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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第10話 転生者VS転生者

「おい、ちょっといいかい?」

今は昼休み、はやてと談笑していた俺はいきなり神崎に声をかけられた。

「有栖を借りたいんだが………」

「俺!?」

「何で零治君を?」

「ちょっとね………」

笑顔ではやてを見る神崎。
あれがニコポなのかな?

実物を見たことが無い俺にとってニコポと普通の笑顔の違いが分からん。
はやてはひいてるけど。

これじゃあ、ニコヒのような………

「俺は別に構わないけど………」

そう言ってはやてを見る。

「はやては?」

「わ、私もかまへんよ」

「そうか。なら有栖、ちょっと来い」

そう言われ俺は神崎について行った。




「さてここなら構わないだろ………」

そう言って連れてこられたのは体育館裏。
何かベタだな………

「話ってなんだよ?」

「………俺のなのはたちに近づかないでくれ!」

「………は?」

いきなり何言ってんだコイツ。

「だから俺のなのはたちに近づくなと言ったんだ!!」

コイツ本当に本気で言ってんのか?

「なのは達って誰だよ」

まぁ、分かってるけど………

「とぼける気か?なのは、フェイト、はやて、すずか、アリサのことだよ!!」

はやてとすずかの二人には俺から話しかけたりするけど、なのはやフェイト、バニングスには滅多に俺から話しかけないぞ。

「彼女たちは俺に惚れているんだ。君に話しかけられて困ってるじゃないか!」

………目が腐ってんのか?コイツ。

「………確かにはやてやすずかには俺から話しかけたりするけど、他は滅多に話しかけないぜ」

「嘘だな!!よく話してるじゃないか!!」

「俺が行って話してるわけじゃないだろ!」

「違うね。君が話しかけてるのさ」

………馬鹿すぎてすぐにでも消したいわコイツ。

「………だったらお前があいつらに俺に話しかけるなって言えばいいじゃん。話しかけられても軽く流せとか」

「当然言ったさ。けれど弱みを握られたらしく、「私たち、零治君のこと嫌じゃないんだけど………」とみんな言ってた」

弱みって何!?
こいつの頭の中どうなってんだ?

「もしも、この忠告を受け入れられなかったら………」

キーンコーンカーンコーン。
いいタイミングでチャイムが鳴った。

「じゃ、教室に戻るな」

そう言って俺はその場から立ち去る。

「ま、待て!」

俺を追って、奴が付いてくるが、既に俺の姿はなかった。

「クソっ、なんて逃げ足の速いやつだ………」




『ラグナル、バレてないか?』

『モウマンタイです、ご主人様。一瞬だったので気のせいだと思うでしょう』

俺は自身のレアスキル、空間転移を使って、その場から転移した。
バレないように最小限に魔力を抑え、誰もいなさそうな所に転移した。

『おい、ご主人様って何だ?』

『男はこう言われると嬉しいと夜美様と見ていたテレビで言っていました』

『夜美はいったい何の番組見ているんだ………夜美は言わないだろうな?』

『夜美様に言われたらご主人様気持ち悪いほどハイテンションになるでしょうね』

『気持ち悪いってなんだよ………』

『ハイテンションは否定しないんですね………』

そりゃ、あんな可愛い女の子に言われてハイテンションにならない男なんていないだろ。

『何か悔しい………』

そんなデバイスの言葉を流し、俺は教室に向かった。



「大丈夫だった?」

授業中、隣のなのはが声をかけてきた。

「何が?」

「大悟君のこと………」

「ああ、お前たちは俺に惚れているんだから近づくなとか言われたけど」

「大丈夫なのかな………」

当然頭の心配だぞ。

「お前たちもはっきり言わないとあいついつまでもあのままだぞ………」

「私たちも言ってるんだけど、「嫉妬してるんだろ。俺はお前たちが一番だから気にするな」
しか言わないの」

勘違いもここまで来ると救いようがないな。

「………苦労してるんだなお前ら」

「………零治君も他人事じゃないと思うよ」

確かに。
今もこっちを見て睨んでいるし。

「何でこうなるのかな………」

俺の呟きは先生の声にかき消された。




「零治君、ちょっとええか?」

「何だ?はやて」

「この前テレビでな………」

「はやて何の話だい?」

はやてが話しかけようとしていた所に、神崎がやってきた。

「いや、もうええねん。ほな、零治君」

話の途中なのにかかわらず、はやてはその場を後にする。
名前さえ言ってもらってないし………

「ったく、はやても恥ずかしがりやだな」

そう思えるお前に少し尊敬するよ。




「零治君」

「おう、すずか。どうした?」

「あのね………」

「やあすずか。俺も混ぜてくれないか」

「ごめん、零治君また後で………」

はやて同様、すずかもさっさとその場を後にする。

「すずかもか、みんな恥ずかしがりやだな」

こいつのネガティブの発言を聞いてみたい。



「ちょっと零治!!あんた………」

「アリサ」

「きゃあ!!」

とうとう悲鳴か。

「何であんたがここにいるのよ?」

「どんな話をするのか気になってね」

「あんたには関係ないでしょ。あっち行ってよ!」

「いいじゃないか、俺にも聞かせてよ」

「嫌よ!」

「そんなこと言わずに」

「嫌!!」

「そんなこと言わずに」

「もうこいつ嫌だ〜!!」

そう言ってバニングスはどこかへ行ってしまう。

「本当にツンデレだなアリサは。待てよ〜」

そう言ってバニングスに付いていった。
………ツンデレってあんなだっけ?

「ちょっと何で付いてくるのよ〜!!」

「何でってアリサが逃げるからだろ〜」

………悲鳴あげながら逃げるアリサが面白いと思ったのは内緒だ。



そんでもって放課後………

学校を出ようと階段を降りようとした時だ。

「ちょっと、あんたなんのつもりよ!!」

女子生徒の怒鳴り声を聞き、そっちへ行ってみる。
そこには4人の女子に囲まれているフェイトがいた。

………おそらく見たことがないから他クラスだと思う。

険悪な雰囲気なため無視できず俺は話しかけることにした。

「おい、どうした?フェイト」

「あ、零治………」

「あんた誰よ?」

「有栖零治。零治でいい」

「この女との関係は?」

「同じクラスの友達かな」

「気を付けたほうがいいわよ。この女誰にでも色目使うから」

「私、そんなこと………」

「違うっていうの!!」

忠告した女子にでかい声で言われ押し黙ってしまうフェイト。

「何を怒ってるのか分からんけど、フェイトはそんな奴じゃないぞ」

「………やっぱり男はこの女の味方をするのね」

「違うな、俺はフェイトの友達として言ったんだ。それに………」

一つ間を置いてまた俺は口を開く。

「お前らはただ単にフェイトに嫉妬してるだけだろ?」

「わ、私たちは別に………」

「仮にフェイトがそんなことしているのなら、男子たちにもこんな人気が出るわけがないだろ」

「分かってるわよ………分かってる!そんなこと!!けれど、私の好きな人がこの女に告白して振られているのよ!!そんなの許せる訳ないじゃない!!!」

「そんなの、今度は自分に振り向かせればいいじゃないか」

「えっ!?」

「フェイトが悔しがるほどその男と仲良くなって、フェイトを見返してやればいい」

そう聞いて、騒いでいた女子が静かになる。

「………まだ何かあるか?」

「………もういいわ」

騒いでいた女子がその場を後にする。他の女子もそれに付いていく。

「フェイトさん」

「えっ!?」

「あなたを許せそうにないけど、必ずあなたを悔しがらせてあげるわ」

最後にそう言ってその場を後にした。





「大変だったなフェイト」

「うん………」

帰り道まだ少し元気のないフェイトと共に帰っていた。

「いつもあんなことがあるのか?」

「うん、結構な頻度で」

もてすぎるのも問題だな。

「結構大悟のことを好きな子もいて。………見た目はあれだから」

まぁ見た目はな。

「大悟は私たちが一番なんて言うから、なのはたちもたまにああいう目にあったりするらしいし………」

本当にはた迷惑な奴だな。

「今日はありがとう。本当に助かったよ」

頭を下げるフェイト。

「気にするなよ。たまたまそこに出くわしただけだし。困ったらお互い様だよ」

「うん、ありがと。………あのねお礼に一緒に翠屋にでも………」

ブルブル俺の携帯が震える。

「悪い、フェイトちょっと電話だ」

「………零治、学校に携帯持ってきてるの?」

ジド目で俺を見るフェイト。

「まあまあ、バレなきゃ構わないでしょ」

「………本当に不真面目だね零治」

「お前らが硬すぎるんだよ」

主に、バーニングとか魔王様とか。

「それよりでなくていいの?」

「おおっと」

携帯を取り出し、ディスプレイを見る。
………シャイデか。

仕事の話はいつも夜なんだけどな………
フェイトから少し離れて電話に出た。

「ほい、どうした?」

『零治、依頼よ』

「一体どうしたんだ。普通なら夜だろ?」

『それがね日時が今日だからよ』

「本当にいきなりだな………場所は?」

『海鳴市』

「ここだと!?仮にもなのはやフェイトたちがいるんだぞ!!」

『依頼人から管理局より先に始末して欲しいらしいわよ』

「………敵は?」

『人造魔導師』

かなりヤバイ敵じゃないのか?

「………依頼人は?」

『……………ジェイル・スカリエッティ』



…………はあああああ!?
 
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