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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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再会と再戦

「それにしても、気になるのはレギオン隊だね」
「といいますと?」

俺たちは図書館の中を走り目的地を目指しているのだが、カナさんが突然そんなことを言う。

「情報をばらまいて、無関係な人を巻き込んで、混乱を狙っているとか?」
「確かに、なんでこんなことをしてるんですかね?」
「それも、『混沌』ということかも知れないわ」

カナさんをシャルルが、俺をセシリーがつかんで目的の場所へと降りていく。

「考えていても仕方ない・・・今は私たちのやるべきことを・・・」

そこまでカナさんが言うと、俺たちは目指していた本棚の前にたどり着く。

「ルーシィが推理した場所は、たぶんここ・・・」
「『古き魔導の知恵を枕に時は眠る』でしたっけ?」
「うん。その一説が手ががりになったのよ」

カナさんと俺はルーシィさんが本で見つけた一説を確認する。

「知恵を枕に?」
「どういうこと~?」

シャルルとセシリーはどういうことなのかわからず、俺たちに視線を向ける。

「ここにある本は、どれも古代魔法の物。印刷技術のない時代に『写法』という形で残された、古代の英知」
「魔導図書館だけに保存されている、古き時代に知識や技術」
「時計の部品もこの中に・・・」
「隠されてるってことだね~!!」

俺たちはその本棚の前に立ち、そんな話をしている。

「ここのどこかに部品があるはずだよ」
「手分けして探しますか」
「そうね」
「わかった~!!」

俺たちは部品の在りかを見つけるために、この周辺をくまなく探すことにした。




























数分後・・・

「う~ん・・・」

俺たちはこの古代魔法の本がある棚の周辺をずっと探しているのだが、全くそれらしき物が見当たらない・・・

「何かありましたぁ?」

俺は本棚の中を調べながらカナさんたちに問いかける。

「ないねぇ」
「全然それらしき物がないわ」
「探しても探しても本ばっかりだよ~」
「そりゃあ図書館なんだから当たりめぇだろ?」
「ですよねぇ・・・」

どうやらカナさんたちも何も見つけられていないようだ。本当にここにあるの・・・ん?

「ちょっと待て!!」
「何よ」
「どうしたの?」
「何か見つかった~?」
「探し物が見つかったのか?」

みんな俺の声に驚いている。だけど、なぜ誰も気づかない!!

「一人声が多いんですけど・・・」
「あれ?そういえば・・・」

カナさんが俺に言われてようやく気づく。ここにいるのは俺、カナさん、シャルル、セシリーの四人。なのに、なぜか5人分の声が聞こえる。そう・・・一人多いんだよ・・・
俺はちょっと怖くて後ろを振り向けない・・・なんか幽霊とかそっち系の奴のような気がするんだよなぁ・・・

「誰が多いかわかる?」
「さぁ?」
「でも聞き覚えのある声だよ~?」
「そりゃあ会ったことあるからな」

カナさんたちも怖くて姿を確認していないようだ。それにしても男の声なんて・・・ますます誰だかわかんねぇぞ?だってこの図書館に来たグループで男は俺だけだったんだから・・・

「せーので振り返りましょう」
「オーケー!!」
「ヤバい奴だったらなんとかしてよ!!」
「僕とシャルルは戦力にならないからね!!」
「俺ぁ別にヤバい奴じゃねぇんだが・・・」

俺たちは意を決して振り返ることを決めた。スゥーハァー・・・よし!!

「行きますよ!!せーの!!」

バッ!!

俺たちは一斉に本棚から視線を外し、互いの姿を確認する。
そこにいたのはカナさん、シャルル、セシリー、ここまではいい。しかし、もう一人いた男が問題だ・・・
その男は赤色の髪をしており、7年前、天狼島で見たときとほとんど変わらない姿をしていた男だった。

「カミューニさん!?」
「よぉ!」

カミューニさんは手を上げて俺に挨拶してくる。なんでこの人がここにいるんだ!?

「こいつは悪魔の心臓(グリモアハート)の・・・」
「7年前にシリルと戦った・・・」
「生きてたの~!?」

カナさんたちは見たことのあるカミューニさんを見て警戒している。だけど、この人は敵じゃないから大丈夫だよな。

「なんでここにいるんですか!?」

俺は少々驚いていたので声が裏返ってしまった。カミューニさんはそれを聞いて笑いを堪えている。あなたが原因なんですけど!?

「笑うな!!」
「悪ぃ悪ぃ。お前らが天狼島から帰還して、最近はなんかよくわからねぇ部品探しをしてるって聞いたからよぉ、メルディたちに頼んで手伝いに行かせてもらったんだ」

カミューニさんはそう言う。メルディって子と今も一緒にいるんだ・・・それを聞いて俺はほっとする。7年経ってもこの人のメルディへの思いは変わってないんだな。

「あんた・・・もしかして部品の場所知ってるの?」
「知ってたら教えるに決まってんだろ?」

カナさんの質問にカミューニさんはそう答える。カミューニさんも部品見つからねぇとか言ってたし、たぶんここに俺たちがいるって情報だけを得て来たんだろうな。それだけでもありがたいんだけどさ。

「あんた、聖十大魔導だったんでしょ!?なんか知らないの!?」
「そうだよ~!!僕たちじゃわからないようなこととかないの~!?」

シャルルとセシリーはあくまでカミューニさんが何か知っていると思い問いただす。だけど、カミューニさんは首を横に振るだけ。本当に何も知らないようだ。

「使えねぇー!!」
「それはひでぇだろ!!」

カナさんにカミューニさんは怒鳴る。でも手伝いに来るなら何か情報を持ってきてくださいよ・・・

「やっぱり地道に探すしかないのね・・・」
「それで見つからないから困ってるんだよ~!!」

シャルルはがっかりとうなだれ、セシリーは空を仰ぐ。でも人が一人増えただけでも相当ありがたいですよね。

「まぁ、もしかしたら簡単に見つけ出せる方法がなくはねぇんだがな」
「「「「え!!」」」」

カミューニさんがボソッと言った一言に俺たちは反応する。簡単に見つける方法があるの!?

「なんだよ!!そんな方法があるなら最初っからいいなよぉ」
「で?どんな方法なの?」

カナさんとシャルルは期待の眼差しをカミューニさんに向ける。カミューニさんは二人の顔が近すぎて少しひいてるけど・・・

「まぁ待て。その前に、確かめてぇことがある」

カミューニさんはその場に立ち上がると俺の方へと歩いてくる。

「シリル、俺と一戦交えてくれねぇか?」
「え?」

突然の提案に驚く俺。今はそんなことしてる場合じゃ・・・

「俺の考えている見つける方法は、お前が鍵になる。だが、お前はそれを自分の意思でできるのかいまいちわからねぇ。だから今のお前の力を確認しておきてぇ。ダメか?」

俺が鍵になる?一体どんな方法なんだ?でも、それが必要なことなら、ここは受けないといけないだろうな!!

「わかりました。やりましょう!!」
「よし!!じゃあ・・・始めようぜ!!」

俺とカミューニさんは互いに構える。以前この人と戦った時は水天竜モードで勝てたけど、それでも力の差は歴然だった。以前みたいに負けられない戦いってわけではないが、やっぱり自分の力を最大限に活かして勝ちたいって思うのが、男の本能でしょ!!

「先手必勝!!」

俺はジャンプしてカミューニさんに接近する。

「水竜の翼撃!!」
「遅いって!!」

カミューニさんは俺の攻撃をジャンプして避ける。俺はそちらを見上げるが、そこにカミューニさんの姿はない。

「あれ?」
「シリル後ろ!!」

カナさんの声が聞こえて俺は振り返る。そこには拳を握りしめたカミューニさんがすごい至近距離にいた。

「よっ!」
「うおっ!!」

俺はカミューニさんの拳を腹に受ける。カミューニさんはそのまま続けざまに上段蹴りを放つが俺はそれを顔を下げて避け―――

「がっ!!」
「シリル~!!」

カミューニさんの蹴りは途中で軌道が変化し、後方に頭を下げて避けようとした俺にヒットする。

「くそっ・・・うおっ!!」

俺はふらつきながらもカミューニさんを見据えようとした。しかし、この魔導図書館は所々に廊下のような通路があるだけで基本は空洞。俺は通路を踏み外してしまい、下に落ちそうになってしまう。

「ヤベッ!!」

カミューニさんは俺を助けようと手を差し出し、

ガシッ

俺の手をつかんだ。しかし・・・

「「あ・・・」」

実はカミューニさんの体も通路の上にあったわけではなく、二人とも床のない所にいる状況になっている。つまり・・・

「落ちるーーーーー!!!」
「どわぁぁぁぁぁ!!」

俺たちはさっき上ってきたところを横目に、エルザさんとウェンディがケツプリ団と戦っている下の階へと落ちていった。






















ウェンディside

「31・・・32・・・」

ケツプリ団のリーダーさんは今、エルザさんに言われて腕立て伏せを100回しようとしているのですが、最初は勢い良く始めたものの、今ではすっかり勢いが衰え、今ではいつ倒れるかもわからないくらいの状態になっています。

「38・・・ガクンッ」
「「兄貴ぃ!!」

とうとうリーダーさんは力尽きて倒れてしまいました。大丈夫でしょうか?

「口ほどにもないな」
「大丈夫ですか!?」

リーダーさんの周りは汗でびしょびしょになっています。そこまでして真の悪としての威厳を見せたかったんですね。

「負けるものか・・・ケツプリ団のこだわりは・・・これだぁー!!」

リーダーさんはそう叫ぶとお尻を私とエルザさんに向けます。まさかこれは!!

「子分どもよーい!!」
「「へい!!」」

子分Aさんと子分Bさんも私たちにお尻を向けました。これはもうあれしかないですね!!

「「「ガスケツ!!トリプル!!」」」
「エルザさん避けて!!」

私は直接攻撃をさけるため、エルザさんに飛び付いて避けさせます。ケツプリ団の皆さんは、もうあれをガスケツをやる用意は万全です!!しかし・・・

「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」
「「「?」」」

突然頭上からシリルと誰か男の人の叫び声が聞こえてきました。ケツプリ団のみなさんはその声に反応し上を見上げます。

ドドンッ

すると、ケツプリ団の皆さんにシリルと天狼島で戦ったカミューニさんが降ってきて、3人は下敷きになってしまいました・・・だ・・・大丈夫でしょうか?




シリルside

「「いたたたた・・・」」

俺とカミューニさんは頭を押さえて起き上がる。全くカミューニさんと戦うといつも落ちるような・・・

「でもここならもう落ちる心配はないですよ!!」
「だな。全面に床があるみてぇだし・・・」

俺たちは一番下まで落ちたことでもう落ちる心配をする必要はない!!これで思い切り戦える!!

「行きますよ!!」
「おおっ!」

俺たちは戦いを再開しようと構えをとる。しかし、俺たちが一番下まで落ちたということは、当然あいつらがいるわけで・・・

「お前ら・・・」
「痛いでやんす・・・」
「早くどいてほしいっス・・・」

俺たちの下から、ケツプリ団の3人の声が聞こえる。俺たちは下を見ると、そこには俺とカミューニさんに踏みつけられているケツプリ団がいた。

「うおっ!!なんだこいつら!!」

カミューニさんは初めて見たケツプリ団に驚いてすぐにどける。俺もしょうがないので3人の上から降りる。3人は避けた俺たちを見ると、痛みに耐えながら立ち上がる。

「お前ら・・・よくもやってくれたなぁ・・・子分ども!!よーい!!」
「「へい!!」」

ケツプリ団は3人合わせて俺たちにお尻を向ける。ヤバい!!

「「「ガスケツ!!トリ―――」」」

3人のお尻に何かが溜まり始めたと思ったら、カミューニさんはさんにすばやく近づき・・・

「この魔導図書館で・・・」
「「「ひぃっ!!」」」
「んな見苦しい技しようとしてんじゃねぇ!!」

3人にカミューニさんの拳が見事に入り、ケツプリ団の人たちは打ち上げられてしまいました。

「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」
「また出てやるからなぁ!!」

リーダーは捨て台詞を吐くと、またもお星さまへとなってしまいました。というか、あの人たちまた現れるつもりなの?勘弁してよ・・・

「ったく・・・そんじゃ、続きと行こうぜ!!」

カミューニさんはすっきりきたのか、俺の方を清々しい笑顔で向く。

「あいつは・・・元聖十大魔導のカミューニ・フィゾーか?」
「どうしてあの人がここに?」
「私たちの部品探しを手伝いに来てくれたらしいよ」
「部品を見つけるためには、シリルの実力を確認する必要があるらしいの」
「それで二人とも落ちてっちゃったんだ~」

いつの間にか降りてきていたカナさんたちがウェンディとエルザさんに説明する。

「水竜の咆哮!!」

俺はブレスで攻撃するが、カミューニさんは軽やかに避けてみせる。なんか7年前よりも当たる頻度低いような・・・

「波動波!!」

カミューニさんは俺に波動を使って攻撃する。俺はそれを避けるが、避けた先にカミューニさんが飛んでいる。

「ふっ!!」
「うわっ!!」

俺はカミューニさんの拳から身を守るため、ガードしようと腕を出す。だけど、カミューニさんの拳は俺に当たる前に止まった。

「え?」
「・・・おめぇさぁ・・・目、使ってねぇのか?」

カミューニさんは出しかけた拳を戻しながらそう言う。目って・・・魔水晶(ラクリマ)のことかな?

「一応使ってますよ?たまに」

俺が答えると、カミューニさんは大きくため息をつく。

「“たまに”じゃダメなんだよ!!もっと目を使え!!」
「なんで?」
魔水晶(ラクリマ)に体を慣らすためだよ!!」

カミューニさんは声を荒げる。そんなに怒んなくても・・・

「いいか!!お前はその魔水晶(ラクリマ)を身に付けてすでに2、3週間は経っている。本当なら体に魔水晶(ラクリマ)が馴染んで以前よりもパワーが増してるはずなんだよ!!」

言われてみると、確かに以前までと今の俺はあまりパワーに変化がない。第三世代になったはずなのに、辛うじて水天竜の時になった時は“意識的”に魔水晶(ラクリマ)を使っているから、パワーを引き出してはいるけど・・・

「たまにしか目を使ってないと、いざ遠くを見ようとしたりしても長時間見えないだろ?」
「言われてみれば・・・」

レギオン隊のココさんを追跡したとき、途中から見える距離が短くなって見失ったけど、あれは魔水晶(ラクリマ)を使いこなせてなかったからなのか。

「お前の目があれば、時計の部品なんて簡単に見つけ出せる。だが、お前が目をどれだけ使いこなせるかと思って手合わせしてみたが、やっておいてよかったぜ」

カミューニさんの言う通り、俺も教えてもらえてよかった。もっと魔水晶(ラクリマ)を意識して使えばよかったのか。

「もういいや。後はおめぇで何とかしろ。飽きちまったから」

カミューニさんはそういって立ち去ろうとする。

「あの!!」
「あ?」

俺はそんなカミューニさんを呼び止める。

「俺がこの目を完全に使いこなせるようになったら、もう一度手合わせしてください!!」

俺がお願いすると、カミューニさんはフッと笑い、静かにうなずいた。そして、振り返ることなく図書館を後にした。

「何がしたかったの?あいつ」
「シリルにこのことを伝えにきただけなんじゃないかしら?」

カナさんとシャルルはカミューニさんのいなくなったあと、そんなことを話している。

「それじゃあ・・・行きましょう!!」

俺はさっそく、目を使って部品を探すことにする。俺たちは全員でさっきの古い魔法の本があるフロアへと走った。


























「ここかな?」

俺は目を使ってさっきの魔法書がたくさんある本棚を見て、それを押してみる。するとその本棚は後方へと倒れ、その中には秘密の抜け道のようなものがあった。

「隠し扉か」
「この先に時計の部品が?」
「行ってみましょう」

俺たちは抜け道の中へと入っていく。その中は、階段になっており、しばらくすると巨大な扉が見えてきた。

「あの中か!!」

エルザさんはその扉を蹴破る。その部屋の中には、巨大な台座のようなものがあった。

「きっと・・・これだ」
「時計の部品ね」
「でもさ~・・・大きすぎない?」

セシリーの言う通りその部品は俺たちよりも遥かに大きく、持ち上げるのだって至難の技だ。

「どうやって運べばいいんでしょうか?」
「さ・・・さぁ?」

ウェンディと俺は互いの顔を見合わせて頭を悩ませる。すると、エルザさんが

「なぁに、私の荷物と一緒に運べばいい」
「「「「「オオッ!!」」」」」

言われてみれば、エルザさんはたくさん荷物を持っているから、荷車も一緒に持っていたはず!!それならこの台座も運べるかも!!
俺たちはみんなで協力して、時計の部品を運び出した。













 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
まさかのカミューニに再登場です。
実は日常編で登場させて、シリルに魔水晶(ラクリマ)のことを伝えさせようと思っていたのですが、出すタイミングが思い付かず、ここでの登場になりました。
次回もよろしくお願いします。 
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