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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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懐かしい?

妖精の尻尾(フェアリーテイル)にて・・・シリルside

「こんな感じでどうかな?」

俺はギルドの外でウェンディの髪型をツインテールに結っている。ウェンディの髪型は小さい時からいじっていたから手慣れたものだと思っている。

「ありがとう、シリル」
「あんた、こういう器用なこともできるのね」

お礼を言うウェンディと俺が髪をいじっている姿を見ていたルーシィさんがそう言う。

「小さい頃は毎日やってましたからね。慣れてるんですよ」
「今は別々に住んでるから、たまにしかやってもらえないんですけどね」

俺とウェンディはそう説明する。

「本当、2人は仲良しね」
「まぁ、付き合ってるからね~」

ルーシィさんとセシリーが俺たちを見てそう言う。すると、ルーシィさんが驚いた顔をする。

「え?あたし・・・2人が付き合ってるなんて初耳だけど・・・」
「「え?」」

言われてみて気づいたが、俺たちはギルドの皆さんに付き合っているってことは教えていない。エルザさんは反応見たさに教えたけど、他の人には実は内緒にしてたりする。だってほら、恥ずかしいじゃん?/////

「いつから?」
「ええっと・・・」

ルーシィさんに迫られてウェンディは後退りする。その目は俺に助けを求めているようだが、俺はどうすればいいのだろうか。

「ほらぁ、早く教えてよぉ」
「あの・・・その・・・////」

女の人は恋ばなが好きだとは聞いてたけど、ルーシィさんもその一人らしい。ウェンディは俺がコクった時のことを思い出しているのか、頬赤らめている。しょうがない、無理矢理だが話を変えにいくか。

「ルーシィさん!!今日はすごく天気が良くて気持ちいいですね!!」
「そ・・・そうですよね!!空気がとってもおいしいです!!」

俺が天気の話をし始めると、ウェンディもそれに乗っかって話を変えようとする。ルーシィさんは不服そうな顔をしているが、空を見上げると気持ち良さそうな顔に早変わりする。

「本当・・・それに、今日はいつになく静かだし・・・なんだか平和ねぇ」

ルーシィさんの言う通り、今日はすごく静かだ。ギルドの近くにいてもこんなに静かな時があるんだなぁ。

「その平和が長く続かないのが、このギルドだけどね」
「まさしくその通りだよね~」
「ははっ!当たってるかも」

シャルルの言葉にセシリーとルーシィさんが賛同する。すると、その後ろでナツさんが掃き掃除をしているのが目に入る。

「・・・!!おい!!」

掃き掃除をしているナツさんが目の前であるものを見つけて怒声をあげる。

「ほら!!」
「始まっちゃった~!!」
「本当、長続きしないわね。ここの平和」

シャルル、セシリー、ルーシィさんがそう言う。ちなみに、ナツさんに怒声をあげられたのはというと・・・

「Zzzzz」

岩に座り、鼻提灯を膨らませて眠っているハッピーだった。

「おい!!ハッピー!!」

ナツさんが叫ぶとハッピーの鼻提灯が割れて目を覚ます。

「うわ!!魚!?なんだナツか・・・」
「なんだじゃねぇだろ!!」

寝ぼけているハッピーに怒りを露にするナツさん。

「何怒ってるのさ?ああ、それにしても夢とはいえ魚ってあんなに食べられるもんなんだなぁ。オイラびっくりZzzzz」

ハッピーは再び目を閉じて眠ろうとする。

「コラァ!!」
「だから何さぁ!!」

ナツさんが眠っているハッピーに怒鳴る。ハッピーは眠りを邪魔されたので不機嫌そうにそう言う。

「お前は俺の相棒だろ?」
「そうです」
「んで、俺は今裏庭の掃除をしてるわけだ。こうやって」

ナツさんは箒で地面を掃きながらそう言う。

「それはそうでしょ!!当番だもん」
「俺が当番ならなんでお前は手伝わないんだよ!!おかしいだろ!!」

今日はナツさんがギルドの裏庭の掃除当番なんだけど、ハッピーがそれを手伝わないのが不満らしい。

「すっごい低次元」
「いつもことだけどね」
「だよね~」
「「ハハハハッ・・・」」

それを見ている俺たちは呆れながら2人のやり取りを見ている。

「それとこれとは別だよ。今日はオイラの当番じゃないんだから」
「お前!!いつからそんなに冷たくなったんだハッピー!!」
「冷たくないよー」

腕を組みながらそう言うハッピーと箒を片手に食いかかるナツさん。

「ほ~ら!!今日はいい天気でしょ?お日様がポカポカしてー」

ハッピーは頭の後ろに手を回し青空を見上げる。本当にいい天気だよね、さっきまでは平和だったし。

「何をしょうもないことで揉めてんだよ。掃除くらいブーブー言わねぇでやれっつうの」

ナツさんたちの元にグレイさんがやってきてそう言う。なんかいつもの展開のような気が・・・

「なんだとグレイ!!俺は掃除が嫌だってんじゃねぇ!!ハッピーがだなぁ!!」

ナツさんが指を指した先には、さっきまでいたはずのハッピーがいなくなっている。

「いい天気だね、シャルル!!セシリー!!」
「そうね」
「気持ちいいよね~」
「人の話を聞けぇー!!」

ハッピーはシャルルとセシリーのすぐそばまで来てそんな話をしていた。ハッピーってちょっと抜けてるところがあるよね、前からだけど。

「やれやれ・・・7年たっても全く変わんねぇな、ナツ」

今度はマックスさん、ウォーレンさん、ナブさん、ビジターさんがやって来る。

「そうそう、オイラ常日頃そう言ってるんだよね」
「お前も全く変わってないからな」

マックスさんの話に乗っかろうとしたハッピーに俺がそう言う。

「んだとマックス!!お前は変わったってのかよ」
「ま、気持ちなら相変わらずヤングのままだけど」

ナツさんにマックスさんがそう答える。

「気持ちの若ぇ奴がヤングとか言うか?」

グレイさんのもっともな突っ込み。若い人でヤングとか言う人ってめったにいないですよね。

「腕なら相当上がってるぜ」
「ほほう!!おもしれぇじゃねぇか!!勝負すっか!!」
「おっ!いいぜ」

7年でレベルアップしたというマックスさんに箒を放り投げたナツさんが構える。

「ちょっと!!なぜそうなる!?」
「やれやれ!!昼飯後の暇潰しに丁度いいぜ!!」

2人が戦いを始めようとしたことに慌てるルーシィさんと煽るグレイさん。

「よーし!!燃えてきた!!」

ナツさんは目の前のマックスさんを見上げる低い姿勢になる。

「来い!!」

マックスさんがそう言うと同時にナツさんが突進する。

「うおおおおりゃあ!!」

ナツさんが火竜の鉄拳でマックスさんを殴ろうとしたが、それを下に探してマックスさんは交わす。

「よっ!!」

マックスさんはナツさんの腹に蹴りを入れようとしたが、ナツさんはそれを腕でブロックする。

「はっ!!」
「ぐわっ!!」

しかし、続けざまにマックスさんがパンチを放ったことによりナツさんは後方へと飛ばされる。ナツさんはなんとか着地に成功したが、その表情は驚きに満ちていた。

「ま・・・マジで?」
「俺らだって7年間何もやってなかったわけじゃねぇ。それなりに鍛えてたんだ!」

得意気な表情のマックスさん。ナツさんはS級魔導士昇格試験に選ばれるほどの実力なのに、そのナツさんをマックスさんが押してるなんて・・・

「ナツさんが・・・」
「マックスに勝てないの?」
「ウソでしょ?」

その事実にウェンディ、ルーシィさん、俺も驚く。

「もう一度だオラァ!!」

ナツさんはマックスさんに再び突っ込み次々に攻撃を放つ。だけど、全ての攻撃をマックスさんは見切っており、全く当たる気配がない。

砂の反乱(サンドリベリオン)!!」
「うああ!!」

マックスさんは地面から大量の砂を巻き上げナツさんを飲み込む。

「燃え尽きろ!!」

ナツさんはその砂を炎を使って蒸発させる。

「ナツゥ!!頑張れぇ!!」
「あんたさっきまでケンカしてたでしょ!?」
「それとこれとは別です」
「ハッピーって適当だよね~」

ハッピーたちはそんな話をいる。ちなみに俺が水の盾を使ってウェンディたちのことは守っているのでこれといった被害は出ていない。

「火竜の鉄拳!!」
砂の防壁(ウォール)!!」

ナツさんの鉄拳は巨大な砂の壁に阻まれる。

「ぬぅぅぅ・・・」
「7年前とは違うぜ」
「うおおおおおお!!」

ナツさんがどんなに力を込めても砂の壁が崩される様子がない。

「信じられねぇ、あのマックスが・・・」
「ナツを押してんのか!?」
「ひょっとして俺たちもナツに・・・」

ビジターさんたちもナツさんを押しているマックスさんに驚き、もしかしたらという期待を抱いている。

「うおおおおおお!!」

ナツさんがどんどん力を入れていくと、次第にナツさんは体に炎と雷を纏っていく。

「モード雷炎竜!!」
「!?」
「まさか・・・」
「あれは・・・」

あれはハデスと戦った時に見せたラクサスさんの雷とナツさんの炎を併せた状態か?

「ちょ・・・なんだよそれ・・・」

雷炎竜を初めて見るマックスさんはナツさんのあまりの魔力に震え上がっていた。

「雷炎竜の・・・咆哮!!」

ナツさんの放ったブレスはマックスさんの脇を通りすぎ、後ろの森の一部を粉砕してしまった。

「「「・・・」」」
「あいやー・・・」
「ああ・・・」
「すご~い!!」
「あ・・・あ・・・」

ナツさんのブレスの威力にビジターさんたちは驚愕し、ハッピーは破壊された森を眺め、マックスさんは固まっていた。

「くっそ・・・あの時ほどのパワーは出ねぇなぁ」

ナツさんは自分のブレスの届いたところまでの距離が天狼島の時より短くなっているのを見てそう言う。

「いつの間に自分の物にしたの?」
「今」
「そんな簡単にできるんですか!?」
「すごい・・・」

ナツさんの雷炎竜を見て俺たちは思ったことを言う。天狼島より威力は落ちてるけど、それでもとんでもないパワーだ。俺の水天竜よりも強いかな?

「ま・・・参った。降参だ。あんなの食らったら死ぬって」」

マックスさんは勝てないと判断し負けを認める。

「次はどいつだ?」
「ひいいいっ!!」
「やっぱ強ぇ!!」
「化けもんだぁ!!」

ナツさんがウォーレンさんたちをかかってこいと言わんばかりに睨むが3人は雷炎竜を見たせいで勝てる気がしないようだった。

「かはははははっ!!はははははっ・・・はっ・・・」

ナツさんは大笑いしながら前のめりに倒れてしまう。

「やっぱり魔力の消耗度が半端ないんだ」
「ナツ、それ実践じゃ使わない方がいいよ」

ルーシィさんとハッピーがそう言う。俺は魔水晶(ラクリマ)のおかげで魔力の消耗をある程度押さえられるけど、ナツさんはそれができないからな。それだけ2つの属性は大変だってことだ。

「でも、マックスさんもすごいです!!」
「途中までナツさんと互角でしたもんね!!」
「世辞なんかいらねぇよ、ウェンディ、シリル」

ウェンディと俺がマックスさんにそう言うと満更でもない様子。よく考えればコブラ戦である程度力がついてるのはわかってたけど、まさかここまでだったのは。

「だけど、そのくらいの力があったらオーガに好き勝手やられることもなかったんじゃない?」
「オーガはもっと強いってこと~?」

シャルルとセシリーがさっきのマックスさんの強さを見てそう考えたらしい。

「そうかもしれねぇが」
「金が絡んでたからなぁ」
「力で解決する訳にはいかんでしょ」

ビジターさん、ウォーレンさん、ナブさんがそう答える。

「マスターたちはやっちゃったけどね(汗)」
「だな」

ルーシィさんとマックスさんは黄昏の鬼(トワイライトオーガ)に借金のことで話し合いにいった際、結局相手をボコボコにしてしまったマカロフさんたちのことを思い出していた。

「しかし、こいつは思ったより深刻な問題だぞ?」

いつの間にか近くの崖の上に座っているグレイさんがそう言う。

「どういうこと?」
「元々化け物みてーなギルダーツやラクサスはともかく、俺たちの力はこの時代についていけてねぇ」

グレイさんはさっきの戦いで苦戦するナツさんを見ての感想を述べる。

「確かに・・・ナツでさえ、あのマックスに苦戦するんだもんね」
「あのマックスさんに」
「これはまずいですよね」
「さっきのは本当に世辞だったのか・・・」

ルーシィさん、ウェンディ、俺がそう言うとマックスさんは悲しそうにそう言った。ごめんなさい・・・でも、事実だと思うので・・・

「なんか、一気に魔力を上げられる方法はないかなぁ?」
「そんなのあるの~?」

ハッピーとセシリーも力不足を解消するために何か作戦を考えている。

「やっぱり・・・あそこか?」
「だな」
「そうね」

しばらく考えると、ナツさんたちが何かを思い付いたらしい。

「よし!!行くぞ!!シリル!!ウェンディ!!」
「あの・・・」
「どこに行くんですか?」

いきなり歩き出そうとしたナツさんにウェンディと俺はたずねる。

「まぁ、ついてきてみればわかるよ」
「「?」」

グレイさんがそう言うので、俺たちはよくわからないながらもついていってみることにした。




























森の中のある家の前にて・・・

「・・・」
「「「じー」」」

俺たちがグレイさんたちに言われるがままに付いてきたのは、桜髪が特徴のおばあさんの家だった。おばあさんはグレイさんたちがノックしたので家の前に来てくれたのだが、何も言わずにこちらをじっと見ている。
だけど・・・この匂いって・・・

「帰れ!!」

おばあさんは扉を勢いよく閉めて家の中に入ってしまう。

「ポーリュシカさん、なんかいい薬とかないですか?」
「一気に力が100倍になるのとか!!」
「さすがに都合良すぎか・・・」

あのおばあさんは何でも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の顧問薬剤師の人らしい。だから何か薬を持ってないかとグレイさんたちはやって来たようだ。

「シリル・・・」
「うん。気づいてるよ」

ウェンディも俺と同じことを感じたらしく、顔をうつ向かせている。

「どうしたの?ウェンディ、シリル」
「何かあったの?」

シャルルとセシリーが心配そうにこちらを見るが、俺とウェンディは首を横に振る。だけど・・・やっぱりあの匂いと声って・・・

「おっ!!」

家からポーリュシカさんが何かを持ってきたのか再びこちらにやって来る。

「人間は嫌いなんだよ!!帰れ帰れ!!」

ポーリュシカさんが持ってきたのは俺たちを追い払うための箒だった。箒を振り回されたので俺たちは危険を感じてその場から離れます。

「失礼しました!!」
「なんだよあのばっちゃん!!」
「じーさんの昔の恋人!!」
「違うわ!!ボケっ!!」

ポーリュシカさんはよっぽど人間が嫌いなのかすごくお怒りのご様子。途中でウェンディは立ち止まり、ボーリュシカさんを見つめていたが、すぐに俺たちのあとを追いかけるように走ってきた。

「やっぱり、そうなんだよね?」
「わかんないけど・・・たぶん・・・」

俺とウェンディはポーリュシカさんを見て、ある懐かしさを感じていた。
























その頃、妖精の尻尾(フェアリーテイル)では・・・第三者side

「というわけで、ワシは引退を決意した。これより、次期マスターを紹介する」

マカロフはギルドのメンバーを集め、そう言った。

「本気なの?」
「待ってくれ、まだ心の準備が・・・」
「お前じゃねぇだろ」

カナはマカロフの言うことが信じられず、マカオは現マスターである自分が呼ばれると思い服を正しているが、ワカバに違うと突っ込まれてしまう。

「五代目妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスター・・・ギルダーツ・クライヴ!!」

マカロフは隣に立っているはずのギルダーツを紹介するが、なぜかそこにいたのは笑顔で手を振るミラの姿だった。

「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」
「んがっ!?」

ギルドの全員が何が起きたのかわからずにいる。ミラだけはそんな状況でも笑顔のままだが。

「ギルダーツはどうした!?」
「置き手紙がありました」

マカロフはその手紙を開け、読み始める。

【マスター・・・それにギルドのみんなへ・・・
マスターとか、悪いがガラじゃねぇ】
「んなっ!?」
「あはははははっ!!」

ギルダーツの手紙は冒頭から予想の斜め上をいっていた。それを読んでマカロフは驚き、ギルドのみんなは笑いに包まれる。

【まぁ、けどせっかくだから五代目としての仕事を2つだけしておくとする。1つ、ラクサスを妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員として認める】
「!」

この日、ギルドに呼ばれていたラクサスは少し驚いている。

「勝手なことを・・・」

マカロフはギルダーツの手紙を読み上げながらそう言う。

「オッサン・・・」
「よかったな!!ラクサス!!」
「これで雷神衆完全復活ね!!」

ビックスローとエバーグリーンはラクサスがギルドに帰ってきたことに喜びそう言う。

「俺は・・・その・・・」
「ギルダーツ・・・あんたって人は・・・」

戸惑いを隠せないラクサス。その脇にいるフリードはギルダーツへの感謝の気持ちでいっぱいだった。

「ぬぅぅ・・・五代目がそういうなら従うまで・・・」
「くす」

しぶしぶ従うといった表情のマカロフを見てリサーナは笑みを浮かべる。本当は嬉しいくせにと内心思っているのだろう。

【2つ、マカロフ・ドレアー氏を六代目妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスターに任命する】
「またワシかぁ!!」

ギルダーツがマカロフをマスターに選んだことにギルドの面々は大いに盛り上がっていた。

「結局、元さやってことか」
「いいんじゃないの?」
「お髭のじーじ!!」
「とっても強いおじいちゃんなのよ」

アルザックとビスカ、それにアスカがそう言う。

【俺はしばらく旅に出る。気が向いたら帰るつもりだ。それまで、元気でな】
「はい」
「?」

ミラがもう一枚の手紙をカナに手渡す。
カナがそれを開けると中には1枚のCALLカードが入っていた。

【それとカナ、また勝手をしてすまねぇ。だが、会いたくなったらいつでもそのカードに祈ってくれ。 それは俺の持つカードに伝わり、すぐお前の元に―――】
「いらないよ!!」

カナはギルダーツの手紙の途中でそのカードを破った。

「カナ?」
「今まで通りでいいって言っただろ、クソ親父」

カナはそう言うが、心の中では父の優しさを感じていたに違いないだろう。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)は俺の家だ。必ず帰る。その時までに妖精の尻尾(フェアリーテイル)がまたフィオーレ一のギルドになってることを願う。だが、それは俺の役目じゃねぇ。お前たちの役目だ。マスター・・・それがあんたの最後の仕事だ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)を再びフィオーレ一のギルドに!!】

そこでギルダーツの手紙は終わる。

「最後じゃと!?バカたれが!!こうなったら誰にもマスターの座は譲らんぞ!!死ぬまでやってやるわい!!」

マカロフは半ばやけぎみにそう言う。それを聞いたギルドのメンバーはいつも通りの様子に大いに笑っていた。

「酒じゃ!!酒もってこい!!」
「はいはい」
「あらら、拗ねちゃったよ」
「まぁ、一件落着だな」
「漢だぁ!!」
「相変わらず雑に使うな、そのセリフ」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーはみんなそう盛り上がっていた。しかし、実はギルダーツの手紙にはもう一文、マカロフだけに綴られた文章があることをみんなは知らなかった。




























シリルside

「もう誰よ、ポーリュシカさんのとこに行こうって言い出したの」
「ルーシィ・・・」

俺たちはポーリュシカさんのとこから逃げ出し、疲れて今は休んでいる。

「とんでもねぇばーさんだな。」
「おおおお・・・」

グレイさんは気に寄りかかり座り、ナツさんは突っ伏して休んでいる。

「人間嫌いとは聞いてたけどあそこまでとはねぇ」
「オイラ猫なんだけどなぁ・・・」
「正確にはエクシードだけどね~」

シャルルたちもポーリュシカさんの人間嫌いにそう言っていた。全員がブツブツ言っている中、ウェンディだけは一人涙を流していた。

「大丈夫?ウェンディ」
「どうした?ウェンディ、怖かったのか?」
「ちょっと!!どうしたの!?」

泣いているウェンディを俺は落ち着かせ、グレイさんとルーシィさんは驚いている。

「あのばっちゃん!!ウェンディを泣かせたな!!」
「違うんです、ナツさん」

ポーリュシカさんがウェンディを泣かせたと思い腹を立てたナツさんだが、俺がそれを否定する。

「違うって?」
「懐かしくて・・・」

ウェンディは顔を覆ったままそう言う。

「え?」
「あったことあるの?」

シャルルがウェンディに質問する。

「ううん。さっき初めて会ったはずなのに、懐かしいの・・・あの人、声が・・・匂いが・・・グランディーネと同じなんです」
「「「「「「!!」」」」」」

ウェンディから聞いた一言に、その場にいた俺以外の全員が驚いていた。











 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
次はウェンディにポーリュシカさんが魔法書を手渡します。ついでに、シリルにもちょっとしたサプライズ付きです。
次回もよろしくお願いします。 
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