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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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星空の鍵

ハートフィリア邸にて・・・

「とは言ってもなぁ・・・」
「時計の部品っぽいなんてよくわかんないよ~」

俺とセシリーはこの豪邸の中の一室を隅から隅まで探しながらぼやいている。だってそれっぽいものが全然ないんだもん!!

「時計ってどんな部品があるんだっけ~?」
「う~んと・・・」

セシリーに質問されて俺は考えてみる。時計の部品・・・ルーシィさんが持っていたのが針なんだとすると他には・・・

「振り子とか?」
「振り子時計限定!?」

だって、あんなに大きい針なら柱時計になるはずでしょ?だったら振り子とかもあるんじゃないかなぁ?

「あとは針を動かすための歯車とかか?」
「あとぜんまいとか~?」

俺とセシリーは時計の部品らしいものの名前を言いながら部屋の中を探していく。だけど、どこにもそれらしい物はなかった。
俺たちはその後も部屋をはしごして時計に関するような物を探すが、何一つ見つからない・・・やれやれ・・・

「次はこっちの部屋にでも行くか」
「おっけ~」

俺とセシリーは次の部屋に入ろうとする。そういえば・・・

「こういう時ってうちのギルドだとお約束があるよな」
「お約束~?」

セシリーは何のことかわからずに?マークを浮かべている。うちのギルドが扉をあけて何か探している時のお約束といえばもちろん、

「エクシードがドアノブを壊しちゃうでしょ?」
「シャルルとリリーのこと~?そういえばそんなこと・・・プッ!!」

セシリーはシャルルとリリーが以前ドアノブを壊したことを思い出して大爆笑する。シャルルはドラゴノイドとの戦いの時にホテルのドアノブを壊し、リリーは悪魔の心臓(グリモアハート)の戦艦で動力源を探していた時に雷の音にビックリしてドアノブを破壊してしまったらしい。つまり、今回はセシリーが壊すんじゃないか?

「面白そうだからお前開けてみろよ」
「まさかシリル・・・僕がシャルルたちみたいにドアノブを壊すとでも思ってるの~?」

セシリーは不機嫌そうな目をしている。たぶんあの二人が壊すならお前も壊すと思うぞ?

「僕はそんなドジッ子じゃないも~ん!!」

セシリーはそういってドアノブに手をかけ、開こうとした。その時その部屋の中から・・・

『ギィアーーーーーーーオオオ!!』

パキンッ

中からそんな声がして、俺とセシリーはビクッとなってしまう。そのせいで、セシリーがお約束のドアノブ破壊をしてしまった。

「わぁぁぁぁぁぁ!!ドアノブ壊しちゃった~!!」
「落ち着けセシリー!!ボンド持ってこいボンド!!」

まさかの展開に俺とセシリーは大慌てでドアノブをくっつけようとしてみるが、根本から折れてしまっているのでくっつく訳がない。

「ヤバイよシリル~!!ここって高いんでしょ~!?」
「かなりいい値段するだろうな!!」

なんたってこんな豪邸なんだ、ドアノブ1つでも相当な値段がするんじゃ・・・

「うるさいぞ!!シリル!!セシリー!!」
「こっちにまでお前らの声が聞こえてきたぞ」

そんな俺たちの前にエルザさんとグレイさんがやってくる。

「エルザさん!!どうしましょ!?ドアノブを壊しちゃいました!!」
「きっと管財人さんに怒られるよ~!!」

俺とセシリーは二人に騒いでいる理由を伝える。すると二人は、

「なんだ、そんなことか」
「別に大丈夫だろ?事情話して直してもらえば」

二人は特に慌てることもなく平然としている。なんか慌ててた俺たちがバカみたいじゃないですか・・・

「シリル!!セシリー!!」
「エルザとグレイも。こんなところで何してるの?」

今度はウェンディとシャルルが俺たちの前にやってくる。セシリーはシャルルを見て急いでドアノブを隠した。ダフネの時にシャルルがドアノブを壊したの見て大爆笑してたからな。笑われたくなくて隠したんだろう。

「今はそんなことはいい。何か見つかったか?」

エルザさんが話題を変えてくれたおかげでひと安心のセシリー。俺とウェンディは何も見つけられたなかったため、首を横に振った。

「そうか・・・」
「エルザさんたちは?」
「俺たちも何も収穫なしだ」

グレイさんが俺の質問に答える。俺たちは何の手がかりもなかったため頭を悩ませていると、セシリーがドアノブを壊したドアが開く。

「あら?」
「みんな!!」
「ミッシェルさん!!」
「ルーシィさんも!!」

その扉から顔を覗かせたのはルーシィさんとミッシェルさんだった。

「ちょうどよかったー!!みんなを探しに行こうと思ってたんだぁ!!」
「何か見つけたのか!?」

エルザさんがルーシィさんに顔を近づける。ルーシィさんはあまりの迫力にビビってるけど・・・

「このような本を見つけたんです」

ミッシェルさんが持っている本には、『TOMY DAUGHTER(我が娘へ)』という題名がふってあった。

「これになんか書いてあったのか?」
「ううん。だけど、この本、ちょっと変なの」

俺たちはその本を読んでみることにしたが、どこを開いても白紙、白紙、また白紙、結局どこのページにも何も書いてなかった。

「あぶり出しとか?」
「魔法で何か書いてあるとか?」

うウェンディと俺がそう言うと、ルーシィさんは首を振る。

「この本には、魔法もあぶり出しも、透かしもないらしいの。だけど、クル爺の話だと、これはお父さんが作ったものらしい。たぶん、これは私たちに何かを伝えようとしてるのよ」
「といっても、全くのノーヒントでこれから何を探せば・・・」

ルーシィさんの説明を聞いてグレイさんはそう言う。

「クル爺の予想だけど、この題名『TOMY DAUGHTER(我が娘へ)』を、アナグラムするんじゃないかって」
「それで、皆さんにも手伝ってもらおうと思って・・・」

ルーシィさんとミッシェルさんの説明で俺たちはそういうことかと納得する。アナグラム・・・文字を並べ替えるってことでしたよね?

「よかろう。まずは紙にでも一文字ずつ書いてみるか」
「だな」
「わかりました!!」
「頑張ります!!」

こうして俺たちは本の題名からヒントを得るため、アナグラムを開始した。ちなみに、セシリーとシャルルは・・・

「あんた・・・ドアノブ壊したでしょ?」
「ふぇぇ!?な・・・何のこと~」
「とぼけないでよ!!」

二人はセシリーが壊したドアノブのことで盛り上がっていた。シャルル的には以前笑われた仕返しをしたいんだろうなぁ。どっちも子供だな。





























「だぁ~!!それっぽいもんったってさっぱりわかんねぇ!!」
「お腹空いたね~・・・」

俺たちが本の題名の並べかえをしていると、ナツさんとハッピーが入り口からこちらに入ってきて、広げられている文字を踏んでしまう。

「ん?なーに遊んでんだよ?」
「あ!!ナツさん!!」
「静かにしてろ」
「今考えてんだよ」
「あと紙を踏まないでください」

俺がそう言うと、ナツさんは「悪ぃ悪ぃ」と言いながら紙のない場所へと移動する。

「何?パズル?」
「アナグラムの解析よ」

ハッピーの質問にミッシェルさんが答える。

「アナグラ・・・ああ、あれか・・・」

ナツさんも理解したようだけど、本当に分かってるのか?

「まぁ、パズルみたいなもんよ」
「へぇ~、面白そうじゃねぇか!!俺にも・・・は・・・は・・・ハクション!!」

ナツさんは大きなくしゃみをすると、俺たちの前に並べられていた文字がそれによって飛ばされてしまう。

「ちょっと何してくれるのよ!!」
「文字が全部飛んじゃったじゃ~ん!!」
「今考えてたんですよ!!」
「すごい集中してたのに!!」

シャルル、セシリー、ウェンディ、俺がナツさんに文句を言う。てかナツさんの唾がかかったんですけど!!

「悪ぃ―――」

ナツさんが軽いのりで謝ろうとすると、その目の前にエルザさんが剣を突き立てる。

「「うわぁぁ!!」」
「何か閃きそうだったんだ!!」

エルザさんの顔は完全にキレていた。怖い・・・

「エルザさん目が本気ですよ・・・」
「顔がすごく怖いんですけど・・・」
「あいつ、こういうの集中するタイプだからなぁ・・・」

ウェンディ、俺、グレイさんは怒ったエルザさんを見てそう言う。

「まったくもう・・・こんなにバラバラにして・・・」

シャルルがあきれながらナツさんのくしゃみで飛ばされた文字に目を向けると、あることに気づく。

「これって・・・」
「ん?」

俺もその文字を見てみると、それは少しいびつではあるが『MYTH』となっていた。

「ギィアーーーーーーーオオオ!!」

クル爺さんは何か閃いたのか、大きな声で叫ぶ。さっきの声はこの人のか。

「その4文字『MYTH(ミス)』ですな」
MYTH(ミス)?」
「ホマ、『神話』という意味です」

クル爺さんが説明してくれる。神話か・・・なんかそれっぽくなってきましたね!!

「残りの文字で何ができる?」
「えっと・・・」

俺たちは残された文字を並べ替えてみる。

「『DUO(デュオ)』・・・『GREAT(グレート)』・・・『MYTH(ミス)』・・・」
「これよぉ!!」

エルザさんが並べられた文字を呟くと、ルーシィさんが大きな声を出す。

「あるよ!!『大いなる2つの神話』って本が!!」

つまり、これでこのアナグラムは正解ってことか!!

「作者はウィル・ネビル。1つは『時計仕掛けの人生』って題名で、例の一節が記されていた本ね!!」
「姉さんの部屋にあった・・・あの?」
「えぇ!!すっごい偶然!!」

例の一節って言うと、『時は刻まれ、やがて混沌が訪れる』・・・か。

「そしてもう1つの神話が・・・」

ルーシィさんは手元にある一冊の本を取り出す。

「じゃ~ん!!その名も『星空の鍵』!!」

ルーシィさんが俺たちに見せてくれた本は、この部屋にある他の本とは違い、表紙に子供向けのような絵が書いてあった。

「絵本じゃねぇか!それ」
「単なる絵本じゃないの!!すっごい神秘的で・・・」
「絵本に神秘的とかってあるんですか?」
「そりゃあともかく、『鍵』って言葉が怪しくねぇか?」
「うむ。その本の中に、何かヒントがあるかもしれんな」

俺たちはその絵本を見て話を進めていく。

「?」

その時、シャルルは絵本を見て何か違和感に気づいたが、俺たちはそれに気づかずに話を進める。

「アナグラムの次にアナグラム・・・なんてわけないか。でも、見方を変えれば・・・」

ルーシィさんの言うことに耳を傾けていると、

「っ!!」

シャルルが何かに驚いた顔をする。

「シャルル?」
「どうしたの?」
「大丈夫~?」

ウェンディ、俺、セシリーが声をかけると、シャルルは首を振り「大丈夫・・・」と一言だけ答える。どうしたんだ?

「あの針に関わるかどうかはわからないけど・・・この本にお父さんのメッセージが込められているかもしれない」

ルーシィさんは真剣な顔でそう言うが、俺はその後ろのハッピーが気になって仕方がない・・・だって・・・

「ハッピー、その本は?」
「ウサギとカメの本だよ!この話もとっても神秘的だと思うんだ!!」
「さすがにそれは~・・・」

ハッピーの言葉にセシリーもあきれている。てかこの書庫のどこにそんな本があったんだ?

「その本、僕にくれないかな?」
「「「「「「「「「「!!』」」」」」」」」」

俺たちが話していると、不意にどこからか声が聞こえる。

「その本・・・て、『ウサギとカメ』!?」
「この本が狙われている!?」

セシリーとハッピーがそんなことを言う。いや、そんなわけないじゃん・・・

「ははっ、面白くないジョークだね」

誰かがそう言うと、急にドアノブが大きくなり、ドアが破裂する。

「なんだありゃ!?」
「ドアノブが膨らみやがった!!」
「そのせいでドアが壊れた!?」

俺たちがそう言うと、壊れたドアから何かがこちらに歩いてくる。

「表現力が乏しいね。ドアノブが倍加したことで結果、ドアを押し破ったとか言えないわけ?」

なぜそんな表現をしなきゃいけないのか一瞬疑問に思ったが、こちらに向かってくる影を見て、俺たちは驚く。

「ウソ・・・あいつは・・・」
「まさか・・・」
「もしかして・・・」
「エクシード!?」

そう、俺たちの前に現れたのは丸眼鏡をかけた薄い水色のエクシード。

「でも、エクスタリアにこんな奴いたかな?」
「僕は見覚えないけど・・・」
「違うわ、きっと私たちと同じ時期にこっちに送られた一人」

ハッピーたちがそのエクシードを見てそう言う。こっちの世界に100人エクシードを送ったんだもんな。こういう風に遭遇することもあるだろう。

「てめぇ・・・誰だ?」
「レギオン隊の頭脳、サミュエル」

こいつもレギオン隊とやらか。

「さっそく嗅ぎ付けて来やがったな!!」
「だったら針返せ!!」
「やだね」
「なにー!?」

興奮するナツさんにサミュエルは冷静な口調で答える。
サミュエルは(エーラ)を出して浮き上がる。

「それにしても、見事なまでに僕の計算通りだったね」
「え?」

俺はサミュエルが何を言っているのかわからずに変な声を出してしまう。

「君たちは必ずここに来る。そして手がかりを見つける。実際見つけた、さすが僕」

サミュエルは文学本のような物に目を通しながら得意気に言う。

「あいつなんか癪に障るな」
「仕掛けて来る前にやるしかねぇ」
「先手必勝って奴ですね」
「エルザさん」
「ああ」

俺たちはそれぞれサミュエルに対して戦闘体制に入る。

「アイスメイク、突撃槍(ランス)!!」
「喰らえ!!」
「火竜の咆哮!!」
「水竜の洪水!!」

俺たち四人の攻撃がサミュエルへと迫る。だが、突然その間に何者かが割って入る。

「「「「なっ!?」」」」

その男は左手の盾で俺たちの魔法を防ぐと、防がれた魔法は四方八方へと飛ばされていく。

「ちょ・・・」

四方八方へと散った魔法はハートフィリア邸の壁を撃ち抜いてしまった。

「いやぁーーー!!」

それを見たルーシィさんは悲鳴を上げる。

「何やってんのよー!!あたしここ買い戻すって決めたとこなのにー!!」
「す・・・すみません!!」
「ちょっと待て!!あいつが魔法を弾きやがったんだ!!」

俺は謝ったけど、確かに誰かが魔法を弾いたよな?俺たちは弾いた男の方を向く。

「我こそはレギオン隊一番槍・・・ダン・ストレイト!!見参ぜよ!!」

そこにいたのは全身に鎧を身に付けた赤い髪の男がいた。その手には槍と盾が握られている。

「また変なの来ちゃったよ・・・」
「キャラ濃そう・・・」

ハッピーとセシリーはダンという人を見てそう言う。

「我が盾の力とくと見たか!!魔法の盾(マジックシールド)『リコシェ』!!いかなる攻撃も通さんしあちこちにばらまくんじゃ!!」
「リコシェ?跳弾ということか」
「迂闊に攻撃できませんね」
「厄介な魔法ですね・・・」

ダンの説明にエルザさん、ウェンディ、俺がそう言う。

「下手すりゃルーシィは瓦礫の山を買い戻すことになんぞ!!」
「めんどくせぇ奴ばっか寄越しやがって!!」

二人はそういうけど、たぶんこの屋敷瓦礫にしたらギルドに請求がくるような・・・

「来るよ」
「何度やろうと変わりはせんき!!」
「弾かれる前にぶっ壊す!!」

ナツさんは諦めずに再度攻撃するが、ダンはそれを盾で受け止めると、

「おわぁ・・・」

あらゆる方向へと魔法を弾いた。

「「「「「「「「「どわぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」」」」
「だからやめてって!!」

ナツさんのせいで建物が壊れそうになるので、ルーシィさんは慌てた様子で叫ぶ。

「ダン、本はあの子が持ってる」

サミュエルはルーシィさんを指さす。奴等の狙いは『星空の鍵』か!!

「ルーシィさん!!」
「あたしがあいつを外に誘導する!!」
「そんな!!危ないわ姉さん!!」

ミッシェルさんはそう言うが、ルーシィさんはすぐに行動を開始する。

「本はここよ!!奪えるもんなら奪ってみなさい!!」
「!!」

ルーシィさんにそう言われたダンは何か様子がおかしい・・・
ルーシィさんはそれに気づかずに外に出ようとする。

「ど・・・ドッキュゥゥゥン!!」

ダンは意味不明な言葉を発すると右手に持っていた槍を投げ、それがルーシィさんの目の前に刺さり、ルーシィさんは思わず立ち止まる。

「美しい・・・」
「え?」

ダンはいつのまにかルーシィさんの真後ろに来ていると、そう呟いた。

「ドッキュゥゥゥン!!美しい!!美人すぎる魔導士が俺の心の臓を撃ち抜いたぜよ!!」

ダンは地面をダンダンと叩きながらそう言う。俺たちはそれを見て意味がわからずに固まっている。

「たまらんき、たまらんき!!ひしゃげてしまうじゃき!!ところでお名前は?」
「ルーシィ・・・」

ダンに手をとられ、ルーシィさんは唖然としながら答える。すると、ダンのテンションはさらに上がる。

「ルーシィ!!たまらんぜよ!!ルー、シィ!!全て、俺のツボじゃき」

なぜかダンの目には涙が浮いていたけど・・・何なのこの人?

「ルーたんて呼んでいい?ルーちゃん?ルッピ?ルンルン?」
「なんでもいい・・・」
「始まった・・・」

その様子を見ていたサミュエルは呆れたようにそう言う。まさかこれ・・・いつもなのか!?どんだけ変な人なんだよ・・・

「何でもいい!!その声!!その目!!その口!!その髪!!その胸!その腰!そのアンヨ!!その全てが俺の好み!!ジュワジュワさせるぜよ!!まさに!!

L・O・V・E!!LOVEぜよ!!」

なんとダンは体全身を使ってLOVEと作ってみせた。

「何なの・・・?」
「LOVEぜよ!!」

ダンはさらにルーシィさんに近寄るが、後ろから気配を感じて振り返る。

「ルーシィ!!」

その気配はエルザさんのものだった。エルザさんはダンに向かって槍を投げ、ダンはそれを避ける。

「誰だぁ!?横槍入れんじゃねぇぜよ!!」

ダンは怒ってエルザさんを睨む。

「いけ、ルーシィ、ミッシェル。その本を取られるわけにはいかん」
「う・・・うん」
「皆は援護を!!ここは私に任せろ!!」

エルザさんに指示されてようやく俺たちは正気を取り戻す。

「は・・・はい!!」
「あ・・・あまりのことに・・・」
「思考が停止してたぜ」

俺は返事をし、ウェンディとグレイさんも正気に返る。

「へぇ・・・すごい自信だね」
「なめたらいかんぜよ」

サミュエルとダンはエルザさんがここを引き受けると言ったことを挑発されたと捉え、睨んでいる。

「俺にも殴らせろよ!!」
「お前はルーシィを守ってやれ」
「ぐ・・・」

ナツさんはエルザさんにルーシィさんを任されたことで表情を歪ませる。

「走れルーシィ!!」
「行こう!!」
「はい!!」

ルーシィさんとミッシェルさんはその場から逃げるために走り出す。

「まだ話は半分じゃきぃ!!」

ダンはまだルーシィさんを口説こうとしていたが、俺とナツさんとグレイさんで魔法を放って止めようとする。
しかし、全て跳ね返されて屋敷はさらにボロボロにしてしまった。

「壊すなぁ!!」

俺たちが攻撃した隙にルーシィさんをハッピーが、ミッシェルさんをセシリーが、ウェンディをシャルルがつかんでその場をあとにする。

「よし!!俺たちもいくぞ!!」
「オオッ!!」
「はい!!」

俺たちは先に逃げたルーシィさんたちを追って走り出す。その間もサミュエルは何かの本に目を通していたが、あいつは何をしてるんだ?




























ドドドドドッ

俺たちが屋敷の外に向かって走っていると、何かが崩れ落ちるような音がする。

「なんだ!?」
「今の音がしたのって・・・」
「書斎の方からだったよね?」

俺たちはその音がした方を見て一度立ち止まってしまう。

「エルザ・・・」

ナツさんが心配そうに呟く。大丈夫なんでしょうか?

「姉さん!!急がないと!!」
「う・・・うん・・・」

俺たちは外に出るために再度走り出そうとしたが、なんと目の前にはサミュエルが立っていた。

「いつの間に!?」
「計算通りだね。君たちの精神状態とここの構造から簡単に弾き出される答えさ」

まさか、さっき目を通してた本は屋敷の構造についての本か?伊達に頭良さそうな眼鏡をかけてるわけじゃないみたいだ・・・

「ごちゃごちゃうるせぇっての!!」

ナツさんはサミュエルを火竜の鉄拳で殴ろうとするが、サミュエルは(エーラ)を使って軽やかに避ける。そして、背後が完全にお留守になっていたナツさんにダンが槍を刺す。

「ナツ!!」
「「ナツさん!!」」

ナツさんは槍に刺された勢いで窓を破って外へと飛ばされていく。

「やろう・・・」
「ふざけやがって!!」
「よくもナツさんを!!」

俺たちも戦おうと戦闘体制に入るが、

メキメキ

「「「!?」」」

上から床が抜けるような音がして見上げると、そこには巨大な本と共に落ちてきたエルザさんがいた。

「うわあああああ!!」
「きゃあああああ!!」
「ひゃあああああ!!」

俺たちは急いでその場から離れて本から逃げる。

ドドンッ

「「「うわあああああ!!」」」

しかし逃げ切ることができずに俺たちは本の下敷きになってしまう。てかなんだ!?このバカデカイ本は!?

「グレイ!!シリル!!ウェンディ!!」
「大丈夫ですか!?」

ルーシィさんとミッシェルさんが俺たちを心配して駆け寄ってくる。だけど、近くにあいつらもいるし・・・

「ルーシィ!!お前らは早く外に逃げろ!!」
「俺たちは大丈夫ですから!!」
「二人とも!!早く!!」

俺たちは二人に叫ぶ。二人はそれを聞いて謝りながら外へと向かう。

「俺たちも早く外にいくぞ!!」
「く・・・私としたことが・・・」
「ウェンディ、大丈夫?」
「うん。ありがとう」

俺たちはなんとか本から脱出し、急いでルーシィさんたちを守るために外へと向かった。























「おい!!あいつらに本取られてやがんぞ!!」

俺たちが外に出ると『星空の鍵』がすでにサミュエルの手に渡っていた。

「取り返すぞ!!」
「オオヨッ!!」
「弾かれる前に攻撃しましょう!!」
「四人で一斉にかかれば・・・」

俺たちは四人で同時にサミュエルに飛びかかる。
しかし、それもダンのリコシェによって跳ね返されてしまった。

「本は返すよ。全部覚えたから」

そう言うサミュエルの脇で俺たちの魔法を受け止めたダンのリコシェから大量の魔力が放出され、辺りは爆発を起こす。煙が晴れると、すでにサミュエルとダンは上空へと飛び上がっていた。

「ルーたんまたニャー!!次は二人きりでデートぜよ!!」
「ダン、また重くなったんじゃない?」

俺たちは飛んでいく二人の様子を見送る。それにしても・・・

「本を置いていくなんて・・・」
「ずいぶんとなめられたものね」
「俺たちに情報を残しても問題なしってことかよ・・・」
「見下しやがって」
「悔しいよ~!!」
「借りは必ず返す」

俺たちは奪われた本を自らの意思で置いていったサミュエルたちにナメられたことで怒りを感じていた。

「てか元に戻せー!!」
「戻せー!!」

ハッピーとその頭の上に乗っているナツさんが叫ぶ。あれ?ナツさんなんで小さくなってんだ!?
俺たちがレギオン隊の二人を見送っている中、ルーシィさんは一人ハートフィリア邸を見つめていた。










 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
エクシードたちが何かを探しているとよくドアノブを壊している印象があるので、今回はセシリーに壊してもらいました(笑)
次回もよろしくお願いします。 
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