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メイド

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第二章

「もう二度とね」
「そういう相手っているよな」
「小さい頃に虐めた相手ってな」
「そういう相手ってどうしてもな」
「会いたくないよな」
「女の子でもね」
 むしろそれ故に複雑な感情なのだ、夏樹にとっては。
「乱暴ですぐに殴ったり蹴ったり。もの取ったり意地悪して」
「いるいる、そういう娘」
「子供の頃ってな」
「意地悪する奴ってな」
「女の子でもな」
 友人達は夏樹の今の言葉に笑いながらも確かな調子で言った。
「そういうことする娘いるな」
「子供だとな」
「どうしてもな」
「いるんだよな」
「四年間虐められていたんだ」
 言いながらだ、夏樹はその虐めのことを思い出した。あれやこれやと思い出すがどれも嫌な思い出である。
「もう会いたくないよ」
「けれど子供の頃だからな」
「それはな」
 ここでだ、友人達は言うのだった。
「今はどうなってるか」
「それはわからないだろ」
「ひょっとして可愛くなっているとか」
「そういうのもあるだろ」
「ないよ、猿みたいな娘だったんだよ」
 夏樹はまた嫌な顔で言った。
「背はあまり大きくなかったけれど。やんちゃで乱暴ですばしっこくて」
「本当に色々やられてたんだな」
「何かと」
「やられてたから言うんだ、とにかくね」
「もう二度とか」
「その娘とは会いたくないか」
「うん、絶対にだよ」 
 夏樹は彩奈のことを友人達に話していた、その話の後でだ。
 友人の一人がだ、こう彼に言った。
「それで今日な」
「うん、メイド喫茶だね」
「行ってみような」
「メイド喫茶のことは聞いていたけれど」
 それでもというのだ。
「実際に行くのはね」
「なかったからな」
「うん、だからね」
 それで、というのだ。
「楽しみだよ」
「面白い場所だぜ」
 友人は笑って夏樹に話した。
「中々な」
「あれだよね、いらっしゃいませご主人様って」
「そうだよ、メイドの人達が迎えてくれてな」
「それでだよね」
「メイドさん達の接待、まあサービスを受けてな」
「楽しむお店だね」
「今日行くお店はお茶やスイーツも美味しいからな」
 肝心のそちらもというのだ。
「そっちも楽しんでくれよ」
「うん、わかったよ」
「じゃあ皆でな」
 夏樹を含めてだった。
「行こうな」
「それじゃあね」
 こうしてだった、夏樹達はそのメイド喫茶にくり出した、夏樹はこの時まではただ楽しいだけだった。
 だが店に来てだ、迎えてきたメイドの一人を見てだった。最初はまさかという顔になってこう言ったのだった。
 見れば小柄で少し太めだ。縮れた感じの黒髪をツインテールにしている。黒く大きな目で唇は見事な赤だ。店のメイド服にカチューシャなのは言うまでもない。
 その女の子を見てだ、夏樹は彼女に問うた。 
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