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ハルマゲドンだ

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第三章

「この教えはどうなる」
「最重要部分の一つがなくなるのだぞ」
「最後の審判はどうした」
「それを否定するのか」
「それは宇宙がなくなる時にお願いします」 
 法皇は思いきり日延べをした。
「是非」
「そんなことが出来るか」
「そうだ、我儘を言うな」
 サタンもミカエルも法皇に顔を顰めさせて言い返した。
「今ここにだ」
「黙示録がはじまるのだ」
「これから四匹の獣を出す」
「七人の天使がラッパを吹き鳴らすのだ」
「遂にハルマゲドンがはじまるのだぞ」
「それを延期とは何だ」
「ですから、それはこの宗教だけの話でして」
 キリスト教のというのだ。
「他の宗教には関係ないですから」
「他の宗教を巻き込むなというのか」
「信者の人間達も」
「だからか」
「ハルマゲドンを延期してか」
「はい、宇宙が崩壊する時にでもです」
 法皇は二人にまた話した。
「して下さい、それに神の羊達も今は滅びたくありません」
「そんなことは関係あるか」
「そうだ、審判の時が来たのだぞ」
 サタンもミカエルも法皇の言葉に口を揃えて言い返した。
「そんなことを言っていられるか」
「元より犠牲は覚悟の上ではないか」
「ハルマゲドンに勝った方がこの世界を支配する」
「そう書かれている通りにするだけだ」
「ですから受け入れている羊も受け入れていない羊もいるのです」
 あくまで言う二人に負けずにだ、法皇も言う。
「受け入れていない羊達のことをお考え下さい」
「そして他の宗教のか」
「神や仏達のか」
「はい、もうイエスの教えだけの状況ではないのです」
 今の世界はというのだ。
「我が法皇庁も今では他宗教を認め友好と親睦に務めています」
「それは我々も知っている」
「下界のことは常に見守っているからな」
 また答えたサタンとミカエルだった。
「知らない筈がない」
「そのこともな」
「ご理解して頂いているのなら」
 それならとだ、また話した法皇だった。
「お願いします」
「異教のことも考えろ」
「そういうことか」
「神もおわかりでしょう」
 キリスト教の神、即ちヤハウェもだとだ、法皇はここではミカエルに問うた。神の側近である彼に対して。
「このことは」
「それはそうだが」
「ですから。他宗教に迷惑がかからず」
「そしてハルマゲドンを受け入れていない羊達のこともか」
「お考えになられて」
 そのうえでというのだ。
「延期をされて下さい」
「変なことになっているな」
「変なことも何もです」
 法皇はミカエルにさらに言った。
「現代はそうなっていますので」
「だからハルマゲドンはか」
「延期されて下さい」
「全く、人間の世も変わったものだ」
「延期はしないぞ」
 サタンは法皇に自分から言った。
「そんなことはな」
「どうしてもですか」
「そうだ、そもそも宇宙の崩壊まで待てというが」
 このことについてだ、彼は言うのだ。 
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