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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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狙われたルーシィ

「何者だ!?」

リリーは僕たちの前に姿を現した3人組にそう言う。
一人は一人は黒髪で前髪が白の髪をしている女の人。二人目はリーゼントヘアでサングラスをしており、白のスーツに身を包むけつ顎の男。三人目は犬っぽい顔をして、髪を三つ編みにしている女の子。でも、この人たちって・・・

「何!?お前はココ!!」

リリーは犬っぽい女の子を見てそう言う。この人たちって、エドラスにいた人たちだよね?

「なんであんたがアースランド(こっちの世界)にいるわけ?」
「えーっと・・・ココってエドラスにいた子だよね?」
「僕たちと一緒にエクスタリアに魔水晶(ラクリマ)をぶつけるのを止めてくれた子だよ~!!」

僕たちはココさんを見てそう言う。でもシャルルの言う通り、どうしてこっちの世界に?

「そっか!!オイラたちがいない間にアースランドに来てたんだ!!」
「なるほど!!7年もあればこっちに~・・・あれ?」

ハッピーの言ったことに納得しかけたけど、1つおかしなところに気づくり

「そのわりには歳が・・・」
「うん・・・7年前と全然変わってないよ~?」

シャルルと僕はそう言う。ココさんは7年前とまったく同じ姿をしている。普通もっと歳とか取っててもいいような気がするんだけど~?

「一体どうなってるんだ、ココ」

リリーは本人に直接聞いてみることにしんだけど~・・・

「馴れ馴れしい口を利かないでください!あなた方とは初対面です」

ココさんはリリーに強い口調でそう言った。

「なんだと!?」
「いやぁー!!ひどい物忘れ!!」
「昔の仲間を忘れちゃうなんて~!!」

僕たちはエドラスで仲間だったはずのリリーを忘れているココさんにそう言う。

「違うわよ、ひょっとして、こいつら・・・」

だけど、シャルルはその3人を見て何かに気づいたみたい。

「んん~~。おや?」

リーゼントヘアの男の人が後ろに脇目を振る。そこにはガジルくんたちを追いかけていたシリルたちが帰ってきていた。



シリルside

「腹減ったぁー・・・」
「俺も疲れちゃいました・・・」

俺たちはガジルさんを一通り探してきたのだが、どこにもその姿がなくギルドに帰って来ちゃいました。

「ガジルさんどこ行ったんでしょうね」
「敵前逃亡など漢のすることじゃねぇ」

ウェンディとエルフマンさんがそれぞれそう言う。ガジルさんってプライド高いから叩きのめされても逃げるなんて真似はしないと思ってたけど・・・ちょっと意外。

「お?誰だ?」

俺たちがギルドの前まで来ると、そこには3人組の男女がセシリーたちの前に立っていた。

「お客様?」

俺たちはその3人組をよく見ると、一人の女の人に見覚えがあることに気づく。

「あれ?シリル、この人・・・」
「えっと・・・確かこの人は・・・」
「クイーンシャゴットだっけ?」
「じゃなくて」

ナツさんはその女の人を見てボケをかましたけど、クイーンシャゴットはエクスタリアの女王でエクシードですからね?確かこの人は王国軍の・・・

「ココ!?」

俺たちの後ろからやって来たルーシィさんが女の人の名前を言う。そうだ!!ココさんだった!!いまいち関わりがなかったから忘れてた!!

「久しぶり!!てかどうやってアースランドに来たの!?」

ルーシィさんが質問すると黒髪と前髪が白の女の人が「カハッ」と笑う。

「どうやらうちらスッゲェ人違いされてるみてーじゃん?」
「ん~~、構うこたぁねぇよマリーヒューズ」
「早く仕事にかかりましょう、シュガーボーイさん」
「ヒューズ・・・?」
「シュガーボーイ?」

3人組のそれぞれの名前を聞き、ナツさんとルーシィさんが驚いている。

「王都の遊園地で戦った奴らか!!」
「言われてみれば、どことなく面影が・・・」

どうやら二人はこちらの黒髪の女の人とリーゼントの男の人を知っているらしい。この人たちもエドラスから来たのか?

「てかお前男だったろ!!なんで女装してんだよ!!」
「うちこいつ嫌いじゃん・・・」

ナツさんに指を指された女の人は肩をピクピクと震わせながらそう呟く。え?男なのこの人?

「ところで、あの・・・」
「あんたら何しに来たんだ?」
「ここは私たちのギルドよ!!」

ウェンディ、マックスさん、ラキさんがそう言う。

「カハッ」
「ん~~。噂通りショボい魔導士たちだね」
「何ー!!」
「なんだとオッサン!!」

ナツさんと俺はシュガーボーイの言い分に腹を立てる。いきなりショボいなんて失礼じゃないか!!

「うちらの要求はただ1つ。ルーシィ・ハートフィリアを渡してもらおうじゃん!!」
「ええーー!?」
「渡せ・・・だなんて」

ヒューズという女(男?)の人にそう言われルーシィさんは驚いて声をあげている。

「うわ・・・初めて見たよ生プロポーズ」
「こんないっぱいの人の前で言うなんて・・・大胆~」
「「違うわよ(じゃん)!!」」

ハッピーとセシリーのボケに突っ込みを入れるヒューズさんとルーシィさん。てか今のがどうやったらプロポーズに聞こえるんだよ・・・

「隠しても無駄ですよ!!」
「ルーシィ・ハートフィリアがこのギルドにいることは分かってるじゃん」
「ん~~。さっさと名乗り出た方が身のためだよ、ベイベー!!」

3人はそう言うけど、なんでルーシィさんを?

「いきなり出てきて大層な口叩いてくれるじゃねぇか」
「俺はここのマスターだ!理由も言わずに仲間を差し出せと言われて、『はい、そうですか』って訳にはいかねぇなぁ」
「どこの誰だか知らねぇが、さっさと帰りやがれ」

ワカバさんとマカオさん、それにマックスさんが一歩前に出てココさんたちにいう。

「おやおや、怖い怖い」

ヒューズはそんな3人を見て心にもないことをいう。すると、キナナさんが何かを思い出す。

「あちこちで教会が襲われてる事件って・・・もしかしてあなたたちが?」
「はぁ?」
「なるほどぉ」
「確証はなくとも、タイミングがよすぎる、ということだな」
「確かにね~」

最近起きている連続教会破壊事件のことか・・・確かに、可能性はゼロではないですよね。

「ん~~、スパイシー!!なこと言ってくれるねぇ」
「心外ですねぇ」
「てめぇらの与太話に付き合う義理はないじゃん。ほら!!さっさとルーシィ・ハートフィリアを差し出しな!」

俺たちの言ったことなどお構いなしにヒューズはこちらにルーシィさんを渡すように要求してくる。

「逆らうと言うのなら、力ずくでもらっていくまで!!」

シュガーボーイは四角い木でできた何かを取り出すと、それが杖へと変化し、まるでロックシンガーみたいな動きをしながら杖を振るいながらそう言う。そこからリズミカルに舌打ちをしたかと思うと、

「COME ON !! 我が猟犬!!」

そう高らかに歌い出した。すると、シュガーボーイの服の中から緑色のスライムのようなものが大量に出てくる。

「うわ・・・」
「色々キモいんですけど!!」
「美味しそう・・・」
「どこがよぉ!!」

シュガーボーイの服から出てきたスライムが俺たちに襲いかかってくる。というかミッシェルさんはとこをどう見て美味しそうとか思ったんだ!?

「なんだこりゃ・・・」
「粘液!?」
「漢ぉぉ!!」

エルフマンさんはそのスライムに向かって突進して掴もうとしたが、

「あ?」

そのスライムをうまく掴むことができず、逆に自分の体が吸い込まれていく。

「何じゃこりゃ!?どこをつかめばいいかわからねぇ!!」
「「エルフマン(兄ちゃん)!!」

スライムに吸い込まれつつあるエルフマンさんにミラさんとリサーナさんが駆け寄っていく。

「ダメだ来んな!!こいつはなんかある・・・うおっ!!」

スライムはさらに増殖し、エルフマンさんを完全に飲み込む。

「「ああ!!」」

その増殖したスライムはミラさんとリサーナさんも飲み込んだ。
さらには俺たちにもスライムは迫ってきたが、セシリーが俺を間一髪で上空へと避難させてくれた。

「動けない・・・」
「懐かしいなぁ。昔は3人でこんな風に仲良く1つの布団で―――」
「喜んでる場合じゃねぇ!!」

し・・・心配要らないのかな?ミラさんが苦しそうなだけでエルフマンさんとリサーナさんは大丈夫そうだし。

「なんなのあれ!?」
「粘液が意思を持っていると言うのか!?」
「この感じ・・・みんな!!触っちゃダメよ!!」

ウェンディたちも上空に逃げていたらしく、地上にいるナツさんたちにそう叫ぶ。

「あなたがギルドマスターでしたね?ケガ人が出る前に彼女を差し出しなさい!!」

シュガーボーイの攻撃に皆さんが逃げ惑っている隙に、ココさんがマカオさんに蹴りを何発も放つが、マカオさんはそれを防御する。

「ガキを殴る趣味はねぇ!!」
「私大人です!!」

二人ともなんかどうでもいいようなこと言い合ってるけど・・・そんなことなど関係なしに煙がココさんに飛びかかる。しかし、ココさんは空中で回転しながらそれを全て避けた。

「甘ぇこと言ってんじゃねぇぞマカオ!!こいつらは敵だ!!」
「マスターって呼べっての!!」

マカオさんとワカバさんも言い争ってる暇はないんじゃ・・・

「そんな攻撃、私には当たりませんよ」

ココさんはマカオさんたちを見下ろしながらそう言う。なんとココさんはギルドの鐘のある塔の側面にくっついていたのだ。

「どうなってんだありゃ!?」
「めんどくせぇ・・・」

二人がそう言うと、今度はココさんを紫の炎が攻撃する。

「この野郎ぉー!!」

その攻撃はロメオの物だった。ロメオは次々とココさんに炎を投げつけるがそれはココさんに交わされ、全てギルドへとぶつかってしまう。

「やめろって!!」
「ただてさえもボロいのに」

ロメオの攻撃がギルドに当たってしまうのでマカオさんとワカバさんはロメオくんを止める。すると、シュガーボーイのスライムに3人は飲み込まれてしまう。
俺たちはひとまず、セシリーたちの魔力の消耗を考えて高台へと逃げ込むことにした。

「どうする~?」
「どうするって言っても・・・」
「あれ!?ナツさんは!?」

セシリーとハッピーがなんとかしようと作戦を考えていたが、ウェンディがいの一番に暴れていそうなナツさんが全く暴れていないことに気づく。俺はナツさんの方を見ると、なぜか真っ白になって岩に寄りかか座っているナツさんがいた。

「ナツさん!!」
「どうしたの~!?」
「まさか、今ごろラクサスとの決闘のダメージ!?」
「すごい時間差・・・」
「そんなバカな・・・」

ナツさんが白くなっているのを心配するウェンディとセシリーとシャルル。俺とハッピーはあまりの時間差に呆れていた。

「スッゲェこいつらおもしろ過ぎ!!」
「スパイシーなストリームだねぇ」

ヒューズは腹を抱えて大笑いし、シュガーボーイは手も足も出ない俺たちを見て得意気にそう言う。

「ギルドの魔導士なんて大したことないですね」
「ココ・・・」

リリーはココさんの方を見ながら何かに気づいたような顔をしている。

「戻っといで!!パウール!!」

シュガーボーイが指を鳴らすとスライムはシュガーボーイの体の中へと戻っていく。スライムが戻っていくと、中に飲み込まれたエルフマンさんたちはグッタリとした様子で倒れている。

「はい終了!!もう降参ですか?」
「くそっ・・・」
「魔力の消耗が・・・」

スライムに飲み込まれなかったマックスさんとラキさんもかなり疲労している。

「どうなってのさぁ」
「こいつら、我々が知っているココたちではない」
「えぇ~!?」

リリーの言葉にセシリーが驚きの声をあげる。

「アースランドに元々いた、ココ、ヒューズ、シュガーボーイってことね」
「そうか!エドラスにはエドラスの私たちがいたように」
「こっちの世界にも、ココたちがいたってことね」
「なるほど・・・道理で俺たちのことを知らないわけだ」

俺たちはようやくこの人たちがエドラスのココさんたちではなく、アースランドの人たちなのだと気づいた。でもココさんマジでそのまんまだから全然わかんなかった。

「ルーシィ・ハートフィリア、いい加減に名乗りでないと仲間がもっと傷つくじゃん。それとももっとうちらに暴れてほしい?カハッ」

ヒューズは楽しそうにそう言う。くそっ!!これ以上好き勝手させるか!!

「まだ誰がルーシィかはバレてねぇ。お前ら一旦ここから離れて、じっちゃんを探してくれ。あとは俺がなんとかする」

ナツさんは立ち上がりコソコソ話をしていたルーシィさんたちにそう言う。

「そこの3人!!スッゲェ怪しいじゃん!!」

ヒューズがルーシィさんたちがコソコソしているのに気づいた。しょうがない。

「ウェンディはここにいてくれ!!」
「え!?シリル!!」

俺は高台から飛び降りてルーシィさんとヒューズの間に割って入る。

「何?お前」
「俺が相手してやるぜ!!」

俺は口に魔力を溜めて、戦闘体制に入る。

「俺もやるぜシリル!!」

ナツさんはロメオから炎をもらい、力が戻ってきたようだ。

「走れルーシィ!!」
「水竜の咆哮!!」

ナツさんは腕から炎を放ち、俺はブレスを打ち出す。俺たちの魔法は合わさり合いながら3人へと向かっていく。

「HOT !!& COLD !!」
「火の魔法と水の魔法ですか」
「カハッ!!くだらないじゃん、指揮術!!」

ヒューズが人の手の形をした指揮棒を振るうと、俺とナツさんの放った魔法がなぜか方向を変えてマックスさんたちに襲いかかる。

「「ひいっ!!」」
「おろ!?」
「あれ!?」

マックスさんたちは間一髪で避けたけど、なんで魔法が違う方向に!?

「仲間割れ!?」
「なんで!?」
「ひょっとして、あれ・・・」

逃げながらルーシィさんたちは俺たちの方を見て何かに気づく。

「このやろう!!」

ナツさんは再度炎を吐き出すが、

「ほい」

ヒューズが指揮棒を振るとナツさんは体の向きを変えてルーシィさんたちに炎をぶつけてしまう。

「しまった!!」
「これは一体・・・」
「アハハハハハ!!」

俺たちはなぜか魔法が真っ直ぐ相手に届かないのかわからずにいると、ヒューズが大笑いを始める。

「罰当たりな魔導士ども、もっと楽しく踊るがいいじゃん」

ヒューズが指揮棒を振りながらそう言うと、突然頭に小さい石がぶつかる。ヒューズが頭を押さえながらそちらを向くと、そこには石を持っているキナナさんの姿があった。

「ん~~、あの娘、魔導士ではないようだね」
「石・・・うちに石を・・・スッゲェ殺意わくじゃん」

そう言うヒューズの目は本気だ!!
俺はひとまずキナナさんの前に立って守ることに専念することにする。

「もうやめろぉー!!」

リリーもヒューズたちの暴挙に耐えかねて突進を試みるが、ココさんなら顎に蹴りを入れられる。

「猫は引っ込んでなさい!!」
「天竜の・・・」

ウェンディは高台からヒューズたちに向かって飛び降りる。

「翼撃!!」
「バーカ」

ウェンディが魔法を放つがヒューズがまたも指揮棒を振ると、ナツさんがウェンディの攻撃を受けて飛ばされてしまう。

「えぇ!?」

ウェンディもそれに驚きを隠せない。

「あの棒のせいだ!!」
「うん!!間違いないみたいだね~」
「魔法を・・・いえ、人を操るってこと!?」

ハッピーたちが俺たちの魔法の照準が合わない理由をそう推理する。なんか似たようなのあったよね?ノーロさんだっけ?俺は見てないけど。

「うぷっ・・・」
「酔ったの?」

なぜか飛ばされたナツさんは気持ち悪そうに地面に伏せていた。乗り物酔いでもないし、なんで酔ったの?

「ごめんなさいごめんなさい」

ウェンディが一生懸命トロイアを涙目になりながらかけているのが妙に印象的だけど、一体どうするべきか・・・ヒューズの指揮棒は相当厄介だし、他の皆さんもシュガーボーイのスライムのせいで体力がほとんど残ってないみたい・・・

「ルーシィをどうする気だ!?」
「答える義務はありません!!」

リリーがルーシィさんを狙う理由を聞くが、ココさんたちは答えようとしない。

「あと5秒だけ待ってやるじゃん」

俺たちがどうしようか迷っていると、

「分かったから、もうやめて!!」

ルーシィさんがその場に立ち上がる。

「あたしが・・・」
「私が、ルーシィ・ハートフィリアです」

ルーシィさんが名乗りを上げようとすると、それを阻むようにミッシェルさんがそう言う。突然のことに、ルーシィさんは何が起きたのかわからないでいる。

「ん~~、君が」
「大人しくこっちにくるじゃん」

ミッシェルさんをルーシィさんだと思い込んだヒューズたちはそう言う。ミッシェルさんは静かにそれに従う。

「ちょっと・・・」
「あなたたちが探しているのは私です!!一体どういうご用件でしょう?」

ルーシィさんが何か言おうとしたが、ミッシェルさんは大きめの声でヒューズたちにそう言い、ルーシィさんの言葉を遮る。

「なるほど、ギルドの魔導士とはいえ、さすが元ハートフィリアコンツェンルの令嬢」
「品がありますねぇ」
「もっとガチャガチャした奴だと思ってたじゃん」

そういえば、ルーシィさんってお嬢様だったんですもんね、確かにミッシェルさんってお嬢様っぽいし、勘違いするのは納得できるかも・・・

「ルーシィ・ハートフィリア、元ハートフィリアコンツェンルの令嬢にして妖精の尻尾(フェアリーテイル)の星霊魔導士、間違いないじゃん?」
「間違いありません。それは私です」

ミッシェルさんは堂々とウソを言ってのける。その後ろで本物(ルーシィさん)の開いた口が塞がらないけど、大丈夫ですかね?

「あいつ・・・」
「言われてみればそうだったような・・・」
「だけど実際は~」
「ヒューズの考えが一番合ってるというね・・・」
「アハハハハハ・・・」

ナツさんとハッピーはルーシィさんがお嬢様ってのを忘れていたようだ。

「ちょっと待って!!ルーシィはあたしよ!!」
「ええっ!?」

ルーシィさんが慌てて名乗りを上げるとココさんは驚く。すると、ミッシェルさんはルーシィさんの手をそっと握る。

「 ミッシェルさん・・・私を庇ってくれる気持ちは嬉しいわ。けど、ウソは通用しないと思うの」
「何言ってるの!?」

ミッシェルさんの迫真の演技にルーシィさんは頬を赤くしている。なんか続きが気になるからもう少し見てようかな。

「誤魔化してもきっとすぐにバレてしまうと思うわ!!これ以上みんなに迷惑はかけられない、本当のことを言いましょう!!」
「・・・・・」

ルーシィさんはあまりのミッシェルさんの演技に言葉を失っている。ミッシェルさんはそこまでルーシィさんを庇おうとしているのか・・・なんという姉妹愛!!姉妹じゃないけど。

「私がルーシィです!!」
「あたしがルーシィよぉ!!」
「ど・・・どうしましょう・・・」
「ん~~、本物であれば、年齢は20歳(ハタチ)を越えているはず。おさげの娘は若すぎるのじゃないか?」

シュガーボーイの言葉にミッシェルさんは大きくうなずく。

「それは、あたしたちが7年間天狼島で―――」

ルーシィさんが事情を説明しようとした時、

「ルーシィ!!下がってろ!!お前には指1本触れさせねぇ!!」

ナツさんはウェンディにそう言った。かなり棒読みだったけど・・・

「は・・・はい!!わかりました!!」
「はぁ!?」
「こっちもルーシィですか!?」

ヒューズとココはウェンディを見て驚く。なるほど!!そう言うことか!!

「まだ戦えるな!!ルーシィ!!」
「うん!!任せて!!」
「「「こっちも!!」」」

マックスさんもラキさんをルーシィさんと呼び、さらに相手を撹乱する。

「大丈夫か?ルーシィ」
「なんとか」
「ケガはねぇか、ルーシィ」
「また増えたぁー!!」

マカオさんたちもレビィさんをルーシィと呼びココさんはさらに頭の中がこんがらがっているようだ。
よし!!なら俺も―――

「気を抜いちゃダメよ、ルーシィ」
「集中して、ルーシィ」
「・・・うん。任せて!!!!」
「「「こいつもルーシィ!?」」」

シャルルとセシリーが俺をルーシィと呼ぶのでこの場はひとまず返事をしておく。どうせそうなると思ってたよ!!

「うわあああ!!どれが本物かわかんないですよぉ!!」
「こ・・・こいつら・・・」

ココさんは頭を抱え、ヒューズは俺たちの撹乱戦法に苛立っている。

「回復した?ルーシィ」
「もう大丈夫よ、ルーシィ」
「スパイシー・・・」

今度はミラさんとリサーナさんが互いをルーシィと呼び合う。その後ろでエルフマンさんは何かを決心する。

「俺もルーシィだぁ!!」
「やーめーてー!!」

エルフマンさんは顔を真っ赤にして叫んだ。さすがエルフマンさん、漢ですね・・・

「スッゲェバカ臭いじゃん!!全員取っ捕まえちまえばいいだけの話」
「ん~~、COME ON !!ワンちゃんたち!!」

シュガーボーイは服の中から緑色のスライムを召喚する。

「させっかよ!!」
「そういうことです!!」

ナツさんと俺はシュガーボーイがスライムを完全に呼び出す前に攻撃を放つ。

「火竜の煌炎!!」
「水竜の洪水!!」

俺たちは3人に魔法をぶつける。しかし、その中からシュガーボーイのスライムが俺たちの体を捕らえる。

「くおっ!!」
「ルーシィ!!今だー!!」

ナツさんが叫ぶとその隙にルーシィさんとミッシェルさんが逃げ出す。

「二人逃げたじゃん!!」
「いつの間に!?」

ヒューズとココさんはルーシィさんたちが逃げたことに真っ先に気づく。気づくの早すぎ!!

「追え!!ココ!!」
「はい!!」

ココさんは二人を追いかけようと走り出す。だけど、

「行かせない!!水竜の翼撃!!」
「フリーラン、サイト!!」

俺がココさんを止めようと魔法を放つとココさんはそれをジャンプしてよけ、頭の上を飛び越えていく。

「飛んだ!?」

レビィさんたちもその跳躍力に目を疑う。ココさんはそのまま、近くの崖の壁に重力を無視して着地する。

「8点、9点、9点、10点!!」
「なんだありゃ・・・」
「フリーランって確か・・・」
「競技用の魔法だったな。ケガ人続出で禁止されたはずだぜ」

ワカバさんがフリーランについての説明をしてくれる。その間にココさんは壁をどんどんかけ上っていく。
レビィさんがそれを止めようとするが、ヒューズの魔法によって邪魔されてしまう。
その後もマックスさんやラキさんも一緒に交戦するが、ことごとくシュガーボーイのスライムに邪魔されてしまう。

「うおっ!!」
「きゃっ!!」

戦っているうちに、マックスさんたちがスライムに捕らえられてしまった。

「どうやら、ココが追った二人のどちらかがルーシィ・ハートフィリアって感じだね」

シュガーボーイが冷静に分析していると、その背後から大きくなったリリーが斬りかかる。しかし、それもスライムで防がれてしまう。

「ん~~、やっぱり君も大きくなるのねネコちゃん」
「何!?」

リリーがシュガーボーイの言葉の真意を聞こうとしたら、

「俺じゃねぇ!!」

突然現れたナツさんに殴られてしまう。

獣王の魂(ビーストソウル)!!」

エルフマンさんがヒューズに殴りかかるが、指揮棒で操られてマカオさんとワカバさんを殴ってしまう。

「じれってぇ・・・なんつうかすっげぇやりづれぇ・・・」
「スッゲェはうちの口癖!!とったらダメじゃん!!」
「やっかましいじゃん!!ちゃんと戦えよてめぇら!!」

ナツさんとヒューズはなぜか口癖のことで言い争ってるんですが・・・

「マリーヒューズ、俺たちに残されている時間は限られている」
「わかってるさ。うちらもルーシィを追うとするじゃん」
「いかせぇねぇよ」
「カハッ!!うちの指揮術の前では、何人であれ従順じゃん!!」

ヒューズが指揮棒を振るとナツさんは自分で自分を殴ってしまう。

「うわぁ、ナツさんが・・・」
「厄介な相手ねぇ」
「てか抜けない・・・」
「どうなってるのこれ~」

ちなみに俺とシャルルとセシリーはスライムに取り込まれそうになっているウェンディを引っ張り出そうとしている。でもスライムの粘着力高くて全然抜けねぇ・・・

「はい、終ーわったぁ」

ヒューズが指揮術でナツさんに地面を思いっきり殴らせると、辺りが爆発し、次に視界が回復した時には、すでにヒューズたちの姿はなくなっていた。

「くそっ!!あいつらどこいきやがった!!」

ナツさんはイライラした様子で辺りを見回す。

「あいつらはルーシィさんを探しているはずです!!」
「私たちもルーシィさんを探しましょう!!」

あいつらがいなくなったことでウェンディもスライムから解放されている。他のケガがひどい人たちはここで待ってもらうことにして、俺とウェンディとナツさんはハッピーたちに協力してもらい、ルーシィさんを捜索することにした。



 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
シュガーボーイが何言ってるのか聞き取れなくて端所っているところがけっこうあります。
次回もよろしくお願いします。 
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