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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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StrikerS編
  99話:力の意味とはなんなのか

 
前書き
 
もう…時間かかりすぎ…しかも五千文字いかなかったとは……
ダメだなこれじゃ、ほんとスランプ気味……
 
 

 
 





 はてさて、またも現れた未確認反応を追うフォワード陣。
 その頃ロングアーチは、既に未確認反応の正体を突き止めていた。


「動態反応確認、やっぱり…ガジェット!」
「Ⅰ型17機、Ⅲ型2機!」
「Ⅲ型は…初めて見るタイプだ、前線は注意して!」


 そう言ってモニターにⅢ型を移すシャーリー。新たな型(タイプ)のⅢ型、それは……


「付加ユニット付き……多足歩行型!」


 球形の胴体に、虫のような6本の足を取り付けた機体だった。
 その時管制室にいたスターズ分隊副隊長―――ヴィータは、そのⅢ型改とも言えるそれを見た瞬間、目の色を変え表情を変えた。まるで憤慨する直前のような表情だ。


「…? ヴィータ副隊長…?」
「……なんでもねぇ…ちと嫌なもんを思い出した、それだけだ」


 すぐ側にいたはやての副官―――グリフィスが、その変化した激情に感づき声をかける。だがヴィータはモニターから視線を外さないまま答えた。何かに…否、自ら湧き上がる激情を抑えるように。

 そんなヴィータを見かけた士は、あえて後ろから両手で―――怖い表情のヴィータの頭をぐしゃぐしゃにした。


「な、何すんだよ!」
「いやなに、お前がものすんげぇ怖い顔してたから、気持ちを楽にしてやろうと」
「余計なお世話だ! っていうか私は別に…!」
「〝あれ〟の事を、思い出してたんだろ?」
「……ッ!」


 頭に乗っている士の手を振りほどいて、反論しようとするヴィータ。しかし次に士が発した言葉で、言葉を詰まらせる。
 グリフィスや他バックヤードスタッフ、はやてに至るまで「〝あれ〟…?」と首を捻るが、なのはだけが少しだけ表情を曇らせた。そのことに気づくものはいなかったが。


「今更だな、ほんと。お前が気にすることでもねぇだろうに」
「……お前なッ…」
「忘れろとは言わん、だが〝あれ〟のことで一々そんな顔されたら、こっちが困る」
「………わかってるよ…」


 わかってる、と言いながら表情は余計に不機嫌になったヴィータ。士はダメか、と小さくため息をついた後、バリアジャケットを纏うフォワード陣が映るモニターを見た。どうやら知らぬ間に話が進んでいたらしい。
 レールウェイの地下通路に現れたガジェット達を各個撃破していく様は、まさに迅速、電光石火。既に30分程経っているが、最初に反応が確認されたガジェット全てを撃破していた。


「Ⅲ型改の反応、新規に確認! 機動六課フォワードチーム、G12へ!」
『『『『了解!』』』』


 フォワード陣はシャーリーの指示により移動を開始、その場の処理を他部隊に任せてガジェットの方へと向かった。
 その場を離れて行く四人の姿を見送りながら、その場を任された部隊の面々は四人の戦いぶりに感嘆していた。まぁつい数カ月前までの実力を考えれば、こういう反応も当たり前なのだが。

 そんな急成長をさせた張本人―――なのはとヴィータは、その言葉を聞いた瞬間、若干頬の緊張を緩め―――すぐに引き締めた。
 その反応を、一つ残らず見逃さなかった士は、面白い物が見れたと少し口角を上げた。因みにこの表情は誰にも見られてない。

 そして順調に進んでいき、フォワード四人は最後のⅢ型に迫る。
 手始めにキャロが召喚魔法で鎖を出し、Ⅲ型を拘束―――した瞬間、Ⅲ型に衝撃が走り、それにより鎖も壊れてしまった。


『『『『ッ!?』』』』


 四人の表情に緊張が走り、また管制室の皆々にもその緊張が伝わる。
 すぐさま行動を起こしたのは、シャーリーとティアナだった。Ⅲ型に起きたことを調べ、すぐに内部エネルギーが膨張していることに気づくシャーリー。そしてそのことをいち早く伝えられたティアナは、すぐさま側の三人に指示を飛ばす。

 そして数瞬の後―――モニターは白で塗りつぶされた。


『七番ホーム脇通路で爆発!』
『機動六課の交戦地点!』
『スターズ、ライトニング! 応答しろ…ッ!』


 モニターが白から黒い煙へと変わる中、その場で調査していた他部隊の通信が聞こえる。
 ―――しかし、機動六課の管制室は、そんな慌てようなんてどこ吹く風。いつも通り落ち着いた感じで、管制を続けていた。

 そして遂に煙が晴れていき―――スバルとティアナ、キャロの三人が障壁を張り爆発を防いでいる光景が映った。
 そう、三人―――残る一人であるエリオは、ティアナの魔力弾とフリードを引きつれ、Ⅲ型を爆発させた未確認(アンノウン)の場所を特定し、そこへ向かっていた。

 これは先日、なのはがヘリを守ってフェイトが発見、迎撃した時と同じ戦略(パターン)。四人が先日の戦闘のデータを見て、自分達でもできるような形を作り上げた結果の、この戦略(パターン)だ。
 その光景を見たなのはとヴィータは、またも嬉しそうな表情を―――ほんの少し見せた。気づいたのはやはり、士のみであったが。

 しかし結果としては、未確認(アンノウン)の反応は途中で消え、逃げられてしまった。
 その後も警戒態勢が敷かれたが、結局は何もなく。警戒態勢はすぐに解除され、この件は終わりを迎えた。


「士君、今回のガジェット出現、どう思う?」
「ふむ……新たなオプションの付いたⅢ型の性能テスト、と見ていいんじゃないか? 今までとは違うものができたら、試したくなるのが科学者だし」
「一概にそうとも言い切れんけど、可能性が高いのも確か……まぁなんであれ、動きがあれば捜査も進みやすい。取りあえず前線の仕事はお終いや」


 はやてはそう言うと、続けてなのはとヴィータに向かって「前線のみんなの動き、どーやった?」と尋ねた。


「んー、まだまだ甘い」
「合格点ではあるけどね」


 と、中々厳しい言葉を放ってから、踵を返す二人なのだが……


(そんな嬉しそうな表情(かお)で言われても、ねぇ…?)


 士はそう思いながら、傍らにいるはやての顔を見やる。はやても同じ事を考えていたのか、目を合わせるとクスリと小さく笑った。
























 はてさて、警戒も解除されフォワード四人も、上空で待機していたフェイトとシグナムも帰還したし、後は他部隊にお任せ、と………仕事もないし、寝るか。
 そう思い立ち上がった瞬間、扉が開きぞろぞろとフォワード四人が入ってくる。


「「「「失礼します!」」」」
「…お、おぅ……」


 寝ようと思ったところで…とは思うが、致し方ない。宿題を出したのは俺の方だしな。


「で、どうだったなのはからの宿題は?」
「はい、それらしい答えを出せました!」
「そうかい、そりゃあよかったな」


 俺は笑ってそう返したが、答えたスバルも他三人も急にしおらしくなった。…ん? 何故に?


「え、どしたのそんな顔して?」
「いえ…士さんの出した宿題の方は、まだ……」
「あぁ、まぁそうだわな」


 〝力の意味〟なんて、難しい質問だった。まだこいつらの戦闘経験(けいけんち)じゃ、そこまでの答えを出しきれはしないか……


「ま、今出せなくてもいいさ。いつか見つけられたら、教えてくれや」
「は、はい…」
「どんな〝答え〟が出るか、楽しみにしてるよ」


 四人は俺の言葉に苦笑いを浮かべる。が、ティアナがふとあることに気づき、仕返しとばかりに質問をしてきた。


「士さんは……どう思っているんですか?」
「ん?」
「士さんにとっての〝力〟って、なんですか…?」


 ティアナの言葉を聞いて、俺は目を見開いた。まさか、そんな返しが来るとは予想してなかった。
 そんな俺の反応を見て、三人も同じ疑問を持ったのだろう。目を輝かせて身を乗り出してきた。……はぁ…厄介なことになったな。


「あくまでも、これは俺個人の話だからな。お前らの参考にはならんと思うが…」


 と言うものの、目の輝きが失せない四人を見ると、語らないと帰らない―――つまり俺も寝れないのだろう。はぁ…ため息が止まらない。













「―――自分の為、かな」



「……え?」
「なんだ、そんなに驚いて。俺がミッドに住む大勢の人々の為に力を使ってるとでも思ってたのか?」
「い、いえ…そんな……」


 正直思った。ティアナが―――否、その場の全員がそう思った。
 あれだけの力がある人が、隊長達が言う程の力がある人が。


「そんな大それたこと、したくてもできねぇよ。結局のところ、俺にできるのは『破壊する』ことだけだからな」


 そんな事はない、少なくとも自分達を救ってくれた。
 全員が口にしなかったが、心の底からそう思っていた。


 ―――ある者は自らの死の恐怖から、

 ―――ある者は独り身という絶望の縁から、

 ―――ある者は一人だけの孤独から、

 ―――ある者は温もりを知らぬ身から、


 それでも、彼は自分のできる事は一つだけだと語る。
 エリオはふと、ヴィータに聞き込みをした時の事を思い出した。


『一人の人間にできる事は、何時だって一つだけなんだ』


 自分に速さという得意分野があるように―――この人にとっては、『破壊』というのが得意分野なのか?
 しかしそれでも、自分を…自分達を救ってくれたことには変わりない。その思いは、変わりようがないのだから


「だから俺がやることは今も昔も変わらない、俺の敵を―――『破壊』するだけさ。その為の力(ディケイド)だ」


 そういう士の瞳は若干下を向き、表情は少しだけ柔らかくなっていた。それを見たフォワード四人は、なんとなく気づいた。

 今言ったことは真実だが―――全てではない、という事を。

 まだ四か月程の付き合いだが、なんとなく……根拠はないが、四人はそう思った。


「……ほら、話したんだからサッサと帰って寝ろ!」
「は、はい!」
「失礼しました!」


 士の言葉で、四人は一度敬礼してから副部隊長室を出た。
 そしてしばらく歩いた後、最初に口を開いたのは、スバルだった。


「なんか…思ってたより重い感じがしてたけど…」
「何の為の力か、その力で何を成すか、か……難しいけど、きっと大切な事なんでしょう」
「はい! 私達も私達の〝力の意味〟を…」
「見つけて見せます!」


 そう決意を新たにし、四人は療へと戻っていく。
 士に出された宿題は答えを出せなかったが、それでもいつかはその答えを出さなければならない。魔法という力を持つ者として。

 そう決めた四人、スバルは「頑張るぞ~!」と拳を突き上げる。キャロとエリオも揃って拳を突き上げ、ティアナも拳を上げないものの笑顔を見せた。


 かくして、四人の心の隅にまた新たな課題が残された。その答えを導き出すのは、一体いつになるのか……





  
 

 
後書き
 
しかし今日は八月一日、デジモンメモリアルです。
デジモンの小説も書いてるし、なんか記念にやってみたいな。短編みたいなの。それでテスト前にテンション上げてみようと思います。

誤字脱字のご指摘、小説ご感想お待ちしています。
  
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