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インフィニット・ストラトス if 織斑一夏が女だったら

作者:しばいぬ
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第3話《半IS人間》

 
前書き
どうも、しばいぬです。(。・ω・。)ゞ
一日1話、できなかった(´;ω;`)
各話にタイトルを付けました。
3話目にして初のISの戦闘。
 

 
俺は、目の前の悪魔にすがってしまった。

スコールは、やることはメールで知らせると言った。

『大丈夫、必ず中止になるわ』そう言うスコールの顔は、とても穏やかだった。









学年別トーナメント、当日。

俺は更衣室内で小さくなっていた。

人口密度がおかしい、人口密度がおかしい。人口密度がおかしい。

普段なら授業でも二クラスしか使わない更衣室に、倍以上の人が入っているのだ。雲ができそうだ。

学年別トーナメントは学校内の行事でもあるが、それ以前に三年にはスカウト、二年には一年間の成果の確認、一年では優才者としてチェックをするため、校外者が沢山来ている。

そのため、観客には各国政府関係者、研究所員、企業エージェント、その他の顔ぶれが一堂に会していた。

こんなに大物が集まれば、失態を見せた時、また千冬姉の顔にドロを塗ることになるだろう。

それだけは、それだけは阻止しなければ。

しばらくして、対戦表がモニターに写し出された。

一年の部。俺は、Bブロック三回戦、まだまだ時間がある。

こう言うものは早めにやって、終わるのがよかったのだが生憎、クジ運は低い方だと自負している。

そして、Aブロック一回戦は、シャル、鈴ペア対ラウラ、箒ペアだった。

箒ってラウラと仲良かったっけか?

トーナメントは二人一組のため、当日までペアが決まらなかったら、たしか余った人で組む事になるが・・・あっ。

偶数でよかった。うん。




ーーそういえば、箒にも束さんという姉がいるけど、あいつも俺みたいに比較されてるのかな・・・。




ブブブブブ



メールが届いた。

『学園内まで運んでほ
しいものがあります
倉庫に来て下さい。』


















俺は学園を抜け出して、倉庫前に来た。

そろそろ、開催式が始まる頃だろうか。

倉庫の中には、一つ、とても大きい段ボールが台車に乗せられていた。

・・・この段ボールに中止にさせる何かが入っているのだろうか。

台車に触れ、押そうと力を込める。

ーー重い。車輪がついているため動かすことができるが、これほど重いものを、どうやって台車に乗せたのだろう。

台車を押して歩道を歩く。少しでもスピードが出すぎてしまったら、自分では止められなくなるだろう。

俺は今、何を運んでいるかわからない。だが、これで千冬姉に泥を塗らずにすむのなら・・・!








学園につく頃にはもう、一回戦が始まろうとしていた。

俺は段ボールの乗った台車を、アリーナから一番遠いゴミ捨て場に置いた。もし、これが爆発物だったら、ここが一番被害が出ないからである。

俺は一つ、小さなため息をつき、胸を押さえた。

ーーこれで・・・これでいいんだ。













俺がアリーナの生徒用席に着いた時。闘いは終盤に差し掛かっていた。

箒はすでにエネルギー切れになったのか、もうその場にはいなかった。勿論、実力の差もあるだろうが訓練機と専用機では、やはり性能が違いすぎたのだろう。

二体一。ラウラは明らか疲弊していた。だがシャルと鈴もラウラほどではないか大分エネルギーを削られている。

1人で二人をここまで追い詰めたのだ。ラウラの実力は相当のものだろう。

鈴が衝撃砲《龍砲》を構え、射撃準備をしたとき。アリーナ南側の壁が爆発した。

遮断シールドが下ろされ、アリーナが見えなくなる。

鳴り響く警告音。電灯がすべて赤にかわる。

非常事態が起きたのだ。



俺は後悔をした。ーーいまさらだ。

こんなことになるとは、思っていなかったからだ。

後悔をした瞬間。遮断シールドの中が煙に包まれると同時に、俺の後頭部に衝撃が走った。

俺は朦朧とする意識の中で、静かに微笑む誰かを見た。



*







突如起きた爆発。鈴、シャルロット、ラウラは身構えた。

アリーナの遮断シールドは、ISと同じもので作られている。

つまり、それを破壊できるほどの威力の武器を持った者が、近づいているのだ。

煙の中から出てきたそれは、ISと呼ぶには異形だった。

足は少女のそれのように細いと言うのに、上半身は異様に太い。そのため体を支えられておらず、足元がおぼつかない。頭と見れるところには、ぽっかりと穴が開いている

だが、武器と見てとれるものを持っていないのだ。

「貴様、何だ。」ラウラがそれに問いかける。

瞬間、ISのセンサーが緊急警告を行った。

ーー所属不明のISと断定。ロックされています。

その瞬間。それの頭からビームが放たれた。

「ラウラッ!!」シャルロットが叫ぶ。

ーーと同時に鈴が衝撃砲をラウラに打ち込んだ。

ラウラが衝撃砲により弾かれたところに、ビームが通る。北側のシールドに当たり、爆発する。

「ビーム当たるよりはましでしょ。」鈴がラウラに話しかける。

「話している暇があるとは、ずいぶんと余裕だな」

『それ』は今、三人の機体をコピーしていた。



















俺は気づいたら、整備室のなかにいた。

整備室の中では・・・人が沢山、倒れていた。

その中で、一人、立っている。豊かな金髪でスラッと背が高く、女性用スーツを着ている。

「おはよう。一夏君。」スコールは言った。

「あなたの協力のおかげで、計画はうまく言ったわ。」

スコールが近づいてくる。俺は逃げようとした。だが手がIS訓練機『打鉄』に縛られていて動けなかった。

「でも今、予想外のことが起きているの。」モニターにシャルロット、鈴、ラウラが写し出された。

「私はもう少し強いと思っていたのだけれど、このままじゃ皆、殺されてしまいそうなの。」困ったような顔をする。


「教師の方々を足止めしたのは失敗だったかしらね。」スコールは、更に俺に近づいてくる。

「ねぇ一夏君、このままだと、三人が殺されるのは確実だと思うの。・・・でも、あなたなら助けられるわ。」

「何・・・をいっているんだ。俺は、訓練機ですら走るのがやっとなんだ。俺は、なにも出来ない・・・!」

スコールが笑った。「なにもISに乗る必要はないわ・・・」

ーーなにかを取り出した。丸い・・・光沢のある・・・

俺は教科書で見たものを思い出した。

「これは・・・ISのコア・・・?」

「そう・・・一夏君、あなた・・・《半IS人間(ジェミニ)》になってみない?」

スコールがISのコアに何かを刺した。瞬間、コアが液体となり宙に浮く。

「・・・これを飲めばあなたは《半IS人間》になれるわ。勿論、代償がないとは言えないけどね。」

「半・・・IS・・・!?」

俺の腕を縛っていた縄がほどかれる。

モニターに写し出されている三人は、既にISをほぼ破壊されていた。

・・・やっぱり、こいつは危険だ・・・、俺に選択肢が無いことを知りながら、やっているんだ。俺を、実験の材料にしようとしているんだ・・・。

ーー三人に敵が突進をする。もう、避けることで精一杯だ。

目の前には、三人を救う希望がある。俺が、これを飲めば・・・

ーーモニターには敵が写っている。煙の避け方から砲身の透明な衝撃砲《龍砲》、右肩にラウラのレールカノン、形としてはシャルロットの機体に似ている。下半身は少女のそれのような細さだというのにに無理にそれらをつけているため、足が震えている。

俺は、敵の足にヒビが入っているのが見えた。

あそこに、一撃を加えられれば・・・




俺は走りだし、『打鉄』に乗り込んだ。

「あら・・・」スコールがこちらを見ているが、なにも言わない。

俺はアリーナ内へ走り出した。













「ああ、もう!どうすんのよこいつ!」

「とりあえず、先生方が来るまで、耐えるしかないよ・・・」

「また来るぞっ!」ラウラがAIC-慣性停止能力-で『それ』の動きを止める。

そこにすかさず鈴は《龍砲》をシャルロットは《グレー・スケール》を足に打ち込み距離を置く。

『それ』は距離が置かれるのを待っていたかのように、両肩の《龍砲》に、右肩の《レールカノン》に、そしてぽっかりと穴のあいた頭に、エネルギーを貯め始めた。

「あんなの、どうすんのよ!」鈴が叫んだ。

三人に絶望が浮かんだとき、遠くから声が聞こえた。

「うああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ーー勝算があるとすれば、ヒビが入っている足。あれを折ることができれば・・・!

「一夏!?駄目だよ!逃げて!」シャルロットが叫んだ

「あの馬鹿!」鈴も叫んだ。

当たり前だ。俺は学年でも断トツでの最下位。なにも出来ないと思われて当たり前だ。

ーーでも!俺にだってできることがあるんだ!やってみなければわからないだろ!

俺は『自分の前方に角錐を展開させるイメージ』で打鉄を上昇させる。

ーー練習では一度も出来なかった事、今は当たり前のようにできた。

そして三秒後、俺は緊急脱出した。

操縦士を失った『打鉄』は落下する。だが、後部スラスターが噴射し『それ』に向かい、加速する。



そう。あれは俺が細工をした訓練機だ。
細工をしたのは、後部スラスター。発動条件は『両足が三秒以上地に付いていない』こと。
三秒たったらスラスターが作動する、という仕掛けだ。



落下した打鉄は『それ』にぶつかり、『それ』に溜め込まれたエネルギーとともに、爆発した。

すかさず鈴が青竜刀《双天牙月》を『それ』に投擲する。

金属とは思えない、何かの鈍い音が響いた。

《双天牙月》は、動かない『それ』と共に、アリーナの壁に突き刺さっていた。






*





スコールは独り、モニターを眺めていた。

「殺しちゃったのね・・・あの子を・・・」

スコールはプライベート・チャネルを開き、誰かに話しかけた。

「殺されちゃったわ・・・実験体の子」

どこか悲しく、うれしさを孕んだ声。

それは、それなりにうまく行った実験体を失った悲しさと、作戦が成功した嬉しさだった。






*

俺は急いで三人に駆け寄った。

「大丈夫か!?」

三人とも、もう気を失っていた。相当なダメージを受けているのだから、無理もない。

俺は、安堵した。

三人が生きていてよかった

ーー俺が、三人を危険にさらしたんだろ?

俺は今、何にも成し遂げていない。

ーー俺は、本物のクズだ。

自分のわがままのために友人を傷つける。

取り返しのつかないことが起きなければ、俺は気付けない。

俺は、三人を見つめる。

俺のせいで傷ついている。

ーー俺には何も出来やしない。

俺は『スコール』と言う存在を知っている。

ーー俺には何も出来ない。

スコールは、危険な存在だ。

ーーだから俺に何ができる?

自分の撒いた種だ。自分の力で解決をしたい。

俺は深く息を吸い、吐き出す。

俺は・・・俺に打ち勝って見せる!

ーー俺には何も出来ない?

俺は、最初から諦めているから出来ないんだ。やってみなければ、わからないはずだ!

俺は闘ってやる。相手がどんなに大きくても・・・!

でも、俺は弱い。

だから強くなりたい。

もう、汚点とならないように、強く。

そして・・・









俺は













『皆を守れるほどの力が欲しい』











そう思ったんだ。

 
 

 
後書き
セシリア?知らない子ですね。
ちょっと展開に無理ありましたかね(´・c_・`)
次こそは臨海学校編に行けるね、やったね!しばちゃ(略)
息抜き回作れたらいいなと。
 
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