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ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D

作者:ユキアン
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ハイスクールD×D 黒龍伝説 X

 
前書き
今回は番外編ですね。

多少のネタバレも含まれています。 

 


「あん?なんだここは?」

ええっと、オレは確かシトリー領内に発生した次元の歪みの調査をしていて、留流子を庇って飲み込まれたか?それなのに眼の前では死んだはずのコカビエルや若いイッセー達が居る。一瞬、過去に戻ったかと思ったが、統合されたエクスカリバーを持っているのがオレの知るエクソシストと違うことに気づく。おそらくは平行世界の過去に飛ばされたようだな。全く、よりにもよってこれから一番忙しくなる時期に飛ばされるとはな。戻る手段を探すためにもオレも再び闘争に身を委ねるとするか。この世界のオレがどんな奴なのかも気になるしな。この間、わずかに1秒にも満たないのだが、エクソシストが既に動き始めていた。その行動は逃走。なるほど、野生の勘か。

「だが、逃がさん」

学園を覆っている結界に干渉してエクソシストの逃げ場を完全に封じ、透明なラインで全身を拘束して血中酸素を奪って意識を奪い取る。そのまま拘束して転がしておけばいいだろう。

「貴方は、一体何者なの?」

グレモリーさんがオレに訪ねてくるが、甘いのは相変わらずか。たぶん、オレの知るグレモリーさんとあまり変わらないのだろう。

「とりあえず敵ではないとだけ言っておこう。オレも、あまり状況がわかっていないからな。とりあえず、コカビエルを潰すのが先だ」

エクスカリバーの統合と残った力で爆発するであろう魔法陣からラインで光力を吸い上げておく。ついでにエクスカリバーを回収しておく。うむ、そういえばこの時期はこの程度の力しかなかったな。オレの中にある自分を感じ取って困惑しているのか拒絶反応もない。

「ば、ばかな!?何故悪魔がエクスカリバーを持つことができる!?」

「お前がそれを知れば、お前の今までの人生を否定することになるから聞かないほうがいいぞ」

少し太っている神父にそう言ってからコカビエルに向き直る。この時点でオレの力を感じ取れていない時点でこいつの弱さがよくわかる。人間だったオレに殺されるぐらいだからな。

「貴様、何者だ?」

「ただの飼いドラゴンだよ」

この世界のエクスカリバーを肩に担いでコカビエルを挑発する。簡単に挑発に乗ったコカビエルに呆れながら、肩に担いでいたエクスカリバーにラインをつないでから、肉体を倍加の力で強化して投げつける。光速を超えた速度でエクスカリバーがコカビエルを貫き、何処かに行ってしまう前にラインを手繰り寄せて回収する。地面に落ちてきたコカビエルを踏みつける。急所は外しておいたし、ラインをつないでギリギリのところで生かしてある。

「で、こいつは殺してよかった?」

「ええっと、抵抗されても困るから羽さえ残れば」

「了解」

苦しまないようにエクスカリバーで首を跳ねて殺す。

「コカビエルをこんな簡単に倒すなんて。飼いドラゴンって言っていたけど誰かの眷属なのかしら?」

「一応は。まあオレに関しては上のほうの人たちが集まってからってことで。そちらとこっちの情報に差がありすぎますし、おそらく信じられないことのほうが多いでしょうから」

それだけを説明して大人しくしておく。後片付けが終わってから結界が解かれて、生徒会のメンバーが姿を表す。生徒会のみんなは記憶とほとんど同じだが、この世界のオレだけはかなり異なる歴史を歩んできたみたいだな。これは、詳細は隠したほうがいいな。さらにしばらく待っているとルシファー様とグレイフィアさん、そしてレヴィアタン様がやってくる。うむ、あの格好から察するに今のところはオレが特殊な世界なようだ。念のために懐から解呪用の葉巻を取り出して持っておく。

「ふむ、君がリアス達の言う、エクスカリバーが統合されると同時に少しだけ割れた次元の狭間から現れたドラゴンかい?」

「ええ、そうです。サーゼクス・ルシファー様。手っ取り早く説明するなら、自分は平行世界の未来から事故でやってきた者です」

「平行世界の未来から?何か証拠はあるかい?」

「はい。少なくともオレの中にある悪魔の駒を少しだけでも調べてもらえれば平行世界からやってきたということだけは証明できるはずです」

「少しだけということは感知だけで、何?これは」

サーゼクス・ルシファー様は話しながらも軽く悪魔の駒の魔力を感じた疑問からセラフォルー様を見やる。

「えっ、何々?って、えっ?あれ?」

セラフォルー様も感じ取ったのか悪魔の駒のケースを取り出して中身を確認している。そこには変異の騎士が収まっている。

「本当に、平行世界から来たようだね。それもセラフォルーの騎士だとは。それにもう一人、これは、ソーナ嬢か」

その言葉にこの場にいる全員の視線がオレと、この世界のオレに集まる。

「さて、自己紹介をしよう。オレは匙元士郎、こっちとは大分違う人生を歩んでるがな」

「オ、オレーー!?」

「「「「「「嘘っ!?」」」」」」

まあ、驚くのも仕方ない。容姿は大分変わっているし、なにより貫禄や覇気からして違うからな。

「ちなみに25歳妻子持ちの上級悪魔だ」

「7年で匙がここまでになるのかよ!?」

イッセーが驚いているがどうだろうな。

「たぶん、無理だな。さっきも言ったがこっちのオレはかなり違う人生を歩んできているみたいだからな。ちなみにオレの方の世界でもこの事件は起きた。で、解決したのは人間のオレだ。この時点で転生悪魔になっているこっちのオレとじゃあ力の差は歴然だな」

「人間がコカビエルを倒したと?」

サーゼクス・ルシファー様が尋ねてくるので首を縦にふる。
「エクスカリバーも使いましたけど、余裕でしたね。ちなみにオレが悪魔に転生したのは約1ヶ月後です。おそらくですが、こっちとここの世界の相違点はオレが起こした影響のみだと思います」

「なぜ、そう思うんだい?」

「オレの記憶する限り、相違点がそれしかないからですね。例えばそこにいる兵藤一誠、左腕が龍の物になっていますよね。おそらくは、ライザー・フェニックスとの戦いで強制的に禁手化するために対価としてドライグに捧げた。違うか?」

「そうだけど、向こうのオレってそんなことしていないのか?」

「ああ、なんせライザー・フェニックスとの戦いにオレが参戦して倒しているからな。くくっ、なかなか面倒だったがほぼ完封だ」

「「あのライザーを完封!?」」

グレモリーさんとイッセーが驚いている。向こうのイッセーも今では普通にライザー位簡単に倒せるけどな。

「まっ、そういうわけでオレが関わった件に関しては大きく変わっている可能性が大ってところですね」

オレの言葉にこちらの世界のオレが尋ねてくる。

「何が、何がこれだけの差を生み出したんだ」

「何もかもだな。家族は?」

「えっ?」

「家族構成だ」

「オレと両親だけど」

「オレには妹がいた。1年と生きられなかったがな」

「えっ?」

「虐待を受けていたんだよ。生き残るために幼少期にオレは神器に目覚め、生きるために妹を犠牲にした、してしまった!!生きるという意味をわずか4歳にして理解してしまった。そして妹を殺した事実に10年以上苦しむことになる。オレとお前の差はそれだ。埋めることなど無理と思った方がいい」

虐待という言葉にこちらの世界のオレはひどくショックを受けている。

「どうやら、こちらの世界のオレの両親は良い親なのだな。羨ましいよ」

「ほ、本当に親父とお袋が?」

「オレとお前は似ているようで違うんだ。大切にしてやれ。オレの方は塀の向こう側だし、縁も切った。オレの家族は妻子と義理の父と母だけだ」

「すまん!!」

「気にするな。もう決着がついたことだ。他に何か聞きたいことはあるか?ああ、未来に関しては話すつもりはない。宛てにされても困るからな。状況は似ているが、全く同じになるとも限らないからな」

「そうだね。それに何が正しいかなんて決めることもできないはずだ。だからこれからのことを決めよう。君はこれからどうするんだい?」

「無論、元の世界への帰還を目指します。次元の狭間を経由してここに来た以上、もう一度次元の狭間を経由する必要があります。次元の狭間への道を開くのは容易ではありませんが、半年以内にそれが開かれる機会に恵まれる可能性がありますのでその時までは一悪魔として協力させていただきます」

「そうしてもらえると助かるよ。何か要る物はあるかい?」

要る物か。とりあえずは

「駒王での悪魔稼業の許可を貰えますか?あとは、接触しやすいように学園の方に在籍させて頂ければそれだけで十分です」

「それだけで良いのかい?」

「金銭は十分持ち歩いていますし、悪魔稼業で稼ぐのも簡単ですので。とある方面で指名数1位ですので」

「とある方面?」

「美容方面ですね。ニキビとかそばかすの除去とか。特に余分な脂肪を取り除いたり場所を移したりとかできる唯一の悪魔ですので」

その瞬間、女性陣の目がぎらつく。うむ、向こうと全く同じ反応だな。

「ちなみに聞きたいんだけど、良いかしら?」

グレモリーさんが代表で尋ねてきた。

「対価はどれぐらいなのかしら?」

「美容関係フルコースで週1の4〜6回の施術で、5万円程度。守秘義務からオレ自身にギアスをかけますので個人情報の秘匿も完璧です。注意事項としては他人への脂肪の受け渡しは拒絶反応が怖いのでやっていません。あくまでも自分の体で場所を移し替えるだけですから、女性にこう言ってはなんですが、多少は太ってないとどうにも出来ないんです。というか、太っている方が調整しやすいですね。余分な分は除去できるんで」

それを聞いて塔城さんがショックを受けてorz状態になる。希望が見えたと思ったらそれが幻想だと知らされたのだからな。向こうでもそうだったが、問題はすでに解決している。

「塔城さん、安心するといい。向こうでは既に解決済みだ。体質を変化させることも可能だ」

「本当ですか!?」

「オレに出来ないことは少ない。ついでにオレの力の一端も見せておこう」

持っていた葉巻を咥えて火をつけて煙を飲み込む。同時にオレの封印が解かれて肌に呪紋が浮かび上がる。それを見て全員が一歩下がる。

「その姿は一体?」

「オレには禁手化以外にもう一つリミッターが存在します。それを解放したのがこの姿、正確に言えば毒と呪の天龍ヴリトラの力を解放した姿です」

「ヴリトラが天龍?ではそちらの世界には、赤龍帝と白龍皇、ドライグとアルビオンはいないのかい?」

サーゼクス・ルシファー様の質問に答える。

「いえ、二頭ともいます。ですが、2年前にオレが天龍の名を奪取しました。天に佇むは赤でも白でもなく黒紫。次世代はわかりませんけどね」

オレの答えに驚いているようだが、周囲に認めさせるのは大変だった。イッセーもヴァーリもドライグもアルビオンもオレの方が上だと認めていても、それを周知させる舞台を用意できなかったのだ。2年前にようやくその舞台が整い、晴れて天龍の名を奪取したのだ。

おっと、とりあえずいつまでも呪紋を展開するわけにはいかないな。塔城さんの方へと近づく。

「とりあえず呪で体質を変化させるんで右手を出して。手の甲の方に呪紋を刻むから。普段は見えないから安心して。体質を変化させるのも少しだから今の生活を維持するのを心がけて、異常があればすぐに言うように」

差し出された右手を握って、手の甲に素早く呪紋を刻み込む。それから再び自分に呪いをかけて呪紋を封印する。

「これで明日には馴染んでいるはずだ。急激な変化は身を滅ぼすことになるから体重とかをきっちり計っておくように」

「わかりました」

「とりあえずはこれで良いか。ああ、一応オレのチラシを渡しておく。何かあればこれで呼んでくれ」

チラシをみんなに配り、その日は解散となった。オレはこちらの世界のオレの影に潜り込み、この世界のオレの両親の様子を伺う。ああ、この人たちはこんな風に笑えたんだ。それを息子に見せれたんだ。オレはその事実に訳が分からない涙を流す。






「その程度しかできないのか、元士郎」

同じ名前なためにオレはこちらの世界のオレを元士郎と呼び、オレはアナザーと名乗っている。

「そう言われても、難しいぞこれ」

臨時教師として駒王学園に勤めながらこちらのシトリー眷属とグレモリー眷属を鍛えることになったのだが、こちらのオレ以外はオレの世界と変わらないのでメニューは簡単に組めたのだが、こちらのオレは恐ろしく弱くて付きっ切りで鍛える必要が出てきたのだ。

「ラインの本数が増えるということは可能性を広げるのと同義。最低でも100本を同時に自在に扱えなければ意味がない」

「100本とか無理だって」

「なら目の前で会長を失う覚悟をしろ。お前よりも遥かに強いオレが3度死にかけた未来が来るかもな」

どれも自業自得なんだけどな。それでもこれから半年でそれだけ大変なことが起きるのだ。

「それは」

「経験則。どう転がっても、ほとんどオレの世界と同じか類似した事件が起こるだろうな。それはもうひどい戦いになる。その中心にはいつもオレが立っていたからな。誰が死ぬことになるかなぁ」

「助けてくれねえのか?」

「いや、助けるよ。世界が変わろうが、同じ眷属で主なんだから。グレモリー眷属とも長い付き合いだ。だけどな、あまり付き合いを深くすることはできない。オレは向こうに妻子と眷属を残してきてるんだ。絶対に帰るけど、こちらの者を連れて帰ることはない。良いのか、オレが颯爽と助けても。吊り橋効果って結構きついぞ」

「それってつまり」

「全員落とす自信はあるぞ」

「ちっくしょうーーーー!!負けてたまるかーーー!!!!」

走り去る元士郎を見送り建物の陰に入ると同時に影に入り、遠くからオレのことを見ていたアザゼルの背後の影から這い出て聖魔剣エクスカリバーとアロンダイトを首に突きつける。

「覗きとは、あまり良い趣味ではないですね」

「おいおい、全く分からなかったぞ。何処をどうやったらあいつがお前みたいになるんだよ」

「経験と役割の差って奴ですかね。主の邪魔になる者を内密に排除するのがオレの役目なのでね」

それだけを告げてアザゼルが振り返る前に影に再び飛び込む。これでオレの強さを印象付けられただろう。全く、手間がかかる。







ギャスパーの部屋に配置しておいた分身体が敵を排除してしばらく経つと向こうの世界の時と同じで襲撃を仕掛けてきた。分身体にギャスパーを連れてくるように思考を一時だけリンクさせる。さて、話ではここでカテレア・レヴィアタンが来るはずだったな。

「すまないがアナザー君、外の魔術師たちを任せても良いかい?」

おや、そうきたか。まあいいや、ラインは既に繋いであるから呪い殺そう。

「10秒で十分ですね」

解呪の葉巻を吸い、透明なラインを通して外にいる魔術師たちを呪殺する。きっかり10秒で外の音がなくなる。全員が驚いている中、生徒会室の扉が開かれ、分身体のオレが禁手化状態でギャスパーを担いでやってくる。

「外の気配が静かに消えたと思ったら呪殺したのか」

「手っ取り早いだろう。そっちも問題なかったようだな」

「いや、もう驚いて泣いて命乞いしながら神器を暴走させて大変だったから気絶させて連れてきた」

ギャスパーをラインを並べて作った即席のベッドに寝かせてから分身を解除して芯にしていたグラムを体内に回収する。

「今のは、使い魔?いや、ドッペルゲンガーか何かか?」

「秘密だ。まあ、オレの見せ札の一枚とだけ言っておこう」

ギャスパーの様子を見るふりをして背中を見せれば、予想通り簡単に釣れた。わざとそのまま殴られて生徒会室の窓を突き破って校庭に落ちながらも、呪でマーキングを施す。ヴァーリはイッセーとオレを鍛えるのにちょうどいい練習台になるからな。ここで首輪をつけておけば先が楽になる。

「ふむ、こちらでもオレの敵になるか、ヴァーリ」

「ふん、それが分かっていてわざと背中を見せた癖に。何を考えている」

「何、便利な小間使いが欲しくてな。首輪を付けて調教してやるよ、白龍将」

「白龍将?」

「オレの世界で天龍の名を剥がされた貴様の名だ。皇と王と帝、それらは許そう。竜に龍、無論これらも許そう。だが、組み合わせるが許されるのはオレのみ!!天を征するのは毒と呪の天龍、黒蛇龍王ヴリトラだ!!地面に這いつくばれよ」

既に呪のマーキングと共にラインは仕込んである。あとはそこにオレの周囲の重力を吸い上げて流し込むだけだ。ほう、まだ耐えるか。なら旧校舎一帯の重力もプラスだ。地面に這いつくばるヴァーリを足蹴ににやにやする。向こうじゃ手の内がばれてるからここまで一方的にはならないんだよなぁ。まあ、誰が相手でもものすごい警戒されるのが基本になったからな。

「何故だ、何故アルビオンの力が通用しない!?」

「対策済みなんだよ。お前とはよく戦りあったからな。今のお前じゃあ足元にも及ばねえよ。まあ、オレの世界でも勝てないんだけどな。とりあえず、眠っとけ」

呪で眠らせて、ついでに色々とリミッターも施しておく。ギアスはさすがに同意の元でやらなければ効果は薄いので諦める。ついでにやってきた美猴もラインで縛って引きずる。いいもの拾ったぜ。







「アナザーさん、無理を承知で聞かせて欲しいのです。私の夢は間違っているのでしょうか?」

昼間のカビの生えた爺共の言葉で迷いが出たか。オレの世界ではオレの状態が酷かったせいでそっちの方に気をとられることはなかったのだがな。さて、どうするか。言うべきか、言わざるべきか。悩んだときはサイコロの神様に聞くのが一番だな。特製のサイコロを取り出した投げ渡す。

「4以上が出れば未来を話そう。3以下なら未来のことを交えずにオレの私見を話そう」

甘いよなぁ〜。甘いんだけど、折れる姿は見たくない。これはオレのエゴだ。そして、出た目は4。

「オレがいなければ致命的な失敗になっていた。想定が色々と甘かった。焦り過ぎであった。苦い思い出だ」

「何が、あったのですか」

「1期生、2期生の卒業生の大半によるクーデター1歩手前まで行った。そして、オレが秘密裏に一人残らず殲滅することで何とか難を逃れた。しかし、そのことにショックを受けた君は学園を閉鎖した。改革ってのは下だけ、上だけではダメなんだ。上と下両方が変わらなければならない。オレたちは致命的なミスをした。後にそれはあのクソ爺共が裏で手を回していたのが判明し、騒乱罪として7家が没落することになる。その後、色々とごたごたあるが割愛。今は小さな私塾を開いて、そこから再び歩き出しているところだ」

オレの世界での事件を聞いて、へたり込んでしまうこちらの世界のソーナ・シトリー。あの時程とは言わないが、それでもそんな姿は見たくなかったな。

「いきなり、でかい学校なんてやるべきじゃなかった。教師も新人ばかりでノウハウもない。魔術を専攻して教えていたせいで道徳心の育成にも力を入れるべきだった。何より、他者の悪意を甘くみすぎていた。油断がオレたちを殺しにかかった。オレが殺した中にはオレ自らが教えていた生徒もいた」

「......そうですか。やは「だがな、間違っていたなんて思っていない」えっ?」

「確かに後悔はしたさ。それでも、必要だと分かっているからこそ天使も堕天使も似たようなことをしている。悪魔とは環境が違うせいか今の所大きなミスはなかったが、オレたちの事件が起こった後に徹底的に欠点の洗い出しをしたって言っていたからな。少しずつ賛同者を増やしていけば問題ないはずだ」

そこで一度切ってから言霊に乗せてちょっとした呪を込めておく。サービスしすぎだろうが、惚れた女と同一の存在が相手じゃねぇ。

『君の夢は間違いなんかじゃない』

これで今回みたいに迷うことは少なくなるだろう。これ以上は情が移りすぎるから手は貸せない。帰るチャンスが近づいているからな。あと一ヶ月程か。










光に飲み込まれそうになったアルジェントさんの足首を掴んで影の中に引きずり込む。

「無事なようだな」

「ほぇ?アナザーさん?」

「そうだ。今向こうに戻してやる。それからこれを持って行ってくれ」

アルジェントさんに渡すのは、グレモリー眷属とシトリー眷属の特訓メニューと個人的な手紙を置いておいた場所を記してあるノートだ。

「これは?」

「すまないが説明している時間はあまりない。次元の狭間が閉まってしまうからな。ここでお別れだ。イッセーを止めてやれ」

それだけを一方的に告げてイッセーの影から出るようにアルジェントさんを突き飛ばす。それからすぐに目的の影を探す。

「あった、グレートレッドの影だ」

影から影へと移動してグレートレッドの影へとたどり着く。あとはグレートレッドからオレの世界の繋がりが深い誰かの影へと移るだけだ。最も深い繋がりがある相手は、やはり妻だろう。魔力の波長をたどり、潜り込む。

「お帰りなさい」

オレが影を渡ってきたことに気づいたのか、妻が影に向かって話しかける。

「遅くなってすまない。ただいま、ソーナ」

影から出て抱きしめ合う。しばらくしてから離れて、オレが次元の歪みに飲み込まれてからのことを聞く。

「時間差があって助かったな。まさか六日しか経っていないとは」

「それでも、心配しました。他のみんなも、特に一緒に居た留流子が酷い有様です。出産から復帰したばかりであんなことが起こってしまいましたから」

「後で慰めに行ってくるさ。今は?」

「智流の世話をしています。それしかさせていません」

落ち込んでるなら仕方ないな。入学式前で忙しいが、産休を延長すればなんとかなるからな。

「ゆがみの原因は判明したのか?」

「いえ、未だに不明です。突発的すぎて観測も不十分でしたから」

「そうなるか。とりあえず報告書をまとめて上に上げるしかないか。最悪、他の場所でも発生するな。たまたま平行世界の過去に落ちたから無理やり帰ってこれたが、普通は帰ってこれないぞ」

「そうでしょうね。それで、その平行世界はどうでした?」

「オレだけが恐ろしく弱い世界だ。だから、鍛え方のメモと3年前のクーデターの件だけは噓をついて警告しておいた」

「あれは本当に危ないところでしたね。気付くのが後1日遅れていたら全員殺されていたでしょう」

「ついでにオレたちの責任問題にされていただろうな。まっ、杜撰なおかげでカウンターを決めて一撃で終わらせれたからよかったがな。あの手の輩はちまちま潰すとすぐにバラバラに逃げるからな」

「そうですね。それにあの事件のおかげで逆に注目が集まったのは怪我の功名でした。脅威に感じて露骨に排除しようとすれば簡単に裏が取れて合法的に排除でき、下級悪魔たちには夢を見せることができましたから」

「卒業生で優秀なのがバフ・デバフ要員ばかりだからな。ゲームで目立ちにくいのも考えものだ」

「......生徒の身を守るために意図的にそうした癖に」

「何もかもお見通しで」

「ふふっ、何でもとは言いませんが大概は分かるようになりました。分からないと、昔みたいに無茶をされて......物凄く怖かったんですよ!!」

力強くソーナが抱きついてくる。オレは優しく抱き返す。

「ごめん。それから、これからも心配をかけると思う。オレだって心配をかけさせたくない。やっと、やっと家族を手に入れられたんだ。危険なことだってやりたくない。だけど、その家族に危機が迫るのならオレは、止まらない。止められない」

「分かっています。私だって逆の立場なら同じことをします。でも、分かっていても」

「止めたい」

「だから私は、私たちは何度でもこうします。少しでも止められると信じて」

「ごめん。最低だよな、オレは」

「そんな最低な貴方を私たちは好きになったんです。最低な貴方を引き上げてみせるって。多少はマシになったんですよ」

「出会った頃からは大分変わったってのは分かるんだけどな。それがプラスなのかマイナスなのか分かりづらい」

「まあ、あっちへふらふら、こっちへふらふらしている気もしますが、それでも確実に前に進んでいますよ」

「なら、それでいいさ。留流子の所に行ってくる。当分はおとなしく引っ込んでいるよ」

「ええ、そうしてください。心配かけた分、たっぷりと皆んなを愛して、ね」

当然だな。こんな最低野郎と一緒になってくれたんだ。そのことを後悔させるようなことはしないさ。どっかの赤みたいにな。なんであんなに痴話喧嘩を起こせるのか不思議なんだよな。


 
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