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歌集「春雪花」

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 立ち出でて

  見なば夏草

   さざめきて

 影もなかりし

      宵の幻



 ふと…誰かいるような気がして外へ出てみると、風に夏草が揺られ、さざめいているだけだった…。

 彼がいるような…そんな気がしたが、そんなことは有り得ない…。ただ、夏の宵に感じた幽かな幻なのかも知れない…。



 愛しきは

  埋み火の如く

    ありてこそ

 想いてや眺む

     永久の夕暮れ



 彼を愛おしく感じるのは…灰の中に埋もれた炭火の様に、静かに…熱く燃えているような恋しい想いがあるからこそ…。

 しかし…叶わぬそんな埋み火を胸に、私は永久に暮れない夕焼けを見続けるのだろう…。



 
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