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零から始める恋の方法

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友達

 お昼休みが終わり、午後のかったるい授業が始まる。
 個人的に生物は楽しみだった。
 しかし、ふたを開けてみれば解剖やらないとか。
 うわあ・・・ないわー・・・。


 しかし、それは一年生の話で、二年生になればやるらしい。
 実に楽しみだ。
 さっさと解剖だけやりたい。


 というわけで、放課後。


 鞄に荷物を詰めて帰ろうとしていたら利英さんに呼び止められた。


 「部活見学いこー!」


 「わ・・・私は部活やる気は・・・」


 正直、中学のときとか部活とかだるいだけだった。
 てか、運動部の勧誘がひどかった。
 体育の時間とか無駄に運動ができたせいで、バスケ部やらテニス部からの勧誘が・・・。
 だが、名門校ともなれば、私クラスザラだろう。
 なら、ちょっと見に行くのもいいかもしれない。


 「そう言わずにさー・・・。いこーよー」


 利英さんもこういってるし、少しぐらいなら・・・。


 「わかりました。じゃあ、行きましょう」


 「じゃあ、先ずはブラスバンド部からだね!」







 ブラスバンド部ではミニコンサートのようなものが開かれていた。
 新入生を歓迎する策としてはまあ妥当なものだろう。
 ブラスバンド部なんて初めて見るので、ちょっと感動した。
 主に大会などのときの応援が一番メインな活動らしい。
 それはそれで凄いけど・・・どうせなら応援される側がいいかなー・・・。


 というわけで、次。






 次は第三体育館に来た。
 第三ということからわかるように、この平道学校には複数の体育館が存在する。
 中でも、この第三体育館はバスケ部の活動がメインとなっているらしい。
 因みに奥では剣道部が頑張っている。


 「バスケ部・・・だね・・・」


 「そうですね。わ、ダンクシュート!」


 一人の選手が幾人もの選手を抜けて、ダンクシュートを華麗に決める。
 ・・・かっこいいなあ。


 って、アレさっきの人じゃ・・・。


 「わあ・・・かっこいいですねー・・・」


 「そうだねー・・・。次いこっか!」







 次は剣道部だった。
 こっちは体験ができるらしい。


 「うぅ・・・意外と重いのです・・・」


 「そうだねー・・・。でも、ちょっと楽しみだよー」


 「さ、お手本はさっきやったとおりだからやってみて」


 といって、竹刀を渡される。
 こっちもやっぱり思ったより重い。


 「えへへ・・・よろしくお願いします」


 「よ・・・よろしくお願いします」


 お互い先ほど見せてもらったように竹刀を構え、向かいあう。
 あ、違う。
 ちょっとしゃがんでからするんだっけ・・・。


 






 「うぅ・・・まだちょっと手が痛いです・・・」


 「ごめんねー・・・。ちょっと本気になりすぎちゃったー。でも、雪菜ちゃんも相当だよー」


 簡単に説明すると、どうやったら一本取ったかもわからないような状況だったので、とりあえずでたらめに竹刀を振り回していた。
 先ず、利英さんが私の竹刀を弾き飛ばし、胴体につきを入れる。
 ついで、ひるんだすきに滅多打ちにされるものの、私は隙を見て竹刀を奪い取って抵抗。
 利英さんは素早く弾き飛ばした竹刀を取って、応戦した。
 そして、しばらく打ち合っていたら部員に止められた・・・というわけだ。


 少し痣になっちゃったかな。
 利英さんも・・・痣になってないかな・・・。
 痣になってたら悪いことしちゃったなあ・・・。


 「利英さん、なんか慣れてそうな動きでしたけど、中学の頃剣道やってたんですか?」


 「うーん・・・ちょっとねー。そういう雪菜ちゃんこそどうなの?」


 「昔父に護身術を少々・・・」


 幼いころ、父に教えてもらった色々な護身術がまさかこんなところで役立つとは・・・。
 ぶっちゃけ、暴漢に襲われることなんてないだろう。
 しかし・・・一応毎月一度は訓練しておいてよかったかもしれない。


 「えーと・・・次は・・・」


 利英さんがパンフレットを見てうんうん言ってる間、私はなんとなく校庭を見てみた。


 「・・・あの人」


 「よし!次は美術部にしよう!」


 「あの・・・」


 「なにー?次は美術部だから美術室にいこー!」


 「いえ・・・サッカー部・・・見に行ってもいいですか?」


 「え?なんで?女子サッカー部はないはずだけど・・・」


 「あ・・・ちょっと気になって・・・」


 「・・・朝のあの人かな?」


 「ち・・・違います!中学の時サッカー部だったから・・・!!」


 もちろん嘘だ。
 本当は気になってるから少し見てみたいだけ・・・。
 ちょっと見ただけでも格好良かったから・・・もっと間近で見たいと思っただけ。


 「・・・そうなの?」


 重ねて言うけど、嘘です。
 でも、本当のことを言うのは恥ずかしいので、ちょっと照れ隠し。


 「え・・・ええ・・・。ですので・・・ちょっと興味があるんですよ」


 「ふーん・・・ならいこっか!」








 「わあ!すごいです!シュートですよ!シュート!!」


 「そー・・・。なんかつまんなーい・・・」


 「そうですか?格好いいじゃないですか!」


 「・・・雪菜ちゃんさっきからあの人のことばっかりだね」


 「そ、そんなことありませんよ!ほら、また決まりました!キャーキャー!!」


 上本さんって上手なんだなー・・・。
 私もちょっとはできるけど、多分勝てないんだろーなー・・・。
 きっと吹っ飛ばされちゃうんだろーなー・・・。
 格好いいなあ・・・。


 「・・・完全にもう・・・ね・・・」


 「何か言いました?」


 「いや・・・別に・・・」









 「楽しかったですねー!」


 「そうだねー。どこに入ろうか悩むよねー・・・」


 「今日行ったところ以外にもいろいろあるみたいですね。それに、今週はずっと見学シーズンらしいですよ」


 「へー・・・。雪菜ちゃんはどこか決まった?」


 「いえ・・・まだ・・・」


 「・・・サッカー部のマネージャーとか」


 「!?」


 ど・・・どうしてそうなるの!?
 わ・・・私は別に・・・上本さんなんて・・・。
 って、なんでそこで上本さんが出てくるの!?


 「あ・・・あうぅ・・・」


 「ご・・・ごめんね・・・。そういうわけじゃ・・・」


 「はうぅ・・・大丈夫です・・・大丈夫ですからー・・・」


 うぅ・・・なんか頭混乱してきた・・・。
 今日は帰ってねよ・・・。








 翌朝。
 今日は何の問題もなく学校につけた。
 流石私、それでこそ私。


 「おはよー。今日は早いんだねー」


 話しかけてきたのは利英さんだ。
 おとなしく席で本を読んでいる様は結構・・・くるものがある。
 長い髪やスカートを限界まで長くしてあるところから清楚さが漂ってくる。
 これはラブレターが入ってたんじゃないかしら。


 「そうですね。今日は迷いませんでしたから。ところで、利英さんってかわいいですよね」


 「ふぇ!?ちょ・・・そんなことないって・・・。雪菜ちゃんのほうがかわいいよ!」


 ・・・かわいい。
 この反応はちょっと癖になりそうだ。


 「そんなことありませんってー・・・。ほら、ほっぺただってぷにぷにじゃないですか」


 「や・・・!やめてよー・・・。む・・・怒るよー・・・」


 因みに利英さんは結構小柄だ。
 だから・・・綺麗というより、かわいいというのがぴったりくる。
 これ・・・欲しいなあ・・・。


 そうこうしてきゃっきゃうふふしてたらもう授業だ。
 相変わらず生物の授業で解剖はしないみたいだ。
 解せぬ。







 昼休み・・・は特に何もなかったので、放課後。
 今日も部活見学だ。


 「今日こそ美術部行こうね!」


 「ええ。・・・で、どこです?」


 「・・・地図だと此処なんだけど・・・どこだろ」


 パンフレットの地図は結構アバウトだ。
 よくこんなもので今まで回れていたな、と思う。


 「あなたは・・・」


 そこにいたのは昨日上本さんと話していた女の人・・・。
 確か・・・幼馴染だっけ。


 「えーと・・・貴方は昨日の・・・」


 「あれ・・・名乗ってなかったっけ・・・。私は紗宮京(さみや きょう)。二年生よ」


  
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