~ん……言われてみれば確かにそうね。
って事は、本当にあの二人って……

スカーレットSIDE END



 
 

 
後書き
「モブらはみんな生きている 一,二,三」に出てきたモブ等の名前は、
ある洋画の俳優(実在)から名前を拝借しております。勿論無許可(笑)

何の洋画か正解した人には、抽選で1名に「リュリュちゃんの脱ぎたてパンツ」をプレゼント。
なお、当選者の発表は商品の発送をもってかえさせて戴きます。
奮ってご応募下さい。 
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