| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

Epico27-C竜の脅威~The 3rd task force : Rebirth Dragon Wing And....

†††Sideはやて†††

リンドヴルムがミッドチルダに現れた。しかも魔法が通じへんような相手も一緒に。ルシル君を倒したシュヴァリエルとおんなじ、魔導師への圧倒的なアドバンテージを持つ人が。しかも3つの小隊がほぼ同時で出現して、その3小隊それぞれに居るとのこと。
シャルちゃんの前世の人格、シャルロッテさんからいろいろと説明を受けて設立されたわたしら機動一課・臨時特殊作戦班は、その対処の為に動いた。こちらもチームを3つに分けて出撃。

「機動一課です! 大人しく武装を解除し、投降しなさい!」

輸送ヘリから飛び降りたわたしらはリンドヴルムの行く手に着地して、南部に現れたリンドヴルムを対処するわたしらのチームリーダー、フィレス二尉が投降を促した。そしたら太陽の杖を持ってる女の人がすかさず杖を地面に突き刺した。他のリンドヴルム兵もデバイス、そんで・・・

「注意! 先頭の女の持ってる弓、アレも神器だよ!」

シャルちゃんから警告が入った。他の5人を護るようにフィレス二尉と対峙する軍服の女性の手には虹色に輝く弓が握られてる。フィレス二尉が「イリス、その効果は!?」そう訊ねると同時。

「これがその能力よ」

シャルちゃんが答えるより早く女の人が弓を構えた。そんで判る、あの弓の能力。とんでもない雷撃が発生して、それが1本の矢になった。シャルちゃんが先頭に躍り出て「シャルロッテ様!」“キルシュブリューテ”を正眼に構えた。対峙する2人と見守るわたしら。動けへん。嫌な汗が噴き出て来て、虹色の弓や雷光の矢、シャルちゃんと“キルシュブリューテ”から目を離せへん。

「イリス。彼女の相手は私が勤めるから、あなたが杖持ちを」

「・・・・気を付けて、フィレス。とんでもなくヤバい能力よ、あの虹の弓・アルクスは」

シャルちゃんの雰囲気が変わる。シャルロッテさんの人格に交代したんやって判る。フィレス二尉が「なおさら譲れないですね。大人として、局員の先輩として、ね」ってわたしらに向かってウィンク。わたしらに向けられたのはとんでもなく大きな優しさ。そんでリンドヴルムに向けられたんは力強い戦意。それだけでわたしの緊張が薄らいでく。

「みんな離れて!」

――氷閃刃(イエロ・コラソン)――

「っ!」

「主はやて!」「すずか!」

わたしはシグナムに抱え上げられて、すずかちゃんはシャルロッテさんに腕を引っ張られてその場から急速離脱。その直後、視界が真っ白になって、鼓膜が破れるかと思えるほどの轟音が真下からした。遅れて衝撃波が襲って来た。

「ぅく・・・!」

「シグナム!?」

「問題ありません。あの神器持ちはフィレスに任せ、我々は他の兵を討ちます」

「ん!」『了解ですぅ!』

まだ目がしょぼしょぼするけど、撤退をしてるリンドヴルム兵をなんとか視認できるようにはなってる。チラッとフィレスさんを見る。女の人の持つ虹色の弓からは稲光と雷鳴が連続で発生してて、フィレスさんは氷の結晶なようなもんで雷光の矢を防いでは片刃剣型デバイス・“シュロス”で斬りかかってる。

「(フィレス二尉・・・、お気を付けて!)シグナム、わたしはもう大丈夫や」

「はい」

シグナムから離してもらって自力飛行し始めた時、「杖持ちはわたしが担当するね」シャルちゃん(イリスちゃんの人格に戻ってる)が真紅に輝く魔力翼を羽ばたかせて先行。遅れてすずかちゃんが「頑張ろうね!」わたしらの側に来てくれた。

「うん、頑張ろう!」

そうしてわたしらは撤退するリンドヴルム兵(走んのメッチャ速いなぁ)を追跡。まずは「スノーホワイト、バインドバレット!」すずかちゃんがバインド効果を有した魔力弾を18発と一斉発射。

「ウィング5!」

「はい!」

ウィング5って呼ばれた杖持ちの女の人が、太陽の杖を地面に突き刺した。ああなるとリンドヴルムはわたしら魔導師より上位の魔術師と化す。そしたらわたしとシグナムとすずかちゃんは手も足も出ぇへん。そやけどな、こっちには・・・

「シャルロッテ様!」

――ゲシュウィンディヒカイト・アオフシュティーク――

飛行速度を落としたわたしらやけど、シャルちゃんだけは真紅の翼を羽ばたかせてさらに急降下。するとリンドヴルムは「馬鹿め! 今の俺たちに魔法は通じないんだよ!」って言い放って、杖や銃型のデバイスから魔力弾を撃ってきた。

「甘い!」

――飛刃・翔舞三閃――

シャルちゃん(シャルロッテさんかも)が脇に構えてた“キルシュブリューテ”を一閃。そんで放たれるのは真紅に輝く斬撃3つ。シャルちゃんに向かう魔力弾を真っ二つに斬り裂いてって、杖持ちの人を囲うようにして三角形状に着弾。

「きゃぁぁぁぁぁぁ!」

杖持ちの人の立つ辺りだけが斬り裂かれて砕けたことで体勢を崩して、そんで杖先も地面から浮いた。これでリンドヴルムはまたわたしらと同じ魔導師になったわけや。

「『ブラッディダガー!』」

「バインドバレット!」

わたしとすずかちゃんはすかさず攻勢に出る。わたしは高速射撃、すずかちゃんはバインド弾。狙うは杖持ち以外の人。杖持ちはシャルちゃんに任せるって作戦やからな。狙いは4人。着弾までもう少しというところで・・・

「おっと、そうは問屋が卸さないぜ!」

その内の1人が先頭に躍り出て、軍服の懐から取り出したナイフらしき刃物を振り上げると、ものすごい量の水による壁が生まれてわたしらの攻撃を全て防いだ。

「馬鹿な、3つ目の神器だと!?」

シグナムがわたしとすずかちゃんを庇う様に前に躍り出た。アレも神器なんかシャルちゃんに訊こう思て目を向けると、杖持ちに斬りかかろうとしてたシャルちゃんが「そんな嘘! どうしてその神器がこんなところにあるわけ!?」驚きを見せて、動きを鈍らせてしもうた。

「えーい!」

太陽の杖を持ってる女の人が掛け声を発して杖を振るった。シャルロッテさん(やと思う)は咄嗟に“キルシュブリューテ”を掲げて盾として防いだけど、ピキピキってヒビが入る音がここまで届いた。

「ああ! せっかく新調したキルシュブリューテにまたヒビが・・・! タダじゃないんだぞ、まったくもう!」

「主はやて、月村!」

シグナムの切羽詰まった呼びかけ。ハッとして3人目の神器持ちの男の人へ視線を戻すと、わたしらを倒すための一撃――水の刃が3つと放たれ終えてたからすぐさまその場から離れる。

「シグナム! 杖持ちをお願い! そっちは私がやる!」

一人称のイントネーションの違いでイリスちゃんかシャルロッテさんか、の判別が出来る。今の一人称は、私、やったから、やっぱりシャルロッテさんの人格に交代してるんや。

「承知した! それでは主はやて達は――」

「シグナムと杖持ちの邪魔にならへんよう、他のリンドヴルムをどうにかするわ。それでええな? リイン、すずかちゃん!」

『はいです!』

「うんっ!」

シグナムが“レヴァンティン”に元から装填されてたカートリッジを取り出して、また別のカートリッジを装填した。そんで「行くぞ、レヴァンティン!」シグナムはひとり杖持ちの女の人へ向かって突撃してった。

†††Sideはやて⇒シャルロッテ†††

到底信じられない事態だけど、現代には存在しえないはずの神器が混乱の基点となってしまってる今回の事件。リンドヴルムっていう、ロストロギアを専門に蒐集する連中が絡んでいるのは確かで、神器の情報をもたらしたのは間違いなくシュヴァリエル。

(だからって神器を実際に見つけだして、実戦に投入なんて有り得ないにも程がある)

大戦時から数千年の今日、当時から存続してる世界も在る。とは言え、そこから神器を発掘とか。まぁ、ロストロギアも発掘したりして回収するって言うんだから運良く見つかるってこともあるんだろうけど。
疑問は尽きることなく。でも、そんな考えを今は横に置いておかないといけない。ミッドチルダに、神器を武装した兵を有する3チームが出現して、現在、私たち機動一課・臨時特殊作戦班は、連中への対抗戦力として同様に3つのチームに分かれて戦闘中。

(フィレスには概念兵装・虹の弓アルクスを任せた)

フィレス、その妹のセレスのカローラ姉妹は、先の次元世界と同じで魔術を扱える。しかも先の次元世界の生まれ変わりっぽくて、フィレスは魔族・メノリアとの融合の影響なのか即戦力レベルの魔術師化が可能。だから雷を矢として放てる弓・アルクスを扱う女の相手を任せた。
別のチームだけど、セレスは、前世においての“ディオサの魔道書”の使用、守護神としてのルシルとの契約による影響か、今世では年若いのに完成されてる魔術師となってる。中の中あたりより下のランクの神器には問題なく勝てるはず。

(まぁシュヴァリエルや他のエグリゴリには勝てないだろうけど)

そしてシグナム。シグナムにも対神器戦を任せた。シグナムは魔術師でもないし神秘も有してない。それでも任せた理由。それは、ルシルの特製カートリッジを扱える唯一のデバイス持ちだから。
ルシルは未だに目を覚まさず、デバイスの“エヴェストルム”は修復不能にまで破壊されちゃってるから、どの道、ルシルのカートリッジは今ではシグナムと“レヴァンティン”にしか使えない状態。目を覚ました時、ルシルに怒られちゃうかもだけど、今はシグナムに託す。そして私はというと・・・

「概念兵装、澪結剣ヒュドール・アソオス・・・の試作剣!」

リンドヴルムが持っていたのは、“戦天使ヴァルキリー”が一、水流系の完全機ナーティア・ヒルド・ヴァルキュリアの固有武装、“澪結剣ヒュドール・アソオス”、その試作品。製作者はもちろんルシルだ。でも試作剣はアースガルドと同盟を組んでたいずれかの世界で失ったって噂で聞いていたんだけど・・・。

「その剣、どこで手に入れた!?」

「そ、そんな事どうでもいいだろ! コイツは俺、ウィング6に授けられた特別な武装なんだ! それだけで十分!」

試作剣を振るう青年。放たれるのは水の刃。試作剣でありながらその神秘は桁違い。まったく、ルシルも厄介な神器を作ってくれたものだよ。魔術師化すれば楽に勝てるだろうけど、魔術師化にはルシルとのキスが条件となってくる。あとお酒で最高レベルまで酔うこと(しかも運頼り)。
だけど残念ながらその策は両方とも取れない。絶対切断もスキル化してるから、格落ちしてる“エインヘリヤル”程度なら通用するけど、さすがに神器本体までは斬れないし、逆に砕かれる。となれば、持ち主であるウィング6を昏倒させるしかないわけだ。大戦時なら殺して終了なんだけどね。

「せいやっ!」

水の刃を半身ズラすことで避けた後、刀身に攻撃魔力を纏わせての一撃を振るう。狙うは試作剣を持つ右手首。骨折くらいは覚悟しなさい。ウィング6とかいう青年は「うわぁ!」大慌てで試作剣を振り上げた。すると私と彼を隔てる水の壁が生まれた。

――絶対切断(アプゾルーテ・フェヒター)――

神器本体は斬ることは叶わずとも、その能力や魔術ならまだギリギリで斬ることが出来る。絶対切断効果を付加した“キルシュブリューテ”は水の壁を裂き、ウィング6の右手首に届くというところで彼は試作剣を器用に振り回して受けようとしたから、私は慌てて“キルシュブリューテ”を引く。

(ナイフの扱い方はそれなりみたいね)

神器持ちであってもその神秘を全身に纏うようなことはない。それが魔術師と魔導師の違い。神器を扱うからと言って魔術師になるわけじゃない。

(犯罪者とは言え、さすがにバッサリ斬るわけにはいかないし)

左手に鞘を持ち、魔力を付加したうえでウィング6の側頭部へ向けて振るう。彼は「ヒッ!」怯えながらも試作剣を頭の高さにまで掲げて防御姿勢を取った。ていうか、そんなに怯えるくらいなら「戦場に出てくるな!」狙いを頭部からガラ空きな腹に変更。

「うごぉ・・・!?」

「そーら、飛んでけぇー!」

フルスイングして、ウィング6を吹っ飛ばした。今の手応え、直前でシールドを張られたっぽいな。仮にもロストロギア回収がための実行部隊の1人か。精神的には脆そうだけど、魔導師としての腕はまあまあなのかもしれないな~。

(ここで一気に畳みかける!)

――風牙烈風刃(ヴィント・シュトゥース)――

着地させるより早く風圧の壁を叩きつけようとしたけど、ウィング6は中空で試作剣を振るってまた水の壁を発生させた。烈風刃が容易く防がれる。

(むぅ。フィレスやセレスにも、カートリッジに魔力を充填する才能があれば良かったんだけどな~)

試しにさせてみたけどダメだった。神秘を有する魔力は充填できるんだけど、そのカートリッジをロードすると決まってドッカーン! 冷気爆発が起きる。シュヴァリエルに壊されて、フィレスのカートリッジに壊されて、セレスのカートリッジに壊されて・・・。私とイリスの“キルシュブリューテ”はここ最近ひどい目に遭ってばかりだよ。

「ホント面倒な事をしてくれるよね、リンドヴルムはさ」

「リ、リンドヴルムは! ボスは! シュヴァリエルさんは! 世間から爪弾きにされた俺たちを拾ってくれた恩人だ! 貧しいから、体に障害があるから、そんないろんな理由で虐げられていた俺たちを拾ってくれて、育ててくれて、居場所を、仲間をくれたんだ!」

「だからって、犯罪者に成り下がっていいわけ!? 目的の為に盗みや傷害を犯して、今ではそんな物騒な物まで使って暴れて!」

カートリッジをロードして変身魔法を発動。体格を私本来の165cmの大人形態へ。そして、高速移動歩法・閃駆でウィング6へ突進。彼は大慌てで「黙れこの・・・!」試作剣を横に振り払った。そして発生するのは津波。高さは約3m、幅は10mほど。だけどさ・・・

「私がさっき水の壁を斬り裂いたこと、もう忘れたわけ!」

“キルシュブリューテ”の刀身に絶対切断を再付加したうえで「せやぁぁぁっ!」波を縦に斬り払って道を確保。と、「あら?」目の前には水で出来た龍が3頭。ルシルの水流系下位術式のアルティフォドスね。私は足を止めることなく・・・

「まずは1!」

先頭の水龍の顎と首を斬り落とし、「そんで2!」次の水龍の顎と首、さらに胴を斬り落とし、「これで最後!」3頭目の龍を顎から尻尾までを真っ二つに斬り裂いた。ウィング6は「なんなんだよ、コイツ!」後退しながら必死に試作剣を振るい続けて、水流系魔術をごっちゃにして放ってきた。

「神器の扱い方が・・・!」

――飛刃・翔舞六閃――

「なってない!」

神器・“断刀キルシュブリューテ”の絶対切断能力のスキル化。そのメリットは発動するのに魔力が要らないということ。意思1つで発動できるのは実にありがたい。ま、神秘が消失したのは痛いけどね。

「う、うぁ、うあああああああああ!!」

絶対切断の効果を有した私の斬撃は全ての水流系術式を斬り裂いて進んで、ウィング6の周囲の地面を大きく穿った。すかさず閃駆で最接近。“キルシュブリューテ”を横一線に振るって「はい、終わり」彼の手首を打ってボキボキとへし折り、「っ!?」右手からポロッと落ちた試作剣の柄を蹴飛ばし、そして鞘で彼の脇腹を打つ。

「ぅぐ・・・!」

「(またシールドを張った・・・!)でも・・・!」

――光牙裂境刃(ツェアライセン)――

間髪入れずに対障壁・結界切断効果を有した魔法を発動。そして“キルシュブリューテ”をウィング6の左肩に打ち下ろす。彼はまた咄嗟にシールドを張ったけど、「あがぁっ!?」そのシールドを斬り裂き、彼の左肩に直接ダメージを入れた。ゴキゴキと骨が折れる音が耳に届く。

「神器を失い、魔導師へと戻った者に敗れるほど・・・」

それでも倒れないウィング6の鳩尾へと・・・

「騎士は弱くない」

「うごぉ!」

柄頭の打撃を全力で打ち込んでやった。ウィング6は盛大に吐いてその場で蹲り、そしてようやく倒れた。そして地面に突き立つ試作剣を回収、ソレをスノー分隊員に預けた後、“キルシュブリューテ”を鞘に収めて「次!」シグナム達のフォローに戻るため私は駆け出した。

†††Sideシャルロッテ⇒すずか†††

シグナムさんが、“オールドー・デ・ソル”っていう杖の形をした神器を持つ女性――ウィング5に斬りかかる。そして私とはやてちゃん+リインは、ウィング2、3、4の3人を相手する。この3人は単なる魔導師で、私やはやてちゃんでも十分戦える相手なのは間違いないんだけど・・・

「ええ感じやよ、シグナム! その調子でお願いするわ!」

ウィング5の持つ杖は、杖先を地面に当てている間だけ持ち主が仲間と認知している人たちみんなに神秘っていう超古代の特別な“力”の加護を与えるというもの。その神秘の加護を受けている間、私たち魔導師の魔法の一切合財が通用しなくなる。
その圧倒的に不利な要素をどうにかするために、シグナムさんがひとりウィング5と戦っている。私たちの主な作戦は、シグナムさんがウィング5に攻撃を加えることで杖を地面から離れさせて、その間に私たちで他3人を倒すというものだ。

「すずかちゃん、サポートもう一度お願いするわ!」

「うんっ!」

たった今、私たちは協力してウィング2を撃破した。魔導師対魔導師の戦いなら私たちにだって勝機はある。それを証明した。リンドヴルムは確かに強いけれど、私たちが普段相手にしてるチーム海鳴には届かない。

「くっそ! こっちも全力で戦ってるっていうのに、どうして押されているんだよ!」

「神器の加護が無くなっただけでこの体たらく・・・! 俺たちを信じて本部に残ったシュヴァリエルさんになんて言って詫びれば良いんだ・・・」

ウィング3とウィング4がデバイスをギュッと握りしめて歯噛みした。その話を聴いて私とはやてちゃんは頷き合う。シュヴァリエルさんはこのミッドには来ていない。それはどれだけ私たちを安心させてくれる情報なんだろう。

「このまま易々と捕まってたまるか!」

「そうだ! 恩に報いるためにも、任された仕事くらいはキッチリ果たして見せるんだ!」

マシンガンのようなデバイスを持つウィング3と、武装隊の一般的な杖型のストレージデバイスを持つウィング4の2人が魔力弾や砲撃を撃ち放ってきた。ここで迎撃に移るか回避に移るか、それを決めるにはシグナムさんと杖持ちのウィング5の戦況を確認しないといけない。

『回避です!』

はやてちゃんとユニゾンしてるリインから念話が来た。即座に回避行動に入る。リインははやてちゃんの魔法運用のサポートと、そして今回限りのシグナムさん達の戦闘の監視を役目としてる。杖を地面から離させている時は、アタック、の合図を。杖が地面に付いている時は、回避、の合図を出すようにお願いしてる。

「リイン、その調子や!」

『はいで――あ、アタックです!』

――ブリューナク――

――フローズンバレット――

すでに発動準備を終えていた射撃魔法を一斉発射。ドラゴンウィングの2人もシールドや移動することで対処した。すぐに次の魔法をスタンバイしたところで、『あぅ、またダメです!』リインから残念そうな念話が来た。追撃を中断して、2人の動向に警戒。

(シグナムさんが苦戦してる・・・?)

ルシル君の特製カートリッジを唯一あつかえるシグナムさんの“レヴァンティン”。対神器戦にも十分通用するっていう事で、シグナムさんは魔術師でもなければ神器持ちでもないけど、神器持ちのリンドヴルムと1対1で戦ってる。けど、相手がいくら神器持ちでも歴戦の騎士のシグナムさん以上の実力はないはずなのに・・・

「とにかく今は回避の一手やな・・・!」

私たちに向かってばら撒かれる何十発っていう神秘を有した魔力弾。掠る程度でも危険な弾幕を全力で躱し続けていると、『こちらシグナム。杖持ちを撃破!』シグナムさんから待ちに待った内容の念話が来た。はやてちゃんと頷き合って、即座に攻勢に転じる。

「ごめんなさい、逃がしません!」

――チェーンバインド――

神秘の加護を失ったことに気付いたみたいなウィング3と4が逃げようとしたから、申し訳ないけどバインドで拘束させてもらった。

「おおきにな、すずかちゃん! リイン、行くよ!」

『はいです!』

はやてちゃんは“夜天の書”のパラパラ捲った後、“シュベルトクロイツ”の先端をウィング3と4に向けた。足元に展開されるのはベルカ式の魔法陣。と、逃げられないって諦めた2人が腕を拘束するバインドを自力で破壊して、はやてちゃんに向かってまた弾幕を放ってきたから、「スノーホワイト!」私が護りに入る。

≪リフレクティブミラー!≫

見た目はアイスミラーだけど効果は違う。名前の通りリフレクト――反射させるためのシールドだ。はやてちゃんの全身を護ってもまだ余裕のある大きさで以って展開して、着弾していく弾幕の1発1発を「お返しします!」反射させていく。

「「うおおおおおおお!!?」」

反射してくるなんて思ってもみなかったみたいのウィング3と4は大慌てでシールドを張って防御。そんなところに「遠き地にて、闇に沈め!」はやてちゃんの詠唱が聞こえた。

「『デアボリック・エミッション!』」

はやてちゃんが発動したのは空間作用型の広域殲滅魔法、デアボリック・エミッション。バリア発生阻害効果のある球状の純粋魔力攻撃で、スフィアを中心に広範囲に渡って魔力攻撃を充満させる魔法。ウィング3と4が急に出現して大きく爆ぜたその一撃から逃げることも、防ぐことも出来ずに呑み込まれた。

「主はやて、リイン!」

「すずかー!」

デアボリック・エミッションの効果が未だ続いてる中、シグナムさんとシャルちゃんの声が聞こえた。そっちに振り向くと、シャルちゃんは大手を振っていて、シグナムさんはクールに翔けて来ていた。

「シグナム!」「シャルちゃん!」

合流を果たしたところでデアボリック・エミッションの効果が切れて、ウィング3と4は地面に倒れ伏してるのを確認。終わった。スノー分隊の方たちに2人の身柄を預けて、「フィレスのところへ!」シャルちゃんを先頭に私たちはフィレス二尉の元へ飛ぶ。遠くで鳴り響く雷鳴が、まだ戦いが続いてることを証明してる。

「シグナム、シャルちゃん。見た目は怪我ないようやけど、ホンマに大丈夫なん?」

「はい。ルシリオンのカートリッジが切れてしまったことで長引いてしまいましたが、無事に勝利できました。相手の神器が攻撃系ではなかったのが幸いでした」

ルシル君のカートリッジが無い状態で神器持ちに勝ったって言うシグナムさん。いくら神器が武器・攻撃系じゃないとしても、すごい、としか言えない。そしてシャルちゃんは「わたしも、シャルロッテ様が強すぎて楽勝だった♪」ってピース。

「神器の効果は恐いけど、持ち主自身も強くなるわけじゃないのが幸いだよね。強いのは神器なんだから」

私がそう言うと、「全く以ってその通りだよ」ってシャルちゃんが同意してくれた。けどそれは、神器を持たなくても圧倒的な実力を有してるリンドヴルム兵が攻撃系の神器を持ったら勝てないかもしれない、ってことにもなってくる。もしシャルちゃんやルミナちゃん、ベッキーちゃん、セレスちゃん、そしてフィレス二尉でも勝てないようなリンドヴルムが現れたら・・・

(私たちはどうなるんだろう・・・)

不安が押し寄せてくる。真っ先に思い浮かぶのはシュヴァリエルさん。リンドヴルムの話だと本部に居るみたいだけど。けどもし何らかの理由で現れたら。ルシル君の無残な姿が脳裏に過る。

≪スズカ? お顔の色が優れませんわ≫

“スノーホワイト”が心配してくれた。不安なのはきっと私だけじゃない。シャルちゃん達だってきっと。だから「大丈夫だよ」って答える。気持ちで負けてたらいざという時に何も出来ない。頬を両手で張ったその時・・・

「「「きゃあ!?」」」「むぅ!?」

空間が大きく揺れて悲鳴を上げる。辺りを見回すと、「なんやアレ!?」はやてちゃんがある方角を指差したからそっちに目をやると、全長10m近い長さを誇る氷で出来た六角柱が数本とそびえ立ってた。

「フィレスの仕業だね。ガチの魔術だから、いくら神器持ちでもアレを食らったら即死レベルだよ」

シャルちゃんが呆れ笑い。そうして私たちは氷柱の側まで行くと、大きな岩石に腰かけてた「フィレス二尉!」の姿を視認。フィレス二尉は私たちに気付くとピースサイン、そして満面の笑顔を浮かべてくれた。側には凍りついてる虹の弓・“アルクス”と、ウィング1と言うコードネームの女の人が倒れ伏してた。

「さすがシャルロッテ様が一目置くフィレス。ていうか、死なせてないよね・・・?」

「当然よ。まぁ、今すぐ病院に運んだ方が良いでしょうけど」

フィレス二尉は部下の人たちに救急車を呼ぶように指示。とりあえず私は治癒魔法で応急措置。

「すずかー!」

「おーい、みんなー!」

そんなところにジョン君とアリシアちゃんが駆け寄って来てくれた。アリシアちゃんは、フィレス二尉の闘いがすごかったって大興奮。魔術師化したセレスちゃんの戦い方は海鳴市で何度か見たけど、フィレス二尉はそれ以上なんだと思う。

「すずか、格好良かったよ!」

「ありがとう、ジョン君♪」

ジョン君は、私を慕ってくれてる。ジョン君が記憶を失う直前で私が、名乗った、からなんだって聞いたけど。なんていうか、弟が出来たみたいな感じで、少しくすぐったい。だから守りたいって強く思う。リンドヴルムが何を以ってジョン君を狙っているのかは知らないけど、お姉ちゃん(自称だけど)として守り抜いて見せる。
それから西部や東部に新たに現れたリンドヴルムの逮捕に向かっていたなのはちゃん達からも、無事にリンドヴルムの逮捕、そして神器の回収が完了したって連絡が来た。

「――合流地点を地上本部にするということになったから、私たちも行こう」

合流場所が変更されて、ミットチルダ中央区画・首都クラナガンへ向かうことになったから、スノー分隊専用の輸送ヘリへ移動。

「ねえねえ、僕もヘリの方に乗りたい!」

「あ! わたしも乗りたい!」

ジョン君とアリシアちゃんが手を挙げてそう言ってきた。私たちに許可する権限はないから、みんな一緒にフィレス二尉へと視線を向ける。

「・・・一課員以外が乗るのはあまり好ましくないけれど・・・。ま、特別に良しとしましょう」

「「ありがとうございます!」」

「すずか、帰りは一緒できるね!」

「うん、そうだね」

帰りはアリシアちゃんとジョン君も一緒。ヘリはゆっくりと上昇していって「クラナガンまで空の旅を楽しんでくれ」パイロットのソリオ一等陸士にそう言ってくれたから、

「「「「「はーい♪」」」」」「はいですぅ♪」「よろしくお願いします」

私たちは元気よく返事。ヘリの小さな窓からミッドの街並みを眺めていると、「はい。こちらスノー分隊、フィレスです」フィレス二尉に通信が入った。モニターに移るのはどこかのモニター室のような部屋と、オペレーターらしき女の人(歳はエイミィさんくらいかな)。

『フィレス二尉! 緊急です!』

「ど、どうしたの?」

『クラナガンに新たなリンドヴルムが出現しました! 現在、謎の少年と交戦中!』

ヘリの貨物室にモニターが数枚と展開されて、クラナガンの現状が映し出された。私より少し年上みたいな男の子が武器を携えて、軍服姿のリンドヴルム2人と戦ってた。周囲には首都航空隊。両者に戦闘行為をやめるよう促してるけど、リンドヴルムは問答無用で航空隊を撃墜していってる。

「なんてことを・・・!」

「あり得ない・・・、なんであんな神器まで在るわけ・・・?」

私たちがその悲惨な光景に絶句してる中、シャルちゃんがポツリと呻いた。シャルちゃんが驚く神器。男の子の方は黄金に輝く剣と盾。リンドヴルムの方は、1人は綺麗な白銀に輝く年代物っぽいライフル。もう1人は黄金の大剣と盾、そして全身を覆う甲冑姿。

「ぅぐ・・・!」

ここでジョン君の様子がおかしいことに気付いた。頭を抱えて何かに怯えているかのように体を震わせてた。

「ジョン君! 大丈夫ジョン君!」

「すず・・か・・・! 判らない、判らないよ・・・! なんで、どうして、こんなに・・・!」

ジョン君の頭を私の胸に抱きかかえて、背中をそっと撫でる。シャルちゃんが「この子、まさか・・・」何かポツリと呟いたような気がしたから、「どうしたのシャルちゃん?」って訊き返してみるけど、「ううん、なんでもない」って首を横に振った。

「とにかく! フィレス、急いで現場へ向かって! 神器持ちに対抗できるのは私たちだけ! 首都航空隊じゃ撃墜されるだけよ!」

「ええ、判って――判ってます! ソリオ!」

「アイアイサー! 全速で首都クラナガンへ向かいます!」

ヘリの速度が上がったことで窓から見える景色がぐんぐん過ぎていく。その間、貨物室は無言。そして私はジョン君をずっと抱きしめてた。記憶を無くしちゃうような酷い目に遭ったと思うジョン君。リンドヴルムの姿を見てフラッシュバックしちゃったのかもしれない。

『こちら東部担当チームリーダー、アルテルミナスです。クラナガンの状況はすでに聴いてます』

『西武担当チームリーダーのセレスです。私たちも一課のオペレーターから話を聴きました』

貨物室に展開された2つのモニターに映るのはルミナちゃんとセレスちゃん。2人もクラナガンに新たに出現したリンドヴルムの所業を聴いて、現場に向かってる最中だと伝えてくれた。そして現場で合流した後、新たなリンドヴルムを束で迎撃して、追われてる男の子を保護しようって事になった。
それからシャルロッテさんの人格に交代したシャルちゃんの口から、リンドヴルムや男の子が持つ神器の詳細を聴いた。正直、私たちが負けたら管理局が終わる、そんな絶望すら抱きそうになっちゃったけど、でも・・・

(かえって強く思えるようになった。負けられない、って・・・)

そうして私たちの乗るヘリは首都へ到着。リンドヴルムは、男の子を追ってひたすら首都上空をぐるぐる回っていたことで、すぐに発見することが出来た。

「すずか、はやて、リイン、そしてシグナム。あなた達は待機ね」

「「「え・・・?」」」「・・・」

シャルロッテさんからの指示。本当は訊き返すまでもない。私たちが居たところで何も出来ない。それどころか足手纏いになる。それくらい理解してるから、「はい」私たち4人は頷き応えた。

「フィレス。どこまで戦える?」

「ざっと10分と言ったところでしょうか」

「それだけあれば十分。ベッキーの精霊やセレス、アルテルミナスも居るし。なんとかなるでしょ。それじゃ・・・行こう!」

――真紅の両翼(ルビーン・フリューゲル)――

「はいっ!」

開いた後部ハッチからシャルロッテさんとフィレス二尉が飛び降りて、男の子とリンドヴルムの元へと飛んで行った。

「なんも出来ひんのって・・・ホンマ悔しいな・・・」

「主はやて・・・」「「はやてちゃん・・・」」

俯くはやてちゃん。一大事なのに力になれないことが本当に悔しい。私もそう思う。けど、それと一緒に、良かった、とも思ってる私が居る。今は、ジョン君の側に居たい。私を慕ってくれてる、この男の子の側に。

「え?・・・なんだ、あれ・・・?」

操縦席に座るソリオ一士の呟きが聞こえたから、フロントガラスへと目を向ける。そこには召喚魔法の際に展開される魔法陣があった。そして、その魔法陣から・・・・巨人が現れた。

「アレは・・・、ウスティオに出現した巨人・・・!」

シグナムさんが目を見開く。話には聞いてた。シグナムさんやヴィータちゃん、ウスティオの首都航空隊や機動一課、2個武装隊を一瞬にして撃墜した、ロストロギア扱いの巨人。ソレが今、ミッド首都のクラナガンに召喚された。

「みんな、しっかり掴まってくれ!」

ヘリが巨人を避けようとアクロバット飛行に入った。シートベルトはしてあったけど、それでも足りないから近くにあるバーなどに掴まって重力に耐える。でも「ダメだ、避けきれない! 全員、降下!」ソリオ一士からの指示に、私たちはシートベルトを解いて、開いたハッチから飛び降りた。けど・・・

「「「「「ソリオ一士!!」」」」」

ソリオ一士の脱出を確認する前にヘリが巨人の太腿付近に衝突して爆発炎上。燃え上がるヘリが地面へと墜落してさらに爆発を起こした。ソリオ一士が・・・脱出してない。目頭が熱くなって、泣いちゃいそうになった時・・・

「いやぁ、死にそうだったけど間一髪だったな~。俺は大丈夫だ! みんなも急いで避難するんだ!」

パラシュートを開いてゆっくりと近くのビルの屋上へ向かうソリオ一士を確認できた。目から溢れ出る嬉し涙。安堵してると、「まずい、気付かれた!」アリシアちゃんを抱えるシグナムさんが焦りを見せた。巨人の大きな手が私たちに向かって伸ばされてきてた。急いで飛行魔法でその場から逃げる。

「アカン、追いつかれる!」

『はやてちゃん!』

「私が囮になります! その間に――」

「そんなのダメです! みんな一緒に逃げましょう!」

「そうや、シグナム!」

『シグナムひとり置いて行けないです!』

そうこうしてる内に私たちは巨人の手から逃れられないようなところまで来ちゃってた。思わず目をつむる。

「護る・・・、僕が・・・、すずかを・・・、みんなを・・・、護る!!」

――此処に開門せり(ゲート・オープン)――

「ジョンく――きゃあっ!?」

「ひゃあ!?」「わぁ!?」『真っ白ですぅ!?』「むっ・・・!」

目を開けてられない程の真っ白な光。以前、アリサちゃんの魔法から私を庇ってくれた時以上の発光に悲鳴が出ちゃった。真っ白な光の中、黄金に輝く扉のようなモノが見えた気がした。でも目が潰されちゃうかもっていうような強すぎる光に、すぐに目をつむることになった。
そして、閉じたまぶたの向こう側が暗くなったところで目をゆっくりと開けてみる。するとそこに巨人の姿はなく、私たちの誰ひとりとして撃墜もしてなかった。アリシアちゃんやはやてちゃん、シグナムさんがキョロキョロ周囲を見回して、巨人が居ないことを確認。

「ジョン・・・君・・・?」

私の腕の中で寝息を立ててるジョン君。今のはジョン君の魔法? それともスキル? 判らないけど、今はただ、「みんなを護ってくれてありがとう、ジョン君」私たちを巨人から救ってくれたことに感謝したい。

「とりあえずどこかの屋上に降りよか」

はやてちゃんに続いて近くのビルの屋上へと降り立った、その瞬間・・・

「ギャハハハハ! 見つけた、見つけたぞ! こんなところに居やがったのか、ケリオンローフィティタ! ギャハッ、これでシュヴァリエルさんに褒めてもらえるぜ♪」

また別のリンドヴルムがものすごい勢いで屋上に着地して、右腕全体と融合してる氷の大剣を振るって来た。私は咄嗟に「フローティングアイス!」横一列に氷塊を6つと作りだして壁にした。だけど当然とでも言うように氷の壁は氷の大剣に斬り裂かれて砕かれた。

「ゲームオーバーだ!」

私に向かって一直線に向かって来るリンドヴルム。

「すずかちゃん!」『すずかさん!』「すずか!」「月村!」

ジョン君を護らないと。その思いだけで私は反転、迫り来る氷の大剣に背を向けた。次に訪れるのはなんだろう。やっぱり痛みだったりするのかな。それとも痛みも無く氷漬けにされるのかも。

「ごめんね、ジョン君・・・!」

腕に抱えるジョン君を護るために突き飛ばそうとした時・・・



――軍神の戦禍(コード・チュール)――



言いようのない圧倒的な何かが空に現れて、急降下して来たのが直感というか本能というか、説明できない感覚によって判った。そして、背後にソレらが勢いよく落下していくのが轟音で判った。改めてジョン君を強く抱きしめた上で振り返る。私とリンドヴルムを隔てるように並列してる9つの武器が真っ先に視界に入った。


「それ以上俺の大切な家族や友達に刃を向けてみろ。地獄に叩き落とすぞ」


1ヵ月以上、その声を聴けずにいた、私たちみんなにとって大事な友達の声が聞こえた。

「「『ルシル君!!』」」「ルシル!」「ルシリオン!」

銀の髪を風に靡かせ、蒼と紅の瞳でリンドヴルムを見下ろし、漆黒の騎士服を身に纏って、蒼く光輝く剣状の翼を12枚と背負った男の子、ルシル君が空にひとり佇んでた。

 
 

 
後書き
タシデレ。
対神器戦の第3戦をお送りしました。描いたのはシャルロッテと、はやて+リイン&すずかコンビだけですが。シグナムは、ルシルの神秘カートリッジを切らしながら神器持ちに勝利。本編で書いたように、相手の神器が攻撃系ではく、そして神器持ちイコール魔術師ではない、という条件のおかげで勝った、としました。
フィレスは、前作のVS.八神家で描いたような強さを発揮します。前作の生まれ変わりといましたので、元の魔道素質+魔族メノリア(←の3割くらい)の強さも持ってます。それでもベッキーの五精霊よりは下です。
そして、ルシルの復活です。おかえり、ルシル。良いところを持っていくじゃないか。次回、ルシルがリンドヴルムを相手に大暴れする予定です。快復直後から全力全開。リンドヴルムを殺すなよ?
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧