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黒魔術師松本沙耶香 天使篇

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20部分:第二十章


第二十章

「ただ」
「くっ、では噛まれればそれだけで」
「氷になってしまうというのか」
「それが貴様の今の魔術か」
「その通りよ。さあ」
 異形の者達はそれぞれ無数の蛇に喰らい付かれている。彼等は離れることがない。そしてその身体を次第に氷にしていき喰らい付いている相手もそうしていくのだ。
「そのまま氷の像になって。果てなさい」
「おのれ、まさかこの様な」
「こうして我等を滅ぼすとは」
「滅ぼし方は幾らでもあるのよ」
 沙耶香はこう言って動じていなかった。
「こういう風にね」
「無念・・・・・・」
「これで終わりか・・・・・・」
 彼等は氷になりそのうえで砕け散った。それで完全に消え去ったのだった。
「さて、これでまた倒したわね」
 その倒した異形の者達のことを回想しながら述べた。
「今日出て来るかどうかわからないけれど後二日ね」
 こう呟いて姿を隠した。亜由美と忍はそんな彼女の戦いには気付くことなくそのうえで二人きりの時間を楽しみそのうえで話をしていた。
 その時周りは。我に返った様でそれぞれ言っていた。
「あれ、何で俺達こんなところに来ているんだ?」
「そうよね。もっと向こうにいたのに」
「これじゃあ他のボートにぶつかるし」
「早く行かないと」
 こう言ってそれぞれ分かれて行く。亜由美はそれを見ながら内心悟っていた。
「助けてくれたのね、忍を」
「あれっ、お母さん」
 忍は今の母の言葉に反応した。
「どうしたの?私がどうかしたの?」
「あっ、ちょっと」
 言いながらであった。頭の中で少し考え咄嗟にこう言った。
「忍が今着けているブレスレットね」
「これ?」
「そう、そのブレスレットだけれど」
 彼女が今手首にしているブレスレットである。見ればそれは虹色に輝いているかなり奇麗なものであった。
「私が忍にあげたものだったわね」
「ええ、そうよ」
 忍に対して応える。
「有り難くね。着けさせてもらってるわ」
「そのブレスレットはね」
「何かあるの?」
「おまじないのものなのよ」
 それだというのである。
「それはね」
「そうだったの」
「忍が長生きできるように」
「私がなの」
「そうよ。長生きできるようにね」
 言葉に切実さが入っていた。しかしそれは表には出さない。
「それであげたのよ」
「私が長生きできるように」
「長く生きて。幸せになって」
 ここでは切実さが出ていた。
「いいわね、絶対にね」
「うん、お母さん」
 母のその心を受けて笑顔で微笑む娘だった。
「それじゃあ私長生きして幸せになるから」
「絶対にね」
「御願いよ、本当に」
 娘に起こっていることはあくまで言わない。しかしそこには確かな願いがあった。そうしてこの日は二人は水いらずで過ごした。沙耶香もこの日はこれで終わった。
 あと二日であった。その最初の日に沙耶香はいきなり出会った。それは。
 登校中だった。今忍がいる歩道の脇を通る一台の車から。それを感じ取ったのである。
「今日は早いわね」
「時間がないのだ」
 相手はすぐに言ってきた。
 
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