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ドリトル先生と森の狼達

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第八幕その一

                       第八幕  ニホンオオカミの群れ
 狼さんに群れに案内してもらう時にです、先生はしみじみとして言いました。
「夢みたいだよ」
「僕達の群れを見られることが?」
「そしてお話が出来ることがね」
 まさにこのことがというのです。
「夢みたいだよ」
「いなくなったと思っていたからだね」
「そうだよ」
 まさにその通りだというのです。
「いや、本当にね」
「まあ僕もそこまで喜んでくれているのなら」
「嬉しいかな」
「冥利に尽きるよ」
 そうだとです、狼さんは先生に答えました。
「ニホンオオカミとしてね」
「ニホンオカミが生きていて」 
 絶滅していなくてです。
「そして群れを見てお話が出来るなんて」
「本当にそうですよね」
「夢みたいだっていったらそうだよね」
 トミーと王子も言います。
「このことは」
「全くだよ、狼はこれまで何度も見たけれど」
「野生の狼は少ないし」
「そう、案外ね」
「数が減ってきているんだよね」
「欧州でも北米でも」
「アジアでもだね」
 二人もこのことは知っています。
「野生動物全体の問題でもあるけれど」
「肉食の大型動物は特にね」
「そして狼はその中でも」
「かなり深刻なレベルにあるね」
「そう、ニホンオオカミのこともね」 
 先生もお話しました、そのことについて。
「そのうちの一環でね」
「絶滅したと思われていた」
「そうなんですね」
「そうだよ、野生の大型の肉食動物はどれもね」
 それこそというのです。
「個体数の減少が深刻なんだ」
「それは日本でもなんだ」
「じゃあ熊さんとかも?」
「減ってきてる?」
「そうなのかな」
「うん、そうだよ」
 先生は曇った、悲しいお顔になって動物の皆にも応えました。
「ツキノワグマ、そして羆もね」
「どっちもなんだ」
「熊さんも数が減ってきているんだ」
「そうなんだ、特に北海道の羆はね」
 そちらの熊さんはといいますと。
「その数の減少が深刻だよ」
「ううん、そうなんだ」
「物凄く怖いけれど」
「その数が減っていて」
「深刻な位なんだ」
「絶滅も心配される位にね」
 まさにそのレベルでというのです。
「減っているんだ」
「けれど確か」
 王子がここで先生に尋ねました。
「羆の害が」
「うん、あったね」
「開拓村も襲われたんだよね」
「それで駆除もされたりしたよ」
 つまり狩られたというのです。
「けれどその駆除が過ぎてしかも人がどんどん北海道に移住して」
「それでなんだね」
「そう、羆の数も減ったんだ」
「そしてここでもだね」
「本州、四国、九州でもね」
 そうした場所でもというのです。
「ツキノワグマも減っているんだ」
「そういえばそうだね」
「私達まだ熊さんに会っていないわね」
「他の色々な動物に会っててね」
「狼さんにもこうしてお会いしてるけれど」
 動物の皆もここでお話します。 
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