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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another5 カラツキヌメモン

 
前書き
元ネタは見れば多分分かるかなと 

 
子供達は出口を求めて、地下水道を歩いていた。

ブイモン[というわけで、ティラノモンに襲われたりして、気付いたら工場の前に来てたってわけだ]

太一「ティラノモン?」

ロップモン[大半のアグモンが進化するという悲しい存在]

アインス「アグモンはグレイモンに進化したいのが大半なのだが、悲しいことにティラノモンに大半のアグモンが進化するという」

ブイモン[正にピヨモンがバードラモンに進化したいのにコカトリモンに進化してしまうというのに似てるな]

HAHAHAHAHAHA☆とブイモンの高笑いが地下水道に響く。
その時、奥の方から何かが騒ぐ声が聞こえてきた。

テントモン[……あ、あの声は!!]

ロップモン[ま、まさか…]

耳聡いテントモンとロップモンが、声が聞こえてくる方を注視する。
声は次第に大きくなりつつあり、かなりの大人数でしかもこちらに真っ直ぐ近付いて来ている事が何となくだが分かった。

ブイモン[ヌメモンだなこりゃ]

タケル「ヌメモン?何それ」

ブイモン[デジモン界最強の嫌われ者。ていうかパタモン。俺の頭から降りろ]

頭に乗っているパタモンに降りろと言うがそれだけ。

大輔「うげえ…」

別にヌメモンの攻撃手段がアレでなければ、大輔もアインスもここまで拒絶はしない。
ヌメモンは、デジモンアドベンチャーにおけるギャグ担当の汚物系デジモン代表格の筆頭である。
そのあまりにもあからさますぎる必殺技は、冒頭とあらすじ、デジモン紹介などを担当したナレーターが唯一言い淀んだ程の破壊力を誇るのだ。
ぼちゃんと音を立てて足元の下水に落ちるのは、なんとヌメモンのアレ。
20匹はいようかというヌメモンの大群は、一斉に子供達に向かってアレによる攻撃を仕掛けてきた。

アインス「…退避!!」

全員【異議なし!!】

ブイモン[あれ?なあ、あれってカラツキヌメモンじゃないか?]

ヌメモンの中に1匹だけ混じってるのは確かにカラツキヌメモン。

ロップモン[そんなのどうでもいいからああああああ!!]

ブイモンの手を引っ張って逃亡するロップモンだが、ブイモンは何故か足元にあるサザエの殻を拾う。

ブイモン[殻?]

いきなり立ち止まったブイモンを不思議に思ったのかヌメモンズとカラツキヌメモンが疑問符を浮かべて停止した。

ブイモン[殻と言えば…]

サザエの殻とカラツキヌメモンを交互に見遣るブイモンに何故だが、カラツキヌメモンは戦慄を覚えた。

ブイモン[お前のそれも殻だよなー!!?]

殻だよなー!!?

殻だよなー!!?

殻だよなー!!?(エコー)

地下水道だから滅茶苦茶響くブイモンの声。

ブイモン[なあ、カラツキヌメモンちゃん。お前の殻の下はどうなってんだ?]

カラツキヌメモン[え、ええ!!?]

ブイモン[殻脱げよ]

カラツキヌメモン[か、殻を脱げって…別にいいだろ!!?]

ブイモン[お前らカラツキヌメモンの殻の下知ってんのか?]

ブイモンの問いにヌメモンズは確かにと頷くと会話を始める。

[なあ、カラツキヌメモンの殻の下って見たことあるか?]

[そういや無いなあ]

ブイモンとヌメモンズの視線がカラツキヌメモンに集中。

ブイモン[ほらほら仲間にまで隠し事なんかいけないなあ。ほら殻の下見せてみ?]

カラツキヌメモン[見ちゃ駄目だあああああ!!]

ブイモン[そう言われるとさ]

どこからか馬鹿でかいハンマーを取り出す。

ブイモン[余計見たくなるんだよね♪]

どす黒いオーラを身に纏い、ニヤリと笑いながらハンマーを振り下ろす。

カラツキヌメモン[イヤアアアアアアア!!!!?人生最大の危機ーーーーーーっ!!!!!!?]

カラツキヌメモンの悲痛な叫び声が木霊する。
ブイモンのハンマーをかわしながら脱兎の如く逃走。

ブイモン[待てええええええええええ!!!!!!!!!!]

ハンマーを持ちながら、カラツキヌメモンを追い掛けるブイモン。
大輔、アインス、ロップモン、タケルもブイモンを追いかけた。
パタモンはブイモンの頭に乗っていたために必然的にパタモンも向こうに。
ポカーンとなりながら、ブイモン達が去っていくのを見守った太一達とヌメモンズ。
地獄の鬼ごっこスタートまで秒読み段階。




































ブイモン[いいから見せろってんだよおおおお!!]

カラツキヌメモン[イヤアアアアアアア!!来ないでええええええええええ!!!!!!]

ハンマーを何度もカラツキヌメモンの殻目掛けて振り下ろしながら叫ぶ。
ブイモンの頭に乗っていたパタモンはこの時ばかりはカラツキヌメモンに同情したという。

ブイモン[必いぃぃ殺っ!!]

大ジャンプしながら殻目掛けて必殺の一撃。

ズガアアアアアアン!!!!

カラツキヌメモン[あげえええええええん!!!!?]

殻に見事炸裂したハンマー。
見事殻に罅が入り、殻を真っ二つに。

パタモン[えい!!]

殻が2つ分かれる寸前、パタモンが殻に乗って阻止。

ブイモン[パタモン邪魔だ。どけ]

アインス「パタモンそのままだ!!ブイモン、何てことをするんだ!!カラツキヌメモンの殻を破壊するなど」

カラツキヌメモン[鬼ーっ!!悪魔ーっ!!モンでなしーっ!!鬼畜ーっ!!サディストーっ!!]

ブイモン[まあまあ、ここはひとまず傷を診ようじゃないか☆]

カラツキヌメモン[見ちゃいやーんもう!!]

ブイモン[だからそう言われると余計見たくなるんだよ]

カラツキヌメモン[そんなもの誰も興味なんか…ん?]

大輔、アインス、タケル、ロップモン、パタモンの視線がカラツキヌメモンの殻に集中。

全員【まあ、確かに】

カラツキヌメモン[ああ~…っ!!俺もう誰も信じられないよおおおおおお…っ!!!!]

悲痛な叫びを上げるカラツキヌメモン。

ブイモン[終わりにしようぜカラツキヌメモン。これでお前の謎を解明してやる!!]

ハンマーを思いっ切り振りかぶるブイモン。

パタモン[エアショット!!]

ブイモン[ゲッ!!?]

ハンマーに空気砲が炸裂し、ハンマーが回転しながら飛んでいく。
ハンマーの回収に向かうブイモンから逃げるためにカラツキヌメモンを連れて非難する大輔達。











































大輔「災難だったなお前」

ブイモンの余計な好奇心により殻が大破してしまったカラツキヌメモンを哀れむ大輔。

アインス「よし、修復完了だ」

カラツキヌメモン[ふう、これでもう大丈夫…って、あのね皆様方よ!!ガムテープじゃ動くのが怖いでしょうがよ!!!!]

ロップモン[大丈夫、セロテープよりは保証するから!!!!]

カラツキヌメモン[こんなもん、応急処置だろうがよ!!おいあんた!!あんたの仲間なら責任取れや!!]

大輔「軟体動物は気色悪いから知らねー♪」

アッサリキッパリと爽やかに満面の笑顔で言い放つ大輔。

カラツキヌメモン[げええ…]

タケル「じゃあ接着剤は?」

パタモン[接着剤って何?]

タケル「スッゴくくっつく奴」

大輔「でもよ、接着剤塗るには殻を脱がなきゃ駄目だぜ?」

カラツキヌメモン[うっそーん!!!!?]

アインス「仕方ない。殻の代用品はこのサザエの殻で我慢してくれ」

大輔「何でそんなのが都合よくあるんだよ……」

呆れたように巨大なサザエの殻を見つめる大輔であった。
































タケル「直りそう?」

ロップモン[うーん、難しいかも。でも確かに興味深いよね。こんな殻をどうやって纏ってたのかな?]

大輔「確かにブイモンじゃなくてもカラツキヌメモンの秘密を知りたいよな?」

アインス「カラツキヌメモンに殻が無ければただのヌメモンではないのか?」

パタモン[ということは、今のカラツキヌメモンは…]

大輔「ただのヌメモンか…ぶふっ!!」

カラツキヌメモン[他人事だと思って馬鹿にして!!後で酷い目に遭わせてやる!!笑うなあ!!!!]

大輔「あ゙あ゙っ?何か言ったか?カラツキヌメモン?」

カラツキヌメモン[ごめんなさいごめんなさい。私生意気言いました。ごめんなさい]

どす黒いオーラを纏う大輔に圧倒され、ヘコヘコと頭を下げたカラツキヌメモン。

ロップモン[(弱…っ)]

思ったけど言わないでおいた。
武士の情けである。

ブイモン[カラツキヌメモ~ン。どこだ~?優しく言っている間に出ておいで~]

カラツキヌメモン[げええ!!?悪魔が来たあああああ!!!!あ、あんたら…ていうかいないし!!]

振り返ると大輔達の姿と殻は無かった。
カラツキヌメモンはサザエの殻に隠れる。

ブイモン[ん?サザエの殻?何でこんなとこに…あ、中身がある。よし、腹も減ったし。腹ごしらえするか]

カラツキヌメモン[(え…っ!!)]
































大輔「カラツキヌメモンの奴大丈夫かな。」

アインス「多分大丈夫だと思う。」

パタモン[…ん?ねえ、何かいい匂いがするよ?]

タケル「本当だ。いい匂い!!」

ロップモン[香ばしい匂い…]

匂いに釣られて、移動する大輔達。



































そしてそこではブイモンが焼きサザエを作っていた。

ブイモン[あ、お前ら~]

タケル「わああ、大きいサザエ」

パタモン[美味しそう!!]

ブイモン[いや、カラツキヌメモンを探してたら運良く見つかったんだ。]

大輔「ん?カラツキヌメモン?」

カラツキヌメモン[何かスッゴい熱いんですけど!!?]

全員【ああああああああああ!!!!!!?】

ブイモンが焼いているのはサザエではなくカラツキヌメモンであった。

カラツキヌメモン[助けてえええええええっ!!]

大輔「パタモーン!!」

パタモン[エアショット!!]

カラツキヌメモン[ぶふぇえ!!]

ブイモン[カラツキヌメモン!!!!?]

ロップモン[ブレイジングアイス!!!!]

カラツキヌメモンに必殺技を放って即座に消化活動。

ブイモン[カラツキヌメモン…お前はカタツムリと偽って、実は愉快なサ○エさんだったのか!!!!?]

タケル「サ○エさん…」

タケルの脳裏にサ○エさんの歌が過ぎった。

カラツキヌメモン[馬鹿言ってんじゃないよもう!!!!]

怒鳴るカラツキヌメモンだが、カラツキヌメモンの頭に付いてるロップモンの氷で確かにサ○エさんヘアー状態であった。

アインス「ブイモン、これはカラツキヌメモンがサザエの殻を着ているだけだ」

ブイモン[あ、そう。じゃあ殻の中身はどうなってんだ!!!!?]

デデーン!!!!

カラツキヌメモン[ギックーン!!!!]





































カラツキヌメモン[イヤアアアアアアア!!]

ブイモン[カラツキヌメモン逃げんなああああああ!!]

再び始まるブイモンとカラツキヌメモンの鬼ごっこ。

ブイモン[俺の旺盛な知識欲には諦めるという単語は存在しないんだよおおおお!!!!]

カラツキヌメモン[捨てちまえそんな知識欲!!!!]

大輔とアインス、ロップモン、タケル、パタモンがブイモンとカラツキヌメモンを追い掛けるが、運動も大してしていないタケルとパタモンがダウンし、アインスがタケルを大輔がパタモンを抱えて猛スピードで走る。

[ようこそおもちゃの町に]

何か黄色いデカブツがいたような気もするが、カラツキヌメモンもブイモンも大輔もアインスもロップモンもタケルもパタモンもスルーした。

[………………………おもちゃ…の町に…よう、こそ…]

ヒュウウウ~…。

見事にスルーをかまされた黄色いデカブツこと、もんざえモンの背中に哀愁が漂っていた。
































ブイモン[ブイモンウルトラハンマー!!!!]

カラツキヌメモン[ギャアアアアア!!!!]

ブイモンが振り下ろしたハンマーを間一髪でかわすカラツキヌメモン。
そのまま一気に地下水道に逃げようとした瞬間。

ブイモン[逃がすと思うてか!!?ハンマーブーメラン!!!!]

ゴオオオオン!!

全力投球したハンマーが、カラツキヌメモンに炸裂し、パタリとカラツキヌメモンが倒れた。

ブイモン[俺の勝ちだな…]

自信満々に勝ち誇ったような笑みを浮かべて、殻を手に取り、そして…!!!!

ブイモン[うおおおおお!!!!?こ、これはあ…!!!!]

カラツキヌメモン[う、ううん…え、あ…ギャアアアアアアアアアア!!!!?]

ブイモンとカラツキヌメモンの叫びが木霊した。













































そしてようやく追いついた大輔、アインス、ロップモン、タケル、パタモンが見た物は、シクシクシクと泣いているカラツキヌメモンと世界の謎を解き明かしたような晴れ晴れとした顔をしたブイモンであった。

カラツキヌメモン[う…ううっ…]

ブイモン[正義は必ず勝つ!!!!]

大輔「どこが正義だああああ!!!!お前のせいで太一さん達とはぐれちまっただろうがよ!!」

ブイモンの決め台詞に大輔の鉄拳が炸裂。
こうして数時間後、おもちゃの町で太一達と合流し、パルモン進化イベントを見逃しただけでなく滅茶苦茶怒られたのは言うまでもなかった。






































おまけ

一方、カラツキヌメモンは。

カラツキヌメモン[何でお前らまでえええええ!!!!]

[逃げんなあ!!カラツキヌメモン!!!!]

[一緒に下水道で育った仲だろうがああああ!!!!]

ブイモンのおかげて、好奇心を刺激されたヌメモン達に殻を脱げと追いかけられていたとか。 
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